介護報酬債権は、入金されるまでに2〜3ヶ月の期間を待たなければなりません。
入金待ちの間も支出は変わらず発生するため、資金繰りに苦労している介護事業者も多いのではないでしょうか。
そのような介護事業者の資金繰り改善に有効なのが、介護報酬ファクタリングです。
介護報酬ファクタリングを利用すると、通常入金までに2〜3ヶ月かかる介護診療報酬を、負債扱いにならずに早期で資金化できるため介護事業者の資金繰り改善に寄与します。
この記事では、介護報酬ファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、おすすめの介護報酬ファクタリング会社を紹介します。
資金調達方法の1つとして、いざという時のために仕組みを理解し、すぐに活用できるように備えておきましょう。
介護報酬ファクタリングの仕組み|介護報酬債権を早期に資金化できる
介護報酬ファクタリングとは、医療機関のみが利用できる医療ファクタリングの1つです。
未入金の介護報酬債権をファクタリング会社が買い取り、本来ならば2〜3ヶ月先となる入金日より前に資金化します。
介護報酬ファクタリングを利用することで、介護報酬の入金を待つ間の資金繰りに悩む介護事業者の資金ニーズを満たすことが可能です。
介護報酬債権が入金されるまで約2~3ヶ月を要する
そもそもなぜ介護事業者は資金繰りに苦しむのでしょうか。
それは、介護報酬が支払われるまでに約2〜3ヶ月のタイムラグが発生することが原因です。
介護報酬が入金されるまでの通常の流れは以下のとおりです。
- 介護保険指定事業者が、利用者にサービスを提供
- 1ヶ月分のサービス利用料の自己負担割合(1~3割)を利用者に請求
- 1ヶ月の「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」を用意し、翌月10日頃までに国民健康保険団体連合会(国保)へ介護報酬を請求
- 国保が内容を審査し、問題がなければ請求月の翌月25日頃に介護報酬が入金される
上記を簡単に月日で考えると以下のようになります。
- 4月にサービス提供
- 5月10日までに国保へ請求
- 6月25日に入金される
つまり、介護報酬が全額手元に入るのはサービスを提供してから2~3ヶ月先です。
さらに、請求書や明細書に不備等があれば国保から返戻され、入金までにさらに時間を要してしまいます。
入金待期期間でも、備品や人件費などの支出は発生します。
特に手元資金が少ない開業したての事業者や、支払いが重なってしまったときなど、一時的に資金繰りに悩む場面も少なくありません。
このようなケースに介護報酬ファクタリングは非常に有効な資金調達手段です。
2週間程度で介護報酬を調達
介護報酬ファクタリングを利用すれば、請求から入金までおよそ2ヶ月程度かかる介護報酬の入金を2週間程度に縮めることが可能です。
例えば1月分の介護報酬を請求する場合は以下の流れになります。
- 1月分の介護報酬をまとめて2月10日に請求する
- 3月25日に入金
介護報酬ファクタリングを利用すれば、請求後の2月10日には申し込むことが可能です。
申込から最短5日程度では入金されるため、2月15日には介護報酬の8割程度の金額を受け取れます。
月末の介護報酬債権発生から約2週間後の翌月半ばには入金を受けられるので、介護報酬ファクタリングを利用することによって、発生から入金までの回収サイトが長い介護報酬を2週間程度で現金化することが可能です。
3社間ファクタリングで行われる
介護報酬ファクタリングは、基本的に3社間で行われます。
そもそもファクタリングには、2社間と3社間があり、両者の特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。
2社間 | 3社間 | |
---|---|---|
契約主体 | 利用者とファクタリング会社 | 利用者とファクタリング会社と売掛先 |
売掛先への債権譲渡通知 | 不要 | 必要 |
手数料 | 高い(約10~20%) | 低い(約2~9%) |
通常のファクタリングの場合、売掛先へ債権譲渡の通知・承諾が不要な2社間ファクタリングの需要が多いです。
