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ファクタリング会計処理方法や仕訳とは|3つの注意点も紹介

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ファクタリングは売掛債権を売却して本来入金される期日よりも前に資金調達する方法で、資金繰りの改善に役立っています。

近年注目されている資金調達方法であり、経理担当者のなかにはファクタリングの会計処理の経験がない方もいるのではないでしょうか。

ここではファクタリングの会計処理方法を、2社間・3社間・保証型の3つのパターンに分けて解説しています。

ファクタリングの会計処理方法について調べている経理担当者向けに、今すぐ会計処理ができるように具体例も記載しているため、参考にしてください。

ファクタリングの勘定科目

ファクタリングの会計処理で使用する勘定科目には次のようなものがあります。

  • 売掛金
  • 未収入金
  • 売掛債権売却損
  • 支払手数料
  • 貸倒損失
  • 雑収入

それぞれの勘定科目の使用方法や意味を解説していきます。

売掛金

売掛金とは、商品やサービスを顧客や販売して売上が発生した際、売上の代金を後から受け取る権利のことです。

仕訳は以下のようになります。

例)取引先に対して商品100万円を販売し、代金の支払いは翌月末払いの掛取引とした

借方 貸方
売掛金 100万円 売上 100万円

売掛金は資産に分類されます。

そのため、ファクタリングは、資産を売却して現金や預金という資産と交換することです。

なお、本業の売上以外の経済活動を原因として発生する債権を「未収入金」といい、本業による売上を原因して発生する債権を「売掛金」といいます。

未収入金

未収入金とは事業者が本業以外の経済活動によって生じた債権のことです。

例えば不動産や有価証券を売却したことによって発生する債権は未収入金です。

ファクタリングにおいては、ファクタリング契約成立後、売却代金が入金になるまでは未収入金によって処理します。

土地を売却した際の仕訳は次のとおりです。

例)会社が所有する有価証券を100万円を売却した。代金は月末入金になる

借方 貸方
未収入金 100万円 有価証券 100万円

例)月末、有価証券を売却した代金が入金になった

借方 貸方
普通預金 100万円 未収入金 100万円

売買契約が成立した際には未収入金を計上し、売却代金が入金になった際には未収入金を取り崩す会計処理をおこないます。

売掛債権売却損

売掛債権売却損は、基本的にファクタリングを利用したときのみに使用する勘定科目です。

ファクタリングを利用する際には、手数料を支払いますが、この手数料を支払った際には「売掛債権売却損」という勘定科目を使用します。

仕訳は以下のとおりです。

例)売掛債権100万円を手数料10%でファクタリング会社へ売却した

借方 貸方
未収入金 90万円
売掛債権売却損 10万円
売掛金 100万円

なお、手形割引を利用する際の手数料は「手形売却損」という勘定科目を使用して経費計上します。

支払手数料

支払手数料とは、取引・サービスなどの利用によって発生する手数料や報酬などを支払った際に発生する勘定科目で、費用に分類されます。

弁護士、公認会計士、税理士等の外部の専門家に支払う報酬と ②金融機関に支払う振込、送金等の手数料を合わせて支払手数料といいます。
引用:関東信越税理士会|支払手数料

仕訳は次のようになります。

例)金融機関へ送金手数料1万円を支払った

借方 貸方
支払手数料 1万円 普通預金 1万円

ファクタリングにおいて「支払手数料」という勘定科目が登場するのは「保証ファクタリング」の場面です。

保証ファクタリングでは手数料を支払って、売掛債権が万が一貸し倒れた際に代金の多くをファクタリング会社が補填してくれます。

契約の際にはファクタリング会社へ料金を支払う必要がありますが、この際には「支払手数料」という勘定科目を使用します。

貸倒損失

貸倒損失とは、売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できずに発生する損失のことです。

貸倒損失が発生すると、損益計算書で損失として計上されます。

営業に関する債権である売掛金が貸し倒れた場合には「販売費及び一般管理費」として損益計算書に計上され、営業外に関する債権が貸し倒れた場合には「営業外損失」として会計処理されます。

