売掛先が倒産したら、その代金はどうなるのか。取引先が増えるほど、この不安は大きくなります。保証型ファクタリングという言葉は見つけたものの、資金調達のファクタリングと何が違うのか、自社でも使えるのかが分からない。そんな方が多いと思います。
保証型ファクタリングは、売掛先が倒産して代金を回収できなくなったときに、保証会社が代わりに支払う仕組みです。契約しても現金は入りません。
この記事を読むと、保証料の実際の金額、13社それぞれの利用条件、保証金が支払われないケースがわかります。各社の公式情報と、国土交通省の制度資料をもとにまとめました。
先に結論
| 1 | 保証型ファクタリングは資金調達ではありません。契約しても現金は1円も入りません |
| 2 | 銀行系は原則5〜10社以上をまとめて申し込む商品です。1社だけの保証は基本的に受けられません |
| 3 | 保証料の「1〜8%」は年率です。90日の保証なら、実際の負担は債権額の1.5%前後になります |
保証型ファクタリングを検討すべきか、先に確認する
保証型ファクタリングで解決する問題と、解決しない問題があります。下の4つから、自社に近いものを選んでください。
| いま起きていること | 向いている手段 | この記事で読む場所 |
|---|---|---|
| A売掛先が倒産しそうで、代金が飛ぶのが怖い | 保証型ファクタリング | 保証料はいくらか →13社の比較 |
| B売掛先に問題はないが、入金までが長く手元資金が足りない | 保証では解決しません | 買取型との違い |
| C新しい取引先と取引を始めたいが、信用を判断できない | 与信管理つきの保証 | 13社の比較 |
| Dすでに支払いが遅れている売掛金がある | 保証では間に合わない可能性 | 保証金が支払われないケース |
BとDに当てはまる場合、保証型を契約しても状況は変わりません。保証は代金を回収できなくなったときに支払われる仕組みで、入金を早める働きがないためです。
保証型ファクタリングとは|買取型との違い
保証型ファクタリングは、貸し倒れに備える仕組みです。利用者が保証料を払い、保証会社が売掛先を審査して、1社ごとに保証限度額を決めます。売掛先が倒産して代金を回収できなくなったとき、その限度額の範囲で保証金が支払われます。
| 利用者(自社) | 保証会社 | 売掛先 |
|---|---|---|
| 保証を申し込む | 売掛先を審査し、保証限度額と保証料率を提示 | 審査されるが、申込の事実は通知されない |
| 保証料を払う | 保証契約を結ぶ | 通常どおり取引が続く |
| 保証金を受け取る | 限度額の範囲で支払う | 倒産などで支払えなくなる |
保証を契約しても、入金は1日も早くなりません。売掛金はこれまでどおりの期日に入ってきます。保証料を払う分、手元の現金はむしろ減ります。
買取型ファクタリングとの違い
| 比べる点 | 保証型 | 買取型 |
|---|---|---|
| 目的 | 貸し倒れへの備え | 資金調達 |
| 契約した時点で入る現金 | なし | 売掛金から手数料を引いた額 |
| 費用 | 保証料(保証金額×保証日数×年率など) | 買取手数料(買取時に1回) |
| お金が出る条件 | 売掛先の倒産など | 契約が成立したとき |
| 使うタイミング | 取引を始める前・継続中 | 資金が必要になったとき |
| 売掛先への通知 | 原則なし(保証金の支払い時を除く) | 2社間ファクタリングなら不要 |
資金が足りないという問題に、保証型は効きません。代金を回収できないのが怖いという問題に、買取型は答えになりません。自社の問題がどちらなのかを先に決めると、選ぶ商品が決まります。
入金までの期間が長くて資金が足りない場合は、請求書や注文書の買取が選択肢になります。注文書の段階で資金化できるかを確認することもできます。
P型(ポートフォリオ型)ファクタリングとは
P型ファクタリングは、三井住友銀行が提供する保証型ファクタリングの商品名です。正式には「販売先信用保証(ポートフォリオ型ファクタリング(保証))」といいます。複数の販売先をまとめて保証する商品で、銀行の担当者からP型という略称で提案されることがあります。
| 提供元 | 三井住友銀行 |
|---|---|
| 保証対象先の数 | 原則として8社以上 |
| 保証期間 | 1年以内 |
| 保証料率 | 販売先ごとの料率を、保証限度額で金額加重平均した率 |
| 手続き | ポータルサイト「Amulet」で試算から契約まで対応。契約はSMBCクラウドサインの電子契約 |
