「取引先を増やしたいけど資金繰りが難しい」そのようなお悩みを抱えていませんか?
中小企業が取引先を拡大していくためには、いかに早く資金調達ができるかどうかがひとつの大きなポイントです。スピーディーな資金調達に有効な手段として「注文書買取(注文書ファクタリング)」があります。
注文書買取は、通常のファクタリングよりも早い「仕事の着手前」に資金調達を可能にするサービスです。通常のファクタリングは請求書を資金化するため、仕事の着手前の資金ニーズには対応できません。
一方で注文書買取は仕事の受注時に発行される注文書(発注書)を資金化するため、仕事の着手時に必要資金を調達できるのです。
この記事では、注文書買取のメリット・デメリットとともに、注文書買取サービスを選ぶポイントを解説します。
注文書買取(注文書ファクタリング)の仕組み
注文書買取は、企業間の取引で発生した売掛債権を早期に資金化する「ファクタリング」という資金調達方法のひとつです。
注文書買取は、仕事を受注した段階で発生する「注文書(発注書)」を注文書買取業者が買い取って資金化することで、通常のファクタリングよりもスピーディーな資金調達が可能となりました。
提供している業者はまだまだ少ない注文書買取ですが、銀行融資やクラウドファンディングなど数ある資金調達方法の中でも、とくに速く資金化できる方法として近年注目されています。
通常のファクタリングとの違い
注文書ファクタリングと一般の請求書を買い取るファクタリングの違いは主に次の4点です。
- 買取対象
- 手数料
- 資金調達のタイミング
- 売掛先への通知
売却するものや手数料や、資金調達ができるタイミングなど、注文書ファクタリングと請求書買取ファクタリングは多くの違いがあります。
注文書ファクタリングと通常のファクタリングの4つの違いについて詳しく解説していきます。
買取対象
注文書買取と通常のファクタリングの大きな違いは、資金化するための買い取り対象です。
通常のファクタリングは「請求書」を買い取るのに対し、注文書買取は「注文書」または「発注書」を買い取って資金化します。
通常のファクタリングは商取引が完了して発生する「売掛金」を買い取ります。
しかし注文書ファクタリングは、取引先から注文が入った段階で発行される注文書を債権と見做して買取を行います。
通常のファクタリングが売上が発生してからでないと債権を売却できないのに対して、注文書ファクタリングは売上発生前の注文があった段階で売却できるのは大きな違いです。
手数料
注文書ファクタリングと通常のファクタリングは手数料にも違いがあります。
結論的に言えば、注文書ファクタリングの方が手数料が高額になる傾向があります。
注文段階の方が売上発生時よりも不確定要素が多いので、ファクタリング会社のリスクが高くなるためです。
例えば注文段階は売上発生時にはない次のようなリスクが存在します。
- 注文が履行されずに受注企業が倒産する
- 発注企業が倒産して支払いができない
- 受注した仕事の内容に不備があった
- 納期が遅れる
- 注文書そのものが偽造
注文書はまだ仕事に取り掛かる前の書類で、実際に注文書通りに仕事が履行されて、期日までに代金が入金になるかどうかは分かりません。
少なくとも仕事が注文書通りに履行されて売上が発生した段階よりも不確定要素が多いのは間違いありません。
注文書ファクタリングはファクタリング会社にとってリスクが高いので、通常のファクタリングよりも手数料は高くなるでしょう。
- 通常のファクタリング(2社間ファクタリング)の手数料:8%〜15%程度
- 注文書ファクタリング:10%〜20%程度
ファクタリング会社によって手数料は異なるものの、注文書ファクタリングの方が通常のファクタリングよりも手数料は高くなる傾向があります。
資金調達のタイミング
注文書ファクタリングと通常のファクタリングは資金調達のタイミングが大きく異なります。
- 注文書ファクタリング:仕事を受注した段階
- 通常のファクタリング:受注を履行して売上が発生した段階
請求書は商品やサービスが納入されたあと、売掛先へ発行する証憑を指します。そのため通常のファクタリングで資金化できるタイミングは、受注した仕事が完了し、商品やサービスを顧客へ提供した後となります。
一方で注文書は、商品・サービスの受注時に取引先から発行される証憑のため、注文書買取では仕事開始前に資金調達ができるのです。
