「注文書買取サービスを利用したいけれど、何かデメリットもありそうで、利用するのが怖い」
注文書買取サービスは、業務開始前に売上の調達が実現する便利なサービスです。しかし、利用を検討している人のなかには、上記のような不安を抱えている人もいるかもしれません。
確かに注文書買取サービスには隠れたリスクも存在します。このリスクをしっかりと把握したうえでサービスを有効利用しないと、事業の足を引っ張るという事態に陥るかもしれません。
そのため、サービス利用でどのようなリスクが発生するのか、しっかりと理解する必要があります。
今回は、注文書買取サービスの利用におけるリスクやメリット、リスク回避のポイントなどについて、詳しく解説していきましょう。
注文書買取サービスとは?
注文書買取サービスとは、発注企業から受け取った注文書を債権とみなしてファクタリング業者へ売却し、受注段階から受注金額の一部を受け取る資金調達方法です。
ファクタリングは、従来は納品と同時に発注企業へ発行する請求書を売却して早期に資金化する資金調達方法です。
しかし、注文書買取であれば受注段階から売上相当額を資金化できるため、受注に伴い発生する増加運転資金が手元になくても、注文書買取で先に売上を受け取ることによって、増加運転資金を早期に確保することが可能です。
また、請求書買取が納品日から入金日までの資金ギャップを埋められることに対して、注文書買取は受注日から入金日までの資金ギャップを埋められるため、より長い期間資金ギャップを埋められます。
一般的に注文書買取は最大6ヶ月先が入金日までの注文書を売却できるため、最大3ヶ月先が入金日の請求書しか買い取れない請求書買取よりも資金繰り改善効果が大きい資金調達方法だといえます。
注文書と請求書の違い
注文書は、発注企業から受注企業へ発行されるものです。受注企業は注文書を受け取ったら仕事に取り掛かるため、注文書は業務に取り掛かる前に発行される書類です。
一方、請求書は受注企業が発注企業に対して納品が完了したら、納品と同時に代金を請求する目的で発行する書類です。発注企業は請求書に基づいて所定の入金期日までに請求書記載の金額を支払います。
注文書→納品→請求書→入金という時系列で発注、請求、入金が行われます。
注文書は一連の取引の流れの中で最初に発行される書類ですので、注文書買取は最も長い期間資金ギャップを埋められる資金調達方法です。
一方、請求書は納品後に発行される書類ですので、納品が完了して請求書を発行してからでないと請求書買取は利用できません。
注文書と発注書の違い
注文書と似た言葉に発注書があります。
それぞれの言葉に大きな意味の違いはありません。どちらも「発注企業からの注文内容を記載した書類」という意味ですので、注文書も発注書も注文書ファクタリングに利用できます。
なお、発注企業からの要望や加工や制作が多い場合や金額が大きい場合に発注書という言葉を使い、受注企業が作った製品などをそのまま注文する場合に注文書という言葉を使うことが多いようです。
いずれにせよ、正式な受注を受ける際に発行される書類ですので、大きな意味の違いはありません。
注文書買取サービスを利用する流れ
注文書買取サービスは次のような流れで利用します。
- 取引先から注文書を受け取る
- ファクタリング会社へ売却
- 業務に取り掛かる
- 商品やサービスを納品する
- 発注企業へ請求を出す
- 発注企業から代金を受け取る
- ファクタリング会社へ送金する
基本的には請求書買取サービスと同じですが、注文書買取は資金調達できるタイミングが請求書買取と異なります。
注文書買取を利用する流れを詳しく解説していきます。
①取引先から注文書を受け取る
発注企業から正式な受注があると注文書を受け取ります。
注文書には受注内容の詳細や数量や単価などが記載されています。
初めて取引をする場合には、発注書が送られてくる前に見積もり依頼書が届き、受注企業が発行した見積書の内容に基づいて、正式に注文書を受け取るのが一般的です。
②ファクタリング会社へ売却
取引先から注文書を受け取ったら、当該注文書をファクタリング会社へ売却します。
ファクタリング会社によって必要書類は異なるものの、一般的には次のような書類を添付して申し込みをおこないます。
- 注文書
- 取引先からの入金が確認できる通帳の写し
- 決算書・確定申告書
- 取引先との取引基本契約書
早いファクタリング会社であれば、審査完了まで最短即日で、当日中に入金を受けられることもあります。
ファクタリング会社によって手数料はかなり異なるため、時間に余裕をもって複数社から査定を取っておいた方がよいでしょう。
契約完了後、ファクタリング会社から次の計算式で算出された金額が入金になります。
注文書金額×掛目ー手数料
注文書買取の場合、掛目は70%程度で、受注金額の70%程度があらかじめ入金され、残りは入金期日に代金が入金になった際に受け取れます。
また、手数料は10%〜20%程度となっています。
受注金額全額を受け取れるわけではない点に注意してください。
③業務に取り掛かる
注文書買取によって受注金額を事前に受け取ったら、当該資金を元手に業務に取り掛かります。
注文書に記載した納期通りに商品やサービスを納品しないと、入金日が遅くなってしまい、ファクタリング会社へ代金を支払う日に遅れてしまう可能性があるため、納期は必ず守って業務に取り掛かってください。
④商品やサービスを納品する
納期に商品やサービスを発注企業に対して納品します。
これはファクタリングやファクタリング会社は無関係ですので、いつも行っている通りに納品をしてください。
⑤発注企業へ請求を出す
納品が完了したら発注企業は請求書を発行しましょう。
ここで重要なことは入金予定日を当初ファクタリング会社と約束した期日までに設定するということです。
請求書に記載した入金日をファクタリング会社と約束した日付よりも後にしてしまったら、ファクタリング会社は約束した期日に代金を回収できません。
この場合、ファクタリング会社から発注企業へ督促がおこなわれ、注文書買取を利用したことを発注企業に知られてしまうリスクがあります。
注文書買取を利用した際にファクタリング会社と約束した期日までに確実に代金が支払われるように、請求書には正確な入金期日を記載するようにしてください。
⑥発注企業から代金を受け取る
請求書に記載した入金期日になると、発注企業から受注企業に対して代金の支払いが行われます。
注文書買取は2社間ファクタリングで実施されるので、発注企業は注文書買取を利用したことを知りません。
そのため、入金期日になると通常時と同じように発注企業から受注企業(ファクタリング利用者)の口座へ代金の支払いが行われます。