| 売掛先への通知 | 保証していることは通知されない。通知されるのは保証を履行するときに限られる |
出典:三井住友銀行「販売先信用保証(ポートフォリオ型ファクタリング(保証))」/2026年9月確認
SMBCファイナンスサービスや三井住友カードの名前で説明を受けることもあります。どちらも三井住友銀行から業務委託を受けて保証業務を行っているためで、別の商品ではありません。
保証料はいくらか|「1〜8%」だけでは支払額は分からない
保証料は、保証金額と保証日数と料率の3つで決まります。相場として1〜8%という数字がよく出てきますが、この数字だけでは支払額は決まりません。年率なのか、契約期間全体にかかる率なのか、月額の定額制なのかで金額が変わるためです。
国の制度である下請債権保全支援事業では、計算方法が公表されています。
保証料 = 保証金額 × 保証日数 × 保証料率(年率)
| 保証金額 | 1,000,000円 |
| 保証日数 | 90日 |
| 保証料率 | 年率6% |
| 保証料 | 14,794円 |
| 助成を受けた後 | 11,096円 |
出典:一般財団法人建設業振興基金「下請債権保全支援事業」制度パンフレット(2026年4月版)/2026年9月確認
年率6%でも、90日なら実際の負担は14,794円です。100万円に対して約1.5%にあたります。年率を額面に対する率だと読み違えると、実際の5倍前後の負担を想定することになります。
URIHOやGMOのように、月額の定額制をとるサービスもあります。この場合は保証日数ではなく、契約期間と保証枠で費用が決まります。見積もりを取るときは、提示された料率が年率か、期間全体の率か、月額かを確認してください。
国の助成は「保証料の3分の1」とは限らない
下請債権保全支援事業の助成は、保証料率の33%です。ただし年率1.5%という上限が別にあります。保証料率が高いほど上限に当たり、実際の助成は33%より小さくなります。
| 保証料率(年率) | 実質の助成率 | 上限の影響 |
|---|---|---|
| 3.0% | 33% | 上限に当たらない |
| 4.55% | 33% | ちょうど境目 |
| 6.0% | 25% | 年率1.5%で頭打ち |
| 8.0% | 18.75% | 同じく頭打ち |
保証金額100万円・90日・年率6%の場合、助成額は3,698円です。保証料14,794円の25%にあたります。料率が約4.55%を超えると、33%は受けられません。
自社は使えるか|13社の利用条件
保証型ファクタリングで最初につまずくのが、社数の条件です。銀行系は複数の売掛先をまとめて保証する商品です。1社だけ保証してほしいという申し込みは、基本的に受けられません。
| 会社・商品 | 最低社数 | 最低金額 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 出光クレジット | 公式に記載なし | 要問合せ | 制約なし |
| URIHO mini | 制限なし | 月4,980円〜 | 縛りなし |
| URIHO | 制限なし | 月9,800円〜 | 縛りなし |
| GMO BtoB売掛保証 | 新規1社〜/既存3社〜 | 月9,800円〜 | 半年以上 |
| アラームボックス ギャランティ | 請求書1枚〜 | 月10,000円+保証料 | 要問合せ |
| みずほファクター(下請債権保全支援事業) | 1社より | 制限なし | 工事代金の回収対応期間 |
| りそな決済サービス(りそなFlex保証) | 原則5社 | 2,000万円以上(1社100万円以上) | 記載なし |
| みずほファクター(個別保証) | 5社以上 | 1社200万円以上 | 任意 |
| 三井住友銀行(P型) | 原則8社以上 | 要問合せ | 1年以内 |
| 三菱UFJファクター(根保証) | 原則10社以上 | 要問合せ | 記載なし |
| みずほファクター(包括保証) | 10社以上 | 合計5,000万円以上 | 原則1年 |
| オリコ(B2B決済サービス) | 要問合せ | 上限1,000万円 | 要問合せ |
| イー・ギャランティ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ |
各社公式サイトの記載を2026年9月に確認。公式に記載のない項目は要問合せとしています。
取引先が数社しかない会社や、1件あたり数十万円の取引が中心の会社は、銀行系の条件を満たせません。この場合は定額制のサービスを選ぶか、建設業なら国の制度を使うことになります。
