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事業資金の調達方法は?日本政策金融公庫など個人事業主向けの方法を中心に解説

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事業資金の調達方法は金融機関からの融資が一般的ですが、それ以外にもさまざまな方法があります。特に、銀行からの融資が難しいことがある個人事業主や小規模事業者は、他の方法も幅広く知っておくことが重要です。

この記事では、事業資金の調達方法について、日本政策金融公庫など個人事業主向けのものを中心に、主な手法を一通り解説します。

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事業資金とは

事業資金とは

事業資金とは、事業を始めたり維持するために必要な資金の総称です。店舗や工場などの設備資金、原材料費や人件費、広告費や家賃など、事業に必要なあらゆる資金を含みます。

事業資金の調達について考える時は、設備資金と運転資金の違い、直接金融と間接金融の違いを理解することが大切です。

設備資金と運転資金

設備資金とは、事業に必要な設備のための資金のことです。店舗や工場、事務所などの取得費用、機器や備品の購入費用などが設備資金に入ります。

そして運転資金とは、事業を維持するために継続的に必要になる資金のことです。家賃や原材料費、人件費などが運転資金に入ります。

設備資金は一時的な投資であるのに対して、運転資金は継続的に必要で、尽きてしまうと事業が維持できなくなるのが重要な違いです。

資金の額は、一般に設備投資のほうが高額になる傾向があります。新事業や新規エリアへの進出では、特に設備投資が高くなることが多いです。また、開業時は一般に多額の設備投資が必要になります。

新事業への進出などを行わない場合でも、老朽化した設備の買い替えなどで、予定外の設備資金が必要になることもあります。

直接金融と間接金融

事業資金の調達について考える時は、直接金融と間接金融の違いを理解しておくことも大切になります。

直接金融とは、間に金融機関をはさまず、出資者が事業者に直接資金を提供することです。株式や社債、クラウドファンディングなどが直接金融の例となります。

そして間接金融とは、金融機関が預金者から預かっているお金を間接的に貸し付けることで、銀行や信用金庫の融資などが主な例となります。ノンバンクのビジネスローンも、銀行を主な資金源としているので間接金融の一種になります。

間接金融は負債となり返還義務が生じるのに対して、直接金融は株式のように返済義務がないものもあるのが相違点です。

事業資金を借りる方法

事業資金を借りる方法

事業資金を借りる方法は銀行からの融資が一般的ですが、個人事業主にとっては信用金庫や日本政策金融公庫も主要な選択肢となります。また、地方自治体を介して金融機関から融資を受ける「制度融資」も活用すべき方法です。

一時的な資金不足の時は、ビジネスローンや不動産担保ローンも有力な選択肢となります。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、政府の出資で運営されている政府系金融機関です。民間の金融機関がカバーできない領域を補完する融資を主に行っており、銀行の融資が通りにくい個人事業主や中小企業でも利用しやすいのが特徴となっています。

日本政策金融公庫の融資は種類が多いので、目的に合ったものを選ぶことが大切です。大まかには以下のような融資が提供されています。

  • 新たに事業を始める方向けの開業資金の融資
  • 経営が苦しい方、経営再建を図る方のための融資
  • 事業拡大や海外進出を図る方のための融資
  • M&Aや事業承継を計画している方のための融資
  • 災害などの被害を受けた方のための融資

限度額は融資の種類によって違いますが、公式サイトによると、個人事業主向けで最大7,200万円、中小企業向けで最大7億2,000万円に設定されているものが比較的多いです。また、融資残高の平均は個人事業主で約1,000万円、中小企業は約1.3億円となっています。

年利は1%から3%程度で、担保の有無や返済期間などによって変わってきます。金利の低さは日本政策金融公庫の特徴ですが、他の金融機関からの乗り換えは禁止されているのが注意点です。

返済期間は融資の種類によって違いますが、設備投資が20年以内、運転資金が7年以内に設定されているものが多いです。

審査期間は、公式サイトによると平均2週間となっています。公庫の職員が店舗や工場を視察することもあるので、ある程度の期間がかかることを踏まえておきましょう。

銀行の融資

銀行の融資は審査が厳しいですが金利が低く融資額も大きいので、事業者にとって主要な資金調達手段の一つとなります。

銀行には三菱UFJや三井住友などのメガバンクと地域に根差した地方銀行があり、メガバンクは大口の融資が中心、地方銀行は小規模な融資が中心になります。個人事業主や中小企業は地方銀行と取引することが多くなるでしょう。

