11月になると、会社から年末調整の書類をもらう人が多いのではないでしょうか。
個人事業主の人は、年明け以降から確定申告が始まります。
年末調整と確定申告は、名称は異なりますが、所得税の過不足を調整するために必要な手続きであり、対象者は国民としての義務となります。
今回は、年末調整・確定申告の概要や違い、対象となる人、確定申告をすることで得をするケースなどを紹介します。
年末調整と確定申告の違いを理解して、自分がどちらの対象なのか、または両方対象となるケースなのかが分かりますので、参考にしてください。
年末調整と確定申告の違いは誰が手続きを行うかである
年末調整と確定申告の大きな違いは、誰が納税手続きをするかという点です。
年末調整は勤務先の担当者が行う一方で、確定申告は自分で行わなければなりません。
両者は、1月1日〜12月31日の1年間で、支払うべき所得税を確定させ過不足がないか確認するための作業であることに変わりはありません。
年末調整と確定申告の違いについて、以下の表を参照ください。
年末調整 | 確定申告 | |
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手続きする人 | 勤務先の担当者 | 自分 |
対象者 | 勤務先から給与を得ている人 |
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期限 | 翌年の1月10日 | 翌年2月16日~3月15日 |
対象となる控除 |
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左記に追加
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年末調整と、確定申告両方に対象となる控除がある場合は、どちらも手続きが必要になります。
年末調整と確定申告が両方必要な2つのパターン
年末調整と確定申告の両方が必要なのは、以下のパターンです。
- 給与以外の収入がある場合
- 2カ所以上の事業所から給与をもらっている場合
詳しく解説します。
給与以外の収入がある場合
本業で給与を得ているのとは別に、副業で年間20万円以上(必要経費を差し引いた所得額)の収入がある人は、副業分の収入を確定申告しなければなりません。
年末調整は1カ所の会社でのみ提出できる書類だからです。
例えば、給与以外の収入が30万円あったとします。
仕事に必要な機材(オンライン会議のためのウェブカメラやソフトなど)や、交通費などに15万円かかったとすると「収入30万円‐経費15万円=所得15万円」となります。
上記の場合は、収入が15万円とされるため確定申告の対象にはなりません。
なお、必要経費が認められるのは事業所得・雑所得・不動産所得のみです。
収支を細かく記録しておき、確定申告の対象金額なのかを確認しましょう。
2カ所以上の事業所から給与をもらっている場合
副業として、パートやアルバイトで給与を得ている場合は、年末調整できるのは1カ所の事業所のみとなるため、残りの事業所の収入に関しては確定申告が必要になります。
パートやアルバイトで得ている収入は、源泉徴収され所得税が引かれた金額が20万円を超える場合は、確定申告の対象です。
ただし、以下の2つに該当する場合は確定申告は不要なため確認しておきましょう。
- 給与の合計金額から、雑損控除・医療費控除・寄付金控除・基礎控除以外の所得控除を引いた金額が150万円以下である
- 給与、退職所得以外の金額が20万円以下
年末調整とは企業が徴収した所得税の過不足を調整すること
年末調整とは、給与から引かれている所得税を再計算し、過不足があるか確認するための手続きを言います。
所得税は、1年間の収入から必要経費を引いた「所得」にかけられる税金です。
給与をもらっている労働者の家族構成や、所得の金額に応じて税率が変わるため、所得税は人によって引かれる金額が変わります。
年末調整について、以下の項目に分けて詳しく解説します。
- 年末調整が必要である3つの理由
- 年末調整は12月と年の途中で行う対象者がいる
会社勤めしているほとんどの人は対象となる手続きであるため、仕組みや必要な理由について確認しておきましょう。
年末調整が必要である3つの理由
年末調整が必要な理由は、主に以下の3つです。
- 毎月徴収されている所得税は概算である
- 家族構成の変化
- 社会保険や生命保険などを支払っている
毎月徴収される所得税は概算であること
所得税は、1年間で予定しているおよその給与から計算して概算で引かれています。
年末調整は、概算で徴収した所得税と、1年間の実収入や所得を計算して実際に支払うべき所得税に誤差が発生していないか確認するために必要な手続きとなります。
多く支払っている場合は還付され、不足している場合は徴収されることもあります。
家族構成の変化
1年間で結婚や出産などで家族構成が変化した場合は、源泉徴収(会社が収入からあらかじめ所得税を差し引くこと)の金額が修正されるため、当初の予定納税金額と差が出ます。
