国民健康保険団体連合会(国保連)などが支払う介護報酬を前払いで受け取れる「介護ファクタリング」は、介護事業者の資金繰り改善に大変有用です。
この記事では、介護ファクタリングとは何かについて、そのシステムや流れ、メリットや注意点などを解説します。加えて、介護ファクタリングを取り扱っているおすすめのファクタリング会社も紹介します。
介護ファクタリングとは
介護ファクタリング(または介護報酬ファクタリング)とは、介護報酬を受け取る権利(介護報酬債権)をファクタリング会社に売却して、売却代金を受け取るサービスです。
一般的に介護サービスの報酬は、1割から3割をサービス利用者が支払い、残りは国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が支払います。
国保連や支払基金(以下「国保連など」と表記)から介護報酬が支払われるのは請求してから約2ヶ月後ですが、介護ファクタリングを使うと支払時期を1.5ヶ月程度早めることが可能です。
その代わり、介護報酬を受け取る権利はファクタリング会社に譲渡されるため、国保連などからの支払いはファクタリング会社が受け取り、介護事業者は受け取ることができません。
介護ファクタリングと類似のサービスとして「診療報酬ファクタリング」や「調剤報酬ファクタリング」などがあり、基本的な仕組みはどれも同じです。
介護ファクタリング利用の流れ
介護ファクタリングの一般的な利用の流れは以下のとおりです。
- 問合せ・申込み
- 審査・契約
- 国保連などに債権譲渡通知書を送付
- 介護事業者が国保連などに介護報酬を請求
- ファクタリング会社が介護事業者へ介護報酬額の8割程度を入金
- 国保連などがファクタリング会社へ介護報酬を入金
- ファクタリング会社が介護事業者へ残りの額を入金
介護ファクタリングは、「3社間ファクタリング」と呼ばれるスキームで行います。3社間ファクタリングは、国保連などに債権譲渡通知を行ったうえで、国保連などがファクタリング会社に直接介護報酬を支払うのが特徴です。
これに対して、債権譲渡通知を行わないタイプのファクタリングを「2社間ファクタリング」といいます。
2社間ファクタリングは、企業同士の取引で発生した売掛債権のファクタリングでよく使われるスキームです。手数料が比較的高い代わりに、手続きがスムーズで入金スピードが早いなどの特徴があります。
以下では、3社間ファクタリングで行われる介護ファクタリングの流れについて、各プロセスを解説します。
1.問合せ・申込み
まず、介護ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社に問い合わせをして、申込みを行います。
申込みは電話か申込みフォームから行うのが一般的で、中にはFAXやLINEなどで行える業者もあります。申込みフォームはファクタリング会社の公式サイト内に設置されているのが一般的です。
2.審査・契約
介護ファクタリングの申込みをしたら、次は必要書類を提出して審査を受けます。そして審査に通れば契約となり、ファクタリングの手続きへと進みます。
主な必要書類
介護ファクタリングの審査で必要となる主な書類は以下のとおりです。ただし、実際に提出する書類はファクタリング会社によって異なり、事業者の信用度などによっても変わります。
書類の種類 | 具体例 |
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介護ファクタリングの申込書 |
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事業者に関する資料 |
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介護報酬の請求・支払いに関する資料 |
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納税などに関する資料 |
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事業内容に関する資料 |
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契約時に必要な書類 |
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3.国保連などに債権譲渡通知書を送付
介護ファクタリングでは、介護報酬の支払いを行う国保連などに対して、債権譲渡通知書を送付します。
債権譲渡通知書は、介護報酬を受け取る権利がファクタリング会社に譲渡されたことを証明する文書です。これによって、国保連などは介護報酬を介護事業者ではなくファクタリング会社に支払うことができます。
債権譲渡通知書はファクタリング会社と介護事業者の連名で作成しますが、作成や送付などの手続きはファクタリング会社が行ってくれるのが一般的です。
4.介護事業者が国保連などに介護報酬を請求
介護報酬の請求期間が来たら、介護事業者は通常どおり国保連などに介護報酬の請求手続きを行います。
5.ファクタリング会社が介護事業者へ介護報酬額の8割程度を入金
介護報酬の請求手続き確認後、ファクタリング会社は介護事業者へ代金を入金します。入金額は介護報酬額の8割程度で、残りは後日支払われます。
入金される期日は、介護報酬の請求手続き後、5営業日程度かかるのが一般的です。
6.国保連などがファクタリング会社へ介護報酬を入金
介護報酬を請求した翌月末ごろに、国保連などがファクタリング会社へ介護報酬を入金します。
7.ファクタリング会社が介護事業者へ残りの額を入金