りそな決済サービスの一般ページには、少額から相談できる旨の記載があります。ただし商品である「りそなFlex保証」の条件は、原則5社かつ2,000万円以上です。問い合わせの前に確認しておくと、やり取りが短く済みます。
目的別に選ぶ保証型ファクタリング13社
保証される範囲も、会社ごとに違います。社数だけで選ぶと後から食い違うため、目的別に4つに分けました。
1社・少額から検討したい会社
出光クレジット
出光クレジットの保証ファクタリングは、保証料が日割りで計算されます。1年契約といった期間の縛りを設けていないため、特定の取引だけに短期間かけるという使い方ができます。
| 保証割合 | 保証限度額の範囲内で100% |
|---|---|
| 保証料 | 日割り。料率は要問合せ |
| 期間 | 期間の制約を設けていない |
| 対象債権 | 売掛金・受取手形 |
| 対象外 | リース債権・貸付債権、発生から回収まで1年以上を要する債権、すでに支払いが遅れている債権 |
| 公式の活用例 | 月間30〜50万円の取引に対し、保証限度額50万円を設定 |
小口の取引を1件だけ守りたい場合に検討しやすい会社です。公式サイトに50万円規模の設定例が出ています。ただし最低社数と料率は公表されていないため、条件は問い合わせて確認することになります。
URIHO(ラクーンフィナンシャル)
月額の定額制で、保証枠の範囲内なら登録する取引先の数に制限がありません。倒産だけでなく、支払いが遅れたときも保証の対象になります。
| 料金 | Aプラン 月9,800円(保証額合計1,000万円・1社あたり50万円まで)/Bプラン 月29,800円(3,000万円・1社500万円まで)/Cプラン 月99,800円(7,000万円・1社3,000万円まで) |
|---|---|
| 保証事由 | 倒産と支払遅延 |
| 登録社数 | 保証枠の範囲内なら制限なし |
| 初期費用 | なし。審査料もなし。初回1か月は無料 |
| 最低利用期間 | なし |
| 対象外 | 保証開始前に発生した債権、すでに支払いが遅れている債権 |
取引先が入れ替わる業種や、新規取引を増やしている段階の会社に向く料金体系です。1社あたりの上限が決まっているため、特定の1社に売掛金が集中している場合は上位プランを検討することになります。
URIHO mini
年商1億円以下の法人と個人事業主に対象を絞ったプランです。倒産限定のプランは審査がなく、申し込んだその日から使えます。
| 料金 | 月4,980円(倒産限定・審査なし・1社300万円まで・年3回まで)/月14,800円(倒産と支払遅延・1社150万円まで・合計1,000万円) |
|---|---|
| 対象 | 年商1億円以下の法人、個人事業主 |
| 審査 | 4,980円のプランはなし |
個人事業主が単独で契約できる売掛保証は多くありません。銀行系の条件に届かない規模の事業者にとって、実際に選べる数少ない選択肢です。ただし年3回までという制限があるため、頻繁に使う前提の会社には向きません。
GMO BtoB売掛保証
GMOペイメントゲートウェイが提供する定額制のサービスです。新規の取引先なら1社から申し込めます。
| 料金 | タイプS 月9,800円(上限1,000万円・1社50万円)/M 月29,800円(3,000万円・1社500万円)/L 月59,800円(5,000万円・1社500万円) |
|---|---|
| カスタマイズ型 | 個別型は保証額に対して0.1%〜、包括型は年率1.0%〜(最低保証料10万円) |
| 申込社数 | 新規取引先は1社から、既存取引先は3社から |
| 対象債権 | 支払期日が180日以内の売掛債権 |
| 契約期間 | 半年以上。半年分を前払い |
| 対象外 | 支払期日の延長を認めた債権、認める可能性のある債権 |
新規取引を始める前に1社だけ保証をかけられる点が特徴です。ただし半年分の前払いが必要なため、1か月だけ試すという使い方はできません。
アラームボックス ギャランティ
請求書1枚から保証をかけられるサービスです。保証料はかけた分だけ発生し、月額のシステム利用料と合わせた費用になります。
| 保証料率 | 0.1%〜(保証をかけた分だけ) |
|---|---|
| システム利用料 | 月10,000円(税抜) |
| 保証単位 | 請求書1枚から |
| 保証事由 | 法的手続きによる未入金、支払遅延 |