⑦ファクタリング会社へ送金する
発注企業から受け取った代金を受注企業がファクタリング会社へ送金します。
2社間契約の際には、受注企業(ファクタリング利用者)はファクタリング会社と回収代行契約を締結しています。
これは、本来であればファクタリング会社が回収すべき債権(注文書買取で売却した債権)を受注企業がファクタリング会社に代わって回収するという契約です。
この契約に基づいて、受注企業はファクタリング会社に対して回収した代金を速やかに送金しなければなりません。
通常は、入金日から3日〜1週間程度がファクタリング会社への送金期日になります。
期日までに送金されないと、ファクタリング会社から発注企業へ督促が行われる可能性があるため、必ず約束した期日までにファクタリング会社へ送金するようにしてください。
注文書買取サービスのメリット
注文書買取のリスクについて解説する前に、メリットについても詳しく説明していきます。
注文書買取サービスには次のようなメリットがあります。
- 受注段階から資金調達できる
- 発注企業の信用で審査を受けられる
- 発注企業に知られない
- 貸倒リスクを売却できる
- 入金サイトを最大6ヶ月短縮可能
- 最短即日で資金調達できる
- 借入ではない
請求書買取のメリットに加えて、受注段階から資金調達できる点はメリットです。
注文書買取サービスの5つのメリットを解説します。
受注段階から資金調達できる
注文書買取の最大のメリットは、受注段階から受注金額を資金化できる点です。
一般的なファクタリングである請求書買取は納品が完了して請求段階にならないと資金調達できません。
そのため、業務遂行に必要な運転資金は別途確保する必要があります。
しかし注文書買取であれば、業務遂行前に資金調達できるため、業務遂行に必要な運転資金の確保が容易です。
受注金額が大きくなればなるほど運転資金が増加します。これを増加運転資金といいます。
増加運転資金は金融機関の引当融資などでも確保できますが、審査が厳しく調達までに時間もかかります。
しかし、注文書買取を利用することでスピーディーかつ簡単に増加運転資金の確保ができる点は非常に大きなメリットです。
発注企業の信用で審査を受けられる
注文書買取は発注企業の信用で審査を受けられる点も大きなメリットです。
注文書買取は注文書を債権とみなし、その債権をファクタリング会社へ売却する資金調達方法です。
売却後は債権者はファクタリング会社、債務者は発注企業になるので、審査では「発注企業が期日通りに代金を支払えるかどうか」が重視されます。
そのため、受注企業が赤字や債務超過で銀行融資の審査に通過できない場合でも、発注企業の信用にさえ問題がなければ、審査に通過して資金調達ができる可能性があります。
発注企業が、大手企業、優良企業、官公庁、毎月受注があり入金期日に遅れがない企業などであれば
問題なく審査に通過して資金調達できるでしょう。
自社ではなく、他社の信用で資金調達できる点はメリットです。
発注企業に知られない
注文書買取は2社間契約で取り扱われます。
契約当事者はファクタリング会社と利用者の2者だけですので、発注企業に注文書買取を利用したことを知られる心配はありません。
またあまり利用者が多くない注文書買取を利用したことを発注企業に知られてしまうと「資金繰りが悪いのではないか」「怪しい方法で資金調達している」などと自社をネガティブに評価されて、その後の取引に悪影響になってしまうリスクがあります。
しかし2社間契約で実施される注文書買取であれば、発注企業に知られずに資金調達できるため、自社の評価が下がる心配はありません。
貸倒リスクを売却できる
注文書買取は償還請求権なしで実施されます。
償還請求権とは、万が一売却した売掛債権が回収不能になった場合に、その損失を元の売主(注文書買取サービスの利用者)に対して請求するというものです。
注文書買取はこの償還請求権が「なし」で実施されるため、もしも売掛債権が回収不能になっても利用者には損失が及びません。
発注企業からの仕事を受注し、業務の仕掛かり中に発注企業が倒産してしまうことや、請求書を出したものの支払いが行われないことは決して珍しいことではありません。
しかし注文書買取を利用すれば、貸し倒れリスクを注文書買取業者が負ってくれるため、資金繰りや決算状況が心配な事業者とも安心して取引できます。
入金サイトを最大6ヶ月短縮可能
注文書買取を利用すれば、入金サイトを最大6ヶ月先まで短縮できます。
本来であれば6ヶ月先にならないと入金にならない売上が前倒しで入金されるため、資金繰りには非常に大きなプラスになります。
資金繰りの基本は、1日でも早く入金を受けて、支払いは1日でも遅らせることで、手元に資金が滞留する期間を少しでも長くすることです。
請求書買取であれば、最大3ヶ月しか入金サイトを短縮できませんが、注文書買取であれば最大6ヶ月間も入金サイトを短縮できる点は非常に大きなメリットです。
最短即日で資金調達できる
注文書買取は最短即日で資金調達できる点も大きなメリットです。
申込日当日に注文書を売却できるため、緊急で資金が必要になったときにも活用できます。
取引先からの受注に基づく増加運転資金を銀行から借り入れる方法として引当融資がありますが、引当融資は申込から融資金の振込までに2週間前後の時間がかかります。
そのため、「すぐに受注に対応した運転資金を確保したい」という場面では、引当融資では間に合わないことがほとんどです。
注文書買取であれば、申込から融資まで最短即日ですので、緊急でお金が必要になった場面でも活用できます。
借入ではない
注文書買取は借入ではない資金調達方法です。
注文書を売掛債権と見做して売買する行為ですので、会計上は資産を売却して現金に換えています。
借入ではないので、貸借対照表に負債として計上されません。
借入金で資金調達する場合は、貸借対照表に負債として計上されるので、負債が増えた分だけ自己資本比率が下がり、貸借対照表の総額は大きくなってしまいます。
今は、できる限り不要な資産も負債も持たないオフバランス経営が評価される時代です。そのため、借入によって資金調達するよりも注文書買取で資金調達した方が、貸借対照表の外部からの評価が下がることはありません。
また、自己資本比率が低下すると安全性や健全性に対する評価が下落しますが、注文書買取を利用して資金調達することで自己資本比率が下がるようなこともありません。
注文書買取は借入ではないので、外部からの貸借対照表に対する評価が下落しない点は非常に大きなメリットです。
注文書買取サービス、利用した場合のリスクとは?
