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ファクタリング契約とは?法的根拠・流れ・チェックポイントを徹底解説

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ファクタリングを利用して早期に資金調達したいけれど、「契約の流れがわからないので利用できない。」「契約書の内容が理解できないので不安。」といった悩みを抱えていませんか?

ファクタリング契約について理解すると、ファクタリングの利用が初めての中小企業や個人事業主でもスムーズに契約を結ぶことができるようになります。ファクタリングは注意すべきポイントを押さえて契約すれば、リスクを回避したり悪質な業者を見抜いたりすることができるからです。

ファクタリング契約の法的根拠、流れ、契約書のチェックすべきポイントなどを解説します。この記事を読めば、ファクタリング契約について悩むことはなくなります。安心してファクタリングを利用し、資金繰りの改善に繋げることができるようになるでしょう。

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ファクタリング契約の法的根拠

ファクタリング契約の法的根拠

ファクタリング契約とは、企業や個人事業主が保有している債権を支払い期日前に、ファクタリング会社が取引手数料・諸費用を差し引いて買い取るサービスです。法律上は「債権譲渡契約」で、契約形態によっては併せて「回収代行契約」も必要な場合があります。

債権とは?

民法第3編で定めている債権とは、特定の人(企業)に一定の行為(給付)を請求できる権利のことで、請求権と同じ意味です。一定の行為(給付)とは、「金銭の支払い」「物品の引き渡し」「労力の提供」などのことをいいます。

債権を請求できる権利のある人が「債権者」、請求される人が「債務者」です。ファクタリング契約では、利用者が債権者、売掛先が債務者にあたります。

ファクタリングの対象となる債権

債権には「確定債権」「仕掛債権」「給与債権」「将来債権」「不良債権」がありますが、ファクタリングの対象となるのは「確定債権」と「将来債権」です。確定債権とは、売掛先へ提供した商品・サービスの検収が完了し、売掛金の金額や入金日が確定している債権のことです。

一般的なファクタリング契約では、利用者が持っている確定債権をファクタリング会社に譲渡します。将来債権の譲渡により資金調達ができるサービスは、「注文書ファクタリング」です。

将来債権とは、継続的な取引を行う中で、将来、発生する予定の債権のことです。注文書ファクタリングでは、利用者が将来債権であることを示す注文書や発注書をファクタリング会社に譲渡する契約を結びます。

ファクタリングにおける債権譲渡契約

債権譲渡契約とは、債権者(ファクタリング利用者)が持っている債権を内容の同一性を保ったまま第三者(ファクタリング会社)に移転する契約のことです。

民法第466条1項では債権を財産権とみなし、「債権の性質が許さないとき以外は、債権は譲り渡すことができる。」と定めています。

(債権の譲渡性)

第466条
1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-GOV法令検索

つまり、債権は取引の対象になるため、ファクタリング契約においても債権者である利用者が持っている債権を第三者であるファクタリング会社に自由に譲渡することができるのです。

ファクタリング契約(債権譲渡契約)の当事者と第三債務者

債権譲渡契約の当事者は、譲渡人と譲受人です。譲渡する債権の債務者は、第三債務者と呼ばれます。ファクタリング契約においては、譲渡人がファクタリング利用者、譲受人がファクタリング会社、第三債務者が売掛先です。

ファクタリング契約の具体例

例えば、ファクタリング利用者(債権者)が売掛先(債務者)に対して持っている売掛債権をファクタリング会社に売却する場合に、ファクタリング利用者とファクタリング会社の間で交わすのがファクタリング契約です。この場合、債務者である売掛先の意思表示は法律要件ではありません。

法律上、ファクタリング利用者は、売掛先の意思に関係なくファクタリング会社に売掛債権を譲渡できるということです。

ファクタリングの契約形態

ファクタリングの契約形態

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があり、契約形態が異なります。

2社間ファクタリングの契約形態

2社間ファクタリングは、「ファクタリング利用者」と「ファクタリング会社」が債権譲渡契約を結ぶ形態です。売掛先に、ファクタリング利用の通知は行いません。

ファクタリング会社は売掛先とのやり取りはせず、利用者が売掛先から債権回収を行い債権をファクタリング会社に引き渡す仕組みです。そのため、2社間ファクタリングでは、利用者とファクタリング会社の間で債権譲渡契約と同時に「回収委託契約(集金業務委託契約)」を結びます。