民間企業同士の取引では、取引先同士の信頼関係が非常に重要であり、ファクタリングを利用していることが売掛先に知られると「この会社は資金繰りに困っているのでは?」と勘繰られ、最悪の場合は取引中止となってしまうケースも考えられるからです
しかし、介護事業者の場合は報酬請求先が国保(公的機関)であるため、ファクタリング利用によって関係性が崩れたりファクタリングを断られたりすることはまずありません。
関係性が悪化する不安を抱えることなく、安い手数料で利用できることから、介護報酬ファクタリングは3社間ファクタリングのみの取り扱いとなっています。
審査に高い確率で通過できる
介護報酬ファクタリングは高い確率で審査に通過できます。
請求する介護報酬に虚偽や間違いがない場合以外は、ほぼ確実に審査に通過して資金調達できるでしょう。
介護報酬債権の債務者は国保連などの公的機関だからです。
ファクタリングで主に審査されるのは、売掛債権の債務者である売掛先企業であることはよく知られていますが、介護報酬ファクタリングで審査されるのは公的機関で支払能力にはまず問題ありません。
そのため正確な介護報酬債権さえ持っていれば、ほぼ必ず審査に通過できます。
確実に資金調達できる方法として、介護報酬ファクタリングを活用するとよいでしょう。
申し込みから資金化までの流れ
介護報酬ファクタリングを利用する流れは、以下のとおりです。
- ファクタリング会社に申し込みをする
- ファクタリング会社と介護事業者間で債権譲渡契約を結ぶ
- ファクタリング会社と利用者が連名で国保に債権譲渡を通知し、承諾を得る
- 介護事業者へ買取手数料を差し引いた掛け目分の金額が支払われる
- 国保からファクタリング会社へ介護報酬を支払う
- ファクタリング会社から介護事業者へ掛け目で差し引いた金額を支払う
介護報酬ファクタリングは、通常の3社間ファクタリングとほぼ同じ流れでおこなわれます。
しかし、公的機関である国保との契約であるため、一般のファクタリングよりも手数料が融通されていたり信用不安を抱えずに安心して取引できたりと、介護事業者にとってのメリットが多くあります。
なお、介護報酬ファクタリングでは、基本的に掛目が80%に設定されており、支払われる介護報酬の金額が決定した後に残りの20%が入金されます。
入金は2回に分けておこなわれるので、一度に請求している介護報酬全額が入金になることはないので注意してください。
介護報酬や診療報酬などは、請求の内容が間違っており、当初の請求金額とおりに支払われないことは珍しくありません。
そのため、介護報酬ファクタリングでは、最初に80%程度の代金を支払っておき、残りは支払金額が確定した後に精算するという形をとっています。
介護報酬ファクタリングが必要となる場面
介護報酬ファクタリングは、以下のような場面で有効な資金調達方法です。
- 開業したばかりで運転資金が間に合わないとき
- 開業したばかりで銀行融資に断られたとき
- 事業拡大に伴い、設備投資にまとまった資金が必要となったとき
- 支出が重なり、近日中に急いで支払わなければならないとき
介護報酬ファクタリングが必要となる4つの場面について詳しく見ていきましょう。
開業したばかりで運転資金が間に合わないとき
介護施設を開業したばかりで運転資金が間に合わない場合には、介護報酬ファクタリングが有効です。
介護施設を開業するには、手元に3か月分の運転資金を持っている必要があります。
例えば、1月に発生した介護報酬が入金になるのは3月末ですので、開業からほぼ丸々3か月は入金がないためです。
開業間もない状況ですので、資金繰りは楽ではありません。
そのため、開業したばかりで手元の運転資金が不足している場合には、介護報酬ファクタリングを活用して手元に資金を確保しましょう。
開業したばかりで銀行融資に断られたとき
開業したばかりの時は銀行に運転資金の借り入れを申し込んでも断られてしまう可能性があります。
ほとんどの介護施設は開業時の設備資金を銀行融資を利用して調達しているためです。
銀行からすると、開業に必要な設備投資の資金を融資したあとすぐに、運転資金を融資することことは難しいので追加融資は断られる可能性が高いと言えます。