請求書買取や融資よりもメリットの多い注文書買取サービスですが、利用することによって次の7つのリスクがあるため、リスクも認識したうえで利用することが重要です。
- 手数料が高い
- サービス会社が少ない
- 請求書買取より審査が厳しい
- 長期的に資金調達が資金繰りにマイナス
- 個人事業主が利用できないことが多い
- 注文書の金額全額の資金調達はできない
- 3社間ファクタリングを利用できない
資金調達にかかるコストは高額になりますし、審査が厳し点などには注意が必要です。
また短期的な資金繰りにはプラスでも、長期的にはマイナスになる可能性が高い点は大きなリスクだといえます。
注文書買取サービスの7つのリスクについて詳しく解説していきます。
手数料が高い
注文書買取サービスは請求書買取と比べて手数料が高額になるのが一般的です。
請求書買取の2社間契約では5%〜20%程度が相場です。
しかし注文書買取では手数料が2割程度請求書買取よりも高額になります。
例えば、6ヶ月先が期日の注文書を手数料20%で売却した場合、年利に換算すると40%もの利率になります。
銀行融資の場合は、年利で1%〜4%台というのが相場ですので、注文書買取サービスは融資の金利の10倍〜40倍程度のコスト負担になります。
利用しすぎると、手数料負担によって収益と資金繰りを圧迫する可能性が高いため、利用するのは緊急時のみとし、基本的には負担の少ない銀行融資を利用した方がよいでしょう。
サービス会社が少ない
注文書買取サービスは取り扱っている業者が少ないため、請求書買取のように多様な選択肢から1社を選ぶということが不可能です。
メジャーなファクタリング会社の中でも注文書買取を取り扱っているのは4〜5社程度で、オンライン完結型のメジャー業者である、OLTAやラボルなどでは取り扱いがありません。
その分、請求書買取に比べて悪徳業者が少ないのはメリットですが、複数社を比較して手数料の低い業者を選択することは不可能です。
請求書買取より審査が厳しい
注文書買取サービスの審査は、通常のファクタリングよりも厳しい審査基準といわれています。その基準は公にはされていませんが、一般的には以下の6つの項目が主な基準といわれています。
- 売掛先の社会的信用度
- 売掛先とサービス依頼主との取引歴
- 売掛債権の健全さ
- 売掛債権の金額
- 利用者の経営状態
- 税金の滞納
最も重視されるのは、売掛先企業の信用ですが、2社間契約でおこなわれる注文書買取では利用者の信用も重視されます。
注文書買取の6つの審査基準について詳しく解説していきます。
売掛先の社会的信用度
ファクタリング会社の回収先はサービス利用者ではなく売掛先企業なので、売掛先が安定した会社であるかが重要。大手企業、優良企業、上場企業、官公庁などが売掛先企業であれば信用度が高いため、審査に通過しやすい。
売掛先とサービス依頼主との取引歴
取引歴が長く毎月のように継続的に入金があり、過去の支払いに遅れたことがない取引先が審査で有利になる。反対に過去に両者の間でトラブルがあった場合、取引歴が短い場合だと審査が通過できない可能性もある。
売掛債権の健全さ
本当に存在する売掛債権なのか、売掛先の社会的な信用度があるかを審査。金額や納期や注文内容が利用者の売上規模や業種から考えて不自然な場合は審査に通過できないことがある。
売掛債権の金額
ファクタリング会社にとって、売掛金が高ければそれだけ手数料も高くなり利益になるので、売掛金が高いほうが審査に通過しやすい。ただし、利用者の売上規模から考えて不自然な金額の場合には審査でマイナスになる。毎月継続的に受注している程度の金額の方が審査で有利。
利用者の経営状態
利用者の経営状態や資金繰りがあまりにも悪いと、注文書の偽造、二重譲渡などが疑われる。また、資金繰りが悪いと入金日に売掛先から入金になった代金を流用するリスクも懸念される。赤字や債務超過でも審査には通過できるが、今日明日にも資金ショートしそうな利用者は審査に通過できないこともある。
税金の滞納
納税証明書の提出は不要だが、売掛先の信用度が確認できない場合、納税履歴を調べられることもある。また、ファクタリング会社によっては審査の際に納税証明書の提出を求められることがある。
税金滞納があっても売掛債権に信用があれば審査に通過できる可能性が高いが、稀に税金滞納で審査に落ちることがある。
先述した通り、注文書買取は、通常のファクタリングと比較して未回収リスクが高いので、ファクタリング会社は審査を厳重に行います。申し込みをした場合、審査の通過が難しい事業者もいるかもしれません。
長期的に資金調達が資金繰りにマイナス
注文書買取は長期的な視点で見ると、資金繰りにはマイナスになります。
売上金額の20%近くもの金額を手数料として控除されてしまうため、その分入金額は少なくなります。
また、そもそも注文書買取は数ヶ月先には入金になる予定の代金を前倒しで受け取っているだけですので、本来の入金期日になったら、再び資金繰りが苦しくなることが予想されます。
その際に、再び注文書買取を利用してしまったら悪循環に陥ってしまうため、注文書買取で調達した資金が手元にある間に次のような施策で資金繰りを本質的に改善するようにしてください。
- 不要な資産を売却する
- 銀行から長期借入金を調達する
- 経営改革をして収支の改善を図る
注文書買取はあくまでも臨時の資金調達手段であると認識し、長期の資金繰り計画をしっかりと立てておきましょう。
個人事業主が利用できないことが多い
注文書買取を取り扱う業者は「法人専用」となっているケースが多々あり、個人事業主やフリーランスが利用できる業者はごくわずかです。
請求書買取であれば、個人事業主やフリーランスが利用できる業者は多いですが、注文書買取では利用できる業者が少ないため、ただでさえ選択肢の少ない注文書買取ですが、個人事業主やフリーランスはさらに選択肢が狭まってしまいます。
個人事業主やフリーランスの方は「自分でも利用できるか」ということを慎重に確認し、申し込みをおこなってください。
注文書の金額全額の資金調達はできない