ファクタリング会社に介護報酬が入金されると、その後ファクタリング会社から介護事業者へ残りの2割程度の額が入金され、介護ファクタリングの手続きが完了します。
残額の支払い日はファクタリング会社によって異なりますが、介護報酬の入金からおおむね3営業日程度かかることが多いです。
介護ファクタリングのメリット
介護ファクタリングの主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 介護報酬を前倒しで受け取れる
- 初回は2ヶ月分を受け取れる
- 手数料が安い
- 審査通過率が高い
- 返済の必要がない
- 担保や連帯保証人が不要
- 資金の使い道が自由
- 開業間もない事業者でも利用しやすい
- 売掛先に知られることを懸念する必要がない
介護報酬を前倒しで受け取れる
介護報酬を前倒しで受け取れるのは、介護ファクタリングの最も重要なメリットの一つです。審査結果などにもよりますが、おおむね1ヶ月半くらい入金を早めることができます。
例えば、1月分の介護報酬を2月10日に国保連に請求すると、報酬が支払われるのは3月末ごろです。
一方、介護ファクタリングは国保連への請求後5営業日ほどで入金されるので、2月15日ごろに入金され、結果として1ヶ月半ほど入金が早くなります。
業者によっては2ヶ月以上先の介護報酬もファクタリングできることがあり、これを利用すればさらに入金を早めることも可能です。
初回は2ヶ月分を受け取れる
介護ファクタリングの初回利用時は、介護報酬を2ヶ月分受け取れるのもメリットだといえます。
これは、ファクタリングで前月分の介護報酬を前倒しで受け取るのに加えて、前々月分の(ファクタリングしていない)介護報酬も同じ月に振り込まれるからです。
これにより、一時的により多くの現金を入手できるため、必要な資金を調達しやすくなります。
例として、以下のようなケースを考えてみましょう。
- 1月分の介護報酬:ファクタリングしない
- 2月分の介護報酬:ファクタリングする
- 3月分の介護報酬:ファクタリングする
- 4月分の介護報酬:ファクタリングしない
ファクタリングする場合については、国保連などへの請求を翌月10日に行い、その5日後(15日)に入金されるとします。
この場合、報酬を受け取る期日は以下のとおりです。
- 1月分の介護報酬:3月末ごろ
- 2月分の介護報酬:3月15日
- 3月分の介護報酬:4月15日
- 4月分の介護報酬:6月末ごろ
よって、初回利用時の3月は1月分と2月分の介護報酬が支払われ、2ヶ月分受け取れることになります。
もちろん、2ヶ月分受け取れるのは初回の3月だけで、継続利用した4月は1ヶ月分しか受け取れません。さらに、ファクタリングの利用を止めた5月は、介護報酬を全く受け取れないことになります。
当然ながら、トータルで受け取る介護報酬は同じです。あくまで前倒しで受け取ることで、初回は2ヶ月分受け取れるという仕組みになります。
このように注意点はありますが、一時的にまとまった資金が必要な場合は、初回に2ヶ月分受け取れるのはメリットだといえます。
手数料が安い
介護ファクタリングは通常の売掛債権ファクタリングに比べて、手数料が安いのがメリットです。
売掛債権ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングで5%から15%程度、3社間ファクタリングで2%から9%程度といわれています。これに対して、介護ファクタリングの手数料は0.2%から3%程度が相場です。
介護ファクタリングの手数料が安いのは、3社間ファクタリングで行うことと、介護報酬を支払うのが国の機関であることが主な理由だといえます。
3社間ファクタリングで行う
通常の売掛債権ファクタリングは2社間ファクタリングで行うことが多いのに対して、介護ファクタリングは3社間ファクタリングで行います。
2社間ファクタリングは売掛先に許可をとらずに行うため、売掛金をファクタリング会社に直接入金できません。そのため、ファクタリング会社にとっては3社間ファクタリングよりリスクが高くなります。
一方、介護ファクタリングは3社間ファクタリングで行うため、国保連などがファクタリング会社に直接介護報酬を支払います。そのため、2社間ファクタリングよりリスクが低くなり、結果として手数料が安くなります。
介護報酬を支払うのが国の機関である
通常の売掛債権ファクタリングでは、売掛金を支払うのは民間企業です。民間企業は国の機関と違い、資金繰り悪化などの理由で売掛金が未払いになる可能性があります。
ファクタリングでは、売掛金の未払いリスクを負うのはファクタリング会社のため、リスク分が手数料に上乗せされます。
一方、介護報酬を支払うのは国保連など国の機関のため、未払いリスクはほとんどありません。よってその分、売掛債権ファクタリングよりも手数料が安くなります。
審査通過率が高い
介護ファクタリングは、審査通過率が大変高いのがメリットです。
介護ファクタリングに限らず、一般的にファクタリングは審査通過率が70%から90%程度と、融資に比べて高い傾向があります。ファクタリングは売掛債権が回収できればよいため、返済能力を問わなくてよいことなどが審査通過率が高い理由です。
さらに、介護ファクタリングは国保連など国の機関が報酬を支払うため、未払いリスクがほとんどありません。そのため、民間企業同士の取引による売掛債権ファクタリングよりも、さらに審査通過率が高くなります。
実際の審査通過率はファクタリング会社にもよりますが、ほぼ100%に近い審査通過率(97%から99%程度)を提示している業者も多いです。
返済の必要がない
介護ファクタリングは介護報酬を前倒しで受け取るサービスのため、融資と違って返済の必要がありません。