3社間ファクタリングの契約形態

3社間ファクタリングは、「ファクタリング利用者」と「ファクタリング会社」が債権譲渡契約を結び、「売掛先」に債権譲渡について通知する(債権譲渡通知)または承諾を得る契約形態です。譲渡された債権は、売掛先からファクタリング会社へ直接支払います。

そのため、「回収委託契約」は必要ありません。

ファクタリング契約の主な役割

ファクタリング契約の主な役割

ファクタリング契約の主な役割は、「トラブルの回避」と「悪質な業者を見抜くこと」です。

トラブルの回避

ファクタリング契約には、ファクタリングの利用に関する取り決めをすることによって、利用者とファクタリング会社の間でのトラブルを回避する役割があります。法律上は、契約は口約束だけでも成立するのですが、口約束だけでは、後々、言った言わないといったトラブルに発展する可能性があります。

そのようなトラブルを防ぐためにファクタリングでは通常、「対象となる債権」「売買代金」「契約解除の条件」などを定めた契約書を作成するのです。利用者は、トラブル回避のために契約内容をしっかり理解してから契約を結ぶようにしましょう。

悪質な業者を見抜く

ファクタリング契約には、偽装ファクタリングなどの悪質な業者を見抜くことができるという効果もあります。特に、契約内容の以下の2つのポイントを確認することが大切です。

  • 業者から受け取る債権の買取代金が、債権額に比べて著しく低額ではないか
  • 「売掛債権譲渡契約書」となっているが、契約内容は「償還請求権有り(買戻し請求権有り)の債権担保貸付」になっていないか

このような取引を持ちかけてくる業者とは、契約を交わさないようにしましょう。

ファクタリング契約の流れ

ファクタリング契約の流れ

ファクタリングを利用して早期に資金調達するためには、申し込みから契約を結んで資金化するまでの流れを理解しておくことが大切です。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、流れが異なる点もあるので注意しましょう。

1.事前相談

自社が持っている売掛債権を買い取ってもらえるか、ファクタリング会社に相談しましょう。ファクタリングで資金調達できる金額や手数料などを、確認しておくことが大切です。

事前相談は無料でできるので、複数のファクタリング会社に相談をして見積もりを依頼するなど、自社に最適なファクタリング会社を選びましょう。

2.売掛先の内諾(3社間ファクタリングのみ)

3社間ファクタリングを利用する場合は、事前相談の後でファクタリングの利用について売掛先の内諾を得ておきましょう。3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡したことを売掛先に通知する必要があるためです。

3.申し込み

ファクタリングの利用を希望する場合、オンライン・電話・窓口・郵送のいずれかで申し込みます。申し込み後はキャンセルするのが難しいので、トラブルを未然に防いだり悪質な業者を見抜いたりするために、契約内容をしっかり確認してから申し込みをしましょう。

①オンライン

オンラインでの申し込みは、契約までスピーディーに進む、ファクタリング会社が遠方にあっても申し込みができるなどのメリットがあります。

②電話

ファクタリング契約について疑問な点を、相談しながら申し込みができます。

③窓口

近くにファクタリング会社がある場合は、窓口での申し込みがおすすめです。実際にファクタリング会社の存在が確認でき、契約内容も細部まで担当者から説明を受けることができます。

④郵送

ファクタリング会社が遠方にありオンラインでの手続きが苦手という場合は、郵送で申し込みましょう。

4.必要書類の提出

ファクタリング契約に必要な書類を、ファクタリング会社に提出します。必要書類はファクタリング会社によって異なりますが、一般的に提出を求められるのは以下の書類です。

提出を求められた書類は、すべて準備しましょう。申し込み時の必要書類が極端に少ない場合は、ファクタリングを装う悪質な業者の可能性もあるので注意が必要です。

①商業登記簿謄本

法人がファクタリングを利用する場合、会社の存在を証明するために商業登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。商業登記簿謄本は、法務局で取得することができます。