注文書買取では注文書の金額の全額を資金調達できるわけではありません。
注文書買取では掛目が設定されるので、掛目を乗じた金額から手数料を控除した金額が手元に入金になります。
注文書買取は請求書買取よりもファクタリング会社にとって不確実性が高いので、掛目も広く設定されています。
一般的には掛目は60%〜70%程度ですので、例えば1,000万円の注文書であれば、600万円〜700万円から手数料を控除した金額が入金される仕組みです。
なお、残りは注文書の金額が発注企業から入金になった段階で精算されます。
原価率の高い仕事の場合には、注文書買取で調達した資金だけでは必要な運転資金を調達できる可能性があるので注意してください。
3社間ファクタリングを利用できない
注文書買取では3社間ファクタリングは利用できません。
注文書買取は2社間ファクタリング専用の商品となっています。
2社間ファクタリングは取引先の同意を得ずに契約ができるため、取引先にファクタリングの利用を知られない点はメリットです。また利用者とファクタリング会社の2者のみで契約するため、最短即日で資金調達可能です。
しかしその一方で、2社間ファクタリングは3社間ファクタリングと比較して手数料が高額です。
2社間ファクタリングの手数料相場は5%〜20%程度ですが、3社間ファクタリングの手数料相場は1%〜5%程度とかなり低くなっています。
注文書買取は2社間ファクタリングでのみ取り扱われているため、高額な手数料を負担せざるを得ない点はデメリットです。
注文書買取と他の資金調達方法とのリスクの違い
注文書買取と他の資金調達方法の違いをしっかりと把握して、それぞれの方法に内在するリスクを理解したうえで使い分けることが重要です。
- 請求書買取
- 手形割引
- 銀行や日本政策金融公庫からの借入
- ビジネスローン
- 補助金・助成金
それぞれの資金調達方法にはどのようなリスクがあるのか詳しく解説していきます。
請求書買取
請求書買取とは納品し売上計上済みの請求書をファクタリング会社へ売却して資金化する方法です。
注文書買取は仕事に取り掛かる前の注文書を資金化することと比較すると、請求書買取の方が、資金化するタイミングは後になります。
請求書買取と注文書買取の違いは以下のとおりです。
- 注文書買取の方が手数料が高い
- 請求書買取は2社間と3社間を選べる
- 請求書買取の方が資金化のタイミングが遅い
- 注文書買取の方が審査が厳しい
- 注文書買取は取り扱う業者が少ない
どちらも、売掛債権を売却して資金化し、ノンリコース(売掛債権が支払い不能になっても申込企業に責任は及ばない)で資金調達できるという点は同じです。
しかし注文書買取は仕事に取り掛かる前の注文書を売却するため、ファクタリング会社にとっては請求書買取よりもリスクが高くなります。
そのため、注文書買取の方が審査が厳しく手数料も高くなり、取り扱っている業者も多くありません。
一般的には注文書買取の手数料は請求書買取よりも2割程度高くなります。
注文書買取は発注段階で資金が必要な状況以外では金銭的なリスクが大きいので、手元に請求書があるのであれば請求書買取を利用した方がよいでしょう。
手形割引
手形割引とは、取引先から代金の支払いとして受け取った約束手形を金融機関へ売却して期日前に資金化する方法です。
売掛債権を期日前に資金化する方法としては請求書買取や注文書買取と同じです。
しかし手形割引には以下のような特徴があります。
- 資金化できるのは手形だけ
- 手数料は1%〜5%程度
- 償還請求権がある
- 初めての取引の場合1週間程度の時間がかかる
手形割引と注文書買取や請求書買取の違いは重要なので詳しく解説していきます。
資金化できるのは手形だけ
手形割引では資金化できるのは約束手形のみです。
売掛金も注文書も資金化できません。
約束手形が発行されるのは、商品やサービスを納品した後ですので、約束手形が資金化できるタイミングは請求書買取と同じで、注文書買取よりは後になります。
手数料は1%〜5%程度
手形割引は主に銀行で取り扱っている資金調達方法ですので、手数料が非常に安く、年利で1%〜5%程度となっています。
請求書買取と注文書買取の手数料相場は2社間で8%〜20%程度、3社間で2%〜8%程度ですので、手形割引の方が資金調達にかかるコストはかなり安くなっています。
償還請求権がある
手形割引と請求書・注文書買取との最も大きな違いは償還請求権の有無です。
手形割引は償還請求権あり(ウィズリコース)で取り扱われるため、もしも手形が不渡りになったら、裏書譲渡している申込企業にも責任が及びます。
そのため、申込企業に対しても厳格な審査が行われ、赤字や債務超過の企業が申し込んでも審査に通過できないこともあります。
一方、請求書・注文書買取は償還請求権なし(ノンリコース)で取り扱われるため、ファクタリング後に売掛債権が支払不能になっても申込企業には責任は及びません。
そのため、審査の大部分を占めるのが売掛先企業の信用になり、優良企業に対する売掛債権であれば高い確率で資金化できるでしょう。
資金化する際に、売掛債権のリスクを一緒に売却できるのが請求書・注文書買取で、リスクまでは売却できないのが手形割引です。
初めての取引の場合1週間程度の時間がかかる
請求書・注文書買取は初めての取引でも最短即日で資金化できる業者は多数あります。
一方、手形割引はあらかじめ銀行に手形割引の枠を作っておけば即日資金化できますが、そうでない場合には1週間程度の時間がかかります。
急いでいる時には請求書・注文書買取の方が資金調達できる可能性は高いでしょう。
銀行や日本政策金融公庫からの借入
銀行や日本政策金融公庫から、事業者は運転資金や設備資金を借りることができます。
主な特徴や注文書買取との違いは以下の通りです。
- 金利1%〜3%程度の低金利で借りられる
- 資金化までには2〜3週間かかる
- 負債として貸借対照表に記載される
注文書買取と銀行・日本政策金融公庫からの借入との違いについて詳しく解説していきます。
金利1%〜3%程度の低金利で借りられる
銀行や日本政策金融公庫の最大の特徴は金利の低さです。