担保や連帯保証人が不要
ファクタリングは融資と違い、担保や連帯保証人が不要です。
ファクタリングは借入ではなく債権の譲渡のため、貸金業に該当する担保や連帯保証の付与は行いません。もし売掛金が未払いになった場合は、債権者であるファクタリング会社が損失を負います。
企業同士の取引による売掛債権ファクタリングでは、この未払いリスクは手数料に上乗せされるのが一般的です。
資金の使い道が自由
融資や補助金・助成金などと違い、介護ファクタリングで得た資金は使い道が自由なのが利点です。
介護ファクタリングで得た資金のよくある使い道としては、以下のようなものがあります。
- 運転資金
- 設備投資資金
- 給料やボーナスの支払い
- 一時的な売上減少の穴埋め
- 新しい事業所の開設費用
- 急な出費への対応
- など
開業間もない事業者でも利用しやすい
介護ファクタリングは、開業間もない事業者でも利用しやすいのがメリットです。
融資では実績のない事業者は審査で不利になることがありますが、介護ファクタリングは国保連などが支払う介護報酬を回収できればよいため、開業間もない事業者でも審査に通りやすくなっています。
売掛先に知られることを懸念する必要がない
介護ファクタリングは通常の売掛債権ファクタリングと違い、売掛先に知られることを懸念する必要がないのも利点の一つです。
企業間の取引による売掛債権ファクタリングでは、もし売掛先にファクタリングをしている事が知られると、「ファクタリングで資金調達しなければならないほど資金繰りが苦しいのか」と思われる可能性があります。
その結果、売掛先から取引を減らされたり停止される可能性を懸念して、ファクタアリングの利用を躊躇する人もいるといわれています。
一方、介護ファクタリングは売掛先にあたるのが国保連など国の機関のため、こういった懸念を抱くことがありません。
介護ファクタリングの注意点
介護ファクタリングには多くのメリットがありますが、注意点もいくつかあります。メリットと注意点を踏まえたうえで、介護ファクタリングを利用すべきか判断しましょう。
介護ファクタリングの主な注意点としては、以下のようなものがあります。
- 全額は前払いできないのが一般的
- 即日現金化はできないのが一般的
- 手数料が引かれる
- 保険外の債権は利用できない
- ファクタリングの利用が常態化してしまうことがある
- 保有している債権の範囲でしか資金調達できない
全額は前払いできないのが一般的
介護ファクタリングでは、介護報酬額の全額は前払いできないのが一般的です。80%程度を上限とする業者が多く、審査結果によってはそれ以下になる場合もあります。
介護ファクタリングに限らず、一般的にファクタリングでは全額は前払いされないケースが多いです。前払いの割合は「掛け目」と呼ばれ、審査結果などによって個別に設定されます。
介護報酬は未払いリスクがほとんどないにもかかわらず掛け目が設定されるのは、請求した介護報酬が必ずしも全額支払われるとは限らないからです。
介護報酬を請求すると国保連などが審査を行いますが、この時全額の支払いが認められないこともあります。
もし全額の支払いが認められなかった場合、その損失を負うのはファクタリング会社のため、このリスクへの対策などを理由として、前払いの割合に制限が設けられます。
即日現金化はできないのが一般的
介護ファクタリングでは、一般的に即日での現金化はできません。
売掛債権ファクタリングは即日入金できるサービスが多いですが、これは2社間ファクタリングを使っているためです。
2社間ファクタリングは売掛先に許可を取らないため、審査終了後すぐに契約・入金手続きに進むことができます。
一方、介護ファクタリングは3社間ファクタリングを使うため、国保連などに債権譲渡通知を行わなければなりません。通知書を送付して了承を得るには数日かかるため、即日での現金化は難しくなります。
手数料が引かれる
介護ファクタリングは手数料がかかるため、ファクタリングを行わず介護報酬を全額受け取る場合に比べて、手に入る金額は少なくなります。
介護ファクタリングの手数料は売掛債権のファクタリングに比べると低いですが、それでも手数料が引かれることに変わりはありません。
よって、あまり頻繁に利用し過ぎると、手数料がかさんでかえって資金繰りが悪化してしまう可能性もあります。
保険外の債権は利用できない
介護ファクタリングは国保連などからの支払いに対して行うものなので、介護保険外のサービスで発生した債権は利用できません。
ファクタリングの利用が常態化してしまうことがある
介護ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、利用が常態化してしまうことがあるのが注意点です。
介護ファクタリングは翌月以降の介護報酬を前倒しで受け取るため、その分翌月以降のキャッシュインは少なくなります。
そのため、もし翌月以降に資金が足りなくなりまたファクタリングを行うと、ファクタリングを使い続けないと資金繰りが立ち行かない状態になってしまいます。
介護ファクタリングを利用する際は、翌月以降のキャッシュインの減少に対応できる資金繰り計画を立てておくことが大切です。
保有している債権の範囲でしか資金調達できない
介護ファクタリングは保有している債権額の範囲でしか利用できないため、必要とする資金が全て調達できるとは限らないのが注意点です。
例えば、200万円の資金が必要だが介護報酬債権が100万円しかない場合、残りの100万円は他の手段で調達しなければなりません。
介護ファクタリングの利用がおすすめな場面
