受注は決まったのに、材料費や外注費の支払いが先に来る。代金が入るのは納品した後で、それまで待てない。注文書買取を調べている方は、こうした状況だと思います。
注文書買取は、受注した時点の注文書を売り、納品前に代金を受け取る方法です。仕組みと請求書買取との違い、手数料から手取りを計算する方法、使うと損になる受注の見分け方までわかります。
注文書買取は、受注した時点の注文書を売って、納品前に代金を受け取る取引です。注文書ファクタリング、発注書ファクタリングとも呼ばれます。借入ではないため、返済の義務はありません。
手数料は請求書の買取より高めです。手元に残る金額は、手数料率と、受注額のうち何割を買い取るかの2つで決まります。
注文書買取の仕組みと、請求書の買取との違い
メリットと、契約前に知っておきたいデメリット
手数料と掛け目から手取りを計算する方法
その受注で使って採算が合うかの判断のしかた
注文書買取とは
注文書買取は、これから受け取る仕事の代金を、納品前にファクタリング会社へ売る取引です。注文書ファクタリング、発注書ファクタリングとも呼ばれますが、指しているものは同じです。
一般的なファクタリングで売るのは、納品して請求書を出した後の代金です。注文書買取では、注文書を受け取った時点で売れます。注文書を売れば、仕事に取りかかる前に資金を用意できます。
使い道は、材料費・外注費・人件費など、着手前に出ていくお金です。
まだ発生していない代金を売ることは、法律で認められています。2020年4月に施行された改正民法で、将来の代金も譲れることが条文に明記されました。
注文書買取の仕組みとお金の流れ
注文書を売って資金を受け取り、仕事を終えて代金が入ったら、その代金をファクタリング会社へ送ります。流れは、次の6つの段階です。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 発注元から注文書を受け取る |
| 2 | 注文書をファクタリング会社に売り、資金を受け取る |
| 3 | 受け取った資金で、材料費や外注費を払う |
| 4 | 仕事を終えて納品し、発注元へ請求書を出す |
| 5 | 支払日に、発注元から代金が入る |
| 6 | 入った代金をファクタリング会社へ送り、精算する |
契約は、自社とファクタリング会社の2社だけで結ぶのが一般的です。この形を2社間ファクタリングといいます。発注元への通知や承諾は要りません。
各工程の日数と、申込で聞かれること、提出する書類は注文書ファクタリングの流れ9工程にまとめています。
請求書買取との違い
違いは、資金にできる時期です。注文書買取は受注した時点、請求書の買取は請求書を出した後に資金にできます。
| 比べる項目 | 注文書買取 | 請求書買取 |
|---|---|---|
| 売るもの | これから発生する代金 | 金額が確定した代金 |
| 資金にできる時期 | 受注した時点 | 納品して請求書を出した後 |
| 手数料 | 高めになりやすい | 注文書より低めになりやすい |
| 契約の形 | 2社間ファクタリングが中心 | 2社間と3社間から選べる |
| 扱う会社の数 | 少ない | 多い |
| 審査で見られる点 | 発注元の支払能力と、自社が納品できるか | 主に取引先の支払能力 |
着手前の支払いに資金が要るなら注文書買取、納品が終わっているなら請求書の買取です。どちらを使うかの判断と、両方に対応する会社は、注文書買取と請求書買取の違いでまとめています。
注文書買取のメリットとデメリット
注文書買取の利点は、受注した段階で資金を用意できることです。その代わり、費用は請求書の買取より高くなります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 着手前に資金を用意できる | 請求書を出すまで待たずに、材料費や外注費に充てられます |
| 審査の中心が発注元になる | 自社が赤字でも、発注元の支払能力が確認できれば審査に進めることがあります |
| 発注元への通知や承諾が要らない | 2社間ファクタリングの契約なら、取引への影響を避けられます |
| 借入ではないため負債が増えない | 返済の義務がなく、決算書の借入金も増えません |
| 発注元が倒産しても弁済を求められない | 償還請求権のない契約の場合です。契約書で必ず確認してください |