審査や利用する制度にもよりますが、基本的には1%〜3%台の低コストで借入できます。
ファクタリングの手数料が2%〜20%程度で年利に換算すると100%を超えることを鑑みれば、銀行や日本政策金融がいかに低コストで資金調達できるか分かります。
資金化までには2〜3週間かかる
銀行や日本政策金融公庫は金利が低い分、審査はかなり丁寧におこない、申込から融資まで2〜3週間程度の時間が必要です。
初めて取引をおこなう金融機関からお金を借りる際には、さらに借入までに時間がかかり、場合によっては1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
急いでいるときには銀行や日本政策金融を利用することはリスクが高くなりますが、時間に余裕があるのであれば、銀行や日本政策金融公庫で資金調達する方がよいでしょう。
借入金として貸借対照表の負債として記載される
銀行や日本政策金融公庫からの借入は「借入金」として貸借対照表の負債の欄に計上されます。
負債が増えることは自己資本比率を悪化させるので、外部の金融機関や投資家からの自社がネガティブに評価されるリスクがあります。
また、負債が増えた分、貸借対照表全体が大きくなってしまいます。請求書・注文書買取などのファクタリングであれば売掛金を現金預金と交換しているだけですので貸借対照表は大きくならず、オフバランス化に貢献します。
今は、できる限り不要な資産や負債も持たないオフバランス経営が評価される時代ですので、貸借対照表の見た目はファクタリングの方がよくなります。
外部から資金調達したことを知られたくないのであれば、請求書買取や注文書買取などのファクタリングを利用したほうがよいでしょう。
ビジネスローン
ビジネスローンとは消費者金融やカード会社などの民間の貸金業者が取り扱う事業資金です。
最短即日で資金調達できるという点では注文書買取と同じですが、その他の点では多くの違いがあります。
注文書買取との主な違いは以下の通りです。
- 資金調達額は500万円程度まで
- 申込企業の代表者の個人信用情報が審査される
- 借入金として貸借対照表の負債の欄に記録される
ビジネスローンと注文書買取との違いを詳しく解説していきます。
資金調達額は500万円程度まで
ビジネスローンで借入ができるのは500万円程度が限度です。
ビジネスローンは無担保で中小事業者に対して融資をおこなうものです。そのため数千万円規模の大きな融資は原則的におこなっていません。
注文書買取であれば1億円を超えるような高額な融資をおこなうこともあるので、中規模以上の会社も利用できます。
ただし、ビジネスローンも不動産を担保にした不動産担保ローンであれば、不動産担保評価額の範囲内で数億円程度の融資を受けることも可能です。
申込企業の代表者の個人信用情報が審査される
ビジネスローンで主に審査されるのは、申込企業の代表者の個人信用情報です。
企業が赤字や債務超過でも代表者の個人信用情報に問題がなければ融資を受けられる可能性が高くなります。
一方、注文書ファクタリングで審査されるのは売掛先企業の信用です。
申込企業の業況が悪くても、売掛先企業の信用に問題がなければ審査に通過できる可能性は高いでしょう。
注文書買取の審査では個人信用情報の確認はおこなわないので、代表者の信用情報がいわゆるブラックという状態でも資金調達できます。
どちらも企業の業況は審査でそれほど重視されないという点は同じです。
しかし審査で重視される点は異なるので、代表者の信用情報や売掛先企業の信用などを勘案して適切に使い分けましょう。
借入金として貸借対照表の負債の欄に記録される
ビジネスローンは借入金ですので、貸借対照表の負債の欄に記録されます。
これによって貸借対照表の外部からの評価が悪くなる可能性があります。
さらに貸借対照表には「どこからいくら借り入れたのか」も記載されるので、メインバンクに「ビジネスローンを利用した」ということを知られてしまいます。
銀行はビジネスローンを利用している企業をネガティブに評価する傾向があるため、ビジネスローンを利用したことによって銀行からの評価が下がってしまう点も大きなリスクです。
補助金・助成金
補助金や助成金は、国や行政が特定の政策目標を叶えるために必要な事業をおこなう事業者に対して一定額を補助する制度です。
返済不要という点は注文書買取と同じですが、補助金・助成金には以下の特徴があります。
- 補助金・助成金は後払い
- 特定の使い道にしか利用できない
- 必ず受け取れるとは限らない
補助金や助成金は後払いです。
そのため、最初に事業に必要な経費の調達は自分で行わなければなりません。
また、調達したお金は何に使ってもよいわけではなく、あらかじめ決められた特定の使い道以外には1円も使えませんし、何にお金を使ったのかは領収書でしっかりと管理されます。
補助金には採択があり、審査を突破して採択されなければ受け取ることはできません。
補助金によっては採択率が20%を切るようなものもあるので、誰でも必ず資金調達できるわけではないのはデメリットです。
補助金が採択されてから入金になるまでの間は、当該事業に必要な資金を自社で用意して支払いをしなければなりません。
この際のつなぎ資金としてファクタリングや融資などを利用することは可能です。
リスクを抑えて注文書買取サービスを利用する方法
注文書買取サービスの利用を検討している場合、サービスにどのようなリスクがあるのかを把握したら、次にやるべきことはそのリスクへの対処法を覚えておくことです。
では、リスク回避の対処法とはどういったことをすればいいのか、具体的な2つの方法について、詳しく見ていきましょう。
受注する案件の種類によって利用する
ファクタリングサービスの賢い使い方は、受注する業務の規模の大小によってサービスを使い分けることです。以下のような使い分けがよいでしょう。
・注文書買取サービス
手数料がかかるが入金スピードが早いので、経費がかかる大型の案件の場合に利用
・請求書買取サービス
注文書買取に比べると手数料は安いが入金に時間がかかるので、納期に余裕がある、経費がそれほどかからない案件の際に利用