取引先の倒産や資金ショートなどが貸倒損失が発生する原因です。

例)売掛先企業が倒産し、売掛金100万円が貸し倒れた

借方 貸方
貸倒損失 100万円 売掛金 100万円

ファクタリングを利用すると、利用者側は「貸倒損失」という勘定科目を使用する機会はなくなります。

ファクタリングは償還請求権なし(ノンリコース)でおこなわれるためです。

そのため、ファクタリング後に売掛債権が回収不能になってしまっても、ファクタリング利用者には何も損失は発生しません。

ファクタリングを利用することによって売掛債権の未回収リスクを排除できる点は非常に大きなメリットです。

なお「償還請求権あり(ウィズリコース)」のファクタリングは実質的な貸付で、業者は闇金の可能性が非常に高いので、絶対に利用しないでください

雑収入

雑収入とは本業の売上高以外の収益です。

企業にとっては次のような細かな収入が該当します。

  • 受取家賃
  • 副産物の売却代金
  • 駐車場賃貸収入
  • 自動販売機の設置手数料収入等

仕訳は以下のとおりです。

例)会社前に設置している自動販売機の設置手数料5万円が入金になった

借方 貸方
普通預金 5万円 雑収入 5万円

ファクタリングにおいては、保証ファクタリングを利用している売掛債権が入金にならず、保証会社から保証金が入金になったときに「雑収入」として、収益として計上します。

通常の買取ファクタリングでは「雑収入」の勘定科目を使用することはありません

ファクタリングは種類によって会計処理方法が異なる

ファクタリングは買取型(2社間・3社間)保証型の2種類に分かれており、それぞれ会計処理方法が異なります。

ファクタリングの仕組みについておさらいしておきましょう。

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を売却する方法です。

売掛債権は期日になるまで入金にならない資産です。

例えば入金期日が3月31日の売掛債権は2月1日時点では2ヶ月先まで入金にはなりません。

しかし2月1日にファクタリングを利用して即日入金を受けられれば、2ヶ月早く売掛債権の代金を手にできます。

買取型ファクタリングは将来の一定期日でないと入金にならない資産を売却し、期日前に早期資金化する資金調達方法です。

また、買取型ファクタリングには、2社間と3社間があります。

  • 2社間:自社とファクタリング会社の2社で交わされるファクタリング契約のこと。取引先にファクタリングの利用が通知されないのが最大の特徴。手数料が高い傾向がある
  • 3社間:自社・ファクタリング会社・取引先の3社で行われるファクタリングのこと。取引先が介入することで売掛債権の信頼度が高く、手数料が抑えられるのが特徴

一般的に「ファクタリング」と言われるものは、買取型ファクタリングです。

保証型ファクタリング

売掛債権の未回収リスクを回避することを目的としたファクタリングです。

取引先の経営悪化や倒産などで売掛金の支払期日までに入金が確認できなかった場合に、ファクタリング会社から保証金が支払われます。

そのため、保証型ファクタリングは資金調達方法ではありません

取引先の経営状況が明らかに悪い場合などは、審査に通らない可能性があるため注意しましょう。

2社間ファクタリングの会計処理方法

具体的な数字を用いて、2社間の会計処理方法の記入例を紹介します。以下の段階に応じてそれぞれ記入例を提示しますので、参照ください。

  1. ファクタリング契約時
  2. ファクタリング会社から売掛金が入金された後
  3. 取引先から自社へ売掛金が支払われた後
  4. ファクタリング会社へ支払い後
  5. ファクタリング契約と入金が同日だった場合の記入例

例:売掛債権の金額が500万円、手数料が10%のファクタリング会社で契約した場合の流れを説明します。

ファクタリング契約時

ファクタリングを契約したときの仕訳方法は以下のようになります。

借方 貸方
未収入金 500万円 売掛金 500万円

ファクタリング契約時は、売掛債権を売却した段階であり資金が手元に入っていないため、勘定科目は「未収入金で仕訳しましょう。

未収入金は、売却した売掛金が後日入金される場合に用いる勘定科目です。

ファクタリング会社から売掛金が入金された後

ファクタリング会社から入金されるのは、売掛金から手数料を引いた金額です。

手数料は「売掛債権売却損」の勘定科目で仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 450万円 未収入金 500万円
売掛債権売却損 50万円

取引先から自社へ売掛金が支払われた後

2社間は取引先にファクタリングの利用が通知されないため、通常通り売掛金の支払い期日に取引先から自社に入金されます。

取引先から入金が確認されたら「預り金」の勘定科目で仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 500万円 預り金 500万円

ファクタリング会社へ支払い後

取引先から売掛金が入金されたら、自社はファクタリング会社に支払いをします。

ファクタリング会社へ支払いが完了後、以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
預り金 500万円 現金 500万円

ファクタリング契約と入金が同日だった場合の記入例

2社間はファクタリング契約が締結した当日中に入金される場合があります。

即日入金だった場合は、以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
普通預金 450万円 売掛金 500万円
売掛債権売却損 50万円