通常は開業前に運転資金の借り入れもおこなっておくものであるため、開業後に「運転資金が足りない」と申し出ることは、「資金繰りの計画がなっていない」とネガティブに判断される可能性もあります。
銀行から追加の運転資金融資を受けられない場合や、業況悪化によって銀行から融資を受けられない場合には、介護報酬ファクタリングであれば、高い確率で資金調達ができるでしょう。
事業拡大に伴い、設備投資にまとまった資金が必要となったとき
事業拡大にともない、設備投資にまとまった資金が必要になった場合なども介護報酬ファクタリングが活用できます。
通常、設備投資に必要な資金は銀行から借り入れることが一般的です。
しかし銀行融資は設備の1つ1つの支払い先まで管理され、審査の際には全ての見積もりを提出しなければなりません。
そのため計画の途中で追加で必要な設備が出てきた場合などは、追加の見積もりなどを銀行へ提出する必要があり、審査も最初からやり直しになってしまうことがあります。
計画に遅れが生じるわけにはいかない場合には、審査をやり直している時間はないので、このような場合には介護報酬ファクタリングで資金調達するのが向いているでしょう。
介護報酬ファクタリングで調達した資金は、資金使途を問われることはありません。
調達した資金は何にでも使用できるので、設備投資にも利用可能です。
最大で2ヶ月分の介護報酬を調達できるので、ある程度まとまった資金の調達もできるでしょう。
設備投資などで予定外のお金が必要になったときも、介護報酬ファクタリングは理由できます。
支出が重なり、近日中に急いで支払わなければならないとき
介護施設は従業員の数が多いので、月末の給与支払いやその他の経費の支払いも膨大になります。
予定外の出費が続いて、必要な支払いをおこなうだけの資金が手元にないケースもあるでしょう。
このようなケースでも介護報酬ファクタリングが活用できす。
すでに請求済みの介護報酬が手元にあるのであれば、ファクタリング会社へ申し込んでから5日程度で入金になります。
特に給料、借入金の返済、手形の決済代金などは、絶対に支払いに遅れることができないものです。
これらの支払いのための資金が不足している場合には、最短5営業日で資金調達できる介護報酬ファクタリングが活用できるでしょう。
介護報酬ファクタリングの4つのメリット
介護報酬ファクタリングのメリットは以下の通りです。
- 資金繰りが改善される
- 負債にならない
- 審査に通りやすい
- 保証人・担保が不要で利用できる
上記について、詳しく解説していきます。
資金繰りが改善される
介護報酬ファクタリングを利用すると、本来最大で約3か月後に入金されるはずだった介護報酬が、1週間程度で入金されるため資金繰り改善に寄与します。
介護の場では、介護報酬の入金を待っている間も設備費や人件費など、日々さまざまな支出が発生します。
これらの支出を利用者からの自己負担額分を含めた手元資金のみでまかなわなければなりません。
特に開業間もない事業所では、運営資金も少なく資金繰りが非常に困難になるケースが多々あります。
そこで介護報酬ファクタリングで早期に資金が入れば手元の資金不足が解消できるので、借入に頼らずにキャッシュフローの改善が可能となるのです。
負債にならない
ファクタリングは売掛債権の売買であるため、負債扱いにならずに資金調達が可能です。
この点が銀行融資等と異なるファクタリングの大きな特徴です。
負債にならないため、決算書への影響もありません。
たとえば開業資金に銀行から融資を受けている場合、運営資金のためにさらに融資を重ねることは審査に不利になる可能性があります。
負債が増えるということは、総資産に占める自己資本の割合が低下するということですので、自己資本比率が下がります。
また、夫妻の分だけ貸借対照表は大きくなるので、不要な資産も負債も持たない経営が評価される「オフバランス経営」からは乖離して、この点でも介護施設の外部からの評価が低下する可能性もあるでしょう。
しかし、債権の売買であるファクタリングなら、すでに銀行融資を受けていたとしても問題なく利用可能です。
すでにほかのところから融資を受けているときや、今後のために銀行融資枠を残しておきたいときにも、ファクタリングは有効な資金調達方法です。
審査に通りやすい