注文書買取サービスは確かに便利ではありますが、こればかり利用していると手数料の支払いがかさんでしまい、結果的に会社の出費が多くなる傾向に陥る可能性もあります。
その時々の業務の状況を見て、各サービスを利用しましょう。
長期的な計画を立てる
注文書買取サービスを利用する前にやるべきことは、事前に長期的な計画を立てることです。このサービスに頼りっぱなしになると、自転車操業になって利益が生まれにくいという悪循環に陥る可能性もあります。
そのような事態を避けるために、目先の資金だけを見ないで長期的な計画を立てることが必要です。サービスで得られる資金、その資金でどれくらいの経費がかかって将来どのように利益が生み出されるかという、コスト・インカム・キャッシュフローをしっかり把握しなくては、自転車操業が延々と続くでしょう。
自転車操業から抜け出すには、単発・小規模な案件から、中・長期の案件・中大規模な案件の受注を増やすことです。
それにより、注文書買取サービスへの依存度は低くなり、利益も生まれるでしょう。
収入と経費の差額を事前に計算してどうやったら事業を拡大していけるか、という長いスパンで事業を展開していくことが大事といえます。
リスクを抑えられる!注文書買取のおすすめ利用シーン
注文書買取にはリスクがありますが、適切に利用することで資金繰りには大きなプラスになります。
リスクを抑えて注文書買取を上手に活用できる場面は次のようなシーンです。
- 大口の受注が入ったが増加運転資金がない
- 長期的に資金繰りを改善したい
- 支払いが心配な取引先から受注が入った
- 融資審査に落ちてしまった
- 売却できる請求書がない
注文書買取であれば、融資や請求書買取では対応できない場面でも、円滑に円滑に資金調達できる可能性があります。
リスクを抑えて注文書買取が活用できる5つの場面を解説していきます。
大口の受注が入ったが増加運転資金がない
大口の受注が入ると、その受注に対応した運転資金が必要です。
例えば、原価率70%の仕事を1億円受注した場合、1億円の売上に対応した運転資金は7,000万円です。
この場合、手元に7,000万円もの資金がないと仕事を完遂できません。
そのため、急に大きな仕事の話がきたときに「増加運転資金を用意できないので、仕事を断ってしまった」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
注文書買取であれば受注金額相当をすぐに資金化できるため、大口の注文が入ったときでも増加運転資金を気にすることなく仕事を受注できます。
注文書買取を利用することで、増加運転資金を気にすることなく、大きな仕事を受注できる点はメリットです。
緊急で大口の受注があった際には活用しましょう。
長期的に資金繰りを改善したい
長期的に資金繰りを改善したい場合にも、注文書買取が活用できる場合があります。
注文書買取は最長で6ヶ月先が入金期日の注文書を資金化できるため、長い期間資金を手元に確保できます。
請求書買取であれば、最長で3ヶ月程度、短い場合には1ヶ月未満しか資金調達を前倒しできないので、資金繰り改善効果はそれほど大きくありません。
注文書買取は請求書買取よりも資金繰り改善効果が大きいので、長期的に手元に多くの資金を確保して安定した経営をしたい方におすすめです。
ただし、無計画に利用すると、手数料負担等でむしろ資金繰りが悪化する可能性があるため、長期の計画を立てたうえで利用しましょう。
支払いが心配な取引先から受注が入った
支払能力に不安がある取引先から受注が入った場合にも注文書買取は活用できます。
支払いが心配な取引先からの注文書をファクタリング会社へ売却できれば、当該注文書の未回収リスクはファクタリング会社が負ってくれるため、利用者は安心して業務を遂行できます。
初めて取引をする企業、地域からあまりいい噂がが聞こえてこない企業などからの注文は「本当に支払いが行われるのか」という懸念が生じるため、仕事を受けることに対して及び腰になってしまう方も少なくありません。
しかし、支払いが不安な企業からの受注ほど注文書買取を利用すれば、支払いに対して不安がなくなるため安心です。
「この取引先は支払いが不安だな」と感じる企業や、初めて取引をする企業から受注があった際には注文書買取を利用しましょう。
融資審査に落ちてしまった
融資審査に落ちてしまった場合にも注文書買取は活用できます。
銀行や日本政策金融公庫からの借入は赤字や債務超過の企業は審査で非常に不利になるので借入できない可能性が高いといえます。
また、税金を滞納している事業者も銀行や日本政策金融公庫から事業資金融資を受けることはほぼ不可能です。
しかし、注文書買取であれば、発注企業の信用で審査を受けられるため、赤字・債務超過・税金滞納があっても審査通過は可能です。
融資審査に落ちて、お金を借りられないという状況の事業者は注文書買取の利用を検討しましょう。
売却できる請求書がない
「請求書買取を利用したいが、売却できる請求書がない」という場合は注文書買取であれば早期資金が可能です。
会社が営業しているということは、何かしらの仕事を受注しているということですので、全く手元に注文書がないという状況はほとんどありません。
運営している限りは何かしらの注文書は手元にあるはずですので、融資や請求書買取を利用できない場合には注文書買取を利用するとよいでしょう。
資金調達の最後の手段としても注文書買取は活用できます。
リスクを抑えた資金調達ができるおすすめ業者5選
注文書買取には「業者選びが難しい」「手数料が高い」などのリスクがありますが、これらのリスクをできる限り抑えて資金調達できるおすすめの業者は次の5社です。
- ベストペイ
- ビートレーディング
- トップマネジメント
- GMO BtoB 早払い
- ネクストスタイル
それぞれの買取業者の特徴や取り扱っているファクタリングのスペックなどについて詳しく解説していきます。
ベストペイ
売掛先の承諾 | 不要(2社間契約) |
---|---|
入金までにかかる時間 | 最短翌日 |
利用限度額 | 100万円~3億円程度 |