前章までで見たように、介護ファクタリングはメリットとデメリットがあります。よって、むやみに利用するのではなく、適切な場面に絞って活用することが大切です。
介護ファクタリングの利用がおすすめな場面の主な例としては、以下のようなものが考えられます。
- 新規開業した時
- 設備投資を行う時
- 資金ショートしそうな時
- 急な出費があった時
- 融資を利用したくない時
新規開業した時
介護事業の新規開業時は、介護ファクタリングを有効活用しやすい場面です。
開業した直後は資金繰りが不安定になることが多く、実績がないため銀行融資も通りにくい傾向があります。
一方、介護ファクタリングは融資の審査に比べると、これまでの実績や資金繰りの状況はそれほど重視されません。よって、融資が通りにくい新規事業者でも、介護ファクタリングなら資金調達しやすいといえます。
設備投資を行う時
設備投資を行う時も、介護ファクタリングの利用がおすすめな場面だといえます。
介護事業を営むためには、事業所や機器・設備など、多くの設備投資が必要です。しかし、設備投資は一時的に多額の資金が必要になるため、どのように資金を工面するかが重要になります。
このような時に介護ファクタリングを利用すれば、設備投資資金をすみやかに調達可能です。
特に、設備投資を行った後、比較的短期間で売上増が見込めるような状況なら、ファクタリング利用後のキャッシュインの減少にも対応しやすくなります。
資金ショートしそうな時
介護ファクタリングは、資金ショートを一時的に回避する手段としても利用できます。
ここで資金ショートとは、手持ちの現金や預金が足りないために、必要な支払いができなくなることです。赤字や債務超過の時に起こることが多いですが、黒字でも現金が足りなくなれば資金ショートは起こり得ます。
資金ショートは倒産につながるケースも多いため、素早い資金調達で必要な支払いを済ませなければなりません。しかし、金融機関からの融資は審査に時間がかかりますし、ビジネスローンは素早く現金を入手できるものの手数料が高額です。
一方介護ファクタリングは、介護報酬を前倒しで入手できるうえに手数料も安いため、資金ショートの回避手段として相性が良いといえます。
急な出費があった時
急な出費が発生した時に、介護ファクタリングで費用を工面するのも有用です。
介護事業では、急に機器や設備が故障して、修理が必要になるような事態も想定されます。このような時に介護ファクタリングを利用すれば、すみやかに費用を調達できるでしょう。
融資を利用したくない時
融資を利用せず資金調達したい時は、代わりに介護ファクタリングを利用するのも有用です。
融資は一般的な資金調達手段ですが、借入金が増えるためできるだけ利用したくない人もいるでしょう。また、すでに多くの融資を利用しているため、新規の借入が難しいケースもあります。
このような時に介護ファクタリングを利用すれば、借入を増やさずに資金調達できます。
介護ファクタリングを選ぶ時のポイント
介護ファクタリングを取り扱っている業者は多数あるため、優良な業者を選ぶことが大切になります。以下のような点を基準に、自分に合う業者を選びましょう。
- 手数料が相場の範囲内か確認する
- 掛け目が納得できる割合かチェックする
- 入金スピードをチェックする
- 契約期間の有無を確認する
- 介護報酬担保ローンと混同しないよう注意する
- 悪質業者の存在に注意する
手数料が相場の範囲内か確認する
手数料は入手できる金額に直接影響するため、必ずチェックしておくべきポイントです。他の業者と比較して相場の範囲内に収まっているかを確認しましょう。
介護ファクタリングの手数料の相場は、おおむね0.2%から3%くらいです。利用を検討している業者の手数料がこれより高いなら、他の業者も検討してみたほうがよいでしょう。
ただし、手数料が具体的にいくらになるかは審査結果によるので、申込み前にいくつかの業者から相見積もりを取って、比較検討するのも有用です。
また、手数料以外に事務手数料などがかかる業者もあるので、料金システムをチェックしたうえで利用しましょう。
掛け目が納得できる割合かチェックする
前払いされる割合である掛け目は、手数料とともに重要なチェックポイントです。掛け目が低いと前払いで入手できる現金が少なくなるため、必要な金額を調達できない可能性も出てきます。
介護ファクタリングの掛け目は最大80%程度に設定している業者が多く、相場としては70%から90%くらいです。手数料が同じでも、掛け目が高い業者のほうが前払いできる金額が多くなります。
掛け目も手数料と同様、実際いくらになるかは審査結果によります。こちらも相見積もりを取るなどして比較検討するのがよいでしょう。
入金スピードをチェックする
ファクタリングは早く現金を入手できることがメリットなので、入金スピードをチェックするのも重要です。
介護ファクタリングは、まず申込みと審査、および債権譲渡通知と契約を行い、次月に国保連などに介護報酬を請求して、その数日後に入金される流れになります。よって、申し込みから契約までの期間と、介護報酬請求から入金日までの期間の2点をチェックするとよいでしょう。
期間の相場は、申込みから契約までが1週間から2週間程度、介護報酬請求から入金までが5営業日前後です。
契約期間の有無を確認する
介護ファクタリングを選ぶ際は、業者が定めている「契約期間」の有無を確認しておきましょう。
介護ファクタリングでは、業者によって契約期間が定められていることがあります。1年から数年程度の契約期間があり、その間は介護ファクタリングを利用できるという仕組みです。
契約期間は業者によって違いますが、中には手数料などがかかることもあるため、内容をよく確認しておくことが大切です。