②印鑑証明書

ファクタリング契約書には利用者の署名と実印の押印が必要ですが、実印であることを証明するために印鑑証明書が必要です。印鑑証明書は、法人の場合は法務局、個人事業主の場合は市区町村の役所で取得することができます。

③身分証明書

利用者である法人または個人事業主の代表者の身分証明書を、提出しなければなりません。ファクタリング会社が提出を求める身分証明書は、運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・住民基本台帳カードなどです。

④決算書・確定申告書

直近2~3年分の決算書(法人)、確定申告書(個人事業主)の提出が求められます。創業して間もない法人や個人事業主で決算書や確定申告書がない場合でも、利用可能なファクタリング会社があるので問い合わせてみましょう。

⑤売掛金証明書類

請求書・注文書・納品書などの売掛金証明書類の提出が、必要になります。ファクタリング会社が、「利用者と売掛先との取引内容」「売掛金の金額」「支払い期日」などを確認するためです。

⑥売掛先との基本契約書

売掛先と継続的な取引があり慣習で請求書や納品書を発行していない場合は、「利用者と売掛先との基本契約書」の提出を求められることがあります。基本契約書で売掛金の発生を、確認できることがあるためです。

請求書や納品書がない場合は、基本契約書で代用できないかファクタリング会社に確認しましょう。

⑦事業用の銀行口座の通帳の写し

利用者の事業用銀行口座の通帳の写しの提出が、求められます。ファクタリング会社が、「売掛先との継続的な取引」「売掛先が売掛金を支払い期日内に入金していること」「利用者の財務状況」などを確認するためです。

⑧納税証明書・納入証明書

税金の納税証明書や社会保険料の納入証明書の提出を、求められることがあります。ファクタリングは税金や社会保険料の滞納があっても利用できるサービスですが、滞納額が大きい場合、税務署や労働局に差し押さえられる可能性があるためです。

ファクタリング会社は、利用者の口座に入金された売掛金が差し押さえられ債権が回収できなくなるリスクを避けるため、あらかじめ納税証明書・納入証明書の提出を求めるケースがあります。

5.利用可否についての審査

ファクタリング会社が、ファクタリングの利用可否についての審査を行います。審査は、書類審査とヒアリングです。

ヒアリングでは、次の項目の確認が行われます。

  • 利用者の事業内容
  • ファクタリングを利用する理由
  • 売掛先の事業内容
  • 売掛先との取引状況
  • ファクタリングを利用することについての売掛先の承諾(3社間ファクタリングのみ)

これらの項目をスムーズに答えられるように、あらかじめ準備しておきましょう。

6.契約の締結

審査に通り、利用者が契約内容・契約条件に同意したら、利用者とファクタリング会社の間で契約を締結します。3社間ファクタリングでは契約締結後、売掛先に債権譲渡通知書を発送します。(もしくは売掛先の同意を得ます。)

7.買取代金の振込

ファクタリング会社が、利用者の口座に債権の買取代金を振り込みます。買取代金は、売掛債権の額面から手数料・諸費用を差し引いた金額です。

ファクタリング契約書のチェックポイント

ファクタリング契約書のチェックポイント

ファクタリングを利用するときは、契約書の内容を正確に理解し、納得したうえで契約を結ぶことが大切です。ファクタリングは法的には債権譲渡契約であるにもかかわらず、契約書の内容が金銭消費貸借契約になっているなどのケースがあるためです。

ファクタリング契約書の内容はファクタリング会社により異なっており、専門用語などが使われているため一読しただけでは理解するのが難しい面もあります。契約書の内容をしっかり理解せずに契約を締結すると、後々、トラブルに発展したり、悪質な業者に騙されたりする可能性もあります。

そのようなリスクを回避するためにも、ファクタリング契約を締結する前に、契約書の特に重要なポイントを押さえておきましょう。また、国税庁のHPに「売掛債権譲渡契約書」のテンプレートがあるので、参考にしてください。

