ファクタリングは売掛債権を売却することで、売掛金の支払期日より前に資金が手に入る調達方法です。
欧米で発祥・発展してきた資金調達方法であり、資金繰り改善に効果があるとされ、近年日本でも使用され始めています。
ここでは、ファクタリングの意味や利用時の注意点について知りたい人向けに、ファクタリングの意味や仕組み、買取型・保証型の特徴、利用時の注意点などについて解説します。
また、ファクタリングの違法性について知りたい人向けに、ファクタリングは違法ではないことを、法的根拠を用いて解説しますので、参照ください。
ファクタリングの意味は売掛債権を売却して資金調達すること
ファクタリングとは、自社が持っている売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金の支払期日より前に資金調達する方法です。
売掛債権とは、自社と取引先の間で商品やサービスの売買契約が成立し、取引先より代金を支払ってもらう権利のことを言います。
ファクタリングは、主に買取型と保証型に分類され、それぞれ使用目的が異なります。
具体的にどのような資金調達方法なのか、次に解説しますので参照ください。
買取型ファクタリング
買取型ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金を得る方法です。
買取型には契約形態によって、以下の2種類に分類されます。
- 2社間ファクタリング|取引先に知られず早期に資金調達可能
- 3社間ファクタリング|手数料が安く審査に通りやすい
それぞれの仕組みやメリット・デメリットについて解説しますので、参照ください。
2社間ファクタリング|取引先に知られず早期に資金調達可能
2社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社で契約されます。売掛債権の売却を、取引先に通知されないことが最大の特徴です。
自社とファクタリング会社の双方で契約内容に同意し、審査に通るとすぐ資金が手に入るため、入金スピードが早いことが魅力と言えます。
2社間のメリット・デメリットについて、以下に詳しく解説します。
2社間のメリット
2社間のメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 即日資金調達が可能
- 取引先にファクタリング利用が通知されない
- 売掛金が未回収になってとしても支払いが発生しない
資金繰りに困り、今すぐ手元に資金が欲しい企業におすすめの利用方法です。
即日資金調達が可能
2社間は、自社とファクタリング会社間で契約が行われるため、スムーズに審査に進めます。
審査に通れば、即資金が入ることから、入金スピードが速く、ファクタリング会社によっては即日で入金される場合もあります。
取引先にファクタリング利用が通知されない
自社・ファクタリング会社間の契約であり、取引先には通知されません。
自社と取引先の信頼関係が構築中である場合や、取引先に知られたくない場合におすすめの資金調達方法と言えます。
売掛金が未回収になったとしても支払いが発生しない
2社間は、償還請求権がないことから、仮に取引先の経営不振で売掛金の支払いがなかったとしても、自社がファクタリング会社に売掛金を支払う必要はありません。
償還請求権とは、売掛金が未回収となった場合に、ファクタリング会社が自社に売掛金の支払い請求ができる権利を言います。
償還請求権があると売掛金が未回収となった場合に、ファクタリング会社から自社へ支払いを請求されてしまいますが、2社間ではありません。
取引先の経営状況の悪化や倒産などにより売掛金が払えない場合でも、自社がファクタリング会社へ支払う必要がないため、安心してファクタリングが利用できます。
2社間のデメリット
デメリットには、以下の3点が挙げられます。
- 手数料が高い
- 審査が厳しい
- 債権譲渡登記を求められることがある
デメリットによっては2社間ファクタリングが利用できない可能性もあるため、しっかり確認しておきましょう。
手数料が高い
2社間は、ファクタリング会社にとって最大の損失である、売掛金の未回収リスクが高いため、手数料が高く設定されています。
手数料の相場は以下の通りです。
- 2社間ファクタリング:10~20%
- 3社間ファクタリング:1~10%
償還請求権がないことから、取引先が売掛金を支払わないと損をするのはファクタリング会社です。
売掛金から手数料が引かれてしまうため、自社としては少しでも抑えたいところでしょう。
売掛債権が複数ある場合は、取引先の知名度が高いところや、経営が安定しているところを選んでファクタリングすると、手数料が抑えられる傾向があります。