そもそもファクタリングは、融資やローンに比べて審査に通りやすい特徴があります。
さらに介護報酬ファクタリングは、契約先が公的機関の国保であることから、一般のファクタリングよりもさらに審査に通りやすくなっています。
介護報酬ファクタリングが審査に通りやすいのは、介護報酬を回収できないリスクが限りなく低いことが理由です。
通常、民間企業の取引で債権譲渡後に売掛先企業が倒産等で売掛金を支払えなくなった場合は、譲受先であるファクタリング会社が損害を被ります。
そのため、ファクタリング会社は売掛先企業の業績等を厳格に審査し、問題がある場合には審査落ちとするケースも十分あり得ます。
しかし、介護報酬ファクタリングの場合、売掛先が国保であることから倒産する可能性はまずありません。
ファクタリング会社にとって、介護報酬を回収できないリスクがまったくといっていいほどないため、非常に審査に通りやすいのです。
間違いのない介護報酬債権さえ手元に持っていれば、高い確率で資金調達できるのが介護報酬ファクタリングの大きなメリットです。
赤字や債務超過などを原因として銀行融資の審査に通らない場合には、介護報酬ファクタリングを活用するとよいでしょう。
保証人・担保が不要で利用できる
融資であれば、確実に借入金を回収するために保証人や担保が必要となるケースが多々あります。
しかし、ファクタリングは債権の売買であって融資ではないため、保証人や担保が一切不要で利用可能です。
万が一、ファクタリングであるにもかかわらず担保や保証人を要求された場合は、違法な業者を疑ってください。
違法な業者がファクタリングに見せかけて、貸付契約をさせようとしている可能性が非常に高いためです。
ファクタリング会社と名乗っているのに、担保や保証人を要求される会社とは取引をしないようにしましょう。
介護報酬ファクタリングの3つのデメリット
介護報酬ファクタリングにも、以下のようなデメリットがあります。
- 本来受け取れる金額よりも少なくなる
- 債権額までしか調達ができない
- 長期的な資金繰り改善の計画が必要
上記のデメリットは、利用前に必ずおさえておきましょう。
本来受け取れる金額よりも少なくなる
ファクタリングを利用して入金される金額は、本来国保から受け取る介護報酬額の約80〜90%となります。
受取金が少なくなる理由は、買取手数料と掛け目にあります。
掛け目とは、ファクタリング業者が回収リスクを避けるために設定している買取可能割合です。
掛け目によって差し引かれた分の金額は、無事にファクタリング会社が介護報酬を回収できた後に介護事業者へ支払われます。
たとえば、売掛債権額が1,000万円で掛け目80%、手数料1%でファクタリングを利用すると仮定します。
この場合、ファクタリング契約後に手元に入る金額は以下のとおりです。
1,000万円ー掛け目(200万円)ー買取手数料(10万円)=790万円
その後、ファクタリング会社が国保から介護報酬を回収できれば、掛け目により差し引かれていた200万円が介護事業者へ支払われます。
後から支払われるものの、掛け目に注意しなければ必要なタイミングで必要な資金が調達できない可能性があるため、掛け目はファクタリング会社を選ぶ際の重要なポイントとなります。
債権金額までしか調達できない
ファクタリングは、介護報酬債権額以上の金額を調達することはできません。
たとえば、事業拡大のために500万円の資金調達をしたいとします。
このとき、介護報酬債権が300万円分しかなかったとしたら、ファクタリングで希望する満額の資金調達はできません。
一方で、銀行融資であれば審査に通り次第500万円の資金調達が可能となります。
ファクタリングは、債権の買取代金が得られる仕組みであるため、債権額を超えるような大きな金額が必要な場合は銀行融資などを検討するようにしましょう。
長期的な資金繰り改善の計画が必要
介護報酬ファクタリングは、1度使うとその便利さから抜け出すのが難しくなってしまうため注意が必要です。
介護報酬ファクタリングを利用したその時は手元資金が増えて資金繰りが改善されますが、長期的に考えると根本的な財務問題の解決ができていません。
これは介護報酬債権にかかわらず通常のファクタリングにもいえることですが、ファクタリングは2〜3ヶ月先の債権を前借りに近いサービスです。
