ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却して、手数料を差し引いた現金が受け取れるサービスです。多くの中小企業がファクタリングを利用し、資金繰りの改善や決済期日前の現金化を行っています。
今回の記事では、ファクタリングのメリット・デメリットについてまとめました。また、ファクタリングの注意点やファクタリング会社の選び方なども解説します。
ファクタリングのメリット・デメリットを知って、上手に利用しましょう。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却できるサービスです。利用者は手数料を差し引かれた金額を、決済期日前に現金で受け取れます。
多くの企業は商品やサービスを先に提供し、支払いを後日受け取る掛け取引を行っています。たとえば、1,000万円の商品を納入して、入金は数ヶ月後になるケースもあります。
掛け取引でキャッシュフローが悪化すると、資金繰りのための対策が必要です。ファクタリングなら売掛債権を売却して、資金繰りの改善ができます。
銀行融資との違い
ファクタリングと銀行融資が異なる主なポイントは、以下の通りです。
- 銀行融資は審査が厳しく、ファクタリングは柔軟
- 銀行融資は実行までに時間がかかるが、ファクタリングはスピーディー
- 銀行融資は低金利だが、ファクタリングは手数料が高め
- 銀行融資は負債が増えるが、ファクタリングは負債が増えない
銀行融資は審査が厳しく、申し込みをしてから融資実行までに3週間~1ヶ月かかることも珍しくありません。一方、ファクタリングは最短即日で審査結果が出て、売掛債権を現金化できます。
また、銀行融資やビジネスローンの相場は年利1%~10%です。しかし、ファクタリングは1回の取引につき、2社間ファクタリングなら10%~20%の手数料がかかります。
そのほかにも、銀行融資だと負債が増えますが、ファクタリングは負債が増えず、信用情報や貸借対照表に悪影響を与えません。
手形割引との違い
手形割引とファクタリングが異なるポイントは、債務不履行になった場合の弁済義務の有無です。手形割引では債務不履行が発生すると、手形割引を行った利用者が弁済する責任が生じます。しかし、ファクタリングではその責任は生じません。
手形割引とは、支払期日を迎える前の手形を第三者に譲渡して現金化する仕組みです。手形割引は一般的に、取引銀行や手形割引業者に依頼して現金化します。依頼は審査され、審査に通れば利用者に手数料を除いた金額が支払われます。
手形割引は利息や手数料が発生しますが、現金をすぐに受け取れるのがメリットです。その点ではファクタリングと変わりませんが、債務不履行が生じた場合の弁済義務の有無が両者の異なるところです。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社で行うファクタリング契約です。利用者とファクタリング会社で行われるので、売掛先にファクタリングの利用を知られません。
2社間ファクタリングの流れは以下の通りです。
- 利用者は、ファクタリング会社とファクタリング契約を結ぶ
- 手数料を差し引いた金額をファクタリング会社から受け取る
- 売掛先から売掛債権の入金を受ける
- ファクタリング会社へ受け取った売掛金を支払う
支払いの流れは「売掛先」→「利用者」→「ファクタリング会社」となります。売掛先を除いた2社間で完結するため、現金化までのスピードが早いことが2社間ファクタリングの特徴です。
ただし、3社間ファクタリングと比較して手数料が高くなる傾向があります。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングとは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社で行うファクタリングです。利用者はファクタリング会社へ売掛債権を売却し、売掛金は売掛先から直接ファクタリング会社に入金されます。
3社間ファクタリングの流れは以下の通りです。
- ファクタリング会社と利用者がファクタリング契約を結ぶ
- ファクタリング会社は売掛先に売掛債権の確認を行い、支払い契約を締結
- 手数料を除いた金額をファクタリング会社から利用者が受け取る
- 売掛先がファクタリング会社へ売掛金を支払う
3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングより手続きが多く煩雑になります。しかし、売掛先から直接入金されるのでリスクが減り、手数料が抑えられる点がメリットです。
売掛先には承諾を得る必要があるので、事前に十分な説明をしておきましょう。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットについてわかりやすく解説します。
- 自社の業績が悪くても資金調達可能
- 資金調達がスピーディーにできる
- 売掛先の倒産リスクの回避
- 柔軟な独自審査
- 決算書・貸借対照表・信用情報に影響しない
- 2社間ファクタリングなら第三者に知られない
- 保証人や担保が必要ない
- 決済期日前に現金化できる
- 節税効果を期待できる
- 資産をオフバランス化して企業価値を高められる
- 2社間ファクタリングなら手間がかからない
メリットをしっかり押さえて、上手にファクタリングを利用しましょう。
自社の業績が悪くても資金調達可能
ファクタリングは、自社の業績が悪くても資金調達ができます。
ファクタリングは、売掛債権を売却して代金を受け取る仕組みです。したがって、主に売掛先の業績や信用が重視されます。
たとえば、銀行融資は融資先から回収する必要があるので、融資対象の企業が返済できるかを審査します。そのため、審査される対象は主に自社の業績です。
ファクタリングの場合、支払いは利用者ではなく売掛先です。自社の業績が悪くても売掛先の業績や信用がよければ資金調達ができます。
業績が悪くて銀行融資が受けられない場合は、ファクタリングの利用がおすすめです。
資金調達がスピーディーにできる
ファクタリングは、スピーディーに資金を調達できます。
銀行融資での資金調達は3週間~1ヶ月ほどかかりますが、ファクタリングなら最短即日で現金を受け取れます。スピーディーに資金調達がしたいなら、2社間ファクタリングの利用を検討しましょう。3社間ファクタリングは時間がかかることがあるからです。
ファクタリング会社によってスピードが異なるので、事前に確認しておきましょう。
売掛先の倒産リスクの回避
ファクタリングは、