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 手数料が請求書の買取より高い | 納品前で、代金が発生するかがまだ確定していないためです |
| 額面の全額は受け取れない | 受注額のうち買い取る割合を決めている会社があります |
| 3社間ファクタリングを選べない | 納品前に発注元の承諾を得るのが難しく、手数料を下げる選択肢がありません |
| 扱っている会社が少ない | 相見積りを取れる先が限られ、条件の比較がしにくくなります |
| 自社が納品できなければ守られない | 代金そのものが発生しないため、償還請求権のない契約でも対象外になるのが原則です |
デメリットは、どれも納品前に買い取ることが原因です。納品まで確実に進められる受注なら、費用の高さだけを見て判断できます。
注文書の額面・発注元・納期をお伝えいただければ、手数料の目安と振込額の見通しをお返しします。
発注元の承諾は不要です。契約の義務はありません。
手数料と手取りの考え方
注文書買取の手数料は、請求書の買取より高めです。手取りは手数料率だけでなく、受注額のうち何割を買い取るかで決まります。
手数料が高めになる理由
手数料が高いのは、代金が発生するかどうかが決まっていない段階で買い取るからです。途中で仕事が止まれば、代金は発生しません。ファクタリング会社は仕事が止まるリスクまで負うため、その分が手数料に上乗せされます。
| 手数料に関わる点 | 低くなりやすい場合 |
|---|---|
| 発注元の信用 | 官公庁や、経営が安定した企業 |
| 発注元との取引実績 | 取引が続いていて、入金の履歴がある |
| 支払日までの期間 | 期間が短い |
| 注文書の記載 | 金額・納期・支払条件がそろっている |
手取りの計算
受注額のうち買い取る割合を掛け目といいます。手取りは、買い取る額から手数料を引いた金額です。
| 計算例:1,000万円の注文書を掛け目80%・手数料10%で売った場合 | 金額 |
|---|---|
| 注文書の額面 | 1,000万円 |
| 買い取る額(掛け目80%) | 800万円 |
| 手数料(800万円の10%) | −80万円 |
| 着手前に受け取る額 | 720万円 |
上の例で買い取られなかった200万円は、支払日に発注元から入り、そのまま自社に残ります。
手数料率が低くても手取りが多いとは限らない
手数料率が低い会社のほうが、手取りが少なくなることがあります。掛け目が会社によって違うためです。
| 計算例(注文書1,000万円) | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 手数料 | 5% | 10% |
| 掛け目 | 50% | 85% |
| 着手前に受け取る額 | 475万円 | 765万円 |
見積もりを比べる基準は、手数料率ではなく、実際に振り込まれる金額です。
注文書の全額を売る必要はありません。先に出る費用の分だけを売れば、手数料の額も小さく済みます。売る額を選べるかどうかは、会社に確認します。
自社の受注で使うべきかの判断
使うかどうかを決めるのは、利益が残るかと、ほかの手段が間に合わないかの2点です。
手数料を払っても利益が残るか
粗利率が低い受注では、手数料で利益の大半が消えます。掛け目80%で売った場合に、粗利のうち何割が手数料になるかの目安です。
| 自社の粗利率 | 手数料5% | 手数料10% | 手数料15% |
|---|---|---|---|
| 10% | 粗利の40% | 粗利の80% | 粗利を超える |
| 20% | 粗利の20% | 粗利の40% | 粗利の60% |
| 30% | 粗利の13% | 粗利の27% | 粗利の40% |
| 40% | 粗利の10% | 粗利の20% | 粗利の30% |
利益が残らない受注で使っても、資金繰りは楽になりません。受けるかどうかは、次の受注につながるかまで含めて考えます。
ほかの手段が間に合わないか
注文書買取は、資金を用意する方法の中では費用が高いほうです。次の手段が使えるなら、先に検討します。
| 手段 | 費用 | 使える条件 |
|---|---|---|
