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注文書買取と請求書買取の違いと共通項は?使い分け方法とおすすめ業者9選

注文書・発注書のスピード買取・資金調達なら

この記事は約51分で読めます。

資金調達は経営の要となる重要なポイントです。赤字や債務超過ではすぐに倒産することはありませんが、資金が枯渇すると企業はすぐに倒産するためです。したがって経営者は数ある資金調達方法を正しく理解し、状況に応じて使い分けする力が必要となるでしょう。

今回は、とくにスピーディーな資金調達方法である「注文書買取」と「請求書買取」の違いをわかりやすくまとめました。

結論からいうと、両者の最も大きな違いは「資金化のタイミング」で、注文書買取の方がより早い段階で資金化が可能です。

それぞれの特徴を理解して正しく使い分けられるようになりましょう。

この記事では、注文書買取と請求書買取の違いと共通項を解説します。

記事末尾では両者の違いを表でまとめているので、急いで違いを知りたい方はこちらをご覧ください。

注文書買取とは

注文書買(注文書ファクタリング)とは、受注段階で発生する「注文書」または「発注書」をファクタリング会社に売却して資金化するサービスです。

注文書買取は取引先から「注文書」または「発注書」を受け取った時点で「債権」と認識して、「注文書」または「発注書」を売却することが可能です。

もともとの主流は後述する請求書買取でしたが、注文書買取が登場したことで、請求書買取よりも早い段階での資金調達を可能としました。

まずは、注文書買取の流れやメリットとデメリットを解説していきます。

注文書買取の流れ

売掛先企業から発注があってから注文書買取で資金調達して、ファクタリング会社が回収するまでの流れは次のとおりです。

  1. 売掛先企業から発注があり注文書を受け取る
  2. 注文書買取を利用して資金調達
  3. 業務に取り掛かり納品する
  4. 納品後に売掛先企業へ請求書を交付
  5. 売掛先企業から入金
  6. ファクタリング会社へ送金する

注文書買取は資金調達してから仕事に取り掛かる点が大きな特徴です。注文書買取利用の流れを詳しく解説していきます。

①売掛先企業から発注があり注文書を受け取る

まずは発注企業(売掛先企業)から注文があり、正式な発注の際に注文書を受け取ります。

注文書とは次の内容が記載された書類になります。

  • 注文書の作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額(税込み)
  • 受注先企業の名称または氏名

発注企業が正式に「注文をしました」という証明ができる書類が注文書になります。

②注文書買取を利用して資金調達

注文書を受け取ったら、ファクタリング会社へ注文書買取を申し込みます。

注文書買取は以下の流れで利用します。

  1. ファクタリング会社のホームページの申し込みフォームから申し込み
  2. 提出を要求された注文書等の書類をアップロード
  3. ファクタリング会社の審査
  4. 審査通過後オンラインで契約締結
  5. 「注文書の金額×掛目ー手数料」で計算された金額が入金される

早いファクタリング会社の場合は、最短即日で資金調達可能です。

時間がかかるファクタリング会社の場合でも1週間程度で資金を調達できます。

③業務に取り掛かり納品する

注文書買取で調達した資金を元手に、注文書に記載された業務に取り掛かります。

業務が完了したら、発注企業へ注文された商品・製品・サービスなどを納品します。

この際には、必ず納期を守るようにしてください。

④納品後に売掛先企業へ請求書を交付

納品後または納品と同時に売掛先企業へ請求書を交付します。

請求書には以下の項目を記載します。

  • 請求先の氏名または会社名
  • 請求元の情報
  • 発行日
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 入金期日

⑤売掛先企業から入金

請求書記載の期日までに、売掛先企業(発注企業)から請求書記載の金額が利用者(受注企業)の口座へ入金されます。

注文書買取は必ず2社間ファクタリングで実施されるので、売掛先企業(発注企業)は注文書買取を利用したことを知りません。そのため、通常の取引と同じように、利用者名義の口座へ振り込みがおこなわれます。

⑥ファクタリング会社へ送金する

利用者(受注企業)は売掛先企業(発注企業)から入金になった売掛金を速やかにファクタリング会社へ送金します。

注文書買取によって、すでに売掛債権は売却してしまっているため、当該売掛金の代金はファクタリング会社のものです。利用者はファクタリングの会社の債権回収を代行する義務を負っているだけですので、入金後は可及的速やかにファクタリング会社へ送金しなければなりません。

ファクタリング会社へ送金をおこなうと、ファクタリング会社は債権を回収できるため、これでファクタリングの取引はすべて終了します。

このように、注文書買取は発注企業から発注があった段階で、すぐに資金化し、納品が完了し、発注企業が代金を支払ったタイミングでファクタリング会社が債権を回収します。

受注があった後すぐに資金調達できる点が大きな特徴です。

注文書買取のメリット

注文書買取や請求書買取や借入金と比較して以下のようなメリットがあります。

  • 資金がなくても大型案件を受注できる
  • 最大6ヶ月回収サイトを短縮できる
  • 発注元企業が倒産しても代金を受け取れる
  • つなぎ融資の銀行審査に通らなくても資金化できる
  • 発注元企業に知られない
  • 債務が増えない

受注段階で資金化できることによって、請求書買取や融資と比較して数多くのメリットがあります。

注文書買取の6つのメリットについて、詳しく解説していきます。

資金がなくても大型案件を受注できる

注文書買取は手元に資金がなくても大型の案件を受注できます。

金額的に大きな受注には、それに対応した運転資金が必要です。そのため、手元に資金がない企業は

せっかく大口の受注があっても「資金が用意できないから」という理由で、受注を断ってしまうケースも少なくありません。

しかし注文書買取を利用すれば、大口の注文書を資金化できるので、受注に対応した運転資金をすぐに確保できます。

注文書を資金化できるので、仕事の幅が広がる点が注文書買取の大きなメリットです。

最大6ヶ月回収サイトを短縮できる

注文書買取では最大6ヶ月先に入金予定の注文書を売却できます。

6ヶ月も先に入金になる予定の資金を前倒しで受け取れるので、資金繰りは大きく改善するでしょう。

請求書買取であれば3ヶ月程度先までの売掛債権しか売却できないため、注文書買取の方が請求書買取よりも資金繰り改善効果は大きいといえます。

発注元企業が倒産しても代金を受け取れる

注文書買取は償還請求権なし(ノンリコース)で行われます。ノンリコースとは売掛債権を売却後に売掛債権が支払われなかった場合、売掛債権の売り手であるファクタリング利用企業には責任が及ばないということです。

