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支払督促されるとどうなる?支払督促の流れや受けた場合の対処法について解説

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支払督促は、債権回収の手段の1つで、債権者の申し立てに基づいて簡易裁判所の書記官が債務者に金銭の支払いを督促するものです。

売掛金をなかなか回収できずに悩んでいる方は、メリットとデメリットについてよく理解した上で利用を検討しましょう。本記事では、支払督促の概要や、流れについて解説します。

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支払督促とは?

支払督促とは?

支払督促は、日本の民事司法制度の1つです。簡易裁判所が債権者からの申し立てに基づいて、債務者に対して金銭の支払いを求めます。

支払督促は通常の訴訟に比べて手数料が半額程度と安く、手続きが簡易です。裁判所の封筒で送られると財産の差し押さえという流れが見え、相手への間接的なプレッシャーにもなるため、売掛債権の回収がうまくいかない際はまず利用を検討したい回収手段です。

督促と催告の違い

督促と催告の違い

債権回収の請求として、督促と催告があります。督促と催告には請求するという意味合いで大きな違いはありませんが、実務上は「督促状」は滞納当初に複数回送られ、「催告書」は法的手段を取る前の最終通告として送られます。

ただし、督促状を送らずに最初から催告書が送付されることもあるようです。また、催告書は配達証明つきの内容証明郵便で送付されます。

支払督促の流れ

支払督促の流れ

支払督促の流れは、次の通りです。

  1. 支払督促の申し立て
  2. 簡易裁判所の審査
  3. 支払督促の発付
  4. 支払督促正本の送達
  5. 債務者が支払わない場合は強制執行の申し立てが可能に

支払督促に必要な書面提出は2回で、1ヶ月~2ヶ月程度で手続きが完了します。以下で、それぞれの段階で必要な手続きについて解説します。

支払督促の申し立て

まずは、債権者が簡易裁判所に申し立てをおこないます。この際、相手方(債務者)の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てをおこなう必要があるので注意しましょう。

必要書類は次の通りです。

  • 支払督促申立書
  • 当事者目録
  • 郵便はがき
  • 資格証明書
  • 登記簿謄本

支払督促申立書には、事件名、債務者情報、債権者情報、簡易裁判所名を記載してください。フォーマットは裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。

資格証明書・登記簿謄本は管轄法務局の窓口、もしくはオンラインで取得可能です。

また、申し立てには手数料が必要です。手数料額は民事訴訟費用等に関する法律で定められており、詳しくは裁判所のウェブサイトで確認できます。

手数料は収入印紙を利用して納付します。ただし、手数料の金額が100万円を超える場合は、収入印紙ではなく現金で納付しても構いません。

なお、申し立てにかかる手数料は支払督促申立書に請求の旨を記載することで、債務者に対して請求できます。また、申立書を作成し裁判所に提出するための費用は「申立書作成及び提出費用」という名目で、一律800円の請求が法律によって認められています。

手続きに関してわからないことがあれば、管轄の簡易裁判所書記官に問い合わせましょう。

簡易裁判所の審査

申立書を提出したら、簡易裁判所の審査がおこなわれます。直接提出する場合は、入力漏れやミスに備えて印鑑を持参すると良いでしょう。

支払督促の発付

審査を経て申し立てが受理されると、簡易裁判所から債務者に対し「支払督促」が発付されます。

支払督促の発付に関しては、裁判所書記官が債務者の言い分を聞くことなく、債権者からの申し立ての内容で判断します。

支払督促正本の送達

続いて、簡易裁判所から相手方(債務者)に支払督促正本の送達をおこないます。同時に、申し立てを行った債権者側には、支払督促を出した旨および送達結果が通知されます。

支払督促正本には、債務者が督促に対して異議申し立てをするための督促異議申立書が同封されています。債務者は、支払督促正本を受け取って2週間以内に異議申し立てをするかどうか選択しなければなりません。

以下で、異議申し立てがある場合、ない場合の流れについてそれぞれ解説します。

債務者から異議申し立てがある場合

債務者から異議申し立てがある場合は、請求した金額に応じて民事訴訟の手続きに移行します。

請求する額が140万円以下の場合は簡易裁判所の管轄になり、140万円以上の場合は地方裁判所が管轄になります。通常の訴訟に移ると、双方どちらの主張が正しいのか審理がおこなわれます。

ここで注意したいのが、証拠についてです。支払督促の申し立てや手続き自体に証拠は必要ありませんが、裁判になった場合は証拠の有無で勝敗に影響が出るので、債権の証拠となる請求書や契約書、メールのやりとりなどを保管しておくのがおすすめです。

