近年は飲食店でもキャッシュレス決済の導入が進んでおり、それに伴ってキャッシュフローの悪化が見られるケースも増えています。いざというときに現金がないと、飲食店では仕入れもままなりません。
今回の記事では、キャッシュレス決済の売掛債権を利用して資金調達する方法をまとめました。くわえて、飲食店の資金繰りが悪化する理由や、ファクタリングを利用するメリット・デメリットも解説します。
キャッシュレス決済を導入しつつ、ファクタリングを活用して上手に資金繰りを改善しましょう。
飲食店の資金繰りが悪化する3つの理由
飲食店の資金繰りが悪化する3つの理由を解説します。
- キャッシュフローの理解不足
- 売上が伸びない
- FLRコストが高い
資金繰り悪化に対処するとともに、原因を突き止めて根本的な改善策も検討しましょう。
キャッシュフローの理解不足
飲食店の資金繰りが悪化する理由には、キャッシュフローへの理解不足が挙げられます。キャッシュフローとは、現金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことです。
キャッシュレス決済が増加している現在、売上があっても入金までにはタイムラグが生じます。入金前に支払いがあると、現金が手元に残らず資金繰りが悪化しやすくなります。
売上があるにもかかわらず手元資金が足りないと、資金ショートして黒字倒産に陥るかもしれません。キャッシュフローを改善する対策は以下の通りです。
- 仕入れを一括後払いに変更
- 入金サイクルが短いキャッシュレス決済サービスを利用
- ファクタリングで売掛債権を現金化
キャッシュフロー不足で黒字倒産しないよう、必要な対策を立てましょう。
売上が伸びない
飲食店の売上が想定以上に伸びず、資金繰りが悪化するケースも多いです。開店直後は話題性があり売上が伸びますが、その状態が継続するとは限りません。また、常連客で売上が上がっている飲食店が、新しい飲食店に客を取られる事態も考えられます。
客足が鈍っているにもかからず、何の対策も取らなければ売上が減少して資金繰りが悪化します。売上を確保するには以下の2つの対策が必要です。
- 新規客の獲得
- リピート率の向上
新規客の獲得には、宣伝広告を打つ・新しいメニューを開発・イベントを開催といった対策を検討しましょう。リピート率を上げるには、接客の向上・独自メニューの開発・SNSでの発信などが考えられます。
FLRコストが高い
FLRコストが高いと、利益率が低くなり資金繰りが悪化します。
FLRコストとはFood(食材費)・Labor(人件費)・Rent(家賃)を合わせたコストです。飲食店経営の代表的なコストで、経費の大部分を占めるのが特徴です。
業態によって比率は変わりますが、FLRコストは売上の70%以内が適正な目安とされています。70%を超えると利益率が低くなり、資金繰り悪化の大きな原因となります。
FLRコストの削減には、以下の対策を行いましょう。
- 食材費のコスト削減
- 値段設定の見直し
- オペレーションを最適化して人件費を下げる
- 大家に家賃交渉をする
上記のような根本的な改善策を進めるとともに、足りない資金はファクタリングで調達しましょう。
飲食店に存在するキャッシュレス決済での売掛債権
飲食店には、キャッシュレス決済で発生する売掛債権が存在します。
キャッシュレス決済の普及の背景や、キャッシュレス決済による売掛債権の概要をわかりやすく解説します。
飲食業界でのキャッシュレス決済の普及
日本はキャッシュレス後進国と言われていましたが、ここ数年で利用者が飛躍的に増加しています。経産省が2021年に行った「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」によれば、飲食店の85.4%にキャッシュレス決済が導入されています。
キャッシュレス決済の種別の導入状況は以下の通りです。
- クレジットカード:58.3%
- 交通系電子マネー:33.2%
- 非交通系電子マネー:32.8%
- コード決済:68.4%
さらに、51.9%の人々が飲食店での支払いでキャッシュレス決済を利用したいと考えています。このことから、キャッシュレス決済の導入は売上に大きな影響を与えると予想されます。今や売上を最大化するためには、キャッシュレス決済の導入が必須です。
キャッシュレス決済の売掛債権とは
キャッシュレス決済の売掛先は、キャッシュレス決済を利用した客ではなく決済代行会社です。
飲食店の客がキャッシュレス決済すると情報が決済代行会社に送られ、決済期日になると決済代行会社から飲食店に代金が入金されます。しかし、決済代行会社によっては入金までに1ヶ月~3ヶ月かかるケースも珍しくありません。
決済期日の入金が行われるまで、決済代行会社を売掛先とした売掛債権は解消されません。キャッシュフローを改善し、資金繰りをよくするには売掛債権の早急な現金化が必要です。
飲食店でもファクタリングが利用できる
飲食店でも、売掛債権があればファクタリングが利用できます。キャッシュレス決済によって決済代行会社に請求している代金は、飲食店にとっては売掛債権にあたります。
この売掛債権をファクタリング会社に売却すれば、決済期日を待たずに現金化が可能です。早期に現金化して資金に充てれば、資金繰りの改善や新規投資などに利用して状況の改善が見込めます。
資金繰り改善のためにも、飲食店で利用できるファクタリングの仕組みをしっかりと把握しましょう。
売掛債権を現金化するファクタリングの仕組みとは?
ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却して、手数料を差し引いた代金が受け取れる仕組みです。売掛債権の決済期日までに現金化できるため、資金繰りの改善が期待できます。
ただし、手数料が高いと受け取れる代金が少なくなるため注意しましょう。最近はオンライン完結のファクタリングが主流になりつつあり、リーズナブルな手数料で利用が可能です。また、オンラインファクタリングは必要書類が少なく、スピーディーな資金調達に向いています。
最短即日で売掛債権を現金化できるのも、ファクタリングの大きな魅力です。
飲食店でファクタリングを利用するメリット
飲食店でファクタリングを利用するメリットは以下の通りです。
- 売掛金をスピーディーに現金化して資金繰り改善
- 信用情報に影響がない
- 管理業務が効率化できる
- ほぼ確実に審査に通る
- 設備投資や新規出店の資金にする
メリットをしっかりと把握し、上手にファクタリングを活用しましょう。
売掛債権をスピーディーに現金化して資金繰り改善
ファクタリングは、最短即日で売掛債権の代金を受け取れます。
急ぎで資金が必要なら、最短即日で現金化可能なオンラインファクタリングがおすすめです。必要書類が少ないため準備にも手間がかかりません。また、手続きもパソコン・スマートフォンから手軽に行えます。
オンラインファクタリングは手数料がリーズナブルなサービスが多く、利益を圧迫しない点も魅力的です。「急な予約のキャンセル」「月末の支払いに困っている」といったときは、ファクタリングを利用して当座の資金不足を補いましょう。
信用情報に影響がない
ファクタリングは借入ではありませんので、信用情報に影響を与えません。信用情報が傷付かないため、将来的に銀行融資を検討している飲食店でも気軽に利用できます。
ファクタリングが信用情報に影響を与えないのは、ファクタリングが売掛債権の売買契約だからです。また、ファクタリングでは売掛先の信用力が重視されるため、銀行やビジネスローンの審査に落ちた飲食店でも利用できます。
ファクタリングを柔軟に活用して、上手に資金繰りを改善しましょう。ただし、資金繰りが苦しいなら根本的な改善策も早急に検討する必要があります。
ほぼ確実に審査に通る
キャッシュレス決済のファクタリングは、ほぼ確実にファクタリング会社の審査を通ります。
ファクタリングの審査で重視されるのは、売掛先の信用力や支払い能力です。キャッシュレス決済の売掛先は決済代行会社であり、倒産リスクや不払いリスクはほぼゼロです。なお、飲食店が赤字経営・税金滞納・信用力がないといった状態でも審査に通りますので安心してください。
審査に通るのはほぼ確実なので、できるだけ手数料の安いファクタリング会社を選びましょう。手数料を安くしたいなら、複数社に相見積もりを取るのがおすすめです。
設備投資や新規出店の資金にする
ファクタリングを利用して、設備投資や新規出店の資金を調達しましょう。
ファクタリングは銀行融資やビジネスローンとは異なり、開業から間もない飲食店でも利用できます。開業したての頃は資金不足に陥ることが多いですが、ファクタリングならスピーディーに資金調達が可能です。
ほかにも、手元資金がないが設備投資したい人や、新規出店の資金が足りない人にファクタリングはおすすめの選択肢です。ただし、ファクタリングは売掛債権の分だけしか資金調達できませんので注意しましょう。
売掛債権以上の資金が必要なら、銀行融資やビジネスローンを検討してください。
飲食店でファクタリングを利用するデメリット
飲食店でファクタリングを利用するデメリットは、以下の通りです。
- キャッシュレス決済手数料とダブルで手数料が必要
- 売掛金が少ないとファクタリングが利用できないかも
前もってデメリットを知っておき、トラブルにならないようにしましょう。
キャッシュレス決済手数料とダブルで手数料が必要
ファクタリングを利用すると、決済代行会社とファクタリング会社の両方に手数料を支払わなければなりません。ファクタリングの手数料の相場は以下の通りです。
ファクタリングの種類 | 手数料の相場 |
2社間ファクタリング | 10%~20% |
2社間ファクタリング(オンライン) | 2%~12% |
3社間ファクタリング | 1%~9% |
客がクレジットカード決済の場合、決済代行会社に3.5%~4.5%の決済手数料を取られます。つまり、キャッシュレス決済とファクタリングを合わせると、5%~10%ほどの手数料が必要になります。