つまり、注文書買取実施後に発注元の企業が倒産したり、資金繰りが悪化したりして、代金が支払われなかったとしても、申込企業は当初の発注書に記載された代金を受け取れます。

納期の長い受注は、業務遂行期間中に発注元企業が倒産して代金を1円も受け取れないというケースも珍しくありません。

注文書買取を利用しておけば、たとえ発注元企業が倒産しても当初の予定どおりに代金を受け取れるので安心です。

引当融資の銀行審査に通らなくても資金化できる

大型の受注にはそれに対応した大きな運転資金が必要になります。

受注増加によって増加する運転資金を「増加運転資金」といいますが、増加運転資金は銀行から受注代金が入金になるまでの短期間を「引当融資」という形で借り入れるのが一般的です。

しかし「引当融資」は返済が一括になるため、金融機関にとってもリスクが高い融資です。そのため、ある程度銀行から信用を得ていないと審査通過が難しいことがあります。また、担保を要求されることがあるため担保を提供できない企業は審査に通過できない場合も珍しくありません。

そのようなときでも注文書買取を利用すれば、融資よりも容易に増加運転資金を用意できます。

つなぎ融資の審査にとおらない企業でも増加運転資金を調達できるので、金融機関からの信用度の低い企業は活用できます。

発注元企業に知られない

注文書買取は2社間ファクタリングでおこなわれるのが基本です。

そのため、売掛企業である発注元の会社にファクタリングの利用を知られることはありません。

ファクタリングなどの新しい手段で資金調達していることを外部の企業に知られると、場合によっては「やばい方法でお金を借りている」「資金繰りが相当苦しい企業」などと、自社をネガティブに評価されてしまう可能性があります。

注文書買取であれば、発注元に秘密で資金調達できるので、取引先や外部に自社が資金調達したことを知られる心配はありません。

自社にネガティブイメージを持たれることなく、必要な資金調達ができるのは注文書買取のメリットです。

債務が増えない

注文書買取は、注文書という資産(資産とみなす)を売却して現金という資産に交換しているだけです。

そのため、貸借対照表で負債が増えるわけではありません

融資を受けた場合には、その分負債が増えるので、貸借対照表の見た目は悪くなってしまいますし、その分、貸借対照表が大きくなります。

また、どこから借りたかも決算書を確認すれば分かってしまいます。

さらに、負債が増えることによって自己資本比率等の各種経営指標が下がるため、金融機関等の外部の機関からの自社の評価が下落するのが一般的です。

一方、注文書買取は資産と資産の交換ですので、貸借対照表が大きくなることはなく、どこから資金調達したのか知られることもありません。

銀行は消費者金融などから資金調達していることが分かると、当該企業の評価を下げることがありますが、注文書買取であれば決算書を見ても資金調達した事実を知られる心配がないため、評価が下がることはないでしょう。

今は、できる限り不要な資産も負債も持たず、貸借対照表を小さくする「オフバランス化」が評価される時代ですので、借入によって資金調達するよりも自社の評価がアップする可能性があります。

注文書買取のデメリット

注文書買取には請求書買取や借入金と比較して以下のようなデメリットがあります。

  • 請求書買取よりも手数料が高い
  • 3社間ファクタリングが利用できない
  • 取り扱っているファクタリング会社が少ない

コスト面やそもそも選択肢が少ないなどのデメリットには注意しなければなりません。

注文書買取の3つのデメリットを詳しく解説していきます。

請求書買取よりも手数料が高い

注文書買取は請求書買取よりも手数料が高くなっているのが一般的です。

請求書買取(2社間ファクタリング)の手数料相場は5%〜20%程度ですが、注文書買取は請求書買取おりも手数料が2割程度高くなっています。

注文書買取は請求書買取と比較して以下のようなリスクがあるためです。

  • 買い取ってから入金になるまでの期間が長い
  • 発注元企業が倒産するリスクがある
  • 受注企業が納期までに納品できないリスクがある

請求書買取は注文書買取よりも入金までの期間が長く、請求書買取のように納品が完了していないため、そもそも納品できないリスクも加わるためです。

ファクタリング会社にとっては、請求書買取よりも不確定要素が多いのでその分手数料は高くなる傾向にあります。

手数料はファクタリング会社や審査内容によって異なりますが、請求書買取よりも2割程度は高くなると理解しておきましょう。

3社間ファクタリングが利用できない

注文書買取は基本的には2社間ファクタリングのみの取り扱いとなっています。

2社間ファクタリングは売掛先企業に秘密で資金調達できますが、二重譲渡や架空の債権を売却するリスクがあるため3社間よりも手数料が高額です。

そのため「発注元企業の承認を得て、3社間ファクタリングで低い手数料で利用したい」という場合も、注文書買取は2社間で利用しなければなりません。

この点でも、注文書買取は請求書買取よりもコストが高くなってしまいます。

また、2社間ファクタリングを取り扱っている業者には悪徳業者が混じっており、3社間ファクタリングを取り扱う業者は悪徳業者のリスクが低いという特徴があります。

注文書買取は2社間ファクタリングのみの取り扱いとなるため、業者の中には法外な手数料を設定する悪徳業者が混じっている可能性も否定できません。

まだ、あまり取り扱い業者が少ない注文書買取ですが、名前の聞いたことがない業者と注文書買取の契約を締結する際には、当該業者が安全な業者であることを口コミなどを確認したうえで契約するようにしてください。

取り扱っているファクタリング会社が少ない

注文書買取は請求書買取と比較して取り扱っている業者が少ない点もデメリットです。

選択肢が少なく、業者同士の比較も難しいので、場合によっては高い手数料でしか利用できないこともあります。

請求書買取のように、業者間の競争原理が働いていないため、複数の業者から最も自分にとって利用しやすく低コストな業者を選べません。

また、オンライン完結に対応している業者も少ないので、場合によっては東京のファクタリング会社まで何時間もかけて手続きに行かなければならない可能性もあります。

請求書買取と比較して、選択肢がかなり狭まってしまうのは注文書買取の大きなデメリットの1つです。

請求書買取とは

請求書買取(請求書ファクタリング)とは、商品・サービス納入後の「請求書」をファクタリング会社に売却して資金化するサービスです。

銀行融資や国・自治体などの融資制度とは異なり、売掛債権を売買するため保証人や担保が不要な資金調達方法として中小企業を中心に多く利用されています。

請求書買取の流れやメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

請求書買取の流れ

売掛先企業から発注があってから請求書買取で資金調達し、ファクタリング会社が回収するまでの流れは次のとおりです。

  1. 売掛先企業から発注があり注文書を受け取る
  2. 業務に取り掛かり納品する
  3. 納品後に売掛先企業へ請求書を交付
  4. 請求書買取を利用して資金調達
  5. 売掛先企業から入金
  6. ファクタリング会社へ送金する