特に、以下の3点は余計なコストが発生する要因になるため、必ず確認しておきましょう。
- 更新手数料の有無
- 途中解約した場合の違約金の有無
- 毎月一定額以上のファクタリングを利用しなければならないなどの制約条件の有無
介護報酬担保ローンと混同しないよう注意する
介護ファクタリングと似たサービスとして、「介護報酬担保ローン」というものもあるため、混同しないように注意しましょう。
介護報酬担保ローンとは、介護報酬債権を担保にした融資のことです。一方、介護ファクタリングは介護報酬債権を譲渡して譲渡代金を受け取るサービスであり、融資ではありません。
介護報酬担保ローンを提供している主な業者には、「AGメディカル」「クレイリッシュ」「昭和リース」などがあります。これらはファクタリング会社ではないので間違えないよう注意しましょう。
悪質業者の存在に注意する
ファクタリングは貸金業と違い許認可がなくても営業できるため、悪質業者が紛れ込んでいることがあるといわれています。介護ファクタリングを利用する際は、できるだけ大手の信頼できる業者を選びましょう。
例えば、以下のような業者は悪質業者の可能性があります。
- 会社の所在地が不明、または架空の所在地を記載している
- 公式サイトがなくSNSなどで勧誘してくる
- ファクタリングといっておきながら利息の支払いや返済を要求してくる
- 契約書の内容があいまい、またはそもそも契約書を提示しない
一方、以下のような業者は優良業者であると判断できます。
- サービス内容や会社情報を公式サイトなどできちんと公開している
- 運営実績(運営年数や累計取引数など)が十分である
- 運営会社(またはその親会社)が上場企業や有名企業である
おすすめの介護ファクタリングサービス
ここでは、数ある介護ファクタリングサービスの中から、おすすめできる優良業者を厳選して紹介します。
カイポケ早期入金サービス
カイポケ早期入金サービスは、介護ソフト「カイポケ」を提供している「株式会社エス・エム・エスフィナンシャルサービス」による介護ファクタリングです。
1,000社以上のファクタリング実績があり、シェア上位の介護ソフトを提供している会社でもあるため、安心して利用できるサービスだといえます。
手数料は最大0.8%と良心的で、更新や解約手数料も無料と、利用しやすいサービス内容が強みです。
ただし、初回手数料5,000円(税抜)と、月額利用料2,000円(税抜)がかかるのが注意点です。
【カイポケ早期入金サービスの基本情報】
運営会社 | 株式会社エス・エム・エスフィナンシャルサービス |
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住所 | 〒105-0011
東京都港区芝公園2-11-1 住友不動産芝公園タワー |
電話番号 | 0120-115-611(平日9:00-18:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 最大80% |
手数料 |
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契約期間 | 最短3ヶ月から(更新料・解約金なし) |
入金スピード | 国保連等への請求後最短5営業日 |
申し込み方法 | サイトの申し込みフォームから |
必要書類 |
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オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 可 |
リコーリース
ローンやリース、不動産事業などを手がけている「リコーリース株式会社」が提供する介護ファクタリングです。
最大80%まで前払い可能で、契約期間の更新手数料無料と、標準的なサービス内容だといえます。
介護ファクタリング以外にも、診療・調剤・自立支援給付費など、医療関連の幅広いファクタリングに対応可能です。
【リコーリースの基本情報】
運営会社 | リコーリース株式会社 |
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住所 | 〒105-7119
東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター19階 |
電話番号 |
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公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 最大80% |
手数料 | 要問合せ |
契約期間 | 要問合せ |
入金スピード | 国保連等への請求後最短5営業日 |
申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 |
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オンライン契約 | 要問合せ |
個人事業主の利用 | 要問合せ |
三菱HCキャピタル
販売支援や資金調達支援を始め、幅広い事業を展開する「三菱HCキャピタル」の介護ファクタリングです。
手数料は最低0.2%、非対面での契約可能で少額債券の買取も可能と、利用しやすいサービス内容となっています。
契約時、更新時に事務手数料がかかる場合があるのが注意点です。
【三菱HCキャピタルの基本情報】
運営会社 | 三菱HCキャピタル株式会社 |
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住所 | 〒100-6525