債務者から異議申し立てがない場合

債務者から異議申し立てがなく、代金が支払われた場合は問題ありませんが、2週間を経過してもアクションがない場合は仮執行宣言の申し立てが可能です。

仮執行宣言とは、判決が確定する前でも執行することのできる効力を与えるもので、例えば銀行口座や従業員の給与を差し押さえることなどが該当します。

なお、仮執行宣言の申し立ては、2週間経過後の翌日から30日以内におこなう必要があることにも注意しましょう。

30日を過ぎると支払督促が効力を失ってしまうので、必ず忘れずに手続きをしてください。

仮執行宣言付きの支払督促では、裁判による判決が確定する前でも判決確定と同様の効力を持ち、相手の資産を差し押さえられるようになります。

差し押さえに当たっては、相手側に代金や資産がなければなりません。手続きに時間をかけていると、その間に資産を使われてしまったり、相手に逃げられてしまったりといった事態が発生します。また、相手方が控訴して執行をわざと引き伸ばすリスクもあります。

そのリスクを回避するために認められている制度が、仮執行宣言です。

仮執行宣言の申し立てが受理され、不備のないことが確認されると、支払督促と同様に発付、仮執行宣言付支払督促正本の送達がなされます。

債務者が支払わない場合は強制執行の申し立てが可能に

仮執行宣言付支払督促正本を受け取った債務者は、ここでも2週間以内であれば異議申し立てが可能です。異議申し立てがあった場合は、訴訟手続きに進みます。

債務者が仮執行宣言付支払督促正本を受け取ってからアクションを起こさず2週間が経過した場合は、仮執行宣言付支払督促が確定します。

その後、相手が支払わない場合は強制執行の申し立てが可能です。

強制執行では、裁判所が債務者の財産を強制的に差し押さえ、回収できるようになります。何を差し押さえるのかによって手続きや申し立て先が異なるため、地方裁判所で確認してください。

支払督促にかかる費用

支払督促にかかる費用

支払督促にかかる費用は、主に以下の通りです。

  • 収入印紙:申立手数料相当額
  • 郵便切手:債務者の数×1,099円分+84円分
  • 郵便はがき:1枚63円
  • 登記簿謄本(当事者が法人の場合):1通600円

申立手数料は、以下のように請求金額に応じて定められています。

請求金額 手数料
100万円以下 10万円ごとに500円
100万円超~500万円 20万円ごとに500円
500万円超~1,000万円 50万円ごとに1,000円
1,000万円超~10億円 100万円ごとに1,500円
10億円超~50億円 500万円ごとに5,000円
50億円超~ 1,000万円ごとに5,000円

なお、手数料は請求金額に合わせて一括で計算するのではなく、部分的に適用され最後に合算されます。

例えば、請求金額が200万円の場合、100万円までは「10万円ごとに500円」の手数料が適用され、100万円超から200万円までは「20万円ごとに500円」が適用されます。

支払督促のメリット・デメリット

支払督促のメリット・デメリット

支払督促は債権者側にメリットが多いように見えますが、すべての事業主にとって適しているとは限りません。ここからは、支払督促のメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。

支払督促のメリット

支払督促をおこなうメリットは、主に以下の通りです。

  • 裁判に比べて手続きが簡単
  • 強制執行ができるようになる
  • いきなり訴訟するよりもコストが低い
  • 時効が一時中断できる

それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

裁判に比べて手続きが簡単

支払督促と裁判を比較した際、大きなメリットとなるのが手続きにかかる負担です。支払督促は裁判所に書類を提出するだけで、裁判所が支払い命令を出してくれます。

通常の裁判では、裁判所に行く、証拠を提出する、尋問をおこなうといった煩雑な手続きが必要です。その点、支払督促は迅速かつ簡単に実行できるので、利用しやすいメリットがあります。

強制執行ができるようになる

支払督促をしても相手が支払いに応じない場合は、強制執行により強制的に相手の預金や給与などの財産を差し押さえられるようになります。

通常、強制執行をするには訴訟が必要ですが、支払督促を利用すれば訴訟なしで強制執行できる可能性があります。

訴訟をすると、裁判の費用や時間がかかり、負担も大きなものとなります。その点、支払督促は主に書類を提出するだけで良いので、大幅に負担を減らせるでしょう。

いきなり訴訟するよりもコストが低い

支払督促は、訴訟に比べてコストが半額程度と低いのもメリットです。

また、訴訟は弁護士への依頼費用もかかる場合がありますが、支払督促は弁護士に依頼せずとも、手続きや仕組みを理解していれば対応できるかもしれません。

時効が一時中断できる

時効が一時中断できるため、売掛金を踏み倒されることがなくなるメリットもあります。

お金の支払いを求める権利(金銭債権)は、通常「債権者がその権利を行使することができることを知った時から5年」または「債権者がその権利を行使することができる時から10年」を経過すると消滅してしまいます。

しかし、時効の「完成猶予」または「更新」をおこなうことで、消滅時効の完成を阻止することが可能です。特に、時効の進行をリセット(更新)するためには、訴訟や支払督促が必要となります。

