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ファクタリング会計処理方法や仕訳とは|3つの注意点も紹介

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ファクタリングは売掛債権を売却して本来入金される期日よりも前に資金調達する方法で、資金繰りの改善に役立っています。

近年注目されている資金調達方法であり、経理担当者のなかにはファクタリングの会計処理の経験がない方もいるのではないでしょうか。

ここではファクタリングの会計処理方法を、2社間・3社間・保証型の3つのパターンに分けて解説しています。

ファクタリングの会計処理方法について調べている経理担当者向けに、今すぐ会計処理ができるように具体例も記載しているため、参考にしてください。

ファクタリングは種類によって会計処理方法が異なる

ファクタリングは買取型(2社間・3社間)保証型の2種類に分かれており、それぞれ会計処理方法が異なります。

ファクタリングの仕組みについておさらいしておきましょう。

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングには、2社間と3社間があります。

 

  • 2社間:自社とファクタリング会社の2社で交わされるファクタリング契約のこと。取引先にファクタリングの利用が通知されないのが最大の特徴。手数料が高い傾向がある。
  • 3社間:自社・ファクタリング会社・取引先の3社で行われるファクタリングのこと。取引先が介入することで売掛債権の信頼度が高く、手数料が抑えられるのが特徴。

保証型ファクタリング

売掛債権の未回収リスクを回避することを目的としたファクタリングです。

取引先の経営悪化や倒産などで売掛金の支払期日までに入金が確認できなかった場合に、ファクタリング会社から保証金が支払われます。

取引先の経営状況が明らかに悪い場合などは、審査に通らない可能性があるため注意しましょう。

2社間ファクタリングの会計処理方法

具体的な数字を用いて、2社間の会計処理方法の記入例を紹介します。以下の段階に応じてそれぞれ記入例を提示しますので、参照ください。

  1. ファクタリング契約時
  2. ファクタリング会社から売掛金が入金された後
  3. 取引先から自社へ売掛金が支払われた後
  4. ファクタリング会社へ支払い後
  5. ファクタリング契約と入金が同日だった場合の記入例

例:売掛債権の金額が500万円、手数料が10%のファクタリング会社で契約した場合の流れを説明します。

ファクタリング契約時

ファクタリングを契約したときの仕訳方法は以下のようになります。

借方 貸方
未収入金 500万円 売掛金 500万円

ファクタリング契約時は、売掛債権を売却した段階であり資金が手元に入っていないため、勘定科目は「未収入金で仕訳しましょう。

未収入金は、売却した売掛金が後日入金される場合に用いる勘定科目です。

ファクタリング会社から売掛金が入金された後

ファクタリング会社から入金されるのは、売掛金から手数料を引いた金額です。

手数料は「売掛債権売却損」の勘定科目で仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 450万円 未収入金 500万円
売掛債権売却損 50万円

取引先から自社へ売掛金が支払われた後

2社間は取引先にファクタリングの利用が通知されないため、通常通り売掛金の支払い期日に取引先から自社に入金されます。

取引先から入金が確認されたら「預り金」の勘定科目で仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 500万円 預り金 500万円

ファクタリング会社へ支払い後

取引先から売掛金が入金されたら、自社はファクタリング会社に支払いをします。

ファクタリング会社へ支払いが完了後、以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
預り金 500万円 現金 500万円

ファクタリング契約と入金が同日だった場合の記入例

2社間はファクタリング契約が締結した当日中に入金される場合があります。

即日入金だった場合は、以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 450万円 売掛金 500万円
売掛債権売却損 50万円