請求書買取は仕事に取り掛かり納品後の資金調達する点が大きな特徴です。請求書買取利用の流れを詳しく解説していきます。

①売掛先企業から発注があり注文書を受け取る

売掛先企業から発注があり、発注内容や納期が記載された注文書を受け取ります。

②業務に取り掛かり納品する

受注業者は注文書に記載された内容を完遂するため、通常通りに業務に取り掛かり、納期までに納品します。

なお、基本的に受注に対応する運転資金は自己資金か銀行からの借入などでおこないます。

注文書買取のように、業務に取り掛かる前に資金調達はおこないません。

③納品後に売掛先企業へ請求書を交付

売掛先企業(受注企業)へ納品後または納品と同時に請求書を交付します。

④請求書買取を利用して資金調達

請求書を発行したら、当該請求書を利用して請求書買取サービスへ申し込みをおこないます。

請求書買取サービスの申込から入金までの流れは以下のとおりです。

  1. ファクタリング会社のホームページの申し込みフォームから申し込み
  2. 提出を要求された請求書等の書類をアップロード
  3. ファクタリング会社の審査
  4. 審査通過後オンラインで契約締結
  5. 「請求書の金額×掛目ー手数料」で計算された金額が入金される

オンライン完結のファクタリング会社の多くが最短即日の資金調達に対応しています。

中には24時間365日入金に対応している業者もあり、請求書買取の方が注文書買取よりも即日入金を受けられる可能性が高いでしょう。

なお、3社間ファクタリングの場合には契約時に売掛先企業から同意を得る必要があるため、入金までには3日〜1週間程度の時間がかかります。

⑤売掛先企業から入金

請求書の入金期日になったら売掛先企業から入金があります。

  • 2社間ファクタリング:利用者名義の口座へ振り込まれる
  • 3社間ファクタリング:売掛先企業がファクタリング会社へ直接振り込む

2社間ファクタリングはファクタリングを利用したことを売掛先企業は知らないため、通常通りに利用者名義の口座へ売掛先企業が支払いをおこないます。

3社間ファクタリングはあらかじめ売掛先企業がファクタリングを利用したことを知っているため、売掛先企業はファクタリング会社の口座へ直接入金します。3社間ファクタリングはこれでファクタリング会社の債権回収が完了するため取引終了です。

⑥ファクタリング会社へ送金する

2社間ファクタリングの場合、売掛先から利用者の口座へ送金された代金を利用者がファクタリング会社へ送金することで取引終了です。

ファクタリング会社への送金期日は、請求書記載の入金期日の3日〜1週間以内に設定されていることが一般的です。期日内に入金しないと、ファクタリング会社が売掛先企業へ督促をおこなってしまう必要があるため注意しましょう。

期日内にファクタリング会社へ送金をおこなうことで、ファクタリング会社は債権回収を完了できるので、これで取引終了になります。

3社間ファクタリングの場合には、売掛先企業とファクタリング会社が直接資金のやり取りをおこなうので、何もする必要はありません。

請求書買取は、商品やサービスを納品した後に資金調達するという点が注文書買取との大きな違いになります。

請求書買取のメリット

請求書買取には注文書買取や借入金などと比較して次の5つのメリットがあります。

  • 最短即日で資金化できる
  • 売掛先企業の信用で審査を受けられる
  • 2社間と3社間を選択できる
  • 売掛債権の回収リスクを排除できる
  • 負債を増やすことなく資金調達できる

資金調達スピードや審査など、請求書買取には多くのメリットがあります。

請求書買取の5つのメリットについて詳しく解説していきます。

最短即日で資金化できる

請求書買取は最短即日で資金化できます。

取り扱っているファクタリング会社が多く、審査ノウハウも確立しているため、注文書買取よりも高い確率で即日資金調達が可能です。

最短10分〜1時間程度で入金に対応しているファクタリング会社も多いので、「今日中にお金が必要」という場面でも活用できます。

また、深夜や土日も対応しているファクタリング会社もあるので、休日や夜間にお金が必要になった方のニーズにも対応できます。

売掛先企業の信用で審査を受けられる

請求書買取は売掛先企業の信用で審査を受けられる点も大きなメリットです。

注文書買取では「仕事を受注している申込企業が納期までに仕事を完了できるか」も審査されます。しかし請求書買取では申込時にはすでに納品が完了しているため、審査の焦点は売掛先企業が期日どおりに代金を支払えるかが重視されます。

注文書買取と比べて申込企業の信用はそれほど重視されないため、申込企業が赤字や債務超過で銀行融資を断られてしまった場合も資金調達できる可能性があります。

請求書買取は優良企業の売掛債権さえ手元に保有していれば、高い確率で資金調達できる点がメリットです。

2社間と3社間を選択できる

請求書買取は2社間ファクタリングと3社間ファクタリングを選択できます。

3社間ファクタリングは売掛先企業の同意が必要になるものの、2社間ファクタリングよりもかなり低い手数料で利用できる点が最大のメリットです。

注文書ファクタリングは2社間ファクタリングでしか取り扱いがないので、高額な手数料を負担しなければなりません。

一方、請求書ファクタリングであれば、売掛先企業の同意を得た上で、3社間ファクタリングを選択可能です。

3社間ファクタリングは入金までには数日程度の時間がかかりますが、手数料が1%〜5%程度と非常に低いため、ファクタリングについて理解のある企業に対する売掛債権を保有しており、ある程度時間的な余裕があるのであれば非常にメリットがあります。

取引先との関係などの諸事情を勘案し、2社間と3社間を選択できるのは請求書ファクタリングの大きなメリットです。

売掛債権の回収リスクを排除できる

請求書買取を利用した後、もしも売掛金がデフォルト(期日とおりに代金が支払われない)した場合、その損失はファクタリング会社が負うので、申込企業が損失を被ることはありません。