手数料の割合は、売掛債権の信頼度(取引先の支払い能力)に応じて異なるからです。
審査が厳しい
2社間の審査が厳しい理由は、以下の3つが考えられます。
- 売掛金の未回収リスクが高い
- 売掛金は取引先から自社を経由してファクタリング会社に支払われる
- 3社間のように取引先の同意を得ていない
ファクタリング会社にとって売掛金の未回収が最大の損失です。
売掛金の未回収を回避するために、取引先の経営状況や資産、売掛債権の取引内容などを調査し、売掛債権の信頼度を厳しく審査します。
知名度の高い企業や、経営が安定している企業の売掛債権は信頼度が高いと言えるため、審査に通りやすいでしょう。
また、売掛金の支払いが自社を経由していることは、ファクタリング会社にとって不安要素のひとつと言えます。
取引先から支払われた売掛金を、自社がファクタリング会社に支払わない可能性が、ゼロとは言い切れないからです。
以上のことから、2社間はファクタリング会社にとってリスクが大きい取引と言えるため、審査が厳しくなります。
債権譲渡登記を求められることがある
売掛債権の二重譲渡を防止するために、債権譲渡登記を求められることがあります。
債権譲渡登記とは「自社が持つ売掛債権は、ファクタリング会社Aに売却しました」と公的に証明できる書類です。
同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却し、不正に資金を得ようとする企業に対し、二重譲渡させないように債権譲渡登記を求めてくるファクタリング会社があります。
債権譲渡登記を発行するためには、登録料や手続きを行う司法書士への報酬など、およそ12万円の費用が発生します。
債権額が少額の場合は厳しい出費になりますが、登記をすることで債権の信頼度が増し、手数料を抑えられる傾向があります。
登記をするかしないか選べる場合は、債権額や登記にかかる費用を比較して、自社にとって利益の出る方を検討しましょう。
3社間ファクタリング|手数料が安く審査に通りやすい
3社間ファクタリングは、自社・ファクタリング会社・取引先の3社で行われる契約を言います。
取引先を交えて契約されることから、売掛債権の信頼度が高く、手数料が安く抑えられるのが特徴です。
また、3社間は取引先がファクタリング会社に直接売掛金を支払うため、自社にとって手間がありません。
以下に、3社間のメリット・デメリットについて解説していますので、参照ください。
3社間のメリット
3社間のメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 手数料が安い
- 審査に通りやすい
- ファクタリング会社の信用度が高い
手数料が安い
3社間は、取引先が関わることで売掛債権の信頼度が高いと判断されることから、手数料が安いです。
2社間の手数料が10〜20%なのに対し、3社間は1〜10%とほぼ半分で利用できます。
ファクタリング会社にとって、売掛金の未回収リスクが低いと判断される売掛債権に対しては、手数料が安く設定されることが多いです。
知名度が高い企業や、国・地方公共団体が委託する企業などの売掛債権は、信頼度が高いものと言えるでしょう。
審査に通りやすい
取引先と直接契約できることから、2社間と比較すると審査に通りやすいです。
2社間で審査に通らなかった売掛債権が、3社間では通る可能性も考えられます。
ファクタリング会社の信用度が高い
3社間を取り扱っているファクタリング会社は、大元が銀行や大手企業である場合が多く、信頼度が高いため、安心してファクタリングが利用できます。
ファクタリング会社の中には、信用に欠ける怪しい対応をするところもあります。
選ぶときは、関連企業や親会社を確認しておくと安心です。
3社間のデメリット
3社間のデメリットは、以下の2つが挙げられます。
- 入金まで時間がかかる
- 取引先との信頼関係が崩れる危険性がある
今後の経営にも関わってくるデメリットもあるため、しっかり抑えておきましょう。
入金まで時間がかかる
契約に取引先が加わることで、書類のやり取りや契約内容の確認などに時間がかかります。
2社間は最短で即日入金が可能なのに対し、3社間は2〜3週間かかる場合があります。
資金調達までの期間にゆとりを持って、3社間を利用しましょう。
取引先との信頼関係が崩れる危険性がある
必然的に取引先にファクタリングの利用を知られることになるため、信頼関係が崩れる危険性があります。
取引先は自社に対して「資金繰りに苦労している会社」「資産がない」など、マイナスのイメージを持たれやすいからです。