銀行の融資には、信用保証協会の保証付き融資と、保証なしの「プロパー融資」があります

保証付き融資は返済が滞っても信用保証協会が代わりに銀行に弁済するので、銀行側のリスクが低くなり融資が受けやすくなります。ただし、信用保証協会を利用するには保証料がかかり、金利もプロパー融資より高くなる傾向があります。

また、返済に遅れた場合は、信用保証協会が弁済したからといって債務が免除されるわけではなく、信用保証協会に弁済しなければなりません。

個人事業主や中小企業はプロパー融資が通りにくいので、信用保証協会を利用することが多くなります。保証付き融資をきちんと返済して実績を積めば、プロパー融資が受けられるようになることもあります。

信用金庫・信用組合の融資

信用金庫・信用組合は非営利の民間の金融機関で、個人事業主や中小企業の融資に特化しているのが特徴です。営業エリアが一部の地域に限られており、地域の事業者が組合員として出資した資金で融資を行います

信用金庫と信用組合はおおむね似ていますが、信用組合のほうがより小規模な事業者を対象とする傾向があります。

信用金庫・信用組合の融資は、銀行と同様にプロパー融資と信用保証協会の保証付きの融資があり、他には自治体・銀行と連携して融資を行う「制度融資」もあります。

金利は詳細を公開していないところが多いですが、一般には銀行や日本政策金融公庫よりやや高い傾向があるといわれています。また、制度融資は金利が低くなる傾向があります。

信用金庫・信用組合は個人事業主や中小企業の有力な資金調達先の一つですが、事業規模が大きくなると「卒業」しなければならず、組合員の資格を失い原則として融資が受けられなくなるのが注意点です。ただし、卒業後も期限付きで融資が継続できる「卒業生金融」等の制度もあります。

地方自治体の制度融資

制度融資とは、地方自治体と金融機関、信用保証協会の三者の連携による融資制度です。地方自治体が主導する制度ですが、実際の融資は金融機関が行います。

各地方自治体が、地域経済の発展に寄与するさまざまな融資を提供しているのが特徴です。具体的な融資内容は自治体によって違っていて、創業支援や事業承継など、目的別に多種類の融資が募集されています。

例えば、東京都が募集している制度融資を一部紹介すると、以下のようなものがあります。

  • セーフティネット融資
  • 創業支援
  • 設備投資・経営強化支援
  • 企業再生支援
  • 災害復旧支援
  • DX・イノベーション支援
  • 働き方改革支援

制度融資は自治体のサポートのもとで行われるので、銀行の融資が通らなかった事業者でも利用しやすいメリットがあります。また、自治体が保証料や金利を負担してくれることが多いのもメリットです。

一方、自治体・金融機関・信用保証協会三者の審査を受けなければならないので、手続きに手間がかかるのはデメリットだといえます。

ビジネスローン

ビジネスローンまたは事業者ローンは、金融機関やノンバンクが提供しているローン商品です。個人向けのカードローンと似ていますが、総量規制がない、個人的な用途には使えないといった特徴があります。

ビジネスローンは銀行の融資などに比べると審査が甘く、入金までの時間が早いのがメリットです。一方、金利が高いので長期の資金繰りには向いておらず、一時的なつなぎ資金に使うことが多くなります。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、不動産を担保に融資を受ける商品です。

担保があるため比較的高額の融資が可能で、無担保のビジネスローンなどに比べると金利も低くなる傾向があります。また、信用力が高くない事業者でも、価値の高い不動産を持っていれば審査に通ることがあるのもメリットです。

一方、不動産の現地調査や登記などが必要なので、ビジネスローンに比べると入金までに時間がかかります。また、返済が滞ると不動産を手放さなければならないのも注意点です。

融資以外の事業資金調達方法

融資以外の事業資金調達方法

融資は主要な事業資金調達方法ではありますが、返済しなければならないデメリットがあるので、融資以外の方法も選択肢に入れておくことが大切になります

融資以外の方法としては、補助金や助成金、不要な資産の売却などが考えられます。また、ファクタリングや手形割引など、債権を現金化する方法も有力です。

ファンドから投資を受けるのは個人事業主向きではありませんが、ベンチャー企業などにとっては有力な手段となります。また、クラウドファンディングで事業資金を調達する事業者も増えつつあります。