売掛債権は「将来、お金を受け取る権利」というだけですので、万が一取引先の経営悪化などによって、代金が支払われない場合には、大きな損失を計上することになります。

実際に、不景気時の連鎖倒産の多くが、売掛債権のデフォルトによる資金繰りの悪化によるものです。

ファクタリングを利用してしまえば、その後、取引先企業の業況が悪化して売掛債権が支払われなかったとしても、申込企業が損失を被ることはありません。

取引歴が浅く、代金支払いできるかどうか不明瞭な企業に対する売掛債権はファクタリングしてしまった方が安心です。

負債を増やすことなく資金調達できる

ファクタリングは借入ではありません。

売掛債権という資産を現金や預金という資産に交換しているだけです。

そのため、資金調達をおこなっても負債が増えません。

負債が増えなければ自己資本比率が低下しないため、銀行などの外部機関からの評価が低下しません。

また、負債と比較して貸借対照表が大きくなることないため、ファクタリングはバランスシートのオフバランス化に寄与します。

今は不要な資産や負債は持たずにできる限りミニマムな経営をおこなうことが評価される時代です。

借入であればバランスシートは大きくなってしまいますが、ファクタリングであればオフバランス化できるため、申込企業の評価が高まる可能性があります。

請求書買取のデメリット

請求書買取には以下の3つのデメリットもあるので、利用する前にしっかりと認識しておきましょう。

  • 借入金よりも手数料が高い
  • 悪徳業者が混じっている
  • 繰り返し利用すると資金繰りや収支を悪化させる

コストや業者選び、さらには資金繰り管理などにも注意して利用する必要があります。

請求書買取の3つのデメリットについて詳しく解説していきます。

借入金よりも手数料が高い

請求書買取は借入金よりも手数料が高くなっています。

請求書買取の手数料相場は2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって異なり、以下のようになっています。

2社間ファクタリング 8%〜20%
3社間ファクタリング 2%〜8%

ファクタリングの手数料は、年利ではなく期間に関わらず上記の手数料が発生します。

例えば、期間1ヶ月の売掛債権のファクタリングに上記の手数料が発生した場合、年利に換算すると以下のようになります。

2社間ファクタリング 96%〜240%(年利換算)
3社間ファクタリング 24%〜96%(年利換算)

銀行や日本政策金融公庫で事業資金融資を受けた場合、年利は1%〜3%程度ですので、ファクタリングの手数料は融資の10倍〜200倍以上と超高額です。

融資を利用できるのであれば、ファクタリングではなく、融資を利用しておいた方がコストをかなり抑えた上で利用できるでしょう。

悪徳業者が混じっている

ファクタリング会社の中には、相場を超えた法外な手数料を要求する業者や、実質的な貸付をおこないながらも法定金利を超える高金利で融資する、いわゆる闇金も混じっています。

融資をおこなう貸金業者と異なり、ファクタリング業を営むためには登録も許認可も必要ありません。

つまりファクタリング会社はどんな会社でも営めるため、残念ながら悪徳業者が存在するのも事実です。

悪徳業者やいわゆる闇金と取引してしまうと、法外な手数料を要求されるばかりでなく、元金返済ができないほどの高金利を設定され、延々と利息だけを支払わなければならない可能性もあります。

名前を聞いたことがない業者と取引する前には、かならずインターネットの口コミを確認し、悪い口コミや評判がある業者とは取引しないようにしてください。

なお、あらかじめ売掛先企業の同意が必要になる3社間ファクタリングでは悪徳業者はあまり存在しません。売掛先企業の同意まで事前に得なければならないので、業者としては足がつくリスクが高いためです。

安心できる業者を利用したいのであれば3社間ファクタリングも取り扱っている業者を選択するのが最も確実です。

2社間ファクタリングを利用する際には業者を慎重に選択し、それでも心配であれば、3社間ファクタリングを取り扱う業者も検討しましょう。

繰り返し利用すると資金繰りや収支を悪化させる

請求書買取を繰り返し利用すると、長期的には収支や資金繰りはむしろ悪化します。

請求書買取は将来入金になる予定のお金を、高額な手数料を支払って前倒ししているだけです。

そのため当初の入金期日になる頃には再度資金繰りが苦しくなり、再びファクタリングを利用しなければ資金繰りができなくなります。

このように、一度利用すると、ファクタリングから抜け出せなくなる可能性があります。

そのため、ファクタリングは本当に緊急でお金が必要になったときの非常の手段として利用し、慢性的に利用することはおすすめできません。

「補助金が入金になるまで」「長期借入金が入金になるまで」などのつなぎ資金として利用し、日常的な資金繰りのために利用することは避けてください。

注文書買取と請求書買取の違い

ここからは、混合しがちな注文書買取と請求書買取の4つの違いを解説します。

主な違いは以下のとおりです。

  • 資金化のタイミング
  • 3社間契約を選べるか否か
  • 手数料
  • 取扱会社の数

両者の違いを正しく理解しておくと、緊急時でも適切な判断を下せるでしょう。

最も大きな違いは資金化のタイミング

注文書買取は「受注段階」で資金が得られるのに対し、請求書買取で資金を得られるのは早くても商品・サービスの「納入後」である点が大きな違いとなるでしょう。

この資金化するタイミングの違いは、案件受注の可否に関わるケースもあります。

「受注したい大型案件があるけど、経費に回す資金が足りない」といった場合、注文書買取なら得た資金を案件受注後の人件費や設備費などの資金に充てられます。

一方で請求書買取は、資金化のタイミングが納入後となるため、受注後にかかる経費に充てることはできません。

火急で資金が必要な場合は、注文書買取を利用するようにしましょう。

注文書買取は「2社間契約」がベース

注文書買取は、利用者とファクタリング会社のみで完結する「2社間契約」であることがベースです。

一方で請求書買取は、ファクタリング会社から売掛先への確認や同意を得る「3社間契約」であるサービスも数多くあります。

2社間契約のメリットは、注文書買取を利用したことが売掛先に知られないことでしょう。

売掛先に知られなければ、資金繰りがうまくいっていないことを勘繰られる心配もないうえに、売掛先へ確認するステップを挟まず素早く資金化できます。

しかし、売掛先に確認を取らないことは、売掛金を回収できる保証がないことを意味するため、手数料を割高に設定されている点がデメリットとなります。

現在、ほとんどのファクタリング会社が2社間契約で注文書買取をおこないますが、契約の際にきちんと確認するのを忘れないようにしましょう。

手数料は注文書買取の方が高くなる傾向

注文書買取は「未回収リスク」が高いため、請求書買取よりも手数料が高くなる傾向にあります。

未回収リスクとは、売掛先の倒産等の理由により、売掛金が回収できなくなるリスクです。

請求書買取の場合はすでに発行された請求書を買い取り、売掛金の入金を1〜2カ月ほど待つのみとなります。しかし注文書買取の場合は注文書を買い取った後、売掛金の入金まで長い期間を待たなければなりません。

