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POファイナンスとは?仕組み・メリット・デメリットを徹底解説

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国・地方自治体、民間企業などから仕事の受注を受けたが、運転資金がないので受注を諦めるしかない、という悩みをお持ちの中小企業も多いでしょう。また、国・地方自治体の補助金の交付決定を受けたが、補助金の支払いが確定するまでのつなぎ資金が足りないといったケースも散見されます。

一般的に中小企業は信用力が乏しく、受注段階での資金調達に課題がある企業が多い傾向にあります。その課題を解決するために、新たに登場したのがPOファイナンスという仕組みです。

ここでは、POファイナンスの仕組み、メリット、デメリットなどについて解説します。

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POファイナンスとは?

POファイナンスとは?

PO(purchase order=受発注)ファイナンスとは、発注企業、受注企業、金融機関の三者をWeb上でつなぎ、受発注書を電子記録債権化することで、金融機関の担保融資を可能にするサービスです。

Tranzax株式会社及びTranzax電子債権株式会社が運営・提供し、受発注時点での担保融資に対応しています。

これにより受注企業は受注時点での資金繰りの課題が軽減され、事業を受注できる機会も多くなるでしょう。

Tranzax株式会社・Tranzax電子債権株式会社とは?

Tranzax株式会社はFintech系IT企業で、その傘下に電子債権記録機関であるTranzax電子債権株式会社があります。Fintech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結び付けた取り組みのことです。

電子記録債権とは?

「電子記録債権」とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする新しい金銭債権のことをいいます。

電子記録債権は、電子記録債権法(平成19年法律第102号、平成20年12月1日施行)により、企業の資金調達の円滑化等を図るために創設されました。既存の指名債権・手形債権などとは、異なる金融手段です。

電子記録債権の譲渡には、手形と同じく取引の安全を保てる措置が講じられています。そのため、企業や個人事業主は、電子記録債権の発生・譲渡等の手続きを安全・簡易・迅速に行うことができるのです。

電子債権記録機関とは?

電子債権記録機関とは、電子記録債権法の規定により、記録原簿を備え、電子記録債権の発生・譲渡・消滅等の業務を行う機関です。

電子債権記録機関には、でんさいネット(全国銀行協会が設立した電子記録債権機関)、メガバンク系のグループ会社、Tranzax電子債権株式会社があります。

でんさいネットは原則的に支払手形を電子記録債権化し、メガバンク系グループ会社の電子債権記録機関は、発注企業の複数の受注企業に対する買掛金(または支払手形)をまとめて電子記録債権化します。Tranzax電子債権株式会社は、支払手形や売掛金などの指名債権に加え、受発注書などの将来債権を電子記録債権化するのが特徴です。将来債権を電子記録債権化できるのは、日本では唯一Tranzax電子債権株式会社だけです。

POファイナンスの仕組み

POファイナンスの仕組み

POファイナンスは、これまでの事業性融資とは仕組みが異なります。電子記録債権を利用することによって、受注段階での資金調達や融資手続きの簡素化を実現することが可能になるのです。POファイナンスの融資から返済までの流れやお金の流れについて解説します。

POファイナンスでの融資から返済までの流れ

  1. 発注企業が受注企業に仕事を発注します。
  2. 受発注書を受け取った受注企業は、TranzaxにPOファイナンスの申し込みをします。
  3. Tranzaxは、受発注書を電子記録債権化します。
  4. Tranzaxと提携する金融機関の審査に通れば、金融機関は受注企業に電子記録債権を担保とした融資を実行します。
  5. 受注企業は、融資を受けた資金を元手に受注した業務を開始します。
  6. 受注企業が納品し発注企業の検収が完了した後、発注企業は信託口座に代金を振り込みます。
  7. 信託口座は振り込まれたお金を、融資を実行した金融機関に返済します。残金がある場合は、受注企業に振り込みます。

POファイナンスのお金の流れ

受注企業はTranzaxにPOファイナンスを申し込み、金融機関の審査に通れば融資を受けることができ、仕事の着手金として活用できます。面倒な返済手続きは、必要ありません。