年末調整をすることで、正確な誤差を把握できるため必要な手続きとなるのです。
社会保険や生命保険などを支払っている
毎月引かれている源泉徴収には、社会保険や生命保険などの控除が含まれていません。
個人でそれぞれ支払っている金額や保険の種類も異なるため、確認するためにも年末調整が必要です。
年末調整は12月と年の途中で行う対象者がいる
年末調整は、11〜12月に手続きするのが一般的ですが、1年の途中で手続きする場合もあります。
それぞれどのような人が対象になるのか、以下を参照ください。
12月に年末調整を行う対象者
- 1年を通じて給与をもらっている人(会社員など)
- 年の途中で就職して12月まで勤務している人
- 青色事業専従者
一般的に会社で働き、給与を得ている人は12月に年末調整を行います。
また、年の途中で転職し、12月の給与を受け取っている場合も同様です。
青色事業専従者とは、以下の条件を満たしている人を指します。
- 青色申告者(個人事業主)と生計を共にしている配偶者や親族
- 申告する年の12/31までに満15歳以上
- 申告する年の6か月以上専業で従事していること
例えば、夫婦と子ども(15歳以上)の家族で自営業をしている場合、事業主である夫は確定申告が必要です。
一方、妻や子どもは上記の条件を満たしており、月収8万8千円以上得ている場合は、年末調整をしなければなりません。
上記の3点が、12月に年末調整を行う対象者になります。
年の途中で年末調整が必要な対象者
- 年の途中海外転勤して非居住者となった場合
- 死亡退職
- 心身障害にて退職した場合
- 12月中の給与の支払いを受けた後退職した場合
- その年の給与総額が103万円以下で退職した従業員
上記に当てはまる場合は、12月を待たずに給与を得た月までで年末調整を行います。
確定申告とは個人(自分)が所得税の過不足を申請して調整すること
確定申告とは、年末調整を行わない人が所得税の過不足を調整するために申請します。
主に会社勤めをしていない人、個人事業主やフリーランスが対象となるでしょう。
年末調整と同様に、1月1日〜12月31日の1年間に得た収入から必要経費を引いた「所得」にかけられる税金を確定させるために確定申告が必要です。
確定申告について、次に解説していきます。
確定申告には白色と青色がある
確定申告には、白色と青色の2種類があります。
違いについて、以下の表を参照ください。
青色申告 | 白色申告 | |
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条件 | 申告する年の3月15日までに「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出が必要 | 青色申告の手続きをしていない人が行う確定申告 |
提出書類 |
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税制上の優遇処置 | あり | なし |
メリット |
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白色と青色の詳しい特徴やメリット・デメリットについて、以下に解説します。
白色申告は手軽で簡単
白色申告は、青色申告をしていない個人事業主やフリーランス、不動産所得、山林所得を受けている人が手続きするものを言います。
白色申告に必要な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書B
- 収支内訳書
白色申告は、1年間の収入・経費が明確に分かり、所得金額が分かれば申告可能です。
国税庁が指定する収支内訳書に記入する内容は、取引ひとつひとつを細かく記入する必要はないため、簡単に書類作成ができるのがメリットと言えるでしょう。
ただし、白色申告では青色申告で受けられる特別控除や赤字の繰り越しなどは受けられないというデメリットがあるため、所得税の節税効果はありません。
青色申告は特別控除が受けられる
青色申告は「青色申告承認申請書」を提出すると、利用可能です。
白色申告から青色申告へ切り替えたい場合は、申告する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出すると切り替えられます。
青色申告は、複式簿記を使用して収支を細かく記録して提出しなければなりません。
提出する書類も白色申告より多く、複雑な計算が必要なことがデメリットと言えるでしょう。
しかし、会計ソフトを使用すれば複雑な計算や確定申告の書類もソフトが行ってくれるため、簿記に詳しくない人は、会計ソフトを導入するのがおすすめです。
青色申告のメリットは、以下の通りです。
メリット | 概要 |
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最大65万円の青色申告特別控除が受けられる |
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赤字を3年間繰り越せる |