ファクタリング会社は、こうした売掛先の倒産等によって売掛金の回収ができなくなる未回収リスクに備えるために、注文書買取の手数料を高く設定しているのです。

サービス取り扱い会社の数

注文書買取は2020年頃から開始されたまだまだ新しいサービスであるため、請求書買取と比較すると取り扱い会社が非常に少ないのが現状です。

請求書買取は選択肢が複数あるため、サービス内容の比較検討ができたり、審査に落ちてもほかのファクタリング会社を探して申し込みしたりが可能です。

しかし注文書買取の場合はわずかな選択肢のみであるため、比較検討対象が少なく何度も申し込みができません。そのため、注文書買取は慎重にサービスを見極めて審査に臨む必要があります。

注文書買取と請求書買取の審査の違い

注文書買取と請求書買取は審査で売掛先企業の信用が重視されるという点は共通しています。

しかし、注文書買取の審査と請求書買取の審査では以下の点が異なります。

  • 受注企業の業種やノウハウ
  • 発注企業からのこれまでの受注歴
  • 受注金額
  • 受注企業の決算状況

注文書買取では、「受注した内容をしっかりと期日通りに納品できるのか」という視点が加わるため審査はより厳しくなります。

注文書買取と請求書買取の審査の違いを詳しく解説していきます。

受注企業の業種やノウハウ

注文書買取では受注企業の業種やノウハウが確認されます。

これは「注文書の内容を納期までに完遂できるか」ということを確認するためです。

たとえば飲食業を営む会社が、建物を建築する受注を受けているような場合には、建築のノウハウがあるとは判断されないので、「注文書記載の内容とおりに業務を完遂できない」と評価される可能性があります。

基本的には、受注企業の業務にあった注文内容で、規模やロットや納期から鑑みて問題なく業務を完遂できると判断できる内容でないと審査に通過することは困難です。

請求書買取ではすでに納品済みですので、この点は審査されませんが、納品前の注文書を資金化する注文書買取では、受注企業の業務やノウハウなども審査で確認されます。

発注企業からのこれまでの受注歴

注文書買取では発注企業からのこれまでの受注歴も審査で重視されます。

毎月継続的に発生している受注であれば審査で有利になります。

利用者が期日通りに納品できる可能性が高く、売掛先企業から期日通りに入金される可能性が高いためです。

一方、これまで取引がない企業が、急に大きな金額の発注をしてきたような場合は、審査で不利になる可能性があります。

そもそも注文書の実在性が疑わしいため、「もしかすると、資金調達のために注文書を偽造しているのかもしれない」と疑われる可能性があります。

また、発注企業の資金繰りや経営状態が悪く既存の取引先に発注を断られてしまい、他の企業へ突然注文してくるケースも少なくありません。この場合は期日通りに入金されるかどうかがかなり疑わしくなります。

これらの理由からこれまで取引歴がない企業からの注文書は審査でネガティブに評価されます。

請求書買取でも取引歴は重視されますが、注文書買取の審査では請求書買取以上に取引歴が重視され、初めての取引先からの注文書は買い取ってもらえない可能性があります

受注金額

受注金額が利用者の売上規模に見合ったものかも審査で重視されます。

よく言われるように注文書の金額が大きければ審査で有利、小さければ審査で不利ということはありません。

例えば利用者の年商が3,000万円なのに、注文書の金額が5,000万円の場合、明らかに注文書の金額と売上規模が不釣り合いです。

年商3,000万円を作る能力の会社に、一度の注文で年商を大きく超えるような業務を納期通りにこなせると判断できないのが自然です。

このような場合は「納期に間に合わない可能性が高い」「資金繰りのために請求書を偽造している」と判断される場合があり、審査に落とされる可能性が高くなります。

納品前の注文書を資金化する注文書買取では「納期通りに受注内容を完遂できるか」という点がかなり重視されるため、受注金額が利用者の売上規模と比較して明らかに大きい場合は審査に落とされてしまう可能性があります。

受注企業の決算状況

最終的に代金を支払う債務者である受注企業の決算状況は審査で最も重視される点です。

これは請求書買取でも重視される点は変わりません。

しかし、注文書買取は資金化から回収までの期間が請求書買取よりもかなり長いため、請求書買取よりもかなりシビアに審査をおこないます。

請求書買取は1ヶ月〜3ヶ月先には回収できますが、注文書買取は最大6ヶ月先の回収になります

6ヶ月間のうちに売掛先企業の経営が傾き、売掛債権が回収できなくなる可能性は決して低くないので、審査では売掛先企業の決算状況について厳格に審査をおこないます。

発注企業が赤字や債務超過の場合は、審査に通過できない可能性もあるでしょう。

注文書買取と請求書買取の共通項

ここからは注文書買取と請求書買取の共通項について解説します。

主な共通点は次の3つです。

  • 信用情報に傷がつかない、負債が増えない
  • 審査対象は売掛先企業
  • 償還請求権がない

注文書買取と請求書買取の3つの共通項について詳しく解説していきます。

融資ではないため信用情報に傷がつかない

注文書買取・請求書買取は、銀行融資のようにお金を「借りる」資金調達ではなく、注文書・請求書の「売買」によって資金を得るため信用情報に傷がつきません。

そもそも多くのファクタリング会社は貸金業者ではないため、信用情報機関への加入や信用情報の参照はできないことが基本です。

そのため、ファクタリングを利用することと信用情報は全く関係がないのです。

ちなみに上記理由から、ファクタリング審査時に利用者の信用情報を確認することもありません。たとえ現在信用情報に傷がついている状態、いわゆる「ブラック」であってもファクタリングは利用可能です。

資金繰りが難しいときや、すでに銀行融資を受けているときにも利用しやすいサービスといえるでしょう。

審査の対象は売掛先である

ファクタリングにおける審査対象はファクタリング利用者ではなく、売掛先が主な対象となります。

ファクタリング会社からすると、入金待ちの売掛金をきちんと支払ってくれるかどうかが契約の重要なポイントです。

そのため注文書買取・請求書買取ともに、ファクタリングの利用者よりも出金元となる売掛先の財政状況が審査の対象となります。

現在資金繰りがうまくいっていない中小企業でも問題なく申し込みができるのは安心ですね。

ちなみに審査の対象は注文書買取・請求書買取ともに売掛先ですが、審査基準は両者で異なります。注文書買取は前述したとおり未回収リスクが高いため、審査基準も厳しく設定していることが多いです。