発注企業は、受注企業に支払う仕事の代金を信託口座に振り込むだけです。

POファイナンスのお金の流れを活用すれば、これまで資金がなくて諦めていた案件も受注できる可能性が高くなるでしょう。発注企業も前払金(前渡金)の支払いなど、手間のかかる手続きを省くことができます。

POファイナンスを利用できる金融機関

POファイナンスを利用できる金融機関

TranzaxによるとPOファイナンスは、以下の提携金融機関で利用することができます。

■政府系金融機関
商工組合中央金庫
■地方銀行
横浜銀行
広島銀行
第三銀行
中国銀行
西京銀行
福岡銀行
静岡銀行
■信用金庫・信用組合
城南信用金庫
西武信用金庫
大阪シティ信用金庫
朝日信用金庫
豊田信用金庫
文化産業信用組合
■ノンバンク
株式会社セゾンファンデックス

POファイナンスのメリット

POファイナンスのメリット

POファイナンスの受注企業、発注企業、金融機関、それぞれのメリットを紹介します。

受注企業のメリット

1.受注時に融資が受けられる

受注情報を電子記録債権にして、その債権を担保にして金融機関から融資を受けることができます。従来のファクタリングや手形割引より早い受注時点で、資金調達ができるのです。

2.低利融資が可能になる

POファイナンスは、発注企業が信託銀行を通して直接、融資を返済する仕組みです。このため、金融機関の審査では受注企業の財務状況より事業性が重視され、発注企業の信用力による低利融資が可能になります。

3. 資金繰りの悩みを軽減できる

通常の金融機関融資では、融資実行までに時間がかかる、不動産などの担保が必要など、仕事を受注した時点での資金調達は困難でした。しかし、POファイナンスでは、仕事の規模に応じた融資を受けることができるので、資金繰りの悩みが軽減されます。

発注企業のメリット

1. 検収まで発注企業の債務の確定は不要

POファイナンスでは、抗弁権の付いた電子記録債権を発生させます。そのため、発注企業には検収まで支払いを留保できる権利があり、検収が完了するまで発注企業の債務は確定されないのです。

2.前払金(前渡金)が不要

POファイナンスにより受注企業が受注時点で金融機関から融資を受けることが可能になると、これまで発注企業が受注企業に行っていた前払金(前渡金)の支払いが不要になります。これにより、受注企業の財務状況を気にせず、大口の案件も安心して発注できるのです。

3. 費用負担が一切ない

POファイナンスでは、発注企業の費用負担は一切ありません。電子記録債権の発生・変更承認の操作と支払口座の変更の手続きをするだけです。

金融機関のメリット

1. 融資審査の手間とコストを軽減できる

発注企業が承認した電子記録債権を担保にできるため、偽造発注書、二重譲渡などのリスクはありません。そのため、融資審査の手間とコストを軽減できます。

2. 回収資金の流用リスクが無くなる

POファイナンスは、発注企業が決済銀行(信託口座)に支払いをし、決済銀行が直接、金融機関に融資金を返済する仕組みです。そのため、受注企業が資金を流用するリスクが無くなります。

3.受注企業の倒産リスクが無い

発注企業の検収が完了し債権が確定した後は、発注企業が決済銀行に支払いを行うため、受注企業が倒産しても債権回収が困難になるリスクはありません。

4. 信用保証協会の保証対象になる

受注企業が納品できなかった場合や、受注企業・発注企業が倒産した場合のリスクを回避するために、信用保証協会の流動性担保融資(ABL)制度を利用することができます。

POファイナンスのデメリット

POファイナンスのデメリット

POファイナンスのデメリットは、以下のようなことです。

100万円以上の受発注しか担保にできない

POファイナンスは額面100万円以上の受発注書しか担保にできないため、100万円未満の受発注では利用することができません。

手数料や金利が高くなることがある

POファイナンスでは受発注時に融資を受けるため、請求書の発行段階で資金調達をするファクタリングやABLに比べ融資期間が長くなるのが特徴です。そのため、金融機関の融資事務手数料や金利が高くなる可能性があります。