長年付き合いがあり、信頼関係が構築できている企業や、大企業・国や地方公共団体など、ファクタリングの利用を通知されても問題ないとされる売掛債権を利用しましょう。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングとは、売掛金が未回収となった場合に、ファクタリング会社から保証金を受け取る方法です。
保証型を利用するには、保証料の支払いが必要であり、売掛債権に保険をかけるイメージで考えましょう。
そのため、売掛債権はファクタリング会社に売却しません。
保証型は、売掛債権に対し審査を行い、保証限度額が設定されます。
例えば、100万円の売掛債権に対し審査を行った結果、保証限度額を70万円と設定されたとします。
売掛金の未回収が確定した場合、70万円がファクタリング会社から自社に入金される流れとなります。
保証型の利用をおすすめするシーンは以下の通りです。
- 取引先の経営状況が心配なとき
- 新しく取引を始めたばかりで信頼度が低いとき
- 売上がひとつの企業に集中しているとき
次に保証型のメリット・デメリットについて解説しますので、参照ください。
保証型のメリット
保証型には、以下の4つのメリットがあります。
- 貸倒れのリスクが回避できる
- 与信審査の手間が省ける
- 信頼度の高いファクタリング会社が利用できる
- 複数の売掛債権が利用できる
貸倒れのリスクが回避できる
売掛金全額は叶いませんが、保証金が入ることで貸し倒れが回避できます。
貸し倒れとは、売掛金が支払われないことで自社が損をすることを言います。
保証型を利用しなければ、売掛金全額が入らないことで大損となりますが、利用すれば売掛金の大半は保証金として入金されるため、大きなメリットと言えるでしょう。
与信審査の手間が省ける
本来自社で行うべき与信審査を、ファクタリング会社が代行してくれることで手間が省けます。
与信審査とは、取引先の支払い能力を調査し、取引しても問題ないか、信頼してもよい企業なのかを見定めることです。
保証型を利用することで、ファクタリング会社が取引先の支払い能力などを調査するため、保証料を支払い、与信審査を外注するイメージと言えます。
取引先が複数あり、自社では与信審査が追いつかない場合に、保証型を利用することもあります。
信頼度の高いファクタリング会社が利用できる
保証型を取り扱っているファクタリング会社は、銀行と取引のある会社が多く、信頼度が高いです。
ファクタリング会社の信頼度が高いため、安心して利用できます。
複数の売掛債権が利用できる
保証型は、売掛債権の売却ではないことから、複数の企業や債権をまとめて申し込むことができます。
与信審査が不十分で、取引先の信頼度が不透明な売掛債権が複数ある場合は、まとめて申し込み可能です。
保証型のデメリット
保証型には、以下の2つのデメリットがあります。
- 保証料がかかり返金されない
- 取引先の信頼度によっては審査が通らない可能性がある
保証料がかかり返金されない
保証型には、売掛債権の信頼度に応じて保証料がかかり、相場は1〜8%です。
わたしたちがかけている生命保険や車の任意保険のような、保険料と捉えましょう。
例えば、100万円の売掛債権で保証型ファクタリングを利用したとすると、保証料は1〜8万円かかることになります。
また、保証料は返金されません。
売掛金の金額が大きければ大きいほど、保証料も高額になってきます。
売掛債権が複数あり、どの取引先も心配だからといって保証型を利用すると、保証料だけでも大きな出費になるでしょう。
複数の取引先に保証型を利用したい場合でも、より経営状況が不安な取引先に限定するのがおすすめです。
取引先の信頼度によっては審査が通らない可能性がある
ファクタリング会社が売掛債権の信頼度を調査した結果、不当と判断された場合は、保証型を利用できない可能性があります。
返済能力が低い、信頼に欠けるような取引先の売掛債権は保証不可とされる確率が高いため、注意しましょう。
また、保証期間内に取引先の業績が悪化した場合は、保証期間の廃止を通知されることもあります。
買取型ファクタリング利用をおすすめする3つのタイミング
買取型ファクタリングの利用をおすすめする以下の3つのタイミングを紹介します。
- 売掛金の入金までにまとまった支払いが必要になったとき
- 起業したばかりで自社に実績がないとき
- 銀行融資に落ちたとき
資金繰りに悩んでいる方は、ファクタリングを利用するタイミングも重要になってきますので、以下を参照ください。
売掛金の入金までにまとまった支払いが必要になったとき
売掛金の支払いは、売買契約締結後1〜2カ月先のことが多いです。