ファクタリング契約時とファクタリング会社から入金された時の仕訳を同時に行えるため、未収入金は使用せず、普通預金と売掛債権売却損で仕訳しましょう。

3社間ファクタリングの会計処理方法

3社間はファクタリング会社への売掛金の支払いを、取引先が直接行うため、自社が会計処理を行うタイミングは以下の通りになります。

  • ファクタリング契約時
  • ファクタリング会社から売掛金が入金された後

ここでも500万円の売掛債権、手数料10%のファクタリング会社を利用した場合の会計処理方法を解説します。

ファクタリング契約時

ファクタリング契約を締結してから入金されるまでの間は、以下の通りに仕訳しましょう。

借方 貸方
未収入金 500万円 売掛金 500万円

ファクタリング会社から入金されるまでは「未収入金」で会計処理をします。

ファクタリング会社から売掛金が入金された後

入金が確認できた後は、手数料の勘定科目を「売掛債権売却損」として処理します。

借方 貸方
普通預金 500万円 未収入金 500万円
売掛債権売却損 50万円

ファクタリング契約と入金のタイミングが同時だった場合は、2社間のときと同様の処理をしましょう。

保証型ファクタリングの会計処理方法

保証型ファクタリングの場合は、売掛金の回収が不可能と確定した場合のみ、会計処理が発生します。

また保証料を支払ってファクタリング契約を行うため、会計処理は以下のタイミングで行いましょう。

  • 保証料を支払ったとき
  • 売掛金の回収ができないと確定したとき

例として、保証料50万円を支払って売掛金500万円の保証型ファクタリングを行った場合の会計処理方法を解説します。

保証料を支払ったとき

保証料50万円を支払ったときの仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
支払手数料 50万円 普通預金 50万円

通常通り、売掛金の期日までに取引先から入金されれば通常通りの会計処理を行いましょう。

売掛金の回収ができないと確定したとき

取引先の経営不振や倒産などにより売掛金の支払期日までに入金が確認されず、未回収が確定した場合は、ファクタリング会社から保証金が支払われます。

入金が確認できたら、以下のように会計処理しましょう。

借方 貸方
貸倒損失 500万円 売掛債権 500万円
普通預金 500万円 雑収入 500万円

ファクタリング会社から受け取った保証金は「雑収入」の勘定科目で仕訳されます。

ファクタリング会計処理における仕訳や勘定科目とは

ファクタリングを利用したときの会計処理時の仕訳や、勘定科目の使い方について以下の項目に分けて解説します。

  • 仕訳は会計書類を作成するための重要な作業
  • 勘定科目とは金銭の流れを示すための見出し

仕訳や勘定科目がなぜ必要なのかを理解することで、会計処理がスムーズに行えるため、参照ください。

仕訳は会計書類を作成するための重要な作業

商品やサービスの売買、経費が発生したときなど、金銭が動くたびに勘定項目と金額を帳簿に記入していく作業を「仕訳」と言います。

仕訳は確定申告書や決算書を作成するのに使われたり、銀行融資の審査基準に使われたりします。

自社の経営状況を把握する資料にもなるため、日々金銭が動いたときはその都度記録しておかなければなりません。

記録方法の誤りや見落としがあった場合は、確定申告が行えない可能性や、経営状況が不透明になってしまうなどの不具合が発生するため、仕訳は確実に行いましょう。

仕訳は「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に分けて記入する決まりがあり、何が増えて何が減ったのか、両方を記録しておかなければなりません。

例えば、社内で使用するコピー用紙を500円で購入した場合の仕訳方法は以下のようになります。

借方 貸方 用途
消耗品 500円 現金 500円 コピー用

現金500円が減り、コピー用紙が増えたことを意味しています。

仕訳は、勘定科目に沿ってそれぞれ分類してから作業するのが基本です。以下に勘定科目について詳しく解説します。

勘定科目とは金銭の流れを示すための見出し

勘定科目は「何に」「どれくらいのお金を使ったか」を項目ごとに分類した見出しを言います。

家計簿でいえば収入は「給料」や「児童手当」、支出は「食費」「光熱費」「娯楽費」などに分類して記入することが多いでしょう。「食費」や「光熱費」が勘定科目です。

勘定科目は以下の5つに分類され、どれかに該当します。

  • 資産:現金や売ればお金になるもの。証券や土地などが該当する
  • 債権:買掛金や借入金などの自社が持つ借金
  • 純資産:資産から債権を引いたもの。資本金、利益準備金などが該当する
  • 収益:売上のこと。受取利息や受取利息が該当する
  • 費用:商品やサービスを開発、販売するための費用のこと。売上原価や販売費などが該当する