対応している金融機関が少ない

POファイナンスに対応している金融機関が非常に少ないのが現状で、取引している金融機関では利用できない可能性があります。

POファイナンスが有効な企業

POファイナンスが有効な企業

次のような企業がPOファイナンスを活用すれば、効果が期待できるでしょう。

1. 不動産などの担保がなくて、金融機関からの融資が受けられない企業

受発注書を電子記録債権化し担保にするため、不動産などの担保がなくても融資を申し込むことができます。

2. 資金管理が簡単な短期融資を希望している企業

POファイナンスは一括返済方式の短期融資なので、毎月の返済などの資金管理が不要です。

3. 業歴が浅く、財務諸表や資金管理表が十分そろっていない企業

従来の金融機関の融資審査では財務諸表や資金管理表などが重視されますが、POファイナンスでは発注企業の信用力を重視するため、財務諸表や資金管理表が十分そろっていない企業でも融資を受けられる可能性が高くなります。

4. 資本増強が望ましいが増資では時間的に間に合わない企業

増資では資金調達が時間的に間に合わない場合、受注時点で資金調達ができるPOファイナンスが有効です。

5. 金融機関から融資を受けるのが初めての企業

金融機関から融資を受けるのが初めての企業の場合、信用力の問題で審査に1ヶ月以上かかるケースもあります。POファイナンスの場合は発注企業の信用力で受注企業の信用力を補完できるため、受発注時点での借り入れも可能になるのです。

補助金対応POファイナンス

補助金対応POファイナンス

POファイナンスには、補助金対応型のものがあります。補助金の交付決定を受けたが、補助事業を実施するための資金が足りないため事業着手ができないなどといった課題を持つ中小企業も多いようです。そのような課題を解決できる資金調達方法が、POファイナンスです。

国・地方自治体から補助金の交付決定を受けた事業者は、補助金を電子記録債権化することによって、担保として金融機関につなぎ融資を申し込むことができます。

補助事業者のメリット

補助事業者には、以下のようなメリットがあります。

1.補助事業に必要な資金が確保しやすい

POファイナンスを利用できる補助金については、補助金を担保にできるので、補助金が交付されるまでのつなぎ融資を金融機関から受けやすくなります。手元に補助事業を実施する資金がなくて補助金申請を諦めていた企業でも、資金不足の問題を解決でき、いろいろな補助金申請ができるようになるでしょう。

2.手続きが簡単

金融機関の審査に通れば、補助事業者はPOファイナンスの利用申込をするだけです。POファイナンスの電子記録債権化などの操作は、Tranzaxが行います。

3.融資返済手続きが不要

補助金は国・地方自治体から決済銀行(信託)に振り込まれ、金融機関の融資金の返済に充てられます。補助事業者は、融資返済手続きを行う必要はありません。

金融機関のメリット

金融機関には、以下のようなメリットがあります。

1.融資金の回収管理業務が不要

POファイナンスを利用すれば、決済銀行に振り込まれた補助金が直接、融資金の回収に充てられるので、融資金の回収管理業務は不要です。

2.補助事業者の信用力補完

一般的に中小企業は信用力が低く、民間の金融機関を利用するだけで資金繰りをすることは困難な状況にあります。しかし、POファイナンスの仕組みを使えば、大規模な補助金の交付決定を受けた企業、大きな企業から大口受注を受けた企業、金融機関を利用するのが初めての企業、業績の悪化した企業などの信用力補完の効果を得ることが可能です。

補助金対応POファイナンスの事務手続きの流れ

  1. POファイナンスの利用者登録を行います。(登録は無料)
  2. Tranzaxの提携金融機関に融資の相談を行います。
  3. 同意書(Tranzaxへの委託と但し書き)と交付決定通知書の写しをTranzaxに送付します。
  4. 融資が実行されたら、Tranzaxのファシリティ利用料が発生します。
  5. 事業者は融資を受けた資金を使って、補助事業を開始します。
  6. 事業者は事業完了後、事業報告書を提出し、補助金を交付した国や地方公共団体が補助事業の内容を検査します。
  7. 検査で補助事業が適正に行われたと認められれば、補助金交付確定通知書が届きます。
  8. 補助金が振り込まれ融資を返済すると電子記録債権は消滅し、POファイナンスの取引が終了します。補助金が振り込まれ融資を返済すると電子記録債権は消滅し、POファイナンスの取引が終了します。