償還請求権がない

注文書買取にも請求書買取にも償還請求権がありません。

償還請求権とは、売掛債権を譲渡した後に当該売掛債権がデフォルト(回収不能になること)した場合、売掛債権の買い手が売り手に対して請求できる権利です。

注文書買取にも請求書買取にも償還請求権がないので、万が一、ファクタリング後に売掛債権がデフォルトしても申込企業にはリスクがゼロです。

仕事を受注した後に発注元企業が倒産してしまうことや、代金を請求後に売掛先企業が倒産して回収できないことは珍しいことではありません。

注文書買取も請求書買取も償還請求権なしでおこなわれるので、取引先企業の業況を懸念することなく、安心して仕事を請けられます。

償還請求権ありの注文書・請求書買取は闇金

請求書買取も注文書買取も償還請求権なしが大原則です。

注文書や請求書を売却した際に売掛債権の未回収リスクも一緒に売却しているため、融資よりも高い利率の手数料を設定できるのです。

注文書買取や請求書買取の手数料は、売掛債権の未回収リスクに対するリスクプレミアムだと判断できます。

したがって、償還請求権ありで売掛債権の未回収リスクを負わない注文書買取や請求書買取は、実質的な貸付であると判断されrます。貸付であるのであれば、業者は最低限次の2点は遵守しなければなりません。

  • 貸金業者登録をおこなう
  • 利息制限法を遵守した利率を設定する

利息制限法では融資の際の金利の上限を以下のように定めています。

融資金額 上限金利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

注文書買取や請求書買取の手数料は期間6ヶ月以内で10%〜20%程度ですので、年利に換算すると最低でも20%〜40%程度で、利息制限法の条件金利をはるかに超えています。

そして、ほとんどの業者が貸金業者登録をおこなっていません。

つまり、償還請求権なしで注文書買取や請求書買取を実施する業者は違法な手数料で無登録営業をする闇金です。

金融庁は違法業者について次のように注意喚起をしています。

中小企業の経営者などを狙い、貸金業登録を受けていない者が、ファクタリングを装って、業として、貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が確認されています。
ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額である
といったケースは、偽装ファクタリングの疑いがありますので、ヤミ金融を利用しないよう、十分注意してください。
ファクタリングとして行われ、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
例えば、譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、
○ 売主が債権を買い戻すこととされている
○ 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
などといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
引用:金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起

注文書買取や請求書買取を取り扱うためには資格も許認可も必要ありません。

どのような業者でも営業できるため、業者の中には闇金のような悪徳業者も混じっています。

必ず「償還請求権なし」で実施する注文書買取や請求書買取を利用してください。

注文書買取を利用するのはどのような時?

注文書買取は、仕事の受注段階で資金を得られる一方で手数料が高いといったリスクもあるため、利用するタイミングが非常に重要です。

そこで、以下の3つのタイミングを一つの基準に考えてみるのはいかがでしょうか。

  1. 手元資金では受注できない大きな案件を受注したとき
  2. 請求書買取では資金調達が間に合わないとき
  3. 営業活動を資金化したいとき

注文書買取によって資金を得て案件を受注しても、手数料で利益がなくなってしまっては元も子もありません。

まずはその案件が確実に会社の利益につながるかどうか、そして自己資金や請求書買取では間に合わないのかなど、さまざまな状況を見て判断しましょう。

注文書買取を利用する3つのタイミングを詳しく解説していきます。

手元資金では受注できない大きな案件を受注したとき

会社で確保している資金では受注することが困難な大型の案件を受注したときには注文書買取が活用できます。

大型の案件にはそれに対応した大きな運転資金が必要です。

例えば原価率70%の1億円の案件には7,000万円の運転資金が必要になります。

この案件を受注したとき、手元に資金がない企業は「7,000万円もの資金の確保ができないから」と仕事を断ってしまうケースが少なくありません。

しかし注文書買取を利用すれば、この1億円の注文書が資金化できるので、受注に対応した運転資金の確保が可能です。

手元資金を気にすることなく、さまざまな案件を受注できるので仕事の幅が広がるようになります。

請求書買取では資金調達が間に合わないとき

請求書買取では資金調達が間に合わないときには、注文書買取が向いています。

請求書買取では、請け負った業務の納品が完了し、請求書を送付した段階で資金調達が可能になります。

しかし、納品前に資金繰りが難しい場合には、請求書買取では資金調達が間に合いません。

このようなときに注文書買取を利用すれば、納品前でも資金調達が可能です。

受注している仕事さえあれば、早いタイミングで資金調達できるので、請求書買取では資金調達が間に合わないときに注文書買取は活用できます。

営業活動を資金化したいとき

仕事を受注すれば、その受注が資金化につながる注文書買取は、営業活動=資金調達になります。

つまり、資金繰りが苦しいときに営業活動を頑張れば、それがそのまま資金繰りへと繋げられます。

営業活動への新たなモチベーションになるものですので、注文書買取を活用して、資金繰りが苦しいときには営業活動に励むことができます。

注文書買取と請求書買取の両方を取り扱っているファクタリング会社5選

注文書買取と請求書買取の両方を取り扱っているファクタリング会社は以下の5社です。

  • ベストペイ
  • ビートレーディング
  • トップマネジメント
  • GMO BtoB 早払い
  • ネクストスタイル
  • けんせつくん
  • ペイブリッジ
  • ファクタリングのトライ
  • 建設ガーディアン

それぞれのファクタリング会社のスペックや特徴について詳しく解説していきます。

ベストペイ

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短翌日
利用限度額 100万円~3億円程度
買取手数料 5%~
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書(発注書)
・通帳3ヶ月分(表紙付き)
・本査定申込書

Best Payは店舗型の優良ファクタリング会社として知られている、ベストファクーが運営する注文書買取専門のサービスです。

ベストファクターで請求書買取を、Best Payで注文書買取を利用できます。

ベストファクターは担当者の知識が非常に豊富で、ファクタリングの手続きの際に財務コンサルティングを受けられることで知られています。

そのため、Best Payでも注文書買取の際には財務コンサルティングを受けられるでしょう。

ただし、ベストファクターは契約の際に面談が必須となっており、それは注文書買取のBest Payでも同じです。

非対面契約を希望するかたや、地方の方で当日中にBest Payの事務所へ訪問できない方には不向きなファクタリング会社であると理解しておきましょう。

ビートレーディング

ビートレーディング

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短即日
利用限度額 下限・上限なし
買取手数料 2社間ファクタリング:4%~12%程度
3者間ファクタリング:2%~9%程度
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書(発注書)
・通帳3ヶ月分(表紙付き)
・本査定申込書