| 手続き | Web完結。取引先を登録して審査 |
気になる取引だけを都度カバーしたい場合に向きます。月額が固定でかかるため、年に数回しか使わない場合は1件あたりの実質負担が重くなります。
複数の取引先をまとめて保証したい会社
三菱UFJファクター
三菱UFJフィナンシャル・グループの一員で、根保証方式の保証ファクタリングを扱っています。保証限度額の範囲内であれば、原価も粗利も消費税も区別せず全額が保証されます。
| 保証対象先の数 | 原則10社以上 |
|---|---|
| 保証割合 | 保証限度額の範囲内で100%。免責割合なし |
| 保証料 | 料率は要問合せ。保証料は非課税で、毎月末締めの翌月払い |
| 対象債権 | 売掛金・受取手形・電子記録債権 |
| 対象外 | 貸付金・リース債権、回収まで1年以上を要する債権、すでに支払いが遅れている債権 |
| 保証先の追加 | 契約後は1社から随時受け付け |
免責割合がないため、保証限度額の範囲なら目減りせずに受け取れます。申し込みには10社以上を揃える必要がありますが、契約後は1社ずつ足していけます。
みずほファクター
みずほフィナンシャルグループの一員です。包括保証と個別保証があり、条件が分かれています。建設業向けには国の制度も扱っています。
| 包括保証 | 10社以上かつ合計5,000万円以上。保証期間は原則1年 |
|---|---|
| 個別保証 | 5社以上かつ1社200万円以上。保証期間は任意 |
| 下請債権保全支援事業 | 1社より申込可。金額の制限なし。工事代金の回収対応期間 |
| 保証料率 | 全保証先の加重平均 |
| 保証料の支払い | 保証期間が始まるまでに支払う |
みずほファクターで1社から申し込めるのは、建設業向けの国の制度だけです。建設業の下請であれば、社数の条件に関係なく検討できます。
三井住友銀行(P型ファクタリング)
P型と呼ばれる商品です。原則8社以上、保証期間は1年以内で、料率は保証限度額による加重平均になります。手続きはポータルサイトのAmuletで完結し、契約は電子契約で結べます。
| 保証対象先の数 | 原則8社以上 |
|---|---|
| 保証期間 | 1年以内 |
| 保証割合 | 保証限度額を上限に保証。消費税込みの債権額が対象 |
| 保証料 | 保証開始日までに支払う |
| 対象外 | リース債権・貸付債権、回収まで1年以上を要する債権、すでに支払いが遅れている債権 |
Webで試算から契約まで進められるため、社内の稟議に合わせて金額を出しやすい商品です。保証期間が1年以内なので、継続して使うなら更新の手続きが前提になります。
りそな決済サービス
りそなグループで決済関連のサービスを扱う会社です。保証ファクタリングとして「りそなFlex保証」を提供しています。
| 保証対象先の数 | 原則5社 |
|---|---|
| 金額 | 合計2,000万円以上。1社あたり100万円以上 |
| 保証料率 | 全保証先の加重平均をベースにした料率 |
| その他 | 信用情報の提供が充実 |
銀行系のなかでは社数の条件が5社と軽いほうです。ただし合計2,000万円という金額の条件があるため、1社あたりの取引が小さい会社は届きません。
オリコ
オリエントコーポレーションのB2B決済サービスです。売掛金の保証に加えて、与信審査から請求、回収、督促までをまとめて任せられます。
| 保証額 | 最大1,000万円まで100%保証 |
|---|---|
| 付帯する業務 | 与信・請求・回収・入金管理・督促の代行 |
| 実績 | 創業70年以上、導入実績は約1,400社 |
| 保証料率 | 要問合せ |
経理の人手が足りず、請求業務ごと外に出したい会社に向きます。保証だけを安く契約したい場合は、他社と費用を比べたほうがよい構成です。
イー・ギャランティ
企業間の信用リスクを引き受け、それを金融機関やファンドに流動化する事業を行っています。包括保証と個別保証を扱い、取扱残高は2兆円を超えています。
| 保証の種類 | 包括保証・個別保証 |
|---|---|
| 料金 | 公式サイトに記載なし。要問合せ |
| 取扱残高 | 2兆円超 |
| 主な窓口 | 地方銀行・信用金庫経由の案内が中心 |
料金体系が公表されていないため、条件は個別に確認することになります。取引のある金融機関に聞くのが実質的な入口です。
支払遅延までカバーしたい会社
銀行系や国の制度では、単なる支払遅延は保証の対象になりません。倒産していないが入金されないという状態に備えたい場合は、対象が限られます。