1度使うと次の介護報酬が入金されるまでの期間が空くため、繰り返し利用してしまい、最終的にはファクタリングに依存した資金計画になる可能性があります。
ファクタリングは、一時的な資金繰りの悪化といったやむを得ない事態に非常に有効な手段ではありますが、一度利用すると元通りのキャッシュフローに戻すのに苦労します。
介護報酬ファクタリングを利用する際は、必ず長期的な資金繰り改善の計画を立てて利用するようにしましょう。
融資とどちらを利用すべき?介護報酬ファクタリングと融資の違い
介護施設が資金調達する主な方法として挙げられるのが銀行融資です。
銀行融資と介護報酬ファクタリングでは次のような違いがあります。
- 一括で必要な資金を受け取れるか
- 自社の与信が審査に影響するか
- 資金調達スピード
- 負債か否か
融資との違いを理解して適切に使い分けることが重要です。
介護報酬ファクタリングと融資の違いを詳しく解説していきます。
一括で必要な資金を受け取れるか
融資は申込金額全額を一括で受け取ることが可能です。
しかし介護報酬ファクタリングには掛け目が設定されるので、最初の段階では介護報酬の8割-手数料しか入金になりません。
残りの2割が入金になるのは支払金額決定後です。
そのため、同じ金額を申し込んだとしても、融資の方が高額な資金調達ができます。
受け取れる金額には融資と介護報酬ファクタリングでは異なる点は、しっかりと理解しておきましょう。
自社の与信が審査に影響するか
利用者である、介護施設の経営状態が審査に影響するかどうかは大きな違いです。
融資では、借入金を返済するのは債務者である介護施設です。
そのため、審査では介護施設が融資金を返済できる能力があるか否かのみが重視されます。そのため、赤字や債務超過などで「返済が不可能」と判断できる企業は審査に通らないこともあります。
一方、ファクタリングにおける債務者は売掛先企業で、介護報酬ファクタリングにおいては、保険者である国保連です。売掛先企業に問題さえなければファクタリングは申込企業の与信が悪くても審査に通過できます。
そして、介護報酬ファクタリングの債務者は国保連などの公共団体で支払不能になるリスクはゼロです。
つまり、業況が悪くて銀行融資に通過できない事業者でも、介護報酬ファクタリングは審査に通過できるでしょう。
資金調達スピード
資金調達スピードは介護報酬ファクタリングの方が早くなっています。
申込から最短5営業日で資金調達できます。
一方、銀行融資では2週間〜3週間程度の時間がかかります。
そのため、急いでいる時には、介護報酬ファクタリングの方が早く資金調達が可能です。
ただし、介護報酬ファクタリングは保険者に対して請求を行った後でないと申し込むことができません。
請求済みの介護報酬が手元にない場合には、融資の方が資金調達が早いこともあります。
請求状況などを勘案し、ベストな資金調達方法を選択しましょう。
負債か否か
融資は負債、介護報酬ファクタリングは資産の売却です。
融資は負債が増えるため、自己資本比率が下がり、貸借対照表の総額も増えてしまいますが、介護報酬ファクタリングは貸借対照表には影響を与えません。
また決算書を見た銀行などの外部の評価者に対して、資金調達を隠すこともできます。
外部からの資金調達を秘密にしたい場合にも介護報酬ファクタリングがおすすめです。
調達可能額
介護報酬ファクタリングで調達できる金額は、請求済みの介護報酬の範囲内です。
一方、銀行融資では年商を超えるような高額な資金調達をおこなうことも可能です。
調達できる金額は銀行融資の方がかなり多くなります。
設備投資などで高額な資金が必要になる場合には銀行融資を利用して、運転資金が緊急で必要になる場合には介護報酬ファクタリングを利用するなど、調達したい金額に合わせて使い分けるのもおすすめです。
介護報酬ファクタリング会社を選ぶポイント
ファクタリング会社を選ぶときは、以下のポイントを見て検討しましょう。
- 手数料
- 掛け目
- 入金までのスピード
上記のポイントについて、詳しく解説していきます。
手数料|相場は1%未満