例えば資産が増えれば借方へ、減れば貸方へ仕訳するという決まりがあります。上記の勘定項目の増減に応じて貸方・借方のどちらに仕訳を行うのか、以下の表を参照ください。

勘定項目 借方 貸方
資産 増加 減少
債権 減少 増加
純資産 減少 増加
収益 減少 増加
費用 増加 減少

会計処理をするときは、どの勘定科目に当てはまるのか、増加・減少したのは何かを考えましょう。

ファクタリング会計処理と通常の違いは手数料の仕訳の有無

ファクタリングと通常の会計処理方法は、手数料が発生するかしないかで異なります。

以下の2つについて解説し、ファクタリングと通常の会計処理方法の違いをご覧ください。

  • 通常の会計処理方法
  • ファクタリングの会計処理との違いは手数料の仕訳があるかどうか

通常の会計処理方法

取引先との売買契約が成立し、売掛金が発生した段階で行う会計処理方法は以下になります。

例として売掛金が500万円だったとして処理してみましょう。

売掛金が発生したタイミングで以下のように会計処理を行います。

借方 貸方
売掛金 500万円 売上 500万円

次に売掛金の支払期限までに、取引先から支払いが確認されたら以下のように処理しましょう。

借方 貸方
普通預金 500万円 売掛金 500万円

自社の商品やサービスを取引先に売り、後日その代金を支払うという流れとなるため、金額はどちらも同額になります。

ファクタリングの会計処理との違いは手数料の仕訳があるかどうか

通常は売上と普通預金が同額であるのに対し、ファクタリングを利用した場合の会計処理は手数料の仕訳が必要になるところが大きな違いです。

ファクタリングにも2社間・3社間・保証型と種類によって会計処理が異なるため、自社がどのファクタリングを利用しているかを確認しておきましょう。

ファクタリングの会計処理を行うときの3つの注意点

以下の3つの点に注意して、ファクタリングの会計処理を行いましょう。

  • ファクタリングには消費税がかからない
  • 手数料の勘定科目は売掛債権売却損で処理する
  • 会計処理期間をまたぐ場合は税金がかかる

ファクタリングは消費税が原則的にかかりませんが、会計処理の期間によっては消費税がかかる点に注意が必要です。

また、手数料は「売掛債権売却損」というファクタリング利用時にしか使わない勘定科目を使用する点に注意しましょう。

ファクタリングの会計処理の3つの注意点について詳しく解説していきます。

ファクタリングには消費税がかからない

会計処理を行う際は消費税についても考えなければなりませんが、ファクタリングは消費税がかかりません

ただし、債権譲渡登記に関しては作成する司法書士への報酬に消費税がかかるため覚えておきましょう。

債権譲渡登記とは、二重譲渡を予防するために売掛債権がファクタリング会社に譲渡されたことを公的に証明する書類のことです。

手数料の勘定科目は売掛債権売却損で処理する

ファクタリングは売掛金から手数料が引かれるため、損をしたことになります。

勘定科目を「売掛債権売却損」にして仕訳しましょう。

会計ソフトによって「売掛債権売却損」の勘定科目がない場合は「雑損失」や「債券割引料」などの項目でも代用可能です。

また「売掛債権売却損」ではなく「売上債権売却損」となっているソフトもありますが、どちらを使用しても問題ありません。

会計処理期間をまたぐ場合は税金がかかる

会計処理は一定の期間を設けて行われており、ファクタリング契約から入金までの間に次の会計処理期間へ入ってしまう場合は、税金がかけられます。

売掛金の金額に法人税や消費税を納めなければなりません。

万一会計期間をまたぐ可能性がある場合は、ファクタリング利用のタイミングを検討したり、契約後即日入金される2社間を利用するなどの工夫が必要です。

ファクタリングのメリット

ファクタリングには次のようなメリットがあります。

  • 売掛先企業の信用で資金調達できる
  • 最短即日で資金調達できる
  • 売掛債権の回収リスクを排除できる
  • 借入金ではないので負債が増えない
  • 2社間ファクタリングは売掛先に秘密にできる
  • 3社間ファクタリングは回収事務をアウトソーシングできる

ファクタリングの6つのメリットについて詳しく解説していきます。

売掛先企業の信用で資金調達できる

ファクタリングは売掛先企業の信用によって資金調達できる点が大きなメリットです。

ファクタリング会社にとっては「売掛債権が期日通りに回収できるかどうか」が非常に重要になるので、売掛先企業に支払能力があるかどうかが審査における最大のポイントです。