| サービス | 保証事由 | 費用 |
|---|---|---|
| URIHO | 倒産と支払遅延 | 月9,800円〜 |
| URIHO mini(14,800円のプラン) | 倒産と支払遅延 | 月14,800円 |
| GMO BtoB売掛保証 | 倒産と支払遅延 | 月9,800円〜 |
| アラームボックス ギャランティ | 法的手続きによる未入金と支払遅延 | 月10,000円+保証料0.1%〜 |
実務で困るのは、倒産はしていないのに支払いが止まる状態です。ここを見るかどうかで、選ぶべき会社が変わります。
建設業の下請債権を保証したい会社
国土交通省の下請債権保全支援事業を扱えるのは6社です。みずほファクターと三菱UFJファクターを除く、4社を挙げます。
北保証サービス
北海道建設業信用保証グループの会社です。個別保証と枠保証を扱い、根保証方式ではなく債権ごとに保証をかけます。元請に知られずに利用できます。
| 保証の方式 | 個別保証・枠保証。根保証方式ではない |
|---|---|
| 保証割合 | 保証限度額の範囲内で100% |
| 元請への通知 | なし |
| 手形の取扱い | 2022年12月から手形の買取を全国で取扱い |
| 付帯サービス | 個別保証の利用者限定で、手形割引を年率1.975%で利用可能 |
保証と手形割引を組み合わせられる点が特徴です。手形での支払いが残っている取引では、費用を抑えられる場合があります。
建設経営サービス
個別保証と枠保証を扱い、売掛金のほか手形と電子記録債権も対象にしています。保証をかけた手形や電子記録債権の割引を併用できます。
| 保証の方式 | 個別保証・枠保証。根保証方式ではない |
|---|---|
| 対象債権 | 売掛金・手形・電子記録債権 |
| 付帯サービス | 保証した手形・電子記録債権の割引を併用可能 |
電子記録債権で支払いを受けている下請にとっては、対象の広さが利点になります。
建設総合サービス
西日本建設業保証グループの会社で、ウイングビートの名称でサービスを提供しています。工事枠保証は、下請契約を結んだ後の請求前の債権まで含めて包括的に保証します。
| 売掛金保証の上限 | 請求金額の8割が限度。支払通知書で金額が確認できる場合はその金額まで |
|---|---|
| 工事枠保証 | 下請契約時以降の債権を包括保証。着工前から保証を開始できる |
| 保証料の割引 | 予測債権残高に応じて割引 |
| 対象工事 | 公共工事・民間工事のいずれも可 |
| 対象事業者 | 一次下請に限らず、二次・三次下請も利用可 |
| 保証されない例 | 単なる支払遅延は保証債務の履行事由にならない |
二次下請・三次下請でも使え、民間工事でも対象になります。この2点を知らずに諦めている会社が多く見られます。
三井住友カード
債権保証と下請債権保全支援事業を扱っています。工事ごとに保証をかけられ、保証料は工事期間に応じた負担になります。
| 保証の単位 | 工事ごと |
|---|---|
| 保証料 | 工事期間に応じた負担。料率は要問合せ |
| 手続き | 保証料の試算、契約手続き、対象債権の追加や増額をWebで完結できるサービスあり |
| 提供形態 | 一部商品は三井住友銀行から委託を受けて提供 |
工事の期間に合わせて保証をかけたい場合に扱いやすい形です。金額の条件は公表されていないため、要問合せになります。
保証金が支払われないケース
保証をかけていても、保証金が支払われないケースがあります。何が対象外かは会社ごとに違うため、契約前の確認が欠かせません。
| 起きたこと | 銀行系 (根保証・包括) |
下請債権 保全支援事業 |
定額制 (URIHOなど) |
取引信用保険 |
|---|---|---|---|---|
| 売掛先の倒産 | 対象 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 倒産していないが支払いが遅れている | 対象外 | 対象外 | 対象 | 条件による |
| 保証を始める前に発生していた債権 | 対象外 | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| 申込時点ですでに遅れている債権 | 対象外 | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| 貸付金・リース債権 | 対象外 | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| 回収まで1年以上かかる債権 | 対象外 | — | — | — |