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家族の給与を必要経費にできる |
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30万円未満の固定資産を一括で全額経費にできる |
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白色申告と比較すると、青色申告の方がメリットが多いです。
作成する書類は複雑ですが、会計ソフトを導入すればさほど困難ではないでしょう。
確定申告する場合は、青色申告がおすすめです。
確定申告の対象者
確定申告が必要な対象者は、以下の通りです。
- 個人事業主やフリーランス
- 企業に勤めているのに加えいくつかの条件に該当する
- 公的年金が400万円を超えている
自分が対象者なっているかが分かるため、確認していきましょう。
個人事業主やフリーランス
個人事業主やフリーランスの他に、不動産所得や山林所得を受けている人も対象になります。
それぞれについて、以下の表を参照ください。
職業 | 概要 |
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個人事業主 |
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フリーランス |
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不動産所得者 |
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山林所得者 |
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法人化するとは、個人で営んでいる事業を会社として国に登録することを言います。
法人化せず、個人として事業を営んでいる人は確定申告の対象となります。
また、「フリーランス」はひとつの会社に所属せず、業務委託として企業と契約し収入を得ている働き方です。
税法上の区分を示す「個人事業主」とは意味合いが異なるため注意しましょう。
確定申告が必要な条件に該当する会社員
企業に勤めている会社員で年末調整をしていても、以下の条件に該当する場合は確定申告も必要になります。
- 2カ所以上の事業所から給与を得ている
- 年間2,000万円以上の給与を得ている
- 給与以外に20万円以上の収入がある
- 被災したため災害減免法により源泉徴収の猶予または還付を受けた
企業で得ている給与の他に収入がある場合は、確定申告の対象になるため自分が当てはまっていないか、確認しておきましょう。
公的年金が400万円を超えている
公的年金とは「厚生年金」と「国民年金」の2種類あり、65歳を迎えると国民が受け取れる資金を言います。
その他に、以下のような方法で資金を得ており、公的年金を含めて所得が年間400万円を超える場合、かつ公的年金を除いた所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
- 私的年金:個人で老後のために積み立てておくもの
- 企業年金:福利厚生の一環として導入している(導入しているかは企業による)
- パートやアルバイトによる給与
住宅ローンを払っている場合や、医療費控除の対象金額まで医療費がかかっている場合は、還付金がもらえる可能性があるため、確定申告しておきましょう。
確定申告をすると得する4つのケース
確定申告は、用意する書類も多く手続きが面倒と思われますが、中には確定申告をしておくと得をするケースが4つあります。
- 医療費が年間10万円を超えた場合
- 住宅ローン控除を初めて受ける場合
- 地方公共団体などへ寄附金を支出した場合
- 個人事業主の経営が赤字だった場合
当てはまる人も多いと思われるため、確認しておきましょう。
医療費が年間10万円を超えた場合
確定申告する本人だけでなく、家計をともにしている家族の分も合わせて年間10万円を超えた場合は、確定申告をすると税金が戻ってきます。
医療費は、対象になる場合とならない場合があります。
以下のパターンに分けて医療費控除の対象の可否を紹介しますので、参照ください。
- 通院の場合
- 入院の場合
- 出産関連
- 歯科治療
- 眼科にまつわる治療
- 介護サービスを利用した場合
通院の場合
通院には、自宅から病院に行くまでの交通費や医師の診察代、処方された薬代などがかかります。
医療費控除の対象になるか否かは、以下の表をご覧ください。
控除の対象になるもの | 控除の対象にならないもの |
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体調不良による受診や通院に関する費用は、控除の対象になりやすいことが分かります。
健康診断や通院に関する交通手段によっては対象にならないため、覚えておきましょう。
入院の場合