介護報酬ファクタリングは、通常のファクタリングよりも手数料が非常に安い点が魅力であるため、提示される手数料が相場よりもあきらかに高い場合は利用を見直しましょう。
多くのファクタリング会社で、介護報酬ファクタリングの手数料は0.25~1%が相場とされています。
介護報酬ファクタリングは、3社間ファクタリングであり、国保との取引であることから信用力が非常に高いのが特徴です。
そのため、介護報酬を回収できないリスクがほとんどなく、通常の3社間ファクタリング以上に安い手数料が実現されています。
ファクタリング業者を選ぶ際には、手数料が相場とかけ離れていないかによく注意しましょう。
掛け目|相場は80%~90%
ファクタリング会社が提示する掛け目が、希望する資金額を満たしているかを確認しましょう。
ファクタリング会社によって定める掛け目はさまざまですが、介護報酬ファクタリングの場合は80%~90%を設定しているところが多いです。
掛け目によって差し引かれた分の金額は、ファクタリング会社が国保から無事に介護報酬を回収できた後に支払われますが、入金されるまでに時間がかかってしまいます。
資金が必要なタイミングで必要な金額を調達できなければファクタリングを利用する意味がないので、希望する資金額を完全にカバーできているかを必ず確認するようにしましょう。
入金までのスピード
介護報酬債権を資金化するスピードは、ファクタリング会社によって異なります。
最短即日で資金化できる会社もあれば、1週間以上かかる会社もあります。
介護報酬ファクタリングを利用するメリットは、介護報酬債権を早期に資金化できる点です。
万が一にも資金を必要とするタイミングに資金化が間に合わないようであれば、ファクタリングを利用する意味がなくなってしまうため、必ず確認するようにしましょう。
介護報酬ファクタリング会社のおすすめ5選
介護報酬債権はすべてのファクタリング会社で取り扱いがあるわけではありません。
ここでは、数あるファクタリング会社の中から介護報酬ファクタリングに強い以下5つの会社を紹介します。
- リコーリース株式会社
- カイポケ
- NSパートナーズ
- スルガ銀行
- 三菱HCキャピタル
どのファクタリング会社も上場企業や信頼できる企業など、安心して利用できるファクタリング業者ばかりです。
介護報酬ファクタリングを利用するのにおすすめの、上記5社について詳しく解説していきます。
リコーリース株式会社|全国訪問対応のため忙しくても利用しやすい
出典元:リコーリース株式会社
運営会社 | リコーリース株式会社 |
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手数料 | 非公開 |
入金までのスピード | 最短5営業日 |
掛け目 | 最大80% |
リコーリース株式会社は、東証プライムに上場している介護報酬ファクタリングに特化した会社です。
リコーリースは介護報酬ファクタリングのみならず、医療・介護機器のリース事業もおこなっており、介護事業者の会計・財務状況に非常に理解があります。
また、全国訪問対応が可能なため、仕事で忙しいときにも利用しやすい点が魅力です。
ただし、手数料が非公開となっているため、見積時に必ず確認するようにしましょう。
カイポケ|介護ソフトの開発を中心に行う企業
出典元:株式会社SMS カイポケ
運営会社 | 株式会社SMS |
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手数料 | 最大0.8% |
入金までのスピード | 最短5営業日 |
掛け目 | 最大80% |
カイポケを運営する株式会社SMSは、介護事業を幅広く行っている東証プライム上場企業です。
ケア記録のデータや経営記録、請求書などを一括管理できるクラウド型介護ソフト「カイポケ」を開発しています。
カイポケの大きな魅力は手数料の低さです。
手数料非公開としている業者も多い中、業界最安水準の0.8%以下の手数料で取引ができます。
なるべく安い手数料で取引をしたいと考える事業者は、カイポケを検討してみるのもおすすめです。
NSパートナーズ|医療ファクタリングに特化した取引実績が魅力
出典元:NSパートナーズ株式会社
運営会社 | NSパートナーズ株式会社 |