ビートレーディングはファクタリング専門の会社として、最も有名な会社の1つです。

累計取引社数は5.2万社、取扱実績は1,170億円を突破しており、ファクタリング会社の中では実績と信頼のある企業です。

あらゆる種類のファクタリングを取り扱っていることから、注文書買取もおこなっており、12%程度の比較的安価な手数料で利用できます。

店舗型のファクタリング会社ですので、面談は必須ですが、最近はオンライン面談にも力を入れており、オンラインであれば最短4時間程度で資金化も可能です。

担当者の知識レベルが高いことでも評判ですので、資金調達の相談だけでなく財務コンサルティングも受けられます。

信頼できる担当者と取引をしたい方にはおすすめのファクタリング会社です。

トップマネジメント

トップマネジメント

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短即日
利用限度額 1億円
買取手数料 3.5%~12.5%
個人事業主の利用 不可
必要書類 ・注文書
・決算書(2期分)
・入金の確認ができる通帳の写しなど

トップマネジメントは店舗型のファクタリング会社ですが、補助金申請とファクタリングを同時におこなう「ゼロふぁく」などのサービスが有名です。

注文書買取にも対応しており、3.5~12.5%の比較的低い手数料で利用できるのがメリットです。

しかし次の条件を満たしている「法人」でなければ利用できない点に注意しなければなりません。

  • 設立から半年以上
  • 月商500万円以上

個人事業主や売上規模の小さな法人は利用できないので注意してください。

契約には面談が必要ですが、希望すればZoomで面談をおこなう「オンラインファクタリング」を利用できるので非対面契約も可能です。

GMO BtoB 早払い

GMO BtoB 早払い

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短で2営業日
利用限度額 買取1回あたりの合計金額が100万円以上
買取手数料 2.5%~12%
個人事業主の利用 不可
必要書類 ・注文書
・決算書(2期分)
・取引の基本契約書
・審査依頼書

大手インターネット企業のGMOグループで、東証プライム上場のGMOペイメントゲートウェイが提供するファクタリングサービスです。

上限手数料2.0%で注文書買取を利用できるので、安心できる企業で低コストで資金調達を希望する方におすすめです。

また、申込企業に対しては専任の担当者がつき、徹底してサポートを受けられるので、専任の担当者からの手厚いサポートを希望する方にも向いています。

審査は決算書などを用いて、かなり厳格におこなうので時間がかかります。

資金化までには最短で2営業日程度の時間が必要です。

なお、最低買取金額は100万円ですので、数十万円規模の売掛債権を資金化することはできないので注意してください。

一定以上の規模のある企業が、信頼できるファクタリング会社や担当者と長い時間かけて付き合っていきたい場合は、GMO B to B早払いがおすすめです。

ネクストスタイル

ネクストスタイル

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短即日
利用限度額  1社につき20万円~5000万円程度(買取上限1億円)
買取手数料 10〜20%程度
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書
・入金が確認できる資料(通帳の写しなど)

ネクストスタイルは少額買取とオンライン完結に特化したファクタリングサービスです。

最低買取金額は20万円ですので、小規模の企業が数十万円単位の資金調達を希望する場合も向いています。

必要書類は注文書と入金が確認できる書類のみで、決算書などは必要ありません。

申込企業の業況とは無関係に審査を受けられるので、赤字や債務超過などによって銀行融資や他のファクタリング会社の審査に落ちてしまった企業でも資金調達できる可能性があります。

注文書買取は最低買取金額が高額になっていることや、面談が必要になることが多いですが、ネクストスタイルは小額・非対面で買取可能です。

小規模の事業者の方が注文書買取を利用したい場合には、おすすめの会社です。

けんせつくん

けんせつくん

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短2時間
利用限度額 下限上限なし
買取手数料 表記なし
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書
・入金が確認できる資料(通帳の写しなど)

けんせつくんは建設業専門のファクタリング会社です。

オンライン完結で注文書買取も請求書買取も取り扱っています。

建設業は工期が長く、入金サイトも長いため、ファクタリング会社にとってリスクが高い業種です。

そのため、注文書買取や請求書買取の審査では厳しい目線で審査が行われ、最も審査で不利になる業種の1つだといわれています。

しかし、けんせつくんは、このような資金調達が難しいといわれる建設業のみにあえてフォーカスしてファクタリングを実施しています。

建設業出身のスタッフを常駐させ、建設業独特の事情を加味した審査をおこなってくれるため、建設業であってもスムーズに審査に通過できる可能性が高いでしょう。

運営しているので、オンライン完結型のファクタリング会社として多くの人が利用している、ウィットですので安心して利用できます。ウィットの審査ノウハウによって最短2時間で資金化できるのも大きなメリットです。

ペイブリッジ

ペイブリッジ

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短2時間
利用限度額 売掛先1社に対しての上限は1億円まで。
買い取り上限総額は3億円まで
買取手数料 2社間契約:3.5%~12.5%
3社間契約:0.5%〜3.5%
2.5社間契約『電ふぁく』:1.8%〜8%
個人事業主の利用 可能(注文書買取は不可)
必要書類 ・注文書
・入金が確認できる資料(通帳の写しなど)

ペイブリッジは大手の独立系ファクタリング会社であるトップマネジメントが提供する、IT・広告業界専門のファクタリングサービスです。

入金口座をトップマネジメントが管理できる利用者名義の口座に指定することで、売掛先企業に知られずにファクタリング会社のリスクを軽減できる2.5社間ファクタリングの「電ふぁく」を利用できます。

電ふぁくであれば、2社間ファクタリングでありながら上限8%という非常に低い手数料で利用できます。

トップマネジメントは対面や郵送などで契約を進めることも多く、注文書買取の場合には月商500万円以上の法人しか利用できません。

ペイブリッジは請求書買取はオンライン完結で個人事業主も利用できますが、注文書買取は月商500万円以上の法人しか利用できないため、売上規模の小さな個人事業主やフリーランスは注文書買取は利用できます。