入院すると、費用が高額になることが多く、その年は確定申告しておくとよいでしょう。
以下の表に入院費にまつわる控除の対象についてまとめているため、参照ください。
控除の対象になるもの | 控除の対象にならないもの |
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なかには、入院中にお世話になったからと、病棟関係者にお礼の品を用意することもあるでしょう。
しかし、お礼の品に関しては控除の対象にはならないため、注意しましょう。
出産関連
妊娠から出産にかけて、検診のための通院や、分娩、産後の入院などで多額の費用がかかります。
出産一時金として42万円支給されますが、それを超える金額がかかる場合もあります。
妊娠・出産にまつわる医療費控除について、以下の表を参照ください。
控除の対象となるもの | 控除の対象にならないもの |
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検診はクーポンが発券され、クーポン内の診察は無料で受けられる自治体が多いです。
クーポン対象外の診察や、検診以外で診察を受けた場合の費用が控除の対象になります。
歯科治療
歯科治療は保険適用にならない場合も多く、治療費が高額になることが多いです。
材料や治療内容によっては控除の対象になる場合があるため、確認していきましょう。
控除の対象になるもの | 控除の対象にならないもの |
---|---|
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歯の治療内容によっては、控除の対象にならないものもあるため、歯科医院にて確認しておきましょう。
眼科にまつわる治療
眼科の治療も医療費控除の対象になるものと、ならないものがあります。
以下の表を参照ください。
控除の対象になるもの | 控除の対象にならないもの |
---|---|
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介護サービスを利用した場合
要介護認定を受けて、デイサービスや福祉用具のレンタルなどを利用した場合の料金も、医療費控除の対象となります。
控除の対象になるもの | 控除の対象にならないもの |
---|---|
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指定された介護施設のサービス料のうち、半分が医療費控除の対象となるため覚えておきましょう。
住宅ローン控除を初めて受ける場合
家を建てた場合や、リフォームをした場合など、条件を満たせばローン返済1年目のみ、確定申告で住宅ローン控除を受けられます。
年末調整している場合は、2年目以降の手続きは年末調整にて行います。
住宅ローン控除の対象は新築住宅を建てた場合だけではなく、以下のパターンも対象になるため参照ください。
- 新築住宅を建てた
- 中古住宅の購入
- 自宅の増築
- 耐震改修
- 省エネ工事(窓や壁の断熱材や太陽光パネルの設置など)
- バリアフリー改修工事
- 複数の世帯が居住できるよう改修
- 耐久性向上の工事
控除の対象になるには、上記のそれぞれに一定の条件があるため、詳しいことは「チャットボット」を利用して確認してみましょう。
チャットボットは、確定申告のことや年末調整に関することをAIが対応してくれるサービスです。
土日・夜間も対応しているため、電話して問い合わせる時間がない人や、問合せ可能な時間帯に連絡できない人は利用しやすいでしょう。
チャットボット:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htm
地方公共団体などへ寄附金を支出した場合
地方公共団体や、公益社団法人などに「特定寄附金」を支出した場合は、確定申告すると控除が受けられます。
特定寄附金とは、以下の場合を指します。
寄附金を支出した団体 | 備考 |
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国・地方公共団体に対する寄附金 | 寄附をした人に特別な利益が発生すると予想されるものは除く |
公益社団法人・公益財団法人などで財務大臣が指定した団体に対する寄附金 | 以下の要件を満たすものが控除の対象となる
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教育、科学、文化、福祉の発展のために活動している法人への寄附金 | 以下の法人への寄附金が控除の対象となる
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政治活動に関する寄附金 | 寄附した人の利益にならないと判断されたもののみが控除の対象となる |
NPO法人 | 寄附した人の利益にならないと判断されたもののみが控除の対象となる |
ふるさと納税も寄附金控除の対象である
ふるさと納税も寄附金控除の対象です。