そのため、優良な企業に対する売掛債権であれば、利用者の業況や資金繰りに問題があっても審査に通過できる可能性が高いでしょう。

銀行やビジネスローンの審査に落ちた企業でも資金調達できることがあります。

具体的には次のような売掛債権は審査に通過しやすくなります。

  • 上場企業に対する売掛債権
  • 優良企業に対する売掛債権
  • 取引歴が長い企業に対する売掛債権
  • 官公庁に対する売掛債権

一般論として、期日通りに入金される可能性が最も高いと思われる売掛債権を売却することで審査に通過しやすくなります。

赤字や債務超過で融資審査に通過できない企業でも資金調達できる可能性がある点は、ファクタリングのメリットです。

最短即日で資金調達できる

2社間ファクタリングは最短即日で資金調達が可能です。

オンライン完結型のファクタリング会社の中には1時間以内で資金調達できる業者も多いので、急いで資金が必要な場合もファクタリングは活用できます。

銀行融資では2週間〜3週間、日本政策金融公庫では1ヶ月以上、申込から融資までの時間がかかります

ファクタリングであれば、最短即日で資金調達できるので、緊急でお金が必要な際に、とりあえずファクタリングで資金調達しておき、融資が降りてくるまでのつなぎ資金として活用できます。

なお3社間ファクタリングは申込から融資までに1週間程度の時間がかかってしまう点に注意しましょう。

売掛債権の回収リスクを排除できる

ファクタリングを利用することで売掛債権の回収リスクを排除できる点もメリットです。

ファクタリングは償還請求権なし(ノンリコース)で実施されるのが基本です。

そのため、もしも売掛債権が未回収になった場合、その損失はファクタリング会社が負ってくれます。

売掛債権には未回収のリスクがつきもので、そのために貸倒引当金を計上する必要があります。

また、突然大きな売掛債権が回収不能になったしまった場合は、連鎖倒産に陥ってしまうケースも少なくありません。

しかしファクタリングを利用すれば万が一の場合に利用者が損失を被る心配がないので安心して利用できます。

手形割引は償還請求権ありで実施されるので、もしも割り引いた手形が不渡りになった場合には、利用者が補填しなければなりません。

そのため、ファクタリングが償還請求権なしで実施されるということは手形割引と比較しても大きなメリットです。

借入金ではないので負債が増えない

ファクタリングは借入ではありません。

売掛債権という資産を現金という資産と交換しているだけです。

そのため、借入金を利用したときのように負債が増えるわけではありません。

例えば、売掛債権を100万円、資本金を100万円保有している企業の貸借対照表は次のようになっています。

資産 負債・資本金
売掛金 100万円 資本金 100万円
合計100万円 合計 100万円

この企業が100万円を借入金によって資金調達した場合、貸借対照表は次のようになります。

資産 負債・資本金
普通預金 100万円
売掛金 100万円
負債 100万円
資本金 100万円
合計 200万円 合計 200万円

借入金によって資金調達したことで、負債が増えて、その分貸借対照表の累計額も大きくなります。

一方、手数料10%で売掛債権をファクタリングによって売却した場合の貸借対照表は次のようになります。

資産 負債・資本金
普通預金 90万円 資本金 90万円
合計 90万円 合計 90万円

手数料は発生するものの、ファクタリングでは負債は計上されませんし、貸借対照表も大きくなりません。

負債が増えなければ自己資本比率などの各種指標が低下することはありませんし、貸借対照表が大きくなることもありません。

ファクタリングは外部からの評価を下落させない資金調達方法として有効です。

2社間ファクタリングは売掛先に秘密にできる

2社間ファクタリングを利用すれば売掛先企業に秘密で資金調達ができます。

2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の2者だけで契約するので、売掛先企業の同意は必要ありません。

そのためファクタリングを利用したことを売掛先企業が知ることもありません。

取引先にファクタリングを利用したことを知られると「資金繰りがくるしいのかもしれない」などとネガティブに判断され、今後の取引継続に悪影響する可能性があります。

2社間ファクタリングであれば、外部から資金調達したことも、売掛債権を売却したことも取引先に知られずに資金調達できる点は大きなメリットです。

3社間ファクタリングは回収事務をアウトソーシングできる

3社間ファクタリングを利用することで、売掛債権の回収事務をアウトソーシングできる点も大きなメリットです。

3社間ファクタリングは売掛先企業が直接ファクタリング会社へ代金を支払います

そのため、売掛債権回収にかかわる次のような業務から解放されます。

  • 売掛金の入金管理
  • 入金後の督促
  • 支払いに遅れた場合の督促

取引先の数が多くなれば、これらの業務は大幅な事務コストになりますが、3社間ファクタリングの場合は回収事務をアウトソーシングできるので、これらのコストから解放されます。