ペイブリッジは本業が広告業やIT業でなくても、請求書が広告・IT関連であれば利用できます

信頼できる業者からオンライン完結かつ安価な手数料で利用したい方におすすめのサービスです。

ファクタリングのトライ

ファクタリングのトライ

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短即日
利用限度額 10万円〜5,000万円
買取手数料 3〜
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書
・入金が確認できる資料(通帳の写しなど)

ファクタリングのTRYは日本全国に対応したファクタリング会社で、請求書買取にも注文書買取にも対応しています。

最短即日入金ですが、契約には面談が必須となっているため、即日入金を希望する方は東京上野の事務所へ当日中へ訪問しましょう。当日中に訪問が難しい場合は即日入金は不可能ですが、トライの担当者が訪問してくれます。

審査では面談を重視しているため、決算書等ではわからない経営者の資質や人柄も加味して審査をおこなってくれます。そのため、他社の審査では落ちてしまった事業者もファクタリングのトライであれば審査に通過できるかもしれません。

ファクタリングのトライは他社からの乗り換えにも力を入れています。乗り換えの場合には手数料が3%優遇され、低コストで資金調達できるので、すでに他社を利用しており「手数料が高いな」と感じた方はファクタリングのトライの利用を検討しましょう。

建設ガーディアン

建設ガーディアン

売掛先の承諾 不要(2社間契約)
入金までにかかる時間 最短1時間
利用限度額  1億円
買取手数料 1%〜
個人事業主の利用 可能
必要書類 ・注文書
・入金が確認できる資料(通帳の写しなど)

建設ガーディアンは建設業専門のファクタリング会社です。

請求書買取だけでなく、注文書買取も取り扱っています。

最大の特徴は最短1時間で入金をおこなう圧倒的なスピードです。注文書買取は請求書買取よりもファクタリング会社のリスクが高いので、時間をかけて慎重に審査をおこなう傾向があります。

しかし建設ガーディアンであれば、最短1時間入金ですので、急いで資金が必要なタイミングでも活用できます。

また、来店は一切不要でZoomで面談し、クラウド契約サービスでオンライン完結契約が可能です。

手数料が1%〜と低く、買取可能額は1億円までと高額買取にも対応しています。

入金スピード、対応金額、手数料などあらゆる点で優れたファクタリング会社だといえます。

ホームページにはファクタリングについての基礎知識についての解説も充実していますので、初めて注文書買取や請求書買取を利用する人にもおすすめです。

注文書買取と請求書買取についてよくある質問

注文書買取と請求書買取の違いなどについてよくある質問は以下のとおりです。

  • 請求書や注文書の買い取りは違法ですか?
  • 注文書と発注書の違いは何ですか?
  • 注文書買取や請求書買取は個人事業主でも利用できますか?
  • 見積書は現金化できますか?
  • 個人からの注文書や個人に対する請求書は資金化できますか?

請求書や注文書の買い取りは違法ですか?

違法ではありません。

請求書や注文書は債権で、債権の売買は民法によって認められた合法な行為です。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
引用:e-Gov法令検索|民法

また、債権の回収をおこなうことは弁護士法違反ではないかという意見もありますが、法務省は債権管理回収業に関する特別措置法の概要の中で、サービサーが回収できる特定金銭債権の事例として「いわゆるファクタリング業者が有する金銭債権(その業務として買い取ったものに限る。)」と挙げています。

国がファクタリング業者が売掛債権を買い取ることを認めている証拠ですので、注文書買取や請求書買取は民法で認められている行為で、弁護士法違反でもありません。

注文書と発注書の違いは何ですか?

注文書と発注書に明確な違いはありません。注文書の必要事項である以下の項目さえ具備されていれば

発注書という名目でも注文書買取を利用できます。

  • 注文書の作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額(税込み)
  • 受注先企業の名称または氏名

そのため、注文書でも発注書でも変わりありません。

ただ、形や数量が決まったものを発注する場合に注文書、形や内容などをオーダーして注文するものを発注書といいます。

注文書買取や請求書買取は個人事業主でも利用できますか?

注文書買取や請求書買取は個人事業主でも利用できます。

ただし、業者によっては法人のみの取り扱いとなっている場合も多いため、個人事業主への取り扱いが業者によって異なるのが実情です。

個人事業主の方で注文書買取や請求書買取を利用したい方は、個人事業主でも利用できる業者を選択しましょう。

見積書は現金化できますか?

見積書は現金化できません。

見積書は商品やサービスの購入を検討している発注企業に対して、契約の前段階で「価格感を伝えるために」発行する書類です。

契約をしているわけではないため、見積書の段階で現金化してしまったら、現金化の後に発注そのものがなくなってしまうリスクもあります。

そのため、見積書は現金化できません。発注先に対して見積書を発行し、本契約に進んだら注文書買取で資金化しましょう。

個人からの注文書や個人に対する請求書は資金化できますか?

個人からの注文書や個人に対して発行した請求書は原則的に資金化できません。

注文書買取や請求書買取の売掛先は法人でなければならないためです。

特に2社間ファクタリングの場合には債権譲渡登記をおこなうケースも多々ありますが、債権譲渡登記は法人でなければできません。そのため、個人や個人事業主が売掛先の注文書や請求書は資金化できません。

なお、ペイトナーファクタリングなどごく一部のファクタリング会社だけでは個人事業主が売掛先の請求書の買取に対応しています。

状況に応じた賢い選択が経営の分かれ道

この記事では注文書買取と請求書買取の違いと共通項を解説しました。ここまで解説した内容をまとめると以下のようになります。

注文書買取

請求書買取

必要な証憑 注文書(発注書)

※「取引先からのメール等による仕事の指示」でも可能な場合もある

請求書
資金化のタイミング 案件受注後(発注書の発行次第) 商品・サービス納入後(請求書の発行次第)
契約形態 2社間契約が基本 2社間契約または3社間契約
手数料 請求書買取の手数料プラス約2~5% 約5~20%
サービス取扱会社 少ない 多い
信用情報との関係 なし なし
審査対象 売掛先 売掛先

注文書買取は非常に早い段階で資金化ができる一方、手数料は高くなってしまうため利用するタイミングが重要です。

請求書買取も、銀行融資などと比較するとスピーディーな資金調達が可能ですが、資金化のタイミングは商品・サービス納入後となるため注意しましょう。

注文書買取や請求書買取は「借りない」資金調達方法として中小企業の心強い味方です。

しかし、経営を右肩上がりに動かすためには現状をしっかり見極めた判断が必要です。

注文書買取と請求書買取の違いを正しく理解したうえで、適切な資金調達方法を決めましょう。

注文書ファクタリング会社 - BESTPAY