  • 「売掛債権譲渡契約書」

出典:国税庁

譲渡対象の債権

一般的なファクタリング契約で譲渡対象の債権となるのは、サービスや商品の納品・検品が完了した売掛債権です。契約書には、売掛債権の金額や発生した日付などが記載されています。

この金額や日付などに間違いがないか、必ず確認するようにしましょう。

債権譲渡通知の有無

債権譲渡通知とは、「売掛金の債権者」がファクタリング利用者からファクタリング会社に変更されたことを売掛先(債務者)に知らせる通知です。3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでは、通知の有無などが異なるので、それぞれの取り扱いを理解しておきましょう。

3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングの場合、利用者が売掛先に確定日付の付いた債権譲渡通知書を送らなければなりません。この通知により、債権が利用者からファクタリング会社に譲渡されたことを売掛先に知らせるのです。

売掛金は、売掛先が直接、ファクタリング会社に支払うことになります。

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が債権譲渡通知を留保します。利用者からファクタリング会社に譲渡された債権の回収は利用者が行い、利用者から売掛先への債権譲渡通知は行いません。

しかし、契約書には債権譲渡通知の留保について明記されておらず、どのようなケースでファクタリング会社が売掛先へ債権譲渡通知書の発送を求めるかの要件も規定されていないことがほとんどです。

なお、ファクタリング会社が直接、売掛先に通知をする権限はありませんが、代理人として売掛先へ通知をすることはできます。ファクタリング会社が通知の代理人となるためには、債権譲渡通知書に利用者の記名・押印が必要です。

契約書に債権譲渡通知について明記されていないということは、ファクタリング会社は、いつでも利用者に売掛先への債権譲渡通知を求めることができるということを意味します。以下のような場合は、ファクタリング会社から、売掛先への債権譲渡通知を求められる恐れがあるので注意が必要です。

  • 売掛先が売掛債権を支払えない可能性がある場合
  • 利用者が架空債権を使ってファクタリングを利用したことが判明した場合
  • 利用者が債権を二重譲渡したことが判明した場合
  • 利用者が回収した売掛債権をファクタリング会社に引き渡さない恐れがある場合

このように、2社間ファクタリングといえども債権譲渡通知書の送付を求められることもあるので、自社の健全な財務状況を保つとともにファクタリング会社と密なコミュニケーションをとるようにしましょう。

債権譲渡登記の有無

債権譲渡登記制度とは、法人がする金銭債権の譲渡等について、簡易に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です。ファクタリングにおいては、利用者がファクタリング会社に債権を譲渡したことを債権譲渡登記所(東京法務局中野出張所内にある東京法務局民事行政部債権登録課)に登記します。

この登記により、債権を譲渡されたファクタリング会社は、売掛先(債務者)以外の第三者に自己の権利を主張することができるのです。また、債権譲渡登記をすれば、売掛先へ債権譲渡通知をしたり、売掛先の承諾を得たりしなくても第三者への対抗要件を備えることができます。

ファクタリング会社は債権譲渡登記をすることにより、利用者が複数の相手に債権を譲渡する「二重譲渡」を防いだり、トラブルが発生した場合の法的根拠にしたりすることができるのです。ファクタリング利用者の場合は、債権譲渡登記によりファクタリングの利用が売掛先に知られてしまうというリスクがあります。

債権譲渡登記の情報は、法務局で申請をすれば誰でも閲覧できるためです。なお、債権譲渡登記制度を利用できるのは、法人のみで個人事業主は利用できません。

債権譲渡登記は、法人の登記事項証明書が必要なためです。したがって、個人事業主がファクタリングの利用を希望する場合は、債権譲渡登記が必須ではないファクタリング会社を選ぶ必要があります。

3社間ファクタリングの場合は、債権譲渡登記は必要ありません。3社間ファクタリング契約では売掛先(債務者)への債権譲渡通知または売掛先の承諾が必須で、これにより第三者への対抗要件を備えることができるためです。

2社間ファクタリング契約では、債権譲渡通知または売掛先の承諾をファクタリング会社が留保するため、債権譲渡登記を行うのが一般的です。前述したとおり、債権譲渡登記によりファクタリングの利用が売掛先に知られてしまう恐れがありますが、比較的低リスクだといえるでしょう。