補助金・助成金

補助金・助成金は、国や地方自治体が事業者を資金面で援助するための制度で、返済の必要がないのが融資との大きな違いです。

設備投資や事業承継、人材開発などさまざまなテーマのものがあり、目的に合ったものを申請する必要があります。

補助金と助成金の区別は明確でない部分もありますが、補助金は事業の発展を促す目的ものが多く、助成金は雇用の維持や促進を目的としたものが多いです。

また、助成金は要件を満たす者は全員受給できる形式が多いのに対し、補助金は審査に通った者だけが受給できる形式が多いという違いがあります。

補助金・助成金は、対象となる事業が終わった後に給付されるものが多いのが注意点です。対象となる事業そのものは自己資金で行う必要があり、足りない場合は別途つなぎ融資などを利用しなければならないこともあります。

【補助金と助成金の違い】

補助金 助成金
管轄 経済産業省または地方自治体 厚生労働省または地方自治体
目的 事業の発展や経済の活性化が目的のものが多い 雇用の維持・促進や雇用環境の改善が目的のものが多い
募集 募集期間が決まっているものが多い 通年募集しているものが多い
審査 審査に通った者だけが受給できるものが多い 要件を満たす者は誰でも受給できるものが多い

ファクタリング

ファクタリングとは債権買取りのことで、まだ支払期日が来ていない売掛債権をファクタリング業者に売却して現金化することです。入金までの時間が早く(即日から数日程度)審査通過率も高いので、つなぎ資金の調達などに向いています。

ファクタリングは債権の売却であり融資ではないので、返済の必要がないのがメリットです。もし売掛金が未払いになっても弁済の必要がなく、未払いリスクを回避できるのも特徴となります。

一方、ファクタリングは将来受け取る予定だった金銭を前払いで受け取るだけであるため、資金繰りの抜本的な改善にはならないのが注意点です。むしろ、売却の際に手数料が引かれるため、利用するほど資産は目減りすることになります。

よって、ファクタリングは主に一時的なつなぎ資金の調達手段として使うべきだといえます。

手形割引

手形割引とは、支払期日が来ていない手形を金融機関や手形割引業者に売却して現金化することです。特徴やメリット・デメリットはファクタリングとおおむね同じですが、不渡りになった時に弁済義務があるのが重要な違いとなります。

ファンドによる投資

ファンドによる投資も、融資以外の事業資金調達方法の一つです。

ファンドとは、成長が期待できる企業の株式を保有したうえで経営支援を行い、M&AやIPOなどを達成させることで利益を得る業者のことです。銀行の融資が難しいことがあるスタートアップ企業などにとっては、有力な資金調達手段の一つとなります。

ファンドの投資は株式の取得によって行われるので、融資と違って返済の必要がありません。また、ファンドと良い関係を築いて適切な経営支援を受ければ、自社だけでは達成できない成長が実現できることもあります

一方、株式の保有によりファンドが議決権を持つことになるので、自由な経営ができなくなる可能性があるのは注意点です。

ファンドの種類はスタートアップ企業に投資する「ベンチャーキャピタル」以外にも、主に成熟期の企業に投資する「プライベートエクイティファンド」や、経営不振・経営破綻の企業に投資する「再生ファンド」などがあります。また、個人投資家が将来性のある企業に投資する「エンジェル投資家」もあります。

中小機構や東京都など、国や地方自治体がファンド投資の支援を行っていることもあります。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、ネット上で不特定多数の人から資金調達できるサービスのことです。事業資金の調達手段として有用なだけでなく、新商品やサービスの宣伝、新規顧客の獲得にもつながるのが魅力だといえます。

クラウドファンディングには、出資者から寄付として資金提供を受ける「寄付型」、株主を募る「投資型」、支援者から融資を受ける「融資型」、出資者に商品やサービスを返礼する「購入型」の4種類があります。

融資型は調達した資金の返済義務があり、購入型は返礼品が必要になるのが注意点です。寄付型は返済しなくていいのがメリットですが、公共性の高い事業など寄付が集まるようなプロジェクトを提示する必要があります。

クラウドファンディングは誰でも利用できるのが魅力ですが、必ずしも目標の金額が集まるとは限らないのが注意点です。出資したくなる商品や事業計画、リターンをアピールすることが重要になります。

地方自治体がクラウドファンディングの活用を支援していることもあります。例えば東京都では、クラウドファンディングの手数料を補助する助成金や、クラウドファンディングに関する相談窓口の設置などを行っています。