さらに一般的に注文書買取の対象は、半年後に納品予定の注文書までとなります。その結果、入金サイクルを最大180日短縮することが可能です。
売掛先への通知
注文書ファクタリングと通常のファクタリングは売掛先への通知の有無も異なります。
注文書ファクタリングは基本的に申込企業(仕事を請け負った企業)とファクタリング会社の2者のみの契約となるので、売掛先(発注先)企業にファクタリングの利用を知られることはありません。
3社間ファクタリングでの取り扱いがないというのが注文書ファクタリングの特徴の1つです。
一方、請求書を買い取る通常のファクタリングでは、売掛先企業が契約に介在しない2社間ファクタリングの取り扱いに加えて、売掛先企業にファクタリング利用を通知した上で契約に介在する3社間ファクタリングの取り扱いもあります。
3社間ファクタリングは手数料は2社間ファクタリングよりも低いですが、売掛先企業にファクタリング利用を知られるのがデメリットです。
注文書ファクタリングであれば3社間ファクタリングの取り扱いはないので、取引先企業に知られる心配はありません。
買取対象は「注文書」もしくは「発注書」
注文書買取には「注文書」もしくは「発注書」が必要です。両者に法的な違いはなく、注文書買取ではどちらも買取の対象となります。
名前が違うため、まったく違う証憑ととらえる人もいるかもしれませんが、どちらも仕事を注文する際に発行されるため、同じ書面として扱います。ただ企業や業界によってはそれぞれのルールに応じて使い分けているところもあるようです。
注文書・発注書ともに用意が難しい場合には「取引先からのメール等による仕事の指示」でも資金化が可能な場合もあります。
「注文書も発注書もないから資金調達ができない」と諦めてしまう前に、まずはファクタリング会社に相談してみましょう。
注文書ファクタリングのおすすめ利用シーン
注文書ファクタリングは次のような場面で活用できます。
- 大口の注文を受けたが運転資金が不足する
- 着手金や中間金では資金が不足する
- 受注するためには大型の設備投資が必要
基本的には「仕事に着手するために資金が必要になった」という場面で注文書ファクタリングは活用できます。
大口の注文を受けたが運転資金が不足する
大口の仕事を受注したものの「そんな運転資金がないから受注を断ろうかな」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
大きな仕事には仕入れも人件費も高額になるので、当然ながら運転資金も多く必要になります。
そして、受注した仕事の売上が入ってくるのは、仕事の完遂後ですので、受注によって増加した運転資金は手元に保有していなければなりません。
このような運転資金を増加運転資金と言います。
注文書ファクタリングを利用すれば、発注書の売上相当分が入金になるので、増加運転資金の確保は簡単です。
「大きな仕事を請けたけど運転資金が手元にない」という場面で注文書ファクタリングは活用できます。
着手金や中間金では資金が不足する
仕事を受注した際や業務の途中で、着手金や中間金を受け取れる契約を締結することがあります。
しかし着手金や中間金だけでは運転資金が枯渇する場合も注文書ファクタリングは活用できます。
注文段階から売上相当額が入金になるので、むしろ着手金や中間金は必要ありません。
着手金や中間金不要の契約であれば、発注企業にとっても有利な契約ですので、注文書ファクタリングを利用することで仕事を受注しやすくなるかもしれません。
受注するためには大型の設備投資が必要
仕事を受注するためには大型の設備投資が必要な場面でも注文書ファクタリングが活用できます。
例えば、自社の生産能力では月間1万個しか生産できないのに「月2万個生産してほしい」という受注があった場合などです。
生産に必要な設備投資を注文書ファクタリングで行うことができるので、事業拡大にも注文書ファクタリングは活用できるでしょう。
注文書ファクタリングのメリット
注文書ファクタリングには次の4つのメリットがあります。
- 資金繰りが難しいときも案件も取り逃さない
- 最大6か月先の注文書を資金化できる
- 発注先企業が倒産しても回収リスクがない
- 発注先企業にファクタリングの利用を知られない
注文書ファクタリングは融資や請求書買取ファクタリングと比較して多くのメリットがあります。
主な4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