ファクタリングの利用によって空いたリソースを他の分野へ傾ければ、収益力の向上に繋がります。

業務内容の簡素化や効率化を検討している企業には3社間ファクタリングがおすすめです。

ファクタリングの3つの注意点

ファクタリングは最短即日で資金調達できるなどのメリットがありすが、デメリットも多いので、しっかりとデメリットを理解して上で活用してください。

ファクタリングの注意点やデメリットは次のとおりです。

  • 手数料が高い
  • 少額しか調達できない
  • 悪徳業者・違法業者に注意

高コストになる上に調達可能額が少額です。

また、業者選びには十分な注意が必要になります。

ファクタリングの3つの注意点について詳しく解説していきます。

手数料が高い

ファクタリングは手数料が高額であるという点には十二分に注意しなければなりません。

ファクタリングの手数料相場は次のとおりです。

この手数料を見たときに「融資とそれほど変わらない」と感じた方も多いのではないでしょうか?

確かに利率だけを比べたら融資と大きくは変わりませんが、ファクタリングの手数料は年利ではないという点に注意しなければなりません。

1ヶ月先に入金期日になる売掛債権を売却しても、上記の手数料が発生します。

つまり、たった1ヶ月間お金を借りるだけで最大20%もの手数料が発生するのです。

1ヶ月先が入金期日の売掛債権を手数料20%で売却した場合、20%×12ヶ月=240%ですので、年利に換算すると240%もの超高金利です。

銀行や日本政策金融公庫の融資金利が年利2%前後ですので、ファクタリングは融資の100倍ものコストということになります。

実際に毎月手数料20%でファクタリングを利用したら、手数料だけで調達金額の240%(2.4倍)ものコストを負担しなければなりません。

ファクタリングは融資と比較して資金調達コストが圧倒的に高くなるので、ファクタリングの利用は必要最小限にとどめるようにしましょう。

少額しか調達できない

ファクタリングで調達できる金額は限られている点に注意が必要です。

ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達する行為です。

したがって売掛債権の金額が調達限度額となり、月商を超えるような高額の資金調達はできません。

1つの取引先に対する1ヶ月分の売上程度しか資金調達できないと理解しておきましょう。

銀行融資であれば月商数ヶ月分の運転資金を借りられますし、設備資金の場合には年商を超えるような高額借入も可能です。

ファクタリングは少額の資金を緊急で調達する手段としか活用できない点に注意してください。

悪徳業者・違法業者に注意

ファクタリングを利用する際には、とにかく業者選びに注意が必要です。

ファクタリング業を営むためには免許、許可、登録などは一切不要です。

どんな業者でもホームページ1つで簡単にファクタリング業者を立ち上げられます。

そのため、ファクタリング業者の中には次のような悪徳業者・違法業者が存在します。

・法外な手数料を設定する業者

ファクタリングの手数料には法律によって上限が決められているわけではないので、相場よりも圧倒的に高い手数料を設定する業者が存在します。

金融庁はこれらの業者を「闇金」と断じています。

ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額である
といったケースは、偽装ファクタリングの疑いがありますので、ヤミ金融を利用しないよう、十分注意してください。
引用:金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起

・実質的な貸付をおこなう業者

また、償還請求権あり(ウィズリコース)や、買戻特約付きのファクタリングは実質的な貸付行為であるとして、そのような業者は闇金であると断じています。

済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
例えば、譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、
○ 売主が債権を買い戻すこととされている
○ 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
などといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
引用:金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起

手数料が20%を超えるようなファクタリング、償還請求権あり(ウィズリコース)のファクタリングは闇金だと判断し、絶対に取引をしないようにしてください。

預かり金の会計処理が不要な3社間契約のおすすめ業者5選

3社間ファクリングでは、売掛先企業が直接ファクタリング会社へ代金を支払うので「預かり金」を計上する会計書類が必要ありません。

また、会計処理だけでなく、回収作業む不要なので回収事務のアウトソーシング化が可能です。

3社間ファクタリングを取り扱っているおすすめ業者は次の5社です。

  • ベストファクター
  • ビートレーディング
  • トップマネジメント
  • アクセルファクター
  • GMO BtoB 早払い

これらの業者で3社間ファクタリングを契約すれば、回収事務が楽になり、会計処理も少なくなります。

3社間ファクタリングを取り扱うおすすめの業者をご紹介していきます。

ベストファクター

ベストファクター

取り扱いファクタリング 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
買取可能額 下限上限なし
手数料 2%〜
契約方法 対面