経済産業省の調査によれば、飲食店の利益率は中小規模の事業者で11.4%です。そのため、キャッシュレス決済とファクタリングを併用すると利益のほとんどが吹き飛んでしまいます。
ファクタリングは本当に困っているときにのみ利用し、資金繰りの根本的な改善策をしっかりと検討しましょう。
売掛金が少ないとファクタリングが利用できないかも
ファクタリング会社の中には、買取する売掛債権額に下限・上限を設定しているケースがあります。そのため、売掛債権が少額だと利用できないかもしれません。
買取可能額があるファクタリング会社では、下限が数十万円くらいに設定されているケースが多いです。また、売掛債権が少額であるほど手数料が上がる傾向にあります。
売掛債権が少ないなら下限を設定していないファクタリング会社を探すか、ファクタリング以外で資金調達を検討しましょう。
飲食店で利用できるファクタリングサービス4選
飲食店で利用できる、手数料が低いおすすめのファクタリングサービスを4つ紹介します。
- QuQuMo(ククモ)
- OLTA(オルタ)
- anew(アニュー)
- GMO BtoB早払い
自店に適したファクタリングサービスを選び、資金調達のために上手く活用しましょう。
QuQuMo(ククモ) | 最短2時間で資金調達が可能!
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 1%~14.8% |
入金スピード | 最短2時間 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://ququmo.com/ |
QuQuMoは、スピードを極限まで追求したオンラインファクタリングです。オンラインですべての手続きができるため、パソコンだけでなくスマートフォンからも申し込みできます。
申し込みから最短2時間で入金されるため、緊急で資金が必要なときに最適です。また、QuQuMoは業界トップクラスのリーズナブルな手数料を実現しています。
法人・個人事業主のどちらにも対応しており、多くの飲食店がQuQuMoを利用できます。必要な書類は2つのみで、準備に手間がかからない点も魅力的です。
最短で資金を調達したいなら、QuQuMoは最適なファクタリングサービスです。
OLTA(オルタ) | 法人・個人事業主が利用でき、手数料がリーズナブル
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 2%~9% |
入金スピード | 最短即日 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://www.olta.co.jp/ |
OLTAは、最短即日振込で手続きがオンラインで完結するファクタリングサービスです。独自のAI審査によって業務を効率化しているため、人件費を削減してリーズナブルな手数料を実現しました。
法人・個人事業主ともに利用可能で、売掛債権の買取額に下限・上限が設定されていません。少額から買取してもらえるため、規模の小さな飲食店にとって利用しやすいファクタリングサービスです。ただし、事業実績が7ヶ月未満の飲食店は利用できませんので注意しましょう。
OLTAは、パートナー企業も大手ばかりで信頼性が高いことが特徴です。リーズナブルな手数料で、少額からファクタリングを利用したいならOLTAがおすすめです。
anew(アニュー) | 独自のAI審査でリーズナブルな手数料を実現
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 2%~9% |
入金スピード | 最短即日 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://www.a-new.co.jp/ |
anewは、独自のAI審査を導入しておりスピーディーな資金調達が可能です。オンラインファクタリングなので、全国どこからでもパソコン・スマートフォンから簡単に申し込めます。
2社間ファクタリングでありながら、2%~9%というリーズナブルな手数料を実現しました。買取金額に下限・上限が設定されていないため、少額の売掛債権をファクタリングして資金調達できます。