資金繰りが難しいときも案件も取り逃さない
注文書買取を利用すると、これまでなら「資金不足で諦めるしかない」はずだった案件も受注できる可能性があります。
なぜなら前述の通り、仕事の受注段階に交わされる注文書で資金調達ができるからです。
注文書買取で得た資金は、商品・サービス納入に必要な資材や人件費などに充てられます。
銀行融資や通常のファクタリングにはできないスピーディーな資金調達により、資金繰りが難しい駆け出しの中小企業でも、事業や取引先の拡大につながるでしょう。
最大6か月先の注文書を資金化できる
注文書ファクタリングは、最大6ヶ月程度先の注文書を資金化できます。
2月1日発注。注文書受取
3月1日工事着手
6月1日工事完了。引き渡し。売掛金額発生
7月31日代金支払い
このようなスケジュールで仕事を受注した場合、注文書ファクタリングであれば2月1日の受注段階で資金化できます。
請求書買取ファクタリングは仕事が完了後に売掛金が発生した後でないと資金調達できないことと比較すると、注文書ファクタリングの方が圧倒的に早いタイミングで資金化できることが分かります。
また一般的に請求書買取ファクタリングは3ヶ月先の期日の売掛債権までしか資金化できませんが、注文書ファクタリングは6ヶ月先が期日の注文書も資金化できるのはメリットです。
なお、ファクタリング会社によってはさらに先の期日の注文書も買取に応じてくれることもあります。
発注先企業が倒産しても回収リスクがない
注文書ファクタリングで売却した債権は、仮に発注先企業が代金支払い前に倒産したとしても、その損失はファクタリング会社が負ってくれます。
ファクタリングはノンリコースで行われるため、債権が回収不能になった場合のリスクを売り手に請求できないためです。
大きな仕事を請ける時には「本当にこれだけの金額を支払えるのか」と不安になることが少なくありません。
しかし注文書ファクタリングを利用すれば、仮に受注後に売掛先企業が倒産したとしても、受注金額を手にできます。
商取引にはつきものの、売掛先企業の倒産リスクを排除できるのも、注文書ファクタリングのメリットです。
発注先企業にファクタリングの利用を知られない
注文書ファクタリングはファクタリングを利用したことを取引先企業に知られる心配がありません。
注文書ファクタリングは2社間取引で行われるためです。
2社間取引とは、申込企業とファクタリング会社の2者だけで契約する取引で、売掛先企業は契約には介在しません。
そのため、売掛先企業(発注企業)には秘密で取引できます。
注文書を売却する時点で資金繰りが楽ではないのは明白です。
そのため注文書ファクタリングを利用したことが発注元企業に知られてしまうと「資金繰りが苦しいから業務遂行に不安」と評価され、場合によっては契約をキャンセルされる可能性をあります。
注文書ファクタリングは2社間で行われるので、発注元企業にファクタリングの利用を知られる心配はありません。
自社の外部からの評価を落とすことなく、資金調達できるのも注文書ファクタリングの魅力です。
注文書ファクタリングのデメリット
受注段階から資金調達できるのが注文書ファクタリングの特徴ですが、次のようなデメリットもあるので注意してください。
- 手数料が高い
- 請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しい
- 取り扱っている会社が少ない
コストが高い上に審査が厳しく、請求書買取ファクタリングのように選択肢も多くありません。
注文書ファクタリングの3つのデメリットを詳しく解説していきます。
手数料が高い
急ぎの資金調達に有効な注文書買取ですが、通常のファクタリングよりも手数料を高く設定している会社が多いため注意しましょう。
手数料を高く設定している理由は「未回収リスク」が高いためです。
通常のファクタリングは、商品・サービスの納入まで済ませた状態で交わされる請求書を資金化します。
そのためファクタリング会社側からすると、ほぼ確実に振り込まれる売掛金の入金を待つだけとなるのです。
しかし注文書買取の場合、商品・サービス納入がなされる前に交わされる注文書を買い取ります。
そのため注文書買取業者側からすると売掛金回収までに時間がかかり、その間に売掛先の倒産や、契約破棄などにより売掛金が回収できない「未回収リスク」が高くなってしまうのです。