買取手数料 | 5%~ |
個人事業主の利用 | 可能 |
必要書類 | ・注文書(発注書) ・通帳3ヶ月分(表紙付き) ・本査定申込書 |
ベストペイ(BEST PAY)は独立系のファクタリング会社として評価の高いベストファクターを運営している株式会社アレシアが提供する注文書買取専門のサービスです。
最大180日先の注文書まで資金化できるので、リスクの高い納期が先の発注があっても、最短翌日には増加運転資金を確保できます。
ただベストファクターが契約時には面談が必要になるのと同じように、ベストペイも契約時には面談が必要になります。
そのため、東京の事務所から遠方の事業者の方は契約手続きまでに時間がかかってしまうでしょう。
ベストファクターは担当者の知識が豊富で、審査の際にコンサルティングを受けられることでも知られています。
同じ会社が運営するベストペイでも、審査の際に財務コンサルティングを受けられるので、資金調達だけでなく、自社の財務状況の改善や分析などもおこないたい方にもおすすめです。
ビートレーディング
売掛先の承諾 | 不要(2社間契約) |
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入金までにかかる時間 | 最短即日 |
利用限度額 | 下限・上限なし |
買取手数料 | 2社間ファクタリング:4%~12%程度 3者間ファクタリング:2%~9%程度 |
個人事業主の利用 | 可能 |
必要書類 | ・注文書(発注書) ・通帳3ヶ月分(表紙付き) ・本査定申込書 |
ビートレーディングは店舗型の独立系ファクタリング会社として最も有名で業歴も長い企業の1つです。
取扱実績が非常に豊富で、累計5.2万社、累計買取額は1,170億円を突破しています。
豊富な買取実績がある安心できる企業と取引したい方にはおすすめです。
あらゆるファクタリングを取り扱っており、注文書も低コストでの買取を実施しています。
店舗型ですので面談は必須ですが、面談はオンラインでもおこなうことができ、最短4時間程度でオンライン契約も可能です。
担当者の知識レベルが高く、資金調達以外の相談もできるので、頼れる相談先を欲している方にもビートレーディングはおすすめのファクタリング会社です。
トップマネジメント
売掛先の承諾 | 不要(2社間契約) |
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入金までにかかる時間 | 最短即日 |
利用限度額 | 1億円 |
買取手数料 | 3.5%~12.5% |
個人事業主の利用 | 不可 |
必要書類 | ・注文書 ・決算書(2期分) ・入金の確認ができる通帳の写しなど |
トップマネジメントは店舗型の独立系ファクタリング会社として信頼と実績のある企業です。
注文書ファクタリングだけでなく、補助金の申請とファクタリングを同時に実施する「ゼロファク」や、売掛先からの入金専用の口座を作り、口座をトップマネジメントが管理することによって手数料を低くする「2.5社間ファクタリング」など、さまざまな形態のファクタリングを実施しています。
注文書ファクタリングは上限12.5%と比較的安価な手数料で利用できます。
ただし利用できる企業には以下の条件が設けられています。
- 設立から半年以上
- 月商500万円以上
- 法人のみ
売上規模が小さな法人や、個人事業主は利用できません。
一定以上の規模の会社が注文書を資金化したい場合には、トップマネジメントの利用を検討するとよいでしょう。
GMO BtoB 早払い
売掛先の承諾 | 不要(2社間契約) |
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入金までにかかる時間 | 最短で2営業日 |
利用限度額 | 買取1回あたりの合計金額が100万円以上 |
買取手数料 | 2.5%~12% |
個人事業主の利用 | 不可 |
必要書類 | ・注文書 ・決算書(2期分) ・取引の基本契約書 ・審査依頼書 |
大手インターネット企業であるGMOの子会社であり、東証プライム上場企業のGMOペイメントゲートウェイが運営するサービスです。
注文書買取を実施している企業としては最も大きな企業が運営しているので、「安心できる企業と取引したい」という方にはおすすめのサービスです。
買取金額は100万円以上、利用できるのは法人のみという縛りがついており、売上規模の小さな法人や個人事業主は利用できません。
利用する企業には専任の担当者がつき、しっかりとサポートするので「担当者にさまざまな相談ができる環境で取引したい」と考える企業にはおすすめです。
一定以上の規模の法人と、しっかりと取引するため、審査も時間をかけておこないます。
そのため、資金化までには最短2日とある程度時間がかかりますが、
ネクストスタイル
売掛先の承諾 | 不要(2社間契約) |
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入金までにかかる時間 | 最短即日 |
利用限度額 | 1社につき20万円~5000万円程度(買取上限1億円) |
買取手数料 | 10〜20%程度 |
個人事業主の利用 | 可能 |
必要書類 | ・注文書 ・入金が確認できる資料(通帳の写しなど) |
ネクストスタイルはオンライン完結型のファクタリング会社として、請求書だけでなく注文書の買取もおこなう非常に珍しいファクタタリング会社です。
ほとんどのファクタリング会社が契約時には面談(オンライン面談)が必須であるのに対して、ネクストスタイルは面談なしで注文書の売却ができます。
上限手数料は20%と高めですが、最短即日で注文書を資金化できるのは他のファクタリング会社にはないメリットです。
また、20万円から買取をおこなっているため、売上規模の小さな法人や個人事業主でも利用できる数少ないファクタリング会社です。
注文書買取のリスクについてよくある質問
注文書買取やそのリスクについてよくある質問をご紹介していきます。
注文書買取は個人事業主でも利用できますか?