ただし、ふるさと納税ワンストップ特例を受けている場合は、確定申告しなくてもよいことになっているため注意しましょう。
ふるさと納税ワンストップ特例とは、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。
以下の条件に当てはまっていれば、ふるさと納税ワンストップ特例が申請可能なため、より便利に利用できるでしょう。
- 給与所得者である(※別の条件で確定申告の対象者である場合は寄附金控除も確定申告で行う)
- 1年間の寄附先が5カ所以内である
- 同じ自治体に複数納税する場合、都度申請書を提出している
ふるさと納税ワンストップ特例の対象者は、申請してより簡単に、ふるさと納税が利用できます。
個人事業主の経営が赤字だった場合
経営が赤字だった場合、所得税を納める必要はありませんが、確定申告をしておくと赤字分を翌年以降に繰り越せるため、翌年以降の所得税が控除されます。
例えば、2022年の経営が20万円の赤字で確定申告したとします。
2023年は、50万円の黒字経営だった場合、昨年の20万円分の赤字を差し引いた30万円で所得税が計算されることになります。
50万円で所得税が計算されるよりも、30万で計算された方が当然税金は安くなるため、将来的な節税につながります。
ただし、確定申告により赤字の繰越ができるのは青色申告者のみです。
以上のことから、個人事業主の経営が赤字でも確定申告しておくのがおすすめです。
会社が年末調整を行わなかった場合は違法になる
会社が年末調整を行うのは義務であり、行わなかった場合は民法190条に違法したことになります。
給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合~中略~その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。
引用:e-Gov法令検索
仮に会社が年末調整を怠ると、民法242条に則り以下の罰則が考えられます。
- 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 10年以下の懲役または200万円以下の罰金
- 過少申告加算税、延滞税
それぞれについて、どのような場合に該当するのか解説します。
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
年末調整の偽りの書類を提出し、税務署長の承認を受けた場合に該当する可能性があります。
偽りの書類とは、以下のような事例が報告されています。
- 給与額を過少に申請する
- そもそも年末調整を提出しない
上記の場合は、罰則の対象になるため注意しましょう。
10年以下の懲役または200万円以下の罰金
以下の申告を怠った場合に、罰則されます。
- 年末調整関連
- 退職所得関連
- 公的年金関連
- 賃金、報酬等関連
- 生命保険関連
などの所得税の申請を怠った場合は、上記の懲役や罰金が課せられる可能性があるため注意しましょう。
過少申告加算税、延滞税
過少申告加算税とは、年末調整や確定申告をした際に申告した納税額が、実際に支払った金額より少ない場合に加算される税金です。
会社が計算ミスをして、少ない金額を申請してしまった場合に起こりやすいため、注意しましょう。
また、延滞税は年末調整の提出期限を過ぎた場合に課される税金になります。
提出期限内に提出しましょう。
確定申告をしないと納税の上乗せが課せられる
確定申告をしなかった場合に課せられるペナルティは、主に2つあります。
- 無申告加算税
- 延滞税
それぞれについて解説します。
無申告加算税
無申告加算税とは、確定申告をしなかった場合に加算される税金であり、本来払うべき所得税に加えて増額されます。
納税金額に応じて、税金の割合が変わります。
- 納付税額50万円まで:15%
- 納付税額50万円を超える部分:20万円
- 税務署が調査する前に自己申告した場合:5%
確定申告を怠ると、税務署の調査で発覚してしまいます。
確定申告の対象者は忘れずに申告しましょう。
延滞税
確定申告の提出期限は、3月15日であり、それまでに提出しないと加算される税金です。
提出期限の3月15日以降より、確定申告を提出するまでの日数で加算されていきます。
提出期限を守って、確定申告を提出しましょう。
年末調整や確定申告を正しく理解して期限内に提出しよう
年末調整や確定申告は、実際に支払った所得税額と、支払わなければならない金額の誤差を調整するために必要な手続きです。
今回の内容のポイントは以下の通りです。
- 年末調整は法人が、従業員分をまとめて提出する義務がある
- 確定申告は個人事業主や給与以外の収入を得ている人が自分で行う
- 確定申告することで控除が受けられることもあるため、確認しておこう
- 年末調整や確定申告は義務であり、怠ると罰則が発生することもあるため注意しよう
実際は年末調整や確定申告をすることで、還付金がもらえることが多いため、決して損をする手続きではありません。
提出期限内に書類の準備を済ませ提出するようにしましょう。