| 支払期日の延長を認めた債権 | — | — | 対象外(GMO) | — |
| 保証される割合 | 限度額内で100% | 売掛金保証は請求額の8割 | プランの上限まで | 縮小支払割合95% |
各社公式サイトおよび建設業振興基金の公表資料(2026年9月確認)をもとに整理。実際の適用は各社の約款によります。
保証金が支払われる条件としてよく挙がるのが、破産手続の開始と手形の不渡りです。不渡りが起きたときに何が起こるかを知っておくと、保証事由の説明が読み取りやすくなります。
保証金は、保証事由が起きた日に振り込まれるわけではありません。決定の通知や債権の存在を示す書類を出し、審査を経てから支払われます。来週の支払いに間に合わせる資金として、保証金は当てにできません。
対象外になった債権や、回収が止まっている債権には、別の手当てが要ります。滞留債権が発生する原因と対処も合わせて確認しておくと、手当ての順番を決めやすくなります。
建設業が使える下請債権保全支援事業
建設業の下請と資材業者に限って、国が保証料を助成する制度があります。元請に対する工事代金や資材代金を、ファクタリング会社が保証する仕組みです。
| 支援の内容 | 債権の支払保証と、債権の買取の2種類(買取は2022年12月から) |
|---|---|
| 助成 | 保証料率の33%。ただし年率1.5%が上限 |
| 新規の申込受付 | 2027年3月31日まで |
| 利用実績 | 約2,300社 |
| 取扱ファクタリング会社 | 北保証サービス/三井住友カード/建設総合サービス/みずほファクター/建設経営サービス/三菱UFJファクター |
| 個別保証(売掛金) | 請求金額の8割が限度。支払通知などで確定した金額が確認できればその金額まで |
| 個別保証(手形・電子記録債権) | 決済日まで。支払サイト120日以内。裏書手形は対象外 |
| 枠保証 | 工事ごとに保証限度額を設定し、下請契約の締結後から最終支払期日まで |
出典:一般財団法人建設業振興基金「下請債権保全支援事業」事業紹介・よくあるご質問・制度パンフレット(2026年4月版)/2026年9月確認
下請側と元請側、両方に条件がある
自社の条件を満たしていても、元請側の条件で対象外になることがあります。
| どちら | 条件 |
|---|---|
| 下請側(自社) | 資本金20億円以下、または常時使用する従業員1,500人以下の中小・中堅建設業者、資材業者。営業停止・許可取消・公共工事の指名停止などの行政処分を受けていないこと |
| 元請側 | 保証開始日に有効な経営事項審査を受けている、または当年度もしくは前年度に公共工事の受注実績があること。そのほか破産・民事再生・会社更生・特別清算の申立てがなく、取引停止処分を受けていないこと |
元請が経営事項審査を受けておらず、公共工事の実績もない場合、この制度は使えない可能性があります。工事自体は民間工事でも構いません。一次下請でなくても構いません。
制度を使った会社が挙げた効果
制度の資料には、利用者アンケートの結果が載っています。
| 利用して良かったこと(複数回答) | 件数 |
|---|---|
| 工事および資材代金の確実な回収 | 103 |
| 社内の与信管理業務の負担軽減、リスク管理体制の向上 | 93 |
| 取引先との円滑な取引 | 65 |
| 自社における資金繰りの改善 | 20 |
| その他 | 7 |
保証は代金を守る仕組みであって、手元の資金を増やす仕組みではありません。制度を使った会社の回答でも、資金繰りの改善を挙げた件数が最も少なくなっています。
着工前に出ていく資金は、保証では戻ってきません
保証が守るのは、工事が終わって請求した後の代金です。職人の人件費、材料の仕入れ、協力会社への先払いなど、着工前に立て替える資金は対象になりません。支払期日が短くなっても、先に持ち出す構造は変わりません。
注文書を受け取った段階で資金化する方法もあります。注文書買取ファクタリング BESTPAY(株式会社アレシア)の取引実績では、買取額は15万円から4億1,268万円まででした。平均は615万円です。協力会社への先払いに600万円、職人の人件費と材料費に1,500万円といった使われ方をしています。
電話で相談する場合は 0120-927-565(平日10時〜19時)
建設業の資金繰り全体については、建設業の資金繰りとファクタリング会社の選び方も参考になります。
その保証料は払う価値があるか