こうしたリスクに備え、売掛金回収までの期間が長い注文書買取は手数料が高めに設定されています。ちなみに通常ファクタリングの手数料は5~20%が相場で、注文書買取はさらに2~5%程高く設定されているところが多いようです。
請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しい
注文書ファクタリングは請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しく行われます。
債権が発生してから入金になるまでの期間が長い注文書ファクタリングは、請求書買取ファクタリングよりもファクタリング会社のリスクが大きいためです。
請求書が発行された段階であれば、売掛先企業の業況がよほど急に悪化しない限りは期日通りに支払われる可能性は高いと言えます。
しかし、注文書の発行段階の場合は、入金になるまでに次のようなリスクがあります。
仕事が完遂しない
申込企業が倒産した
売掛先企業が倒産した
納期の遅れから入金期日も遅れる
注文書ファクタリングは、このようは不確定要素が大きいので、ファクタリング会社も注文書ファクタリングよりも厳しく審査します。
売掛先企業や申込企業の業況や資金繰りがあまりにも悪い場合は審査に通過できない可能性に注意しましょう。
取り扱っている会社が少ない
注文書ファクタリングはそもそも取り扱っている会社が多くありません。
請求書買取ファクタリングと比較して、ここ数年で広がったサービスですので、請求書買取ファクタリングのように、有名企業が多数取り扱っているわけではありません。
選択肢が少ないという点は注文書ファクタリングのデメリットだと言えます。
ただし、最近は独立系を中心として大手ファクタリング会社も注文書ファクタリングを取り扱うようになりました。
これらの会社はオンライン買取に対応していらため、地方に所在する企業でも利用できます。
ただし、地方のファクタリング会社には注文書ファクタリングに対応しているところはほとんどありません。
「対面で注文書ファクタリングを利用したい」という地方の方は選択肢が非常に少ないのはデメリットです。
注文書ファクタリングの審査基準
注文書ファクタリングの審査で主に確認されるポイントは次の4点です。
- 発注先企業の信用
- 申込企業の信用
- 過去の取引実績
- 発注金額と納期
注文書ファクタリングの審査で重視される4つのポイントについて、具体的に解説していきます。
発注先企業の信用
まずは自社へ注文書を発注する、発注元企業(売掛先企業)の信用が重視されます。
売掛債権の期日にファクタリング会社へ代金を支払うのは発注元の企業だからです。
発注元企業が大手企業や、これまでも十分な取引実績のある企業であれば「この発注書も期日通りに入金される確率が高い」と判断されるため、審査に通る可能性が高いでしょう。
一方、発注元企業が小規模企業や赤字企業、債務超過企業、取引実績がない企業の場合は、期日通りに入金されると判断できる材料がありません。
このような場合は審査に通過できないことがあります。
注文書ファクタリングを利用するのは、次の条件ができる限り揃っている取引先からの注文書としましょう。
- 規模の大きな企業
- 業績に問題のない企業
- これまで何度も取引をしたことがある企業
申込企業の信用
注文書ファクタリングは2社間取引で行われるため、申込企業の信用も重要です。
- 注文書を偽造するリスク
- 期日に代金を流用するリスク
- 受注した仕事を完遂できないリスク
- 売上発生前に倒産するリスク
2社間ファクタリングそのものが抱える偽造や二重譲渡や資金流用のリスクに加えて、注文書ファクタリングは受注した仕事を完遂できずに売掛金が発生しないリスクも内包しています。
そのため注文書ファクタリングの審査では、申込企業の業況に問題がないかに加え、期日通りに仕事を受注できる業務遂行能力も審査されます。
そのため、これまでほとんど取り組んだことのない受注で、注文書ファクタリングを利用しようとしても審査に通過できないこともあります。
過去の取引実績
過去の取引したことがある取引先からの注文書の方が注文書ファクタリングの審査には通過しやすいと言えます。
例えば、これまで何も取引をしたことがない企業から、突然大口の受注があったら「なぜウチなのか」「期日通りに代金を支払えるのか?」と誰もが不安を感じるのではないでしょうか?