売掛先が自社の債務の登記情報を調べることは、ほとんどないと考えられるためです。しかし、どうしても売掛先にファクタリングの利用を知られたくないという場合は、債権譲渡登記を必須としていないファクタリング会社を探さなければなりません。

ただし、債権譲渡登記をしない場合はファクタリング会社が売掛先のデフォルトリスクを負うことになるため、手数料が高くなることを考慮しておきましょう。

償還請求権の有無

早期の資金繰りが必要な中小企業や個人事業主にとって、ファクタリングは利用しやすい資金調達方法です。しかし、ファクタリングの契約書では、償還請求権の有無に十分な注意が必要です。

償還請求権とは

ファクタリング契約における「償還請求権(リコース)」とは、利用者がファクタリング会社に譲渡した債権が、売掛先の倒産・廃業などにより回収できなくなった場合、利用者に債権の金額を請求できる権利のことです。

償還請求権有りのファクタリング

償還請求権有りのファクタリングは、「リコースファクタリング」や「ウィズリコースファクタリング」とも呼ばれる契約です。ファクタリングの契約書において「償還請求権有り」となっている場合、売掛先から債権を回収できなくなったときにファクタリング会社は利用者に請求します。

償還請求権有りのファクタリングは、主に銀行や貸金業者が提供しているサービスです。これは、債権譲渡契約ではなく債権担保貸付にあたります。

償還請求権有りのファクタリングを取り扱えるのは、貸金業登録をした銀行や貸金業者に限られます。貸金業登録をせずに償還請求権有りのファクタリングを取り扱っているのは悪質な業者なので、取引してはいけません。

償還請求権無しのファクタリング

償還請求権無しのファクタリング契約は、「ノンリコースファクタリング」とも呼ばれます。日本における一般的なファクタリングは債権譲渡契約であり、ファクタリング会社の償還請求権もありません。(ノンリコース)

償還請求権無しの場合は、売掛先から債権を回収できなくなっても利用者に支払義務はなく、ファクタリング会社が責任を負います。

手数料

ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社によって異なります。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでも手数料は異なり、ファクタリング会社にとって比較的リスクの低い3社間ファクタリングのほうが低めに設定されているのが一般的です。

ファクタリングの手数料の相場は、以下のとおりです。

  • 2社間ファクタリング 8%~20%
  • 3社間ファクタリング 1%~9%

手数料は、売掛先の信用力が低いと高くなり、信用力が高いと低くなる傾向があります。また、手数料以外にも、債権譲渡登記の費用や印紙代、振込手数料などが必要なケースもあります。

申し込む前に、見積もりをとって手数料を含めた総費用を把握しておきましょう。

担保・保証人の設定

ファクタリングは債権譲渡契約であるため、担保や保証人の設定は不要です。契約書に担保設定や保証人設定の条項がある場合は、悪質な業者である恐れがあるため契約を取りやめましょう。

報告義務

契約書に報告義務についての条項がある場合、利用者はファクタリング会社に売掛先の不穏な動きなどの状況を報告しなければなりません。報告義務を怠ったために、売掛先から債権の回収ができなくなるなどファクタリング会社が損害を受けた場合、利用者が損害賠償を請求されるなどのリスクが生じるため注意が必要です。

損害賠償・違約金

契約書には、利用者が契約に関する義務を守らなかった場合の損害賠償や違約金の有無、範囲、金額などが明記されています。契約書を確認して、損害賠償・違約金の支払義務の範囲が広すぎる、高額すぎるといった場合は、契約しないほうがよいケースもあるので慎重に判断しましょう。

契約の解除

契約書には、利用者の義務違反による契約解除の条項があります。契約解除になると、売掛債権の売却代金はファクタリング会社に返還しなければなりません。

このようなリスクを避けるため、どのような義務違反で契約解除になるのか、確認しておきましょう。

契約期間と解約方法

ファクタリングの契約期間には、1回の取引のみの単発契約、複数回の取引を前提とした継続契約があります。継続契約の目的は、ファクタリングの対象債権を徐々に減らしていき、資金繰りを計画的に改善していくことです。