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング |
電話番号 | 0120-162-942(平日9:00-17:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 最大80% |
手数料 | 0.2%~ |
契約期間 | 要問合せ |
入金スピード | 国保連等への請求後最短5営業日 |
申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 | 【申込時】
【契約時】
|
オンライン契約 | 原則として電子メール・電話・郵送による非対面手続き |
個人事業主の利用 | 可 |
インクイック
インクイックは、介護ソフトや介護関連商品などを手がける「日本ケアコミュニケーションズ」の介護ファクタリングです。
2005年からファクタリング事業を行っている老舗業者の一つで、豊富な実績があるため安心して利用できます。
手数料は最大0.8%でオンライン手続き可能、解約や更新料も必要なく、大変利用しやすいサービス内容です。
【インクイックの基本情報】
運営会社 | 株式会社日本ケアコミュニケーションズ |
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住所 |
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電話番号 | 03-3662-3490(平日10:00-16:30) |
公式サイト | https://incuick.care-com.co.jp/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 最大80% |
手数料 | 最大0.8% |
契約期間 | なし |
入金スピード | 国保連等への請求後5営業日以内 |
申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 | 【審査時】
【契約時】
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オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 不可 |
アクリーティブ
アクリーティブは、上場企業の「芙蓉総合リース」のグループ会社である、「アクリーティブ株式会社」が手がける介護ファクタリングです。
アクリーティブは1999年創業の老舗業者であり、実績も十分で安心して利用できます。
手数料は0.25%から、専用サイトを使ったオンライン完結の手続きなど、利用しやすいサービス内容が強みです。また、掛け目が80%から95%と比較的高いのも魅力だといえます。
【アクリーティブの基本情報】
運営会社 | アクリーティブ株式会社 |
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住所 |
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電話番号 | 03-6261-4925(平日9:00-18:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 80%~95%(審査によって変更される場合あり) |
手数料 |
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契約期間 | 1年~5年(途中解約可) |
入金スピード | 必要書類提出後最短1週間から2週間 |
申し込み方法 | 専用サイト「Medicare in」から
https://medicarein.accretive.jp/login/user |
必要書類 | 【審査時】
【契約時】
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オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 可 |
ナーシングネットプラスワン
ナーシングネットプラスワンは、介護事業や介護ソフトなどを手がける「プラスワンソリューションズ株式会社」の介護ファクタリングです。
掛け目が最大90%と高く、国保連請求後の入金スピードも比較的早い(最短4営業日)のが特徴となっています。
契約時に手数料がかかる場合がある(2万円程度)のが注意点です。
【ナーシングネットプラスワンの基本情報】
運営会社 | プラスワンソリューションズ株式会社 |
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住所 |
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電話番号 | 0120-141-749(平日10:00-17:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 最大90% |
手数料 |
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契約期間 | なし |
入金スピード |
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申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 | 【事前審査】
【本審査】
【契約時】