ファクタリング契約時とファクタリング会社から入金された時の仕訳を同時に行えるため、未収入金は使用せず、普通預金と売掛債権売却損で仕訳しましょう。

3社間ファクタリングの会計処理方法

3社間はファクタリング会社への売掛金の支払いを、取引先が直接行うため、自社が会計処理を行うタイミングは以下の通りになります。

  • ファクタリング契約時
  • ファクタリング会社から売掛金が入金された後

ここでも500万円の売掛債権、手数料10%のファクタリング会社を利用した場合の会計処理方法を解説します。

ファクタリング契約時

ファクタリング契約を締結してから入金されるまでの間は、以下の通りに仕訳しましょう。

借方 貸方
未収入金 500万円 売掛金 500万円

ファクタリング会社から入金されるまでは「未収入金」で会計処理をします。

ファクタリング会社から売掛金が入金された後

入金が確認できた後は、手数料の勘定科目を「売掛債権売却損」として処理します。

借方 貸方
普通預金 500万円 未収入金 500万円
売掛債権売却損 50万円

ファクタリング契約と入金のタイミングが同時だった場合は、2社間のときと同様の処理をしましょう。

保証型ファクタリングの会計処理方法

保証型ファクタリングの場合は、売掛金の回収が不可能と確定した場合のみ、会計処理が発生します。

また保証料を支払ってファクタリング契約を行うため、会計処理は以下のタイミングで行いましょう。

  • 保証料を支払ったとき
  • 売掛金の回収ができないと確定したとき

例として、保証料50万円を支払って売掛金500万円の保証型ファクタリングを行った場合の会計処理方法を解説します。

保証料を支払ったとき

保証料50万円を支払ったときの仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
支払手数料 50万円 普通預金 50万円

通常通り、売掛金の期日までに取引先から入金されれば通常通りの会計処理を行いましょう。

売掛金の回収ができないと確定したとき

取引先の経営不振や倒産などにより売掛金の支払期日までに入金が確認されず、未回収が確定した場合は、ファクタリング会社から保証金が支払われます。

入金が確認できたら、以下のように会計処理しましょう。

借方 貸方
貸倒損失 500万円 売掛債権 500万円
普通預金 500万円 雑収入 500万円

ファクタリング会社から受け取った保証金は「雑収入」の勘定科目で仕訳されます。

ファクタリング会計処理における仕訳や勘定科目とは

ファクタリングを利用したときの会計処理時の仕訳や、勘定科目の使い方について以下の項目に分けて解説します。

  • 仕訳は会計書類を作成するための重要な作業
  • 勘定科目とは金銭の流れを示すための見出し

仕訳や勘定科目がなぜ必要なのかを理解することで、会計処理がスムーズに行えるため、参照ください。

仕訳は会計書類を作成するための重要な作業

商品やサービスの売買、経費が発生したときなど、金銭が動くたびに勘定項目と金額を帳簿に記入していく作業を「仕訳」と言います。

仕訳は確定申告書や決算書を作成するのに使われたり、銀行融資の審査基準に使われたりします。

自社の経営状況を把握する資料にもなるため、日々金銭が動いたときはその都度記録しておかなければなりません。

記録方法の誤りや見落としがあった場合は、確定申告が行えない可能性や、経営状況が不透明になってしまうなどの不具合が発生するため、仕訳は確実に行いましょう。

仕訳は「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に分けて記入する決まりがあり、何が増えて何が減ったのか、両方を記録しておかなければなりません。

例えば、社内で使用するコピー用紙を500円で購入した場合の仕訳方法は以下のようになります。

借方 貸方 用途
消耗品 500円 現金 500円 コピー用

現金500円が減り、コピー用紙が増えたことを意味しています。

仕訳は、勘定科目に沿ってそれぞれ分類してから作業するのが基本です。以下に勘定科目について詳しく解説します。

勘定科目とは金銭の流れを示すための見出し

勘定科目は「何に」「どれくらいのお金を使ったか」を項目ごとに分類した見出しを言います。

家計簿でいえば収入は「給料」や「児童手当」、支出は「食費」「光熱費」「娯楽費」などに分類して記入することが多いでしょう。「食費」や「光熱費」が勘定科目です。

勘定科目は以下の5つに分類され、どれかに該当します。

  • 資産:現金や売ればお金になるもの。証券や土地などが該当する
  • 債権:買掛金や借入金などの自社が持つ借金
  • 純資産:資産から債権を引いたもの。資本金、利益準備金などが該当する
  • 収益:売上のこと。受取利息や受取利息が該当する
  • 費用:商品やサービスを開発、販売するための費用のこと。売上原価や販売費などが該当する