しかし、利用者の希望に添わない継続契約を求める悪質な業者も存在するので、注意が必要です。また、継続契約の場合は、期間終了後に自動更新になっているケースも見られます。

自動更新の場合は、ファクタリングを利用していなくても毎月、手数料がかかることがあります。契約書で、契約期間、自動更新の有無、解約方法は、しっかり確認しておきましょう。

ファクタリング契約の手数料以外の費用

ファクタリング契約の手数料以外の費用

ファクタリング契約では手数料以外の費用がかかることがあり、10万円近い金額になるケースも見られます。ファクタリング契約にかかる経費をできるだけ少なくするためには、事前に手数料を含めた総費用の相見積もりを複数社から取って比較検討しましょう。

ここでは、手数料以外の諸費用の相場を解説します。

諸費用 内容 相場
債権譲渡登記費用 2社間ファクタリングのみ。

債権の譲渡人は法人のみなので、個人事業主は対象外

・登録免許税 7,500円(債権個数5,000個以下の場合)

・15,000円(債権個数5,000個を超える場合)

・司法書士報酬 5~10万円程度

登記抹消費用 債権譲渡登記を抹消するときにかかる費用 10,000円程度
審査・事務手数料 名称はファクタリング会社によって異なる 0~3万円程度
印紙代 売掛債権譲渡契約を締結する際に必要 ・契約金額が1万円未満の場合は非課税

・契約金額が1万円以上の場合(金額の記載がない場合を含む)は200円

提出書類の発行費用 「商業登記簿謄本」「印鑑証明書」などの提出書類の発行費用 提出書類ごとに数百円
交通費(出張費) 契約の際にファクタリング会社の担当者が来訪したときの費用 実費相当
振込手数料 売却代金を振り込んでもらう際の手数料 銀行によるが数百円

ファクタリング契約で注意すべきポイント

ファクタリング契約で注意すべきポイント

ファクタリングは中小企業や個人事業主が利用しやすいサービスですが、契約内容の詳細を理解せずに利用すると後々、トラブルに発展する恐れもあります。ここでは、契約を結ぶうえで特に注意が必要なポイントについて解説します。

手数料が法外ではないか?

相場に比べ法外な手数料になっていないか、契約締結の段階で見積もりと異なっていないか確認しましょう。相場に比べ法外な手数料を要求するファクタリング会社は、悪質な業者の可能性があるので契約は見送ったほうが無難です。

また、契約の段階で、見積もりより極端に高い手数料を提示されることがあります。見積もりと契約の手数料が極端に異なると、ファクタリングの利用によってかえって資金繰りが悪くなってしまうことにもなりかねません。

こうした状況を避けるために、複数のファクタリング会社から相見積もりをとって比較検討しておきましょう。

契約書を渡してもらえない

契約書は、通常、合意の当事者の数を作成し、それぞれ1通保管します。ファクタリングでは契約書を2通作成し、利用者とファクタリング会社がそれぞれ保管するのが一般的です。

しかし、利用者に契約書を渡さない悪質な業者が存在します。このような業者とは、契約を締結してはいけません。

ファクタリング契約を結んだ後の手続き

ファクタリング契約を結んだ後の手続き

ファクタリング契約の締結後は、報告義務など契約書に記された利用者の義務を厳守することが大切です。それ以外でも以下の手続きは、忘れずに行いましょう。

入金の確認

ファクタリング契約後に、債権額から手数料・諸費用を差し引いた売買代金がファクタリング会社から利用者の指定した口座に入金されます。入金された金額と契約書に記載された金額に間違いがないか、確認しましょう。

ファクタリング会社に回収した売掛金の支払い

3社間ファクタリングでは売掛先から直接ファクタリング会社に売掛金が支払われますが、2社間ファクタリングでは利用者が売掛先から売掛金を回収したら、指定の期日までにファクタリング会社に支払わなければなりません。これを怠るとファクタリング会社から、売掛先への債権譲渡通知書の送付が求められることもあるため注意が必要です。