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オンライン契約 | 要問合せ |
個人事業主の利用 | 不可 |
GCM
GCMは、ファクタリングと経営コンサルティングを手掛ける「株式会社GCM」の介護ファクタリングです。
まだ診療を行っていない翌月以降の介護報酬についても、予想される報酬額にもとづいて最大3ヶ月先までファクタリングできるのが強みとなっています。
【GCMの基本情報】
運営会社 | 株式会社GCM |
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住所 | 〒106-6113
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 13F |
電話番号 | 0120-280-015(平日9:00-18:00) |
公式サイト | https://www.ginza-cm.com/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 80%程度 |
手数料 | 要問合せ |
契約期間 | 6ヶ月から2年程度 |
入金スピード | 申込みから契約まで1~2週間程度(最短3日) |
申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 |
|
オンライン契約 | 要問合せ |
個人事業主の利用 | 可 |
エヌエスパートナーズ
医療関連事業の経営コンサルティングを手がける、「エヌエスパートナーズ株式会社」の介護ファクタリングです。
手数料は0.3%から0.8%、掛け目は85%程度と、良心的なサービス内容となっています。
【エヌエスパートナーズの基本情報】
運営会社 | エヌエスパートナーズ株式会社 |
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住所 |
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電話番号 | 03-5776-0711(平日9:00-18:00) |
公式サイト | https://nspkk.com/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 85%程度 |
手数料 | 0.3%~0.8% |
契約期間 | 原則2年 |
入金スピード | 問合せから入金まで2週間程度 |
申し込み方法 | 電話・問い合わせフォーム |
必要書類 | 【審査時】
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オンライン契約 | 要問合せ(不可という情報あり) |
個人事業主の利用 | 要問合せ(可という情報あり) |
日税ファクタリングサービス
日税ファクタリングサービスは、税理士の業務サポートなどを手がける「日税経営情報センター」のファクタリングサービスです。
介護ファクタリング以外にも、請求書・注文書ファクタリング、補助金・助成金ファクタリングなど、幅広いファクタリングサービスを提供しています。
介護ファクタリングについては、毎月の介護報酬を買い取る短期のファクタリングと、最大6ヶ月分を買い取る長期のファクタリングがあるのが特徴です。
長期のファクタリングは、設備投資などまとまった金額が必要な時に利用できます。
【日税ファクタリングサービスの基本情報】
運営会社 | 株式会社日税経営情報センター |
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住所 |
(ファクタリングに関する問い合わせ先)
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電話番号 | (Tranzax)
0120-700-057(平日9:00~17:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 要問合せ |
手数料 |
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入金スピード |
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申し込み方法 | 申し込みフォーム |
必要書類 | 要問合せ |
オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 可 |
ビートレーディング
ビートレーディングは、主に売掛債権ファクタリングを手がけるファクタリングの専門業者で、介護ファクタリングも取り扱っています。
ファクタリングのパイオニアといわれており、累計取引数5.8万社以上の実績があるため安心して利用できます。
【ビートレーディングの基本情報】
運営会社 | 株式会社ビートレーディング |
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住所 |
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電話番号 | 0120-265-039(平日9:30-18:00) |
公式サイト | https://betrading.jp/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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買取可能額 | 3万円~7億円まで実績あり |
手数料 |