訴訟は時間や手続きにかかる負担が大きいので、多くのケースでは手続きが簡単な支払督促が使われます。

放置していると回収が難しくなってしまうので、踏み倒される前に支払督促を申し立てましょう。

支払督促のデメリット

支払督促には次のようなデメリットもあります。

  • 必ず資金の回収に成功するわけではない
  • 所轄裁判所を選べない
  • 居住地が不明だと支払督促できない

メリットばかりを見てしまうと後悔する可能性があるので、デメリットも理解したうえで申し立てましょう。以下で、それぞれ詳しく解説します。

必ず資金の回収に成功するわけではない

支払督促を検討する際は、必ずしも資金の回収に成功するわけではないことを念頭に置いておきましょう。

支払督促は裁判に比べて書面のみの手続きで簡単にできます。しかし、同時に相手も郵送による書面1つで異議申し立てができてしまうのです。

そのため、異議申し立てのハードルが低く、相手に払う意思がなければ異議申し立てがされる可能性は高いでしょう。

異議申し立てがされれば結局は裁判になってしまうため、弁護士費用や裁判費用などがかかってしまいます。

所轄裁判所を選べない

支払督促の申し立ては、相手の住所地を管轄する簡易裁判所にしなければなりません。通常、裁判をする際は自分の会社に近い裁判所でおこないますが、支払督促に関しては対象外です。

相手の管轄裁判所が遠いと、それだけの時間と交通費がかかります。

居住地が不明だと支払督促できない

支払督促の際は裁判所が相手に書面を郵送する必要があるため、申し立てには相手の住所と氏名が必要です。

したがって、相手の居住地がわからなければ、支払督促による未払金の回収はできないということになります。

与信管理を効率化させる方法

与信管理を効率化させる方法

支払督促が発生してしまうのは、与信管理がきちんとできていないからです。与信とは、相手の信用情報や支払い能力を評価したうえで、取引ができると信用することです。

企業同士の取引は、先に商品を提供し、後から代金を支払ってもらう「与信取引」が主流です。

相手を適正に評価し、取引の可否や取引限度額を正しく定められないと、未払金のようなリスクが発生しやすくなります。

ここからは、与信管理を効率化させる方法について解説するので、しっかりチェックしてトラブルを避けましょう。

ファクタリングを利用する

ファクタリングは償還請求権がないため、回収不能のリスクがなくなります。万が一取引先が倒産するなどして資金が回収できなくなった場合は、基本的にファクタリング会社が回収の義務を負うため、利用者が責任を負う心配はありません。

ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に売却し、取引先から売掛金が入金されたらファクタリング会社に支払いをおこないます。そのため、迅速かつ確実に資金を回収できます。

取引先からの入金を待たずに資金調達ができるので、できるだけ早く資金を回収したい場合におすすめです。

請求代行サービスを利用する

与信管理や請求業務を効率化するなら、請求代行サービスの利用もおすすめです。請求代行サービスの内容は業者によって異なりますが、主に次のようなサービスを提供しています。

  • 請求書作成・発行
  • 代金の回収および回収にともなう確認・消込・支払業務
  • 与信審査・管理

取引先が多い場合は与信管理だけでなく請求書の作成も負担になります。そこで請求代行を利用すれば、コストはかかるものの請求に関する業務をプロに代行してもらえるため、業務を効率化させることが可能です。

また、未払いへの保証がある請求代行を利用すれば、未回収のリスクを抱える不安から解放され、販路拡大にもつながるでしょう。

支払督促をされたらどうすればいい?

支払督促をされたらどうすればいい?

もしも資金繰りが悪化して未払いが生じ、支払督促をされたらどのように対応すれば良いのでしょうか。支払督促が届いた場合、何もせずに放置していると、財産の差し押さえがおこなわれるので注意してください。

以下では、それぞれの状況に合わせた対応方法について解説していきます。

返済できる場合

返済できる場合は、書面に記載された方法にしたがって、2週間以内に返済しましょう。

振込先の情報は支払督促以前の督促状や請求書で確認するか、相手に直接問い合わせてください。

支払が完了したら、速やかに完了報告をおこないましょう。この際、返済を証明する書面を添付し、返済日・返済方法・返済金額などの情報を正確に記載しましょう。

債権者側で返済の確認が取れたら、すべての手続きが完了です。

返済できない場合

返済できない場合や身に覚えのない請求の場合は、2週間以内に異議申し立てをおこないましょう。異議申し立ては、支払督促に同封されている「督促異議申立書」にしたがって、書面を裁判所に直接提出するか、あるいは郵送でも可能です。

2週間以内に対応しないと、強制執行により財産を差し押さえられる可能性があるので、必ず対応してください。

異議申し立てをすると、そのまま民事訴訟へと移行し、裁判所を介して債権者側と交渉します。

時効期間が過ぎている場合

時効期間が過ぎている場合は、異議申し立ての際にその旨を主張することで、返済義務がなくなります。

ただし、時効を過ぎていても債権者が支払督促をすることは可能なため、支払督促が届く可能性はあります。

また、消滅時効成立には異議申し立てと別に時効の援用手続きが必要です。手続きが完了したら、債権者に対し、内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付してください。

まとめ

まとめ

支払督促は訴訟に比べて手続きが簡単で手数料も抑えられるため、未払い金を回収する手段として有効です。

ただし、相手から異議申し立てされる可能性が高く、訴訟に発展することも念頭に置いておきましょう。

また、申し立てに当たっては必要書類や期限など細かな知識も必要なので、流れについて理解を深めたうえで上手く活用してください。

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