債権譲渡登記の抹消登記

2社間ファクタリングを利用して債権譲渡登記をした場合は、売掛金をファクタリング会社に支払った後、抹消登記をしましょう。抹消登記をせずに債権譲渡登記を放置すると、別のファクタリング会社を利用する際に、二重譲渡になってしまう恐れがあるためです。

抹消登記の手続きは、利用者とファクタリング会社が合意の上、司法書士に依頼します。

金融庁の偽装ファクタリングについての注意喚起

金融庁の偽装ファクタリングについての注意喚起

金融庁は、偽装ファクタリングを利用しないよう注意を呼びかけています。偽装ファクタリングの手口を把握して、違法な業者を見抜けるようにしておきましょう。

偽装ファクタリングとは

偽装ファクタリングとは、次のような方法で取引を行うものです。

  • ヤミ金融業者が行うファクタリングを装った高金利の貸付け
  • ファクタリングとして行う取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなもの(貸金業に該当する恐れがある)

ファクタリングは法的には債権の売買契約(債権譲渡契約)ですが、偽装ファクタリングは実質的には貸付け(債権担保貸付け)であるという点が問題になります。貸付けは貸金業登録をした者しか行うことができませんが、偽装ファクタリングでは貸金業登録を受けていない者が貸付けを行っているのです。

これは無登録営業にあたり、刑事罰の対象になります。

偽装ファクタリングの特徴

ヤミ金融業者が行う偽装ファクタリングの特徴は、業者から受け取る債権の買取代金が、債権額に比べて著しく低額であるということです。このような業者とは、絶対に取引しないよう注意しましょう。

また、ファクタリングを装った貸付けを行っている業者も存在します。2社間ファクタリングでは、通常、利用者とファクタリング会社の間で回収委託契約(集金業務委託契約)を結びます。

これは、売掛先からの債権回収業務をファクタリング会社が利用者に委託するという契約です。このような契約があっても売掛先から債権を回収できない場合、利用者が債権額をファクタリング会社に支払う義務がないのが一般的です。(償還請求権無し、ノンリコース)

しかし、売掛先から債権を回収できない場合、

  • 利用者がファクタリング会社から債権を買い戻すこととされている
  • 利用者の資金でファクタリング会社に支払いをしなければならないこととされている

などの取り決めがされている取引は、契約書が債権譲渡契約になっていても実質的には貸付けである恐れがあります。

金融庁は偽装ファクタリングなどの違法な取引が行われないように、心配な点がある場合は金融庁の相談窓口や法律の専門家である弁護士などに相談するよう、注意を呼びかけています。

まとめ

まとめ

ファクタリング契約の法的根拠、流れ、契約書のチェックポイントなどを把握してから契約を結ばないと、トラブルになったり悪質な業者を見抜けなかったりするリスクがあります。そのようなリスクを避けるために、下記のポイントを確認しながら取引を進めましょう。

  • 一般的なファクタリング契約は、法的には「債権譲渡契約」です。
  • ファクタリングの契約形態には「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があり、契約の流れや内容が異なる点があります。
  • ファクタリング契約の主な役割は、「トラブルの回避」と「悪質な業者を見抜くこと」です。
  • ファクタリングを利用して早期に資金調達するためには、契約の流れを理解しておくことが大切です。
  • ファクタリング契約書の「債権譲渡通知の有無」「償還請求権の有無」などの内容を正確に理解するとともに納得してから契約を締結しましょう。
  • ファクタリング契約の手数料以外の費用は10万円近い金額になることもあるので、事前に手数料を含めた総費用の相見積もりを複数社から取って、比較検討するようにしましょう。
  • 相場に比べ、法外な手数料ではないか確認しましょう。
  • 契約書を渡さない業者とは、契約しないようにしましょう。
  • 契約締結後に、「売却代金の入金の確認」「ファクタリング会社に回収した売掛金の支払い」「債権譲渡登記の抹消登記(2社間ファクタリングの場合)」を必ず行いましょう。
  • 金融庁が注意を呼びかけている偽装ファクタリングを行う業者を、見抜けるようにしておきましょう。

以上のようなファクタリング契約のポイントを押さえておけば、スムーズにファクタリングを利用することができます。中小企業や個人事業主は、急な資金繰りにも困らなくなるでしょう。

 

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