個人事業主でも利用できます。
ただし請求書買取と異なり、注文書買取は個人事業主が利用できるファクタリング会社が非常に少なくなっています。
ベストペイやビートレーディング、ネクストスタイルなどへ相談するとよいでしょう。
注文書で融資を受ける方法と注文書買取は異なりますか?
注文書を担保にして融資を受ける方法をPOファイナンスなどと言います。
POファイナンスは主に銀行などの金融機関で取り扱っている融資です。
そのため、利用すると借入金として貸借対照表に記載され、返済義務もあります。
一方、注文書買取は注文書という売掛債権を売却して資金調達する方法ですので融資ではありません。
返済義務もありませんし、貸借対照表にも記録されませんが、POファイナンスよりも手数料は高くなるのが一般的です。
注文書買取と注文書ファクタリングは審査基準などが異なりますか?
注文書買取と注文書ファクタリングは言い方が異なるだけで、基本的には同じです。
どちらも注文書を売掛債権と見做して、当該売掛債権を売却して資金化する方法ですので、審査基準は以下のように共通しています。
- 売掛先企業(発注元企業)の信用
- 売掛先企業(発注元企業)との取引状況
- 発注書の納期
これらのポイントから、発注書どおりに納品でき、期日通りに入金があるかを審査します。
そのため注文書買取と注文書ファクタリングの審査基準は同じです。
注文書買取の代金を期日通りに支払わないとどうなりますか?
注文書買取の代金を期日通りにファクタリング会社へ支払わないと、ファクタリング会社から自社に対して「売掛先企業から入金があったか?」という問い合わせがあり、入金があった場合には「すぐに支払うように」と促されます。
また、売掛先企業から入金がない場合や、利用者の流用が疑われる場合には、ファクタリング会社が直接売掛先企業へ督促をおこなうのが一般的です。
ファクタリング会社が売掛先企業へ直接督促をおこなうと、売掛先企業へ注文書買取を利用したことを知られてしまい「資金繰りが悪い企業」などとネガティブに評価される可能性があります。
さらに、売掛先企業が代金を支払っているにもかかわらず、督促があった場合には、売掛先企業に代金流用がバレてしまうので、利用者の信用は大きく毀損することになるでしょう。
注文書買取の代金は必ず期日までにファクタリング会社へ支払ってください。
注文書買取とPOファイナンスとの違いを教えてください
注文書とはPurchase Orderと英語で表記されるため、POファイナンスは注文書を活用したファイナンス(資金調達)です。
しかし一般的にPOファイナンスとは、注文書を電子記録債権化したものを担保にして金融機関が融資をおこなうファイナンスを指します。
そのため、注文書買取とPOファイナンスは売買と融資という非常に大きな違いがあります。
どちらも売掛先企業の信用が審査で重要になりますが、以下の点で違いがあります。
注文書買取 | POファイナンス | |
---|---|---|
手数料・金利 | 20%程度 | 1%〜3%台 |
売掛先企業への通知 | なし | あり |
資金化までのスピード | 最短即日 | 2週間〜3週間程度 |
活用できる請求書の期間 | 最長6ヶ月先まで | 無制限 |
償還請求権 | なし | あり |
注文書買取は最短即日で償還請求権なしで利用できる点が特徴です。
一方、主に銀行からの借入であるPOファイナンスは低金利で利用できますが、資金化までには時間がかかり、もしも売掛先企業がデフォルトしてしまった場合には、利用者がその未回収リスクを負わなければなりません。
注文書買取サービスをご検討の方へ
注文書買取サービスはリスクがないとはいえませんが、今回の記事で紹介した通りメリットも多々あります。
特に資金繰りに頭を悩ませている中小企業の事業主にとっては、使い方次第で事業拡大につながる強い味方となってくれます。
ただし、サービスに頼りっきりになると事業が利益を生みにくい自転車操業になる可能性もあるでしょう。
どのようなリスクがあるのか、そのリスクを回避するためには何が大事かを、しっかりと把握することが必要です。
利用のタイミングさえ間違っていなければ、業務の心強いサポートとなってくれる注文書買取サービスを、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。