その間に商品やサービスの素材の支払いや、従業員への賞与などでまとまった出費があるにもかかわらず、手元に資金がないときにファクタリングの利用が有効です。
起業したばかりで自社に実績がないとき
ファクタリングと銀行融資の違いについて、以下の表を参照ください。
ファクタリング | 銀行融資 | |
---|---|---|
重視するポイント |
|
|
企業直後の利用 |
|
|
会計処理上の分類 | 売掛金の減少と現金の増加 | 負債 |
ファクタリングと銀行融資は、審査で重要視する視点が異なるため、起業したばかりで資金繰りに悩んでいる方は、ファクタリングの利用がおすすめです。
ただし、取引先に重点を置いて審査が行われると言っても、自社が全く審査されないわけではありません。
ファクタリング会社とのやり取りには誠実な対応を心がけ、書類を不備なく用意するなど、ファクタリング会社に信頼してもらえるように気を付けましょう。
また、ファクタリングは会計処理上、負債にはなりません。
負債が多いと、銀行からはあまりよいイメージは持たれません。
今後融資を検討している場合は、ファクタリングで資金調達しましょう。
銀行融資に落ちたとき
ファクタリングは取引先の返済能力を重視しているため、銀行融資に落ちてしまってもファクタリングは利用できる可能性があります。
銀行融資は自社の返済能力や経営状況を重視しており、審査も厳しいです。
ファクタリングは銀行融資と比べれば、売掛債権の信頼度が高ければ審査に通りやすい傾向があります。
買取型・保証型の利用時の注意点を紹介
買取型・保証型それぞれのファクタリングを利用する際の注意点を紹介します。
買取型ファクタリング
2社間・3社間それぞれを利用するにあたり、以下の3つの注意点に気を付けましょう。
- 債権譲渡禁止と書かれている売掛債権は利用できない
- ファクタリング会社への支払いは一括のみ
- 支払期限を過ぎている売掛債権は利用できない
債権譲渡禁止と書かれている売掛債権は利用できない
取引先と売買契約を結ぶ際、債権譲渡禁止と記載された売掛債権はファクタリングできません。
債権譲渡禁止とは、取引先に対して保有している売掛債権を、第三者に譲渡してはならないという約束のことです。
ファクタリングでは、自社が持っている売掛債権をファクタリング会社に売却(譲渡)することになるため、契約書に譲渡禁止と記載されている売掛債権は利用できないことになります。
ファクタリング会社への支払いは一括のみ
ファクタリング会社に売掛金を支払うときは、一括支払いのみ適応されます。
ファクタリングは貸付ではなく、債権の売却であり売買契約にあたるからです。仮に分割払いにしてしまうと貸付に該当するため、ファクタリング会社が違法行為を行ったとみなされてしまいます。
2社間の場合は取引先から自社へ売掛金が支払われますので、そのままファクタリング会社に送金しましょう。
支払期限を過ぎている売掛債権は利用できない
売掛債権には支払期限が設定されており、期日を過ぎても支払われていない債権は利用できません。
ファクタリングは売掛債権の支払期日より前に資金調達をする方法であり、期日を過ぎた債権は、対象にはならないためです。
支払期限内の売掛債権を利用しましょう。
保証型ファクタリング
売掛債権に保険をかける感覚で利用されることが多い保証型ファクタリングには、2つの注意点があります。
- 本来の売掛金支払い日よりも遅れて支払われる
- 保証開始後に廃止される可能性がある
契約後も注意しておくことがあるため、参照ください。
本来の売掛金支払い日よりも遅れて支払われる
保証型は、売掛金の支払期日を過ぎても入金されないこと、特定の理由により今後支払われる見込みがないことが確定した段階で手続きされます。
そのため、売掛金の支払期日より遅れて保証金が支払われることを承知しておきましょう。
取引先が以下の手続等を開始すると、売掛金の未回収が確定したと判断されます。
- 破産、清算手続が開始されたとき
- 小切手や約束手形が決済できず、支払い不可能と判断されたとき
取引先の動向次第で保証金の入金日が異なります。
売掛金の支払い日より後になることは確実であるため、資金繰りに注意しましょう。
保証開始後に廃止される可能性がある
保証型ファクタリングを締結し、保証期間が開始となった後に、取引先の経営状況が悪化した場合、保証が廃止されてしまう可能性があります。
一度契約したから安心ではなく、取引先の状況に応じて契約が変化していくことを覚えておきましょう。
違法業者によるファクタリングに注意
ファクタリング会社の中には、不当な手数料を提示する、分割払いにして貸付を行おうとする違法業者が紛れています。
ファクタリング自体は法律に則った正当な取引であるため、業者選びが重要です。