不要な資産の売却

不要な資産を売却するのも、有用な事業資金調達手段の一つです。使っていない不動産や設備、在庫などを売却すれば、それを事業資金に使うことができます。

不要資産は保有しているだけでコストがかかるので、コストカットにつながるのも利点です。例えば不動産なら固定資産税がかかりますし、在庫は保管場所が必要になります。

一方、不要資産は必ずしも希望価格で売れるとは限らず、売却額が簿価より低いと資産が減ることになります。また、売却益には税金がかかるのも注意点です。

設備・店舗・在庫など事業を営むためのまとまった不要資産があるなら、事業譲渡で売却するのも有用な手段です。事業譲渡は「のれん」「営業権」などの付加価値が考慮されるので、個別に資産を売却するより高く売れる可能性があります。

事業資金を調達する時のポイント

事業資金を調達する時のポイント

事業資金の調達方法にはさまざまな種類があるので、適切な方法を選ぶことや、審査に通るように準備しておくことなどが重要になります

ここでは、事業資金を調達する際に押さえておきたいポイントをいくつか解説します。

調達方法を検討する

事業資金の調達方法は種類が多いので、適切な方法が何かを検討することが大切です。例えば個人事業主や中小企業なら、まずは返済しなくてよい補助金や助成金を検討し、適したものがなければ日本政策金融公庫や信用金庫の融資を検討するといった手順が考えられます。

緊急のつなぎ資金が必要なら、まずファクタリングや手形割引など融資以外の方法を検討し、それが無理ならビジネスローンなどを検討するといった流れが一例となります。

そもそも事業資金を調達する必要があるのか検討することも大切です。融資を受けると金利の負担が生じるので、自己資金でやりくりする方法があればそのほうが有利になります。

事業計画書をきちんと作成する

融資の審査では、事業計画書(もしくは創業計画書や資金繰り表など)をきちんと作成することが大切です。事業計画書に不備があると審査に不利なだけでなく、再提出を求められて審査が長引く要因にもなります。

事業計画書は、データにもとづく具体的な内容を簡潔に書くことが大切です。裏付けのない希望的観測ではなく、実現可能な計画を立てる必要があります。

事業計画書に決まったフォーマットはありませんが、日本政策金融公庫のようにフォーマットを公開している機関の融資を受ける時は、その書式に従うのがよいでしょう。

自己資金を確保する

融資の審査では、自己資金が多いほうが有利になります。自己資金とは預貯金など返済義務のない出所の分かる現金のことで、融資や他人からの借金は自己資金とみなされません。

また、「出所が分かる」ことが条件のため、タンス預金などは自己資金とみなされないことがあるので注意が必要です。

どれだけ自己資金があれば審査に通るかについて一律の基準はありませんが、例えば日本政策金融公庫の融資では、「10分の1以上の自己資金が必要」などの要件が定められていることがあります。

自己資金が足りない時に短期間で調達する手段としては、自己資産を売却したり、解約返戻金のある保険を解約するなどの方法が考えられます。

早めに資金調達する

事業資金の調達には時間がかかることがあるので、早めの調達を心がけることが大切です。入金までのタイムラグを考慮しておかないと、資金がショートしてしまうおそれがあります。

早めの資金調達は資金ショートの回避に有用なだけでなく、審査に時間のかかる低金利の融資や補助金などを利用しやすくなるメリットもあります。

審査は必ず通るわけではないことも考慮しておかなければならない点で、通る前提で資金繰りしていると落ちた時に困ることになります。しかし、早めの資金調達を心がけておけば、審査に落ちても別の選択肢を模索する余裕があります。

創業融資を有効活用する

事業を始める初期段階は多くの資金が必要になるにもかかわらず、実績がないため銀行などの融資が受けにくいこともあります。このような場合は、日本政策金融公庫や地方自治体などが提供している創業融資を有効活用すべきです。

創業融資は開業前や開業間もない事業者を対象にしているので、実績がないことは不利な条件になりません。きちんとした事業計画を立てることや、自己資金をある程度用意することなどが重要になります。

創業融資は必ずしも創業したばかりの事業者だけが対象ではなく、創業してしばらく経っている事業者も対象になることがあります。例えば日本政策金融公庫の創業融資は、「事業開始からおおむね7年以内まで」「税務申告を2期終えていない事業者」などが要件となっているものが多いです。

まとめ

まとめ

事業資金の調達方法は銀行の融資以外にも多くの方法があるので、適切な方法を選ぶことが大切です。各方法のメリット・デメリットを踏まえて、状況に合った手段で調達することが健全な資金繰りにつながります。

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