ただし、anewは法人しか利用できませんので注意しましょう。SBI新生銀行とOLTAが共同運営しているファクタリングサービスであり、信頼性・安全性ともに高いのがanewの特徴です。
安心して利用できる信頼性の高いファクタリングサービスを探しているなら、anewの利用を検討してみましょう。
GMO BtoB早払い | 手数料が1%からと業界最安レベル
種類 | ・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング |
調達可能金額 | 100万円~1億円 |
手数料 | 1%~12% |
入金スピード | 最短2営業日 |
手続き方法 | 対面・オンライン |
公式サイトURL | https://www.gmo-pg.com/lpc/hayabarai/ |
GMO BtoB早払いは、手数料が1%からと業界最安レベルを実現したファクタリングサービスです。
2回目以降の利用がスムーズになるよう、最初に決定した買取限度額内で繰り返しファクタリングできる仕組みです。継続して利用すると手数料が0.5%下がるため、何回もファクタリングを利用する予定がある人に向いています。
運営会社であるGMOペイメントゲートウェイ株式会社はGMOグループの子会社であり、東証マザーズに上場しているので信頼性抜群です。
ファクタリングを継続して利用する予定なら、手数料が安く継続利用のメリットがあるGMO BtoB早払いがおすすめです。
飲食店でファクタリングを利用するときのQ&A
飲食店でファクタリングを利用するときのQ&Aについて解説します。
- 飲食店がファクタリングを利用するときの手数料はどれくらい?
- ファクタリングの利用に必要な書類は?
- ツケ代金をファクタリングできる?
- 業績が悪かったり税金を滞納していたりしても利用できる?
前もって疑問を解消しておき、ファクタリングをスムーズに利用しましょう。
飲食店がファクタリングを利用するときの手数料はどれくらい?
飲食店がファクタリングを利用するときの手数料は、かなり低めに設定される傾向にあります。
決済代行会社は売掛先として信用力が高いため、キャッシュレス決済の売掛債権の手数料は低めに設定されます。さらに安く利用したいと考えているなら、複数社に相見積もりを取って手数料が低いサービスを選びましょう。
飲食店の利益率は高くありません。ファクタリングを利用するなら、できるだけ手数料を抑えましょう。
ファクタリングの利用に必要な書類は?
飲食店がファクタリングを利用するなら、キャッシュレス決済の利用明細や決済代行会社からの入金があった通帳のコピーなどが必要です。たとえば、オンラインファクタリングのOLTAで必要な書類は以下の通りです。
- 売却予定の請求書(請求金額・入金日が確定しているもの)
- 入出金明細(保有する全銀行口座の入出金明細直近7ヶ月分)
- 昨年度の決算書一式(貸借対照表・損益計算書・勘定科目明細)
必要書類はファクタリング会社によって異なるので、事前にしっかりと公式サイトから確認しましょう。
ツケ代金をファクタリングできる?
ツケの代金はファクタリングできません。
多くのファクタリング会社は、法人の売掛債権しか取り扱っていません。個人の債権は回収リスクが高く、採算が合わないからです。
ツケの代金の時効は5年となっています。しっかりと5年以内に、自分で回収するようにしましょう。
業績が悪かったり税金を滞納していたりしても利用できる?
業績が悪い・税金を滞納・赤字といった状況の飲食店でも、ファクタリングは利用できます。
ファクタリングで重要なのは売掛先の信用力です。キャッシュレス決済を取り扱う決済代行会社の信用力は高いので、ほぼ確実に飲食店はファクタリング会社の審査に通ります。不安なら、複数のファクタリング会社に見積もりを取ってもらいましょう。
飲食店でファクタリングを利用して賢く資金調達しよう!
ここ数年でキャッシュレス決済が拡大しており、飲食店でもクレジットカードなどによる売掛債権が発生します。これらの売掛債権は決済期日までに期間があるため、キャッシュフローが悪化して資金繰りに影響します。
しかし、ファクタリングを利用すればリーズナブルな手数料で、キャッシュレス決済による売掛債権のスピーディーな現金化が可能です。「急に予約がキャンセルになった」「支払期日が迫っている」といった場合に、ファクタリングを利用すれば迅速に資金が調達できます。
飲食店でも活用できるファクタリングで、困ったときには上手に資金を調達しましょう。