保証料が高いか安いかは、売掛先が倒産する可能性と、倒産したときの損失と並べないと決まりません。
| 2026年上半期の状況 | 件数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 全国の企業倒産(東京商工リサーチ) | 5,346件 | 7.1%増。上半期に5,000件を超えたのは2014年以来 |
| 建設業の倒産(同) | 1,026件 | 5.8%増 |
| 建設業の倒産と休廃業・解散の合計(帝国データバンク) | 5,937件 | 上半期として過去最多 |
| 売掛金の回収難を主因とする倒産(同) | 32件 | 前年同期14件から128.6%増 |
出典:東京商工リサーチ「2026年上半期(1-6月)全国企業倒産状況」、帝国データバンク「倒産集計2026年上半期報」
売掛金を回収できずに倒れた企業が、1年で2.3倍になりました。取引先の倒産は、相手だけの問題では終わりません。
500万円を回収できなかった場合の比較
| 保証料 (500万円・90日・年率6%) |
73,972円 | |
| 助成を受けた後 (建設業の制度を利用) |
55,479円 | |
| 回収できなかった場合に 損失を埋めるのに必要な売上 (粗利率20%の場合) |
25,000,000円 |
500万円が回収できなくなると、粗利率20%の会社では2,500万円を新たに売り上げないと元に戻りません。保証料の7万円台と並べると、判断の材料になります。
年間売上3億円のうち、特定の1社への売上が5,000万円、平均の売掛残高が500万円という会社で考えます。この1社に保証をかける費用が年間で数十万円、倒産すれば2,500万円の追加受注が必要になります。この形に置き換えると、稟議に出せる比較になります。
保証・取引信用保険・経営セーフティ共済の比較
売掛金の貸し倒れに備える手段は、保証型ファクタリングだけではありません。取引信用保険と経営セーフティ共済も候補になります。費用のかけ方も、守られ方も違います。
| 比べる点 | 保証型ファクタリング | 取引信用保険 | 経営セーフティ共済 |
|---|---|---|---|
| 対象を選べるか | 選べる | 原則として包括契約 | 対象を限定しない |
| 守られる割合 | 限度額内で100% | 縮小支払割合95% | 借入という形 |
| お金の性格 | 掛け捨ての保証料 | 掛け捨ての保険料 | 積立。解約手当金がある |
| 税務上の扱い | 保証料を費用計上 | 保険料を費用計上 | 掛金を全額損金または必要経費に算入 |
| 受け取れる額 | 保証限度額まで | 支払限度額まで | 回収困難な売掛金額か、掛金総額の10倍(最高8,000万円)の少ないほう |
| 費用の目安 | 保証金額×日数×年率、または月額定額 | 要問合せ | 月5,000円〜20万円 |
経営セーフティ共済は、掛金が全額損金になります。取引先が倒産したときは、無担保・無保証人・無利子で借り入れができます。ただし2024年10月1日以後に任意解約すると、解約日から2年間は再加入しても掛金を損金に算入できません。
取引信用保険は縮小支払割合が95%で、5%は自己負担になります。保証型ファクタリングは、保証限度額の範囲内なら全額が支払われます。掛金が損金になる共済を先に検討し、足りないリスクを保証で埋める。この順番が無理のない形です。
経理担当者が契約前に確認したい4項目
売掛金が回収できなくなったときに困るのは、現金が入らないことだけではありません。損金にできる時期を自社で決められない点も重くのしかかります。
| 確認する項目 | 見るところ |
|---|---|
| 保証料の会計処理 | 費用として計上する時期。前払いか、月次で発生するか |
| 消費税の扱い | 保証料を非課税と明記している会社がある(三菱UFJファクター、URIHOなど)。仕入税額控除の対象になるかが変わる |
| 保証履行時の仕訳 | 受け取った保証金をどう処理するか |
| 売掛債権の権利関係 | 保証金を受け取った後、債権の権利がどちらに帰属するか。約款で確認する |
貸倒損失を損金に算入するには、法人税基本通達の要件を満たす必要があります。取引先が音信不通になっただけでは、その期に損金にできるとは限りません。
| 通達 | 内容 | 損金にできる時期 |
|---|---|---|
| 9-6-1 | 更生計画や再生計画の認可などによる切捨て | 切捨てが確定した事業年度 |