| 着手金・前受金 | かからない | 発注元が応じてくれること |
| 公共工事の前払金 | 保証料のみ | 公共工事を受注していること |
| 銀行の融資 | 金利(手数料より低い) | 審査に数週間から1か月かかる |
| POファイナンス | 金利と利用料 | 取扱金融機関と取引がある法人。準備に1か月以上 |
| 請求書買取 | 注文書より低めの手数料 | 納品して請求書を出していること |
上の手段がどれも間に合わない、または使えないときに、注文書買取が選択肢になります。
注文書を担保に融資を受ける方法との違い
注文書を使った資金調達には、売買と融資の2つがあります。注文書買取が売買、POファイナンスが融資です。
| 比べる項目 | 注文書買取 | POファイナンス(注文書担保融資) |
|---|---|---|
| 性質 | 代金の売買 | 融資 |
| 返済 | 不要 | 必要 |
| 費用 | 手数料(高め) | 金利と利用料(低め) |
| 資金になるまで | 即日から数日 | 1か月から1か月半 |
| 発注元の関わり | 2社間ファクタリングなら不要 | 承認が必要 |
通常の銀行融資では、注文書そのものを担保にする扱いは一般的ではありません。注文書を担保として扱う仕組みがPOファイナンスです。利用するには、発注元が電子記録債権の発行に応じる必要があります。
時間に余裕がある法人なら、POファイナンスのほうが費用を抑えられます。条件と使える金融機関は、POファイナンス(注文書担保融資)の条件と金利で確認できます。
向いている場面・向かない場面
向いているのは、受注が決まっていて、着手前の支払いが大きい場面です。毎月の資金不足を補うために繰り返し使うことには向きません。
| 向いている場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 受注は決まったが、材料費や外注費の支払いが先に来る | 納品も請求も済んでいる |
| 大きな受注で、立て替える金額が大きい | 粗利率が低く、手数料で利益が残らない |
| 銀行の融資が間に合わない | 時間に余裕があり、融資を待てる |
| この受注を終えれば、資金繰りが戻る見通しがある | 毎月の赤字を補うために使いたい |
注文書買取で受け取るのは、将来の代金を前倒ししたお金です。支払日に入った代金は、送金に充てます。繰り返すほど手数料の分だけ手元が減るため、使う受注は絞ってください。
実際にどんな場面で使われているか
使われる場面は、受注してから代金が入るまでの立て替えです。用途は、人件費・材料費・仕入代金・協力会社への先払いがほとんどです。
立て替える期間が長く、先に出るお金が大きい業種ほど使われます。建設業や製造業が代表的ですが、運送業や広告業、小売業でも使われています。
| 業種 | 資金の用途 | 調達額 |
|---|---|---|
| 製造業 | 大型案件の材料費・外注費 | 3,000万円 |
| 建設業 | 職人の人件費・材料費 | 1,500万円 |
| 広告代理業 | スタッフの増員 | 1,000万円 |
| 運送業 | 業務に必要な経費 | 800万円 |
| 小売業 | 商品の仕入れ代金 | 500万円 |
| 食品業 | 食肉の購入資金 | 300万円 |
公開されている取引データの一例では、買取額は15万円から4億1,268万円、1件あたりの平均は615万円です。出所は注文書買取ファクタリング BESTPAYの利用事例です。
受注が取り消されたときの扱いと、契約前に確認すること
ノンリコースで守られるのは、発注元が払えなかった場合です。自社が納品できなかった場合は守られません。
注文書買取では、納品できなければ代金そのものが発生しません。納品できなかったことは発注元の支払いの問題ではないため、ノンリコースの対象外になるのが原則です。
| 起きたこと | 原則の扱い |
|---|---|
| 発注元が倒産した | 守られる |
| 発注元が契約を解除した | 契約による |
| 納期に間に合わなかった | 守られない |
| 検収が通らなかった | 守られない |
| 同じ注文書を複数の会社に売った | 守られない |
契約書で確認したい言葉
ノンリコースと書かれていても、別の条項で弁済を求められる契約には注意が必要です。買戻し・弁済・返還・補填の4つの言葉を探し、自社に負担が生じる条件がないかを確かめます。