ベストファクターは2社間ファクタリングのほか、3社間ファクタリングの取り扱いをおこなっています。

ベストファクターの特徴は顧客と面談を実施し、決算書や確定申告書などの数字では判断できない部分を審査に活用するという点です。

決算書は赤字や債務超過であっても、経営者としての資質やビジョンは優れていたり、人柄が素晴らしい人は多数存在します

非対面型のファクタリングの場合は、このような経営者の人間性が審査で加味されず「赤字だから」「債務超過だから」と、数字だけ見て審査に落とされてしまうケースも少なくありません。

ベストファクターでは他社では審査に通過できなかった方も審査に通過できる可能性がありますし、他社よりも低い手数料でファクタリングを利用できる可能性があります。

また、ベストファクターは審査の際に財務コンサルティングを実施しています。

2社間ファクタリングも3社間ファクタリングの資金繰りを本質的に改善させたい場合にはベストファターへ相談することで、財務状況の問題点などを洗い出すことが可能です。

なお、ベストファクターと契約するには面談が必須となっています。

東京新宿のオフィスまでの訪問が難しい場合には、ベストファクターの担当者による訪問も実施しているので気軽に相談しましょう。

ビートレーディング

ビートレーディング

取り扱いファクタリング 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
買取可能額 下限上限なし
手数料 2社間ファクタリング:4%~12%
3社間ファクタリング:2%~9%
契約方法 対面・オンライン

ビートレーディングは店舗型のファクタリング会社として、トップクラスの実績と信頼のある業者です。

累計で5.8万社以上の取引実績があり、1,300億円を超える買取実績があります。

審査の際には財務コンサルティングをおこなってくれるので、短期的な資金繰りだけでなく本質的な資金繰り改善を希望する方におすすめです。

信頼で実績が非常に豊富な会社ですので、3社間ファクタリングで契約する売掛先企業も安心して契約できるでしょう。

東京・仙台・名古屋・大阪・福岡の全国5ヶ所に店舗を構える全国規模の優良業者です。

店頭だけでなく、オンライン完結契約も実施しているので、日本全国の事業者が利用できます。

顧客から預かった情報はSalesforceで保管し、オンライン契約は弁護士ドットコム監修のクラウドサインでおこなうので、情報管理も徹底しており安心です。

トップマネジメント

トップマネジメント

取り扱いファクタリング 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
買取可能額 下限上限なし
手数料 2社間ファクタリング:3.5%~12.5%
3社間ファクタリング:0.5%~3.5%
注文書ファクタリング:3.5%~12.5%
ゼロファク:3.5%~12.5%
電ふぁく:1.8%~8.0%
契約方法 対面・オンライン

トップマネジメントはファクタリングの専門会社として創業15年以上、累計取引社数5.5万社超と非常に実績のある会社です。

怪しい業者も多い中で、トップマネジメントは東京商工会議所の会員でもあるので、地域からも一定程度信頼されている優良企業であることがわかります。

実績豊富で地域からの信頼も厚い業者ですので、3社間ファクタリングで契約する売掛先企業も安心でしょう。

また、トップマネジメントは取り扱っているファクタリングの種類が豊富です。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングだけでなく、補助金申請と同時にファクタリングを実施するゼロファクや、IT広告業界専門のペイブリッジなど、さまざまなサービスを取り扱っています。

2社間でも3社間でも豊富な実績と高い専門性で、安心して利用できる優良なファクタリング会社だといえます。

アクセルファクター

アクセルファクター

取り扱いファクタリング 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
買取可能額 下限上限なし
手数料 2社間ファクタリング:3%〜10%
3社間ファクタリング:1%〜8%
契約方法 対面・オンライン