例えば資産が増えれば借方へ、減れば貸方へ仕訳するという決まりがあります。上記の勘定項目の増減に応じて貸方・借方のどちらに仕訳を行うのか、以下の表を参照ください。

勘定項目 借方 貸方
資産 増加 減少
債権 減少 増加
純資産 減少 増加
収益 減少 増加
費用 増加 減少

会計処理をするときは、どの勘定科目に当てはまるのか、増加・減少したのは何かを考えましょう。

ファクタリング会計処理と通常の違いは手数料の仕訳の有無

ファクタリングと通常の会計処理方法は、手数料が発生するかしないかで異なります。

以下の2つについて解説し、ファクタリングと通常の会計処理方法の違いをご覧ください。

  • 通常の会計処理方法
  • ファクタリングの会計処理との違いは手数料の仕訳があるかどうか

通常の会計処理方法

取引先との売買契約が成立し、売掛金が発生した段階で行う会計処理方法は以下になります。

例として売掛金が500万円だったとして処理してみましょう。

売掛金が発生したタイミングで以下のように会計処理を行います。

借方 貸方
売掛金 500万円 売上 500万円

次に売掛金の支払期限までに、取引先から支払いが確認されたら以下のように処理しましょう。

借方 貸方
普通預金 500万円 売掛金 500万円

自社の商品やサービスを取引先に売り、後日その代金を支払うという流れとなるため、金額はどちらも同額になります。

ファクタリングの会計処理との違いは手数料の仕訳があるかどうか

通常は売上と普通預金が同額であるのに対し、ファクタリングを利用した場合の会計処理は手数料の仕訳が必要になるところが大きな違いです。

ファクタリングにも2社間・3社間・保証型と種類によって会計処理が異なるため、自社がどのファクタリングを利用しているかを確認しておきましょう。

ファクタリングの会計処理を行うときの3つの注意点

以下の3つの点に注意して、ファクタリングの会計処理を行いましょう。

  • ファクタリングには消費税がかからない
  • 手数料の勘定科目は売掛債権売却損で処理する
  • 会計処理期間をまたぐ場合は税金がかかる

ファクタリングには消費税がかからない

会計処理を行う際は消費税についても考えなければなりませんが、ファクタリングは消費税がかかりません

ただし、債権譲渡登記に関しては作成する司法書士への報酬に消費税がかかるため覚えておきましょう。

債権譲渡登記とは、二重譲渡を予防するために売掛債権がファクタリング会社に譲渡されたことを公的に証明する書類のことです。

手数料の勘定科目は売掛債権売却損で処理する

ファクタリングは売掛金から手数料が引かれるため、損をしたことになります。

勘定科目を「売掛債権売却損」にして仕訳しましょう。

会計ソフトによって「売掛債権売却損」の勘定科目がない場合は「雑損失」や「債券割引料」などの項目でも代用可能です。

会計処理期間をまたぐ場合は税金がかかる

会計処理は一定の期間を設けて行われており、ファクタリング契約から入金までの間に次の会計処理期間へ入ってしまう場合は、税金がかけられます。

売掛金の金額に法人税や消費税を納めなければなりません。

万一会計期間をまたぐ可能性がある場合は、ファクタリング利用のタイミングを検討したり、契約後即日入金される2社間を利用するなどの工夫が必要です。

ファクタリング会計処理方法の基本を理解すれば難しくない

ファクタリングの会計処理は、通常と比べ手数料が発生する分処理方法が特殊になっています。

会計処理のポイントは以下の通りです。

  • 通常の会計処理との違いは、手数料が発生するところ
  • 利用するファクタリングによって会計処理するタイミングが異なる
  • 手数料は「売掛債権売却損」の勘定科目で処理する
  • 会計期間をまたぐ場合は税金がかけられるため注意が必要

ここで記載しているファクタリングの会計処理を覚えておけば難しいことではないため、処理するタイミングや使用する勘定項目を理解して、適切な会計処理を行いましょう。

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