必要書類

必要書類は、以下の3つです。

  • WEB上で作成した利用申込書
  • 取引担当者本人確認書類
  • 履歴事項全部証明書

資金化までの時間

申し込み後、審査に通って融資完了までには、1~2週間かかります。

対応する補助金

2022年2月現在で、POファイナンスが対応している補助金は以下の通りです。

■経済産業省・中小企業庁関係

補助金 事務局
令和元年度補正・令和二年度補正予算

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

(一般形 / グローバル展開型 / ビジネスモデル構築型)

全国中小企業団体中央会
令和3年度当初予算事業

ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金

株式会社NTTアド
令和2年度 共創型サービス IT 連携支援補助金

 

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー

合同会社

J-LODlive2

令和2年度コンテンツグローバル需要創出促進事業費

補助金(三次補正)

 

特定非営利活動法人映像産業振興機構
J-LOD(3) 収益基盤強化枠 特定非営利活動法人映像産業振興機構
事業再構築補助金 独立行政法人中小企業基盤整備機構

■環境省関係

補助金 事務局
令和2年度補正予算

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

(大規模感染リスクを低減するための高機

能換気設備等の導入支援事業)

一般社団法人静岡県観光資源協会
令和2年度

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

(脱炭素イノベーションによる地域循環共生

圏構築事業) 地域の脱炭素交通モデルの構

築支援事業のうち、グリーンスローモビリティ

導入促進事業

 

一般社団法人地域循環共生社会連携協会

■観光庁関係

補助金 事務局
地域の観光資源の磨き上げを通じた域内

連携促進に向けた実証事業

株式会社JTB
令和2年度第3次補正予算事業 既存観光

拠点の再生・高付加価値化推進事業

株式会社東急エージェンシー

■東京都中小企業振興公社関係

補助金 事務局
新製品・新技術開発助成事業 東京都中小企業振興公社
インキュベーション施設整備・運営費補助事業

(整備・改修費部分のみ)

東京都中小企業振興公社
革新的事業展開設備投資支援事業 東京都中小企業振興公社
新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資

支援事業

東京都中小企業振興公社
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 東京都中小企業振興公社

国・地方自治体対応POファイナンス

国・地方自治体対応POファイナンス

POファイナンスを活用すれば、国・地方自治体からの受注書を担保として、金融機関に融資を申し込むことが可能です。国・地方自治体からの受注は高い信用力があるため、より融資が受けやすくなります。

POファイナンスに対応している地方自治体

POファイナンスを利用できるのは、次の地方自治体、事業・補助金・業務、金融機関です。

地方自治体 補助金 条件 利用できる金融機関
岡山県岡山市

(2020年4月導入)

一定の条件を満たした

100万円以上の委託事

案(コンサル)

・商工組合中央金庫
・広島銀行
・中国銀行
岡山市中小企業支援事業

補助金

京都府京都市

(2021年4月導入)

京都発革新的医療技

術研究開発助成事業

・商工組合中央金庫
新たな森林経営担い手

支援補助金

静岡県伊豆の国市

(2022年4月導入)

測量業務 伊豆の国市が競争入札で

発注した50万円以上の建設

関連業務

・商工組合中央金庫
・静岡銀行
・株式会社セゾンファンデックス
建築・土木関係建設

コンサルタント業務

・地質調査及び補償関係

コンサルタント業務

POファイナンスを有効利用して事業を安定・成長させよう

POファイナンスを有効利用して事業を安定・成長させよう

POファイナンスは、受発注書を担保にして金融機関から融資を受けることができる日本では新しい資金調達方法です。国・地方自治体からの補助金や受注にも対応しています。そのため、これまで手元に資金がなく、大口の受注や国・地方自治体からの補助金・受注などを諦めていた企業でも受注・申請ができるようになり、大きな売上を見込めるでしょう。

しかし、POファイナンスは、の対応金融機関が少ない、手数料・金利が高くなる可能性があるなどのデメリットもあります。デメリットを考慮に入れたうえで、POファイナンスをファクタリング、ABLなどと使い分けて活用すれば、事業を安定・成長させることができるでしょう。

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