アクセルファクターは国が中小企業支援について高い専門性と豊富な経験があると認めた専門家しか認定されない認定経営革新等支援機関です。

国が認定している業者ですので高い専門性があることに加え、取引することについて安心できる業者であるといえるでしょう。

自社だけでなく売掛先企業にとっても安心できる業者であるため、3社間ファクタリングの契約も円滑に進められます。

また、アクセルファクターは店舗型のファクタリング会社でありながら手数料が低い点もメリットです。

3社間ファクタリングであれば1%で利用できる場合もあるので、コストを抑えて取引したい方におすすめです。

国が認定している高い専門性を有する業者と取引したい方はアクセルファクターの利用を検討しましょう。

GMO BtoB 早払い

GMO BtoB 早払い

取り扱いファクタリング 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
注文書ファクタリング
買取可能額 100万円〜1億円
手数料 ・請求書ファクタリング
スポットタイプ:1.5%〜10.0%
継続タイプ:1.0%〜10.0%
・注文書ファクタリング
スポットタイプ:2.5%〜12.0%
継続タイプ:2.0%〜12.0%
契約方法 対面・オンライン

GMO BtoB 早払いは、東証プライム上場企業で、GMOグループのGMOペイメントゲートウェイ株式会社が運営するファクタリングサービスです。

GMOグループというだけで安心感があるので、3社間ファクタリングを利用しても売掛先企業は安心して契約してもらえるでしょう。

また、手数料も低めに設定されており、継続的に利用することが前提の継続タイプを利用する場合には、1%の非常に低い手数料で利用できる場合があります。

申し込みをおこなうと、最初から最後まで選任の担当者がつくので、申込から入金までの間に担当者が変わることはありません。

この点は利用者だけでなく売掛先企業にとっても安心でしょう。

運営会社の安全性や知名度を重視たい方にはGMO BtoB 早払いがおすすめです。

ファクタリングの会計処理に関するよくある質問

ファクタリングの会計処理についてよくある質問は次のとおりです。

  • ファクタリングは負債になりませんか?
  • ファクタリングの手数料の勘定科目はなんですか?
  • ファクタリング業な何業に分類されますか?
  • 返金があった時の会計処理は何ですか?
  • ファクタリングが非課税売上になる理由を教えてください

ファクタリングは負債になりませんか?

ファクタリングは負債にはなりません。

売掛債権という資産と、現金預金という資産を交換するだけの会計処理となります。

会計的には不動産を売却して現金化することと同じですので、利用しても負債が増えることはありませんし、貸借対照表に計上されることもありません。

ファクタリングの手数料の勘定科目はなんですか?

ファクタリングの手数料の勘定科目は「売掛債権売却損」です。

会計ソフトによって売上債権売却損となっていることや、これらの勘定科目がない場合もあります。

その場合は「雑損失」や「債券割引料」などの勘定科目を使用しましょう。

ファクタリング業な何業に分類されますか?

ファクタリング業は債権買取会社に分類されます。

債権買取会社として有名なのは、不良債権を買い取って処理をするサービサーです。

正常な売掛債権を買い取るファクタリング業も、分類上はサービサーと同じ債権買取業に該当します。

返金があった時の会計処理は何ですか?

保証ファクタリングを利用中に、該当する売掛先企業が支払不能になった場合、ファクタリング会社から保証金が支払われます。

保証金は「雑収入」として会計処理をおこないます。

通常の営業活動による収入ではないので、「売上」と分けるために「雑収入」という勘定科目を使用する点に注意しましょう。

ファクタリングが非課税売上になる理由を教えてください

ファクタリングを利用しても消費税は発生しません。

これを非課税売上といいます。

ファクタリングは国税庁が定める非課税売上の1つである「有価証券の譲渡」に該当すると考えられているためです。

さらに、手数料についても国税庁が非課税と定める「預金や貸付金の利子など」に該当すると考えられるのでファクタリングの手数料にも税金はかかりません。

手数料を要求するファクタリング業者は違法業者である可能性が非常に高いので、絶対に取引しないでください。

ファクタリング会計処理方法の基本を理解すれば難しくない

ファクタリングの会計処理は、通常と比べ手数料が発生する分処理方法が特殊になっています。

会計処理のポイントは以下の通りです。

  • 通常の会計処理との違いは、手数料が発生するところ
  • 利用するファクタリングによって会計処理するタイミングが異なる
  • 手数料は「売掛債権売却損」の勘定科目で処理する
  • 会計期間をまたぐ場合は税金がかけられるため注意が必要

ここで記載しているファクタリングの会計処理を覚えておけば難しいことではないため、処理するタイミングや使用する勘定項目を理解して、適切な会計処理を行いましょう。

また、3社間ファクタリングを利用することで、日常的な売掛債権の回収事務や会計処理の効率化を図れます。

ファクタリングを上手に活用し、自社の事務コストの削減も検討するとよいでしょう。

注文書ファクタリング会社 - BESTPAY

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