| 9-6-2 | 全額が回収できないことが明らかになった場合 | 明らかになった事業年度(資料の裏づけが必要) |
| 9-6-3 | 取引を停止してから1年以上経過した売掛債権など | 1年経過後。備忘価額1円を残す |
保証を付けていれば、保証事由が確認できた段階で保証金を受け取れます。損失そのものが消えるわけではありませんが、現金と処理の時期を前に動かせます。実際の処理は契約条件によって変わるため、顧問税理士に確認してください。
2026年に検討するなら知っておきたい変化
2026年1月1日、下請法が中小受託取引適正化法に変わりました。手形払いが原則として禁止され、支払期日までに現金で支払うことが求められます。紙の約束手形と小切手は2027年3月末までに廃止される方針です。
保証型ファクタリングへの影響は2つあります。手形保証という商品の前提が薄れる点と、支払サイトが短くなって保証料が下がる点です。
| 保証金額 | 支払サイト | 年率 | 保証料 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 120日 | 6% | 98,630円 |
| 500万円 | 60日 | 6% | 49,315円 |
保証料の面では追い風になります。ただし倒産件数は増えているため、回収できない可能性そのものが減るわけではありません。手形での受け取りが残っているうちは、手形を現金化する方法も確認しておくと判断しやすくなります。
中小受託取引適正化法が禁じているのは、発注側が支払手段としてファクタリングなどを押し付けることです。受注した側が自分の判断で売掛金や注文書を買い取ってもらうことは、禁じていません。
よくある質問
| 個人事業主でも保証型ファクタリングを使えますか |
| 銀行系は社数と金額の条件があるため、実際には難しい場合がほとんどです。個人事業主を対象に明記しているのはURIHO miniで、年商1億円以下の法人と個人事業主向けに月4,980円からのプランがあります。 |
| プール型ファクタリングとは何ですか |
| 金融機関の公式サイトで、この名称の商品は確認できませんでした。複数の販売先をまとめて保証する商品を指していると考えられ、正式な名称はポートフォリオ型です。 |
| 保証をかけたことは売掛先に知られますか |
| 保証を契約したことは通知されません。ただし保証を履行する段階では通知されます。三井住友銀行も建設業振興基金も、この点を公式に明記しています。 |
| 取引先1社だけを保証できますか |
| 銀行系は原則5〜10社以上が条件です。1社だけを保証したい場合は、定額制のサービス、GMOの新規取引先向け、または建設業なら下請債権保全支援事業が選択肢になります。 |
| 電子記録債権も保証の対象になりますか |
| 三菱UFJファクターと建設経営サービスは対象に含めています。でんさいそのものの扱いについてはでんさい割引とファクタリングの違いで整理しています。 |
まとめ:保証で守れるものと、守れないもの
| 判断する場面 | 結論 |
|---|---|
| 売掛先が飛ぶのが怖い | 保証型が効く。ただし社数と金額の条件を先に確認する |
| 入金までが長く資金が足りない | 保証では解決しない。買取型を検討する |
| すでに支払いが遅れている | その債権は保証の対象外。回収の手当てが先になる |
| 保証料がいくらか知りたい | 年率か月額かを確認し、保証日数を入れて実額で比べる |
| 建設業の下請である | 下請債権保全支援事業なら1社から使える。元請側の条件も確認する |
保証型ファクタリングは、代金を回収できなくなったときの損失を、限度額の範囲で埋める仕組みです。手元の資金を増やす働きはありません。着工前や納品前に立て替える資金が足りないのであれば、買い取ってもらう手段を見たほうが早く解決します。
注文書の段階で資金化できるか確認する
受注が決まっていて、着手前の支払いに資金が必要な場合は、注文書の段階で買い取れるかを確認できます。申込内容と条件の確認は無料です。
電話で相談する場合は 0120-927-565(平日10時〜19時)
買取型のファクタリング会社を比べる場合は、利用者の声を集めた外部のサイトも判断材料になります。ファクタリング会社の口コミサイト「ファクタリング会社の口コミ」には、381社分の情報と2,357件の口コミが掲載されています(2026年9月時点)。
本記事に記載した各社の条件と制度の内容は、2026年9月に各社公式サイトおよび公的機関の公表資料で確認した内容です。申込前に最新の条件をご確認ください。