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入金スピード |
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申し込み方法 | 公式サイト・電話・メール・LINEから |
必要書類 | 【会員登録時】
【審査時】
【契約時】
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オンライン契約 | 可 |
Epsilon by GMO
クレジットカード決済代行サービスの「Epsilon by GMO」が提供する介護ファクタリングです。
運営会社の「GMOイプシロン株式会社」は、上場企業である「GMOインターネットグループ」のグループ企業で、信頼できる経営母体だといえます。
入金スピードが国保連請求後最短2営業日と早いのが強みで、手数料も最大0.8%と良心的です。
【Epsilon by GMOの基本情報】
運営会社 | GMOイプシロン株式会社 |
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住所 | 〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1丁目14番6号 ヒューマックス渋谷ビル7F |
電話番号 | 03-3464-6211(平日10:00-17:00) |
公式サイト |
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取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 原則80% |
手数料 | 最大0.8% |
入金スピード |
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申し込み方法 | 申込みフォーム |
必要書類 |
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オンライン契約 | 要問合せ |
個人事業主の利用 | 可 |
ネクストスタイル
ネクストスタイルはファクタリング全般を手掛けている専門業者で、介護ファクタリングにも対応しています。
少額債権の買取を多く手がけており、小規模な介護事業者でも利用しやすいのが特徴です。
【ネクストスタイルの基本情報】
運営会社 | 株式会社ネクストスタイル |
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住所 | 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-32-2 宮﨑ビル303号室 |
電話番号 |
(平日10:00-18:00) |
公式サイト | https://www.nextstyle-tokyo.net/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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買取可能額 | 20万円~ |
手数料 | 2%~ |
入金スピード |
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申し込み方法 | 申込みフォーム |
必要書類 | 要問合せ |
オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 可 |
株式会社No.1
ファクタリングと経営コンサルティングを手がける、「株式会社No.1」による介護ファクタリングです。
手続きはオンライン完結型で少額債券も取り扱っており、小規模な介護事業者でも利用しやすいサービス内容となっています。
【株式会社No.1の基本情報】
運営会社 | 株式会社No.1 |
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住所 |
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電話番号 | 0120-700-339(平日9:00-19:00) |
公式サイト | https://no1service.co.jp/ |
取り扱っているファクタリングの種類 |
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前払いの割合(掛け目) | 要問合せ |
手数料 | 1%~ |
入金スピード |
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申し込み方法 | 電話・メール・FAX・申込みフォーム |
必要書類 | 【売掛債権ファクタリングの必要書類】
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オンライン契約 | 可 |
個人事業主の利用 | 可 |
まとめ
介護報酬債権を素早く現金化できる介護ファクタリングは、融資以外の資金調達手段として大変有用です。新規開業した時や設備投資を行った時などに、手早く資金を入手できます。
ただし、手数料が引かれるため、本来入手できるはずだった金額より少なくなってしまうのは注意点です。また、将来受け取る介護報酬を前払いで現金化するため、資金計画をきちんと立てておかないとファクタリングの利用が常態化してしまう恐れもあります。
介護ファクタリングのメリットと注意点を理解して、適切な場面で有効に活用しましょう。