代金を受け取る権利の売買は、消費税の非課税取引です。手数料に消費税を上乗せする会社とは、契約を進めないでください。
精算と会計処理
支払日に代金が入ったら、契約で決めた期限までにファクタリング会社へ送ります。代金が入った時点で、送る分を分けておくと安心です。
会計では、受け取った額と額面の差を、売上債権売却損などとして処理するのが一般的です。実際の処理は取引の内容で変わるため、顧問の税理士に確認してください。
悪質な業者の見分け方
注意したいのは、ファクタリングを装った貸付です。契約の中身を見れば見分けられます。
| 避けたい業者 | 理由 |
|---|---|
| 金銭消費貸借契約を結ばせる | 売買ではなく貸付の契約だからです |
| 償還請求権や買戻しの条項がある | 実質的な貸付とみなされる場合があるためです |
| 審査なし・必ず通るとうたう | 正規の買取には必ず審査があるためです |
| 担保や連帯保証人を求める | 売買には本来必要ないためです |
| 契約書の控えを渡さない | 後で条件を確かめられないためです |
金融庁も、ファクタリングを装った貸付への注意を呼びかけています。迷う契約には、その場で署名しないでください。
申し込む前に確認しておくこと
審査・手続き・会社選びは、それぞれ確認する場所が違います。要点だけ先に押さえておくと、申し込みが1回で進みます。
| 確認すること | 要点 | 詳しく読む |
|---|---|---|
| 審査 | 中心は自社の決算ではなく発注元の支払能力です。口頭だけの発注や、発注元が個人の注文書は対象外になりやすい条件です | 注文書買取の審査で落ちる原因と対策 |
| 手続きと日数 | 申込・書類提出・審査・契約・入金の順に進み、早ければ即日から翌営業日です。入金後に納品と送金の工程が残ります | 申込から送金までの9工程 |
| 会社選び | 受注段階で買い取るか、自社が対象か、掛け目と手数料、入金までの日数、償還請求権の有無の5点で比べます | 注文書ファクタリング対応21社の比較 |
手数料や掛け目は、公表していない会社が多い項目です。複数の会社に見積もりを依頼し、振込額の金額で比べてください。
注文書買取のよくある質問
個人事業主でも使えますか
会社によります。法人に限る会社と、個人事業主も受け付ける会社があります。注文書買取ファクタリング BESTPAYは法人のみです。納品後であれば、個人事業主向けのファクタリングが使えます。
注文書と発注書のどちらでも使えますか
どちらでも使えます。呼び方が違うだけで、発注元が発注の内容を示した同じ書類です。発注書ファクタリングという名前のサービスも、買い取る対象は同じものです。
見積書や発注メールでも使えますか
見積書は発注が決まる前の書類なので、多くの会社で対象外です。発注メールは、金額と納期がわかれば相談できる会社があります。
口頭で受けた仕事でも使えますか
口頭だけの発注は、金額と納期を確認できないため対象外です。発注元に注文書を出してもらうか、内容が分かるメールを残してください。
赤字や税金の滞納があっても使えますか
赤字でも、発注元の支払能力が確認できれば審査に進めることがあります。税金の滞納は、納付の計画を示せるかどうかで扱いが変わります。
手数料の相場はどのくらいですか
公表している会社が少なく、下限だけを示す会社が大半です。相場を探すより、複数社から見積もりを取り、振込額で比べるほうが確実です。
まとめ:手数料率ではなく振込額で判断する
注文書買取は、受注した段階の注文書を売り、納品前に資金を受け取る方法です。借入ではないため、返済の義務はありません。
手数料は請求書の買取より高めです。使うのは、着手前の支払いが大きく、ほかの手段が間に合わない受注に絞ります。
会社を比べるときは、手数料率ではなく実際に振り込まれる金額で比べてください。契約前には、償還請求権と、受注が取り消されたときの扱いを必ず確認します。
注文書買取ファクタリング BESTPAYは、法人の注文書を受注段階で買い取ります。発注元の承諾は不要です。
入力は1〜2分です。契約の義務はありません。
このページは、注文書買取ファクタリング BESTPAYを運営する株式会社アレシアが作成しています。