これはファクタリング会社も同じです。
そのため、過去に何度も受注がある企業からも注文書の方が圧倒的に審査には有利になります。
初めて取引する企業からの注文書ではなく、過去に取引をしたことがある企業からの注文書をファクタリングしましょう。
発注金額と納期
発注金額があまりにも大きいと審査に通過できない可能性があります。
それほど大きな金額を発注企業が支払えない可能性があるためです。
また、納期があまりにも長いと、ファクタリング会社のリスクが高くなるのでファクタリングを断られる可能性もあります。
発注金額は申込企業や売掛先企業の規模から見て妥当な範囲、売掛債権の入金日は6ヶ月以内になる注文書の方が審査には通過しやすいでしょう。
失敗しない注文書買取サービスを選ぶポイント
ここからは、実際に注文書買取業者を選ぶ際に注目すべきポイントを紹介します。
仕事に着手する前に資金調達をできる注文書買取ですが、しっかりサービスを見極めて選択しなければさまざまなトラブルを招きかねません。
後から後悔しないためにも、注文書買取サービスを選ぶポイントについてここで確認しておきましょう。
注文書買取ファクタリングを選択する際のポイントは主に次の2点です。
- 取引先との関係を崩さない「2社間契約」であるか
- 万が一にも安心な「ノンリコース契約」であるか
基本的に注文書ファクタリングは2社間契約でノンリコースで行われるので、当然といえば当然ですが、これらのポイントを満たしていない注文書ファクタリングは違法の可能性もあるので十分に注意が必要です。
注文書ファクタリングを選ぶ際に重要な2つのポイントについて詳しく解説していきます。
取引先との関係を崩さない「2社間契約」であるか
通常のファクタリングには、利用者とファクタリング会社間のみで完結する「2社間契約」と、ファクタリング会社から売掛先に通知や同意を得る「3社間契約」があります。
現在の注文書買取は前者の2社間契約でサービスを提供する会社が主流です。
2社間契約のメリットは、なんといっても取引先に知られないことでしょう。
取引先に同意を得るステップがない分早く資金を調達できます。さらには注文書買取を利用していることが取引先に知られて「資金繰りがうまくいっていないのでは?」と勘繰られる心配もありません。
取引先との関係に影響を与えずに、素早く資金調達をするには2社間契約であるかどうかが重要なポイントとなります。
万が一にも安心な「ノンリコース契約」であるか
万が一の場合でも償還請求権がない「ノンリコース契約」の注文書買取業者を選ぶと利用者側は安心して活用できるでしょう。
償還請求権(リコース)とは、事情によって売掛金が回収できなかった場合に、注文書買取業者から利用者へ回収金額を請求する権利のことです。
ノンリコース契約は償還請求権のない契約であるため、売掛先が倒産するなどの理由で売掛金を回収できなかった場合でも、利用者は責任を追う必要がありません。
そのため利用者は、万が一売掛金を回収できなかったとしても返済義務がないため安心して仕事に取り組めます。
現在はノンリコース契約の注文書買取業者が主流ですが、万が一の事態に備えて契約時にはノンリコース契約であるかを必ず確認しておきましょう。
注文書ファクタリングを利用する流れ
注文書ファクタリングは次のような流れで利用していきます。
- 発注元企業が注文書を発行
- 注文書ファクタリング会社へ買取を依頼
- 注文書などの必要書類をもとにファクタリング会社が審査
- 審査通過後に契約をして注文書代金が入金
- 業務完了後に売掛先から売掛金を回収しファクタリング会社へ支払い
注文書ファクタリングを実際に利用する流れや手数料について詳しく解説していきます。
①発注元企業がが注文書を発行
まずは仕事を発注している企業が申込企業に対して注文書を発行します。
通常は、発注元企業から仕事の打診があり、申込企業が見積もりを提出し、金額面などで折り合いがつけば正式に発注書が発行される流れです。
注文書ファクタリングが利用できるのは、この発注書発行のタイミングです。
見積依頼などでは注文書ファクタリングは利用できないため注意しましょう。
②注文書ファクタリング会社へ買取を依頼
発注元企業から発行された注文書をファクタリング会社を提出し、ファクタリングの申し込みを行います。
注文書ファクタリングに必要な書類はファクタリング会社によって異なりますが、最低限次の書類は必要になります。
- 申込者の本人確認書類
- 発注書
- 発注元企業からの過去の入金が分かる通帳のコピー
さらに、ファクタリング会社によって申込企業の決算書や、発注元企業との基本契約書などの提出が必要になることもあります。
あらかじめ、必要書類を確認し、漏れなくスムーズに提出できるようにしておきましょう。
③注文書などの必要書類をもとにファクタリング会社が審査
注文書ファクタリングの申し込みが完了したら、ファクタリング会社が書類や申込内容をもとに審査を行います。
審査基準は主に売掛先企業の業況と、注文内容、申込企業と売掛先企業の取引実績などです。