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手数料 | 0.25~1% |
入金までのスピード | 2~3週間 |
掛け目 | 原則85% |
NSパートナーズ株式会社は、医療ファクタリングに特化した東証プライム上場企業です。
買取上限金額を設けていないことから、運営状況等によって高額の介護報酬債権にも対応できます。
注意点としては、契約期間は2年間縛りで、途中解約をすると違約金が発生してしまうことです。
しかし、10年以上の運営から多くの取引実績・事業再生ノウハウを持ち合わせているため、安心して利用できるファクタリング会社といえるでしょう。
スルガ銀行
出典元:スルガ銀行株式会社
運営会社 | スルガ銀行株式会社 |
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手数料 | 非公開 |
入金までのスピード | 最短5営業日 |
掛け目 | 最大90% |
静岡の地方銀行であるスルガ銀行は診療報酬、介護報酬、調剤報酬などの医療ファクタリングを取り扱っています。
銀行が取り扱うファクタリングですので、利用者によって安心感があるのが最大のメリットです。
また、スルガ銀行の介護報酬ファクタリングの掛け目は90%となっており、80%の掛け目が平均的な介護報酬ファクタリングの中でも初回で調達できる金額が大きい点が大きくな特徴だと言えます。
80%の掛け目では必要な資金を調達できないという方はスルガ銀行へ相談することで必要な資金調達ができるかもしれません。
手数料は非公開となっていますが、銀行のファクタリングが他社よりも高い手数料を設定することはあまり考えられないので、他社と変わらないかそれ以下の手数料でファクタリングを利用できるでしょう。
三菱HCキャピタル
出典元:三菱HCキャピタル株式会社
運営会社 | 三菱HCキャピタル株式会社 |
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手数料 | 月2.0%〜 |
入金までのスピード | 最短5営業日 |
掛け目 | 最大80% |
三菱HCキャピタルは三菱系列のリース会社です。
三菱HCキャピタルは、診療報酬ファクタリング、介護報酬ファクタリング、調剤報酬ファクタリングなどの医療ファクタリングを取り扱っています。
三菱HCキャピタルのファクタリングのメリットは手数料の低さで、月0.2%〜利用でき、他社よりも低いコストで資金調達できる可能性が高いでしょう。
さらに契約手続きは原則非対面となっています。
インターネットや郵送で必要な契約手続きができるので、忙しくてファクタリング会社の事務所まで訪問している時間がないという方も気軽に資金調達できるでしょう。
さらに三菱HCキャピタルは「少額から買取可能」という点も特徴的です。
医療ファクタリングは100万円以上などのまとまった金額でないと買取に応じてもらえない場合も多いですが、三菱HCキャピタルであれば、数十万円単位の介護報酬でも早期資金化に応じてくれる可能性があります。
介護報酬ファクタリングを有効活用して資金繰りを改善
介護報酬債権は、入金までに約2〜3ヶ月の期間がかかってしまうため、介護士施設の中には資金繰りが厳しい事業者が少なくあありません。
介護報酬ファクタリングを利用すれば、2週間程度に回収サイトを圧縮でき、申込から最短5営業日程度で資金化が可能です。
そのため、銀行融資を利用できないときや、緊急でお金が必要なときには活用できます。
また、開業間もない介護施設は、3ヶ月しないと売上が入金にならないため、開業してから間もない介護施設の運転資金の確保にも介護報酬ファクタリングはおすすめです。
介護報酬ファクタリングは、長期的な資金計画のもとで活用すれば、介護事業者の資金繰り改善に有効な資金調達方法です。
そもそもファクタリングは、会社によってサービス内容や手数料、スピードが異なるため、しっかりと複数社の比較検討をすることが重要です。
介護報酬債権は、すべてのファクタリング会社で取り扱いがあるわけではないので、取り扱いがある中から信頼できる会社を選び、資金繰り改善に役立てましょう。