以下の項目について、詳しく解説します。
- ファクタリング自体は違法ではない
- 給与ファクタリングは違法の可能性が高い
- 違法業者の3つの特徴
ファクタリングが違法ではない根拠、違法業者とはどのような特徴があるのかが分かりますので、参照ください。
ファクタリング自体は違法ではない
ファクタリングは民法に適用された、正当な取引です。ファクタリングの法的根拠となる法律は以下の3つです。
民法第466条(債権譲渡)
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
引用:第466条|民法|e-Gov法令検索
自社とファクタリング会社が同意していれば、取引先に通知しなくても債権の譲渡が認められていることを示す内容になっています。
民法第467条(債権の譲渡の対抗要件)
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
引用:第467条|民法|e-Gov法令検索
以下の手続きをすることで、効力を発揮するとされています。
- ファクタリング会社が取引先に売掛債権の譲渡を通知する
- 取引先が売掛債権の譲渡を承諾する
これは3社間ファクタリングの契約に取引先が関わり、債権譲渡に同意した上で行われる契約と言えます。
民法第555条(売買契約)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
引用:第555条|民法|e-Gov法令検索
自社とファクタリング会社双方が、売掛債権を売買することに同意していれば成立するという内容です。
以上のことから、ファクタリングは法律に則り行われている取引であり、違法ではないと言えます。
給与ファクタリングは違法の可能性が高い
給与ファクタリングとは、労働者がもらう給与を債権として売却し、給与の支給日より前に、資金調達する方法を言います。
給与ファクタリングが違法の可能性が高い理由は以下の通りです。
- 労働基準法の規定により、給与は労働者本人にのみ支給されること
- ファクタリング会社は本人にのみ支払いを請求するしかないこと
以上のことから、給与ファクタリングは貸金業とみなされるため、ファクタリングとは言い難い取引であるとされています。
貸金業登録していない業者が給与ファクタリングを行うことは違法とされるため、利用は控えましょう。
違法業者の3つの特徴
どのような業者が違法とみなされるのか、以下の3つの特徴について解説しますので参照ください。
- 契約書がない
- 所在地や代表者が不明瞭
- 執拗に契約を薦めてくる
契約書がない
ファクタリングには契約書が必ず存在します。契約書を提示せず、曖昧なまま取引をしようとする業者には注意しましょう。
また契約書の内容に不明点が多い場合や、何度も内容が変更される場合も注意が必要です。
所在地や代表者が不明瞭
ファクタリング会社のホームページに記載されている所在地や代表者が不明瞭な業者は、利用を控えましょう。
ファクタリング会社について調べたい場合は、法人番号公表サイトを活用するのがおすすめです。
会社を設立したときに法人番号が割り振られ、サイト内で検索すると所在地や企業の名称が分かるようになっています。
検索して出てきた情報は、国が認めている内容であるため信頼度が高いです。
気になるファクタリング会社は、検索してみるとよいでしょう。
法人番号公表サイトURL:https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
執拗に契約を薦めてくる
一度譲渡した売掛債権で再び契約しようと持ちかけてくるファクタリング会社は、違法業者である可能性があります。
売掛債権の再利用は貸金業にあたるため、ファクタリングではありません。
貸金業登録をしていないファクタリング会社が行うことは違法行為です。
一度契約した後に、再び譲渡契約を持ちかけられた場合は、対応せず金融庁や警察に相談しましょう。
ファクタリングは近年注目されている新しい資金調達方法
ファクタリングには、売掛債権の売却により売掛金の支払期日より前に資金調達できる買取型と、債権に保険をかける扱いができる保証型があります。
ファクタリングは、法律に則った正当な資金調達方法であり、資金繰り改善に効果的です。
しかし、金融機関のように認可や登録がなくても運営できるファクタリング会社の中には、違法業者も紛れている可能性が高いです。
そのため、違法業者の特徴を理解することで、自社が被害に遭うリスクを回避できます。
ファクタリングの意味や種類、メリット・デメリットを理解して、自社に合ったファクタリングを利用しましょう。