早いファクタリング会社は30分程度で完了しますが、注文書ファクタリングは請求書買取ファクタリングよりもリスクが高いため、審査完了までに数日程度かかってしまうこともあります。
急いで資金が必要な方は、あらかじめ審査時間を確認し、審査回答が早いファクタリング会社へ申し込んでください。
④審査通過後に契約をして注文書代金が入金
審査通過後にはファクタリング会社と申込企業で契約を行います。
注文書ファクタリングは売掛先企業が契約に介在しない、2社間ファクタリングで行われるため、契約手続は30分〜1時間程度で完了します。
なお、ファクタリング会社の中には契約手続きを対面で行わなければなりません。
対面契約が必須のファクタリング会社は契約完了までに時間がかかってしまうため、急いで資金が必要な方はオンライン完結型のファクタリング会社を選択してください。
契約完了後に指定した銀行口座へ代金が入金になります。
資金化が早いファクタリング会社は、申込から入金まで2時間程度で完了します。
⑤業務完了後に売掛先から売掛金を回収しファクタリング会社へ支払い
ファクタリング後には注文書で発注された業務を行います。
売掛先企業へ商品やサービスを納品したら、売掛金が発生します。
そして売掛金の期日になると、売掛先企業が申込企業へ代金を支払うので、この代金をファクタリング会社へ送金すれば、ファクタリング会社への支払いは完了します。
ファクタリング会社によって違いはあるものの、一般的に注文書ファクタリングは6ヶ月先が入金期日の注文書の資金化が可能です。
注文書ファクタリングが利用できるファクタリング会社7選
注文書ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社はそれほど多くありません。
次の7社であれば、安心して注文書ファクタリングを利用できるでしょう。
- ビートレーディング
- GMO BtoB 早払い
- BESTPAY
- トップ・マネジメント
- けんせつくん
- 日税ファクタリングサービス
- ネクストスタイル
注文書ファクタリングを取り扱っている安心な業者を7社ご紹介していきます。
ビートレーディング
入金スピード | 最短即日 |
---|---|
買取金額 | 上限下限なし |
手数料 | 4%~12% |
公式HP | https://betrading.jp/ |
ビートレーディングは店舗型のファクタリング会社として、国内最大クラスの規模と知名度を誇っています。
累計の取引実績は5.2万社以上、累計買取額1,170億円という大きな実績を誇ります。
またメディアにも度々特集されており、知名度も抜群です。
安心、安全なファクタリング会社と取引たい方にはおすすめのファクタリング会社です。
ファクタリングの専門会社であるビートレーディングは、あらゆる売掛債権の買取をおこなっており、注文書ファクタリングにもしっかりと対応しています。
担当者の金融知識も深いので、資金調達だけでなく会社の資金繰り改善の相談にもビートレーディングは活用できます。
GMO BtoB 早払い
入金スピード | 最短2営業日後 |
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買取金額 | 100万円~1億円 |
手数料 | 1%~12% |
公式HP | https://www.gmo-pg.com/service/hayabarai/ |
大手インターネット会社のGMOグループが提供するファクタリング会社です。
ネット企業のサービスですが、顧客のサポートをしっかりとおこなっており、利用企業には専任の担当者がつき資金繰りのサポートをおこなっています。
そのため契約には面談が必要になりますが、オンライン面談もおこなっており、最短2営業日で売掛債権を資金化でき、注文書の買取にも対応しています。
最初の企業ごとに「いくらまで買い取る」という枠を作成するので、2回目以降の利用は枠の範囲内で非常にスムーズに利用できるのも特徴です。
なお、利用できるのは法人だけで個人事業主は利用できないの注意しましょう。
BESTPAY
入金スピード | 最短翌日 |
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買取金額 | 100万円〜3億円程度 |
手数料 | 5%〜 |
公式HP | https://best-pay.jp/ |
BESTPAYは独立系の大手ファクタリング会社であるベストファクターが運営する注文書買取の専門サービスです。
大手ファクタリング会社の運営ですので安心して利用でき、手数料も5%〜と低めの設定です。
また、注文書ファクタリングは審査に時間がかかることがありますが、最短翌営業日入金ですので、スムーズに注文書の現金化ができます。
ホームページには「調達希望額」「事業形態」「売掛先の会社規模」を入力するだけで、調達可能金額が表示されるシミュレーションもついているので、「いくら資金調達できるのか」と不安な方は気軽に利用しましょう。
トップ・マネジメント
入金スピード | 最短即日 |
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買取金額 | 最大1億円 |
手数料 | 3%~ |
公式HP | https://top-management.co.jp/lp05/index.html |
トップマネジメントはファクタリングを専門に行う独立系の店舗型ファクタリング会社です。
創業以来延べ45,000件以上のファクタリングを取り扱っており、口コミ評価も高い安心な企業です。
トップマネジメントも注文書の買い取りに応じており、安心して注文書を売却できます。
トップマネジメントは国が指定した電子債権記録機関であるTranzax株式会社と提携し、売掛債権を電子記録債権としてファクタリングを実施しています。
国が指定している企業と提携しているため、安心して利用できます。
店舗型のファクタリング会社ですので、利用には面談が必要になりますが、基本的に面談はWEB面談で行われるので地方に所在する企業も安心して利用できます。
けんせつくん
入金スピード | 最短即日 |
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買取金額 | 上限下限なし |
手数料 | 5%~ |
公式HP | https://xn--y8jd4aybzqd.jp/ |
けんせつくんは、建設業専門のファクタリング会社です。
建設業は仕事を受注してから工事完了までに非常に長い時間がかかるので、受注する企業にとっては増加運転資金が懸念される業種です。
そこで、けんせつくんは「建設業専門のファクリングサービス」として、建設業の売掛債権を最短2時間で資金化してくれます。
建設業専門ですので、他社では「期間が長い」と断られてしまった売掛債権も、けんせつくんであれば、買取に応じてもらえる可能性があるでしょう。
日税ファクタリングサービス
入金スピード | 1週間〜2週間(2回目以降は最短即日) |
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買取金額 | 下限上限なし |
手数料 | 1ヶ月~3ヶ月 0.3%~3.5% 4ヶ月~6ヶ月 0.5%~5.0% |
公式HP | https://www.nbs-nk.com/service/factoring/index.html |
日税ファクタリングサービスは、1972年に全国の税理士とその関与先企業の経営者向け保険を業界関係者と企画・立案する企業として設立された会社です。
税理士が関与する企業ですので、非常に安心して取引できるファクタリング会社です。
日税ファクタリングサービスは注文書だけでなく、補助金や助成金も買い取っています。
最大の特徴が手数料が月利率という点です。
ほとんどのファクタリング会社が、額面金額に対して所定の利率を乗じたものが手数料であるのに対して、日税ファクタリングサービスは月〇〇%と決められているので、期間が短ければコストも低くなります。
さらに、その利率も月0.3%〜5%程度と低めです。
例えば、100万円の売掛債権を2ヶ月ファクタリングし、手数料が3%であれば、手数料は月3万円の合計6万円です。
利用した期間しか手数料がかからないため、非常にコスパのよいファクタリング会社だと言えるでしょう。
ネクストスタイル
入金スピード | 最短即日 |
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買取金額 | 1社につき20万円~5000万円程度(買取上限1億円) |
手数料 | 1%(その他雑費ありなので、実質上10〜20%) |
公式HP | https://www.nextstyle-tokyo.com/factoring_order.html |
ネクストスタイルは注文書、契約書などの買取を行うファクタリング会社です。
買取スピードに定評があり、注文書や契約書でも最短即日で資金化できるのが特徴です。
審査は最短30分で完了し、非対面で契約できます。
2社間ファクタリングでも10%〜資金化できるので、手数料が高い注文書ファクタリングも比較的低コストで資金化できます。
急いで注文書や請求書を資金化したい場合に活用できるファクタリング会社です。
スピーディーな資金調達であなたの事業は拡大する
この記事では、スピーディーな入金で中小企業の事業拡大を支援する「注文書買取(注文書ファクタリング)」のメリット・デメリットや、サービスを選ぶポイントについて解説しました。
仕事の受注時に発行される「注文書(発注書)」を資金化するため、仕事の着手時に必要資金を確保できます。
類似サービスの中でも特にスピーディーな資金調達ができる一方で、手数料が高いというデメリットもある注文書買取。
そのため、むやみやたらに利用するのではなく「資金不足だけど確実な売上が見込めるから、この案件はどうしても逃したくない」ような、事業に追い風を吹かせてくれるであろうタイミングで計画的に利用しましょう。
もちろん、同時に安定した資金繰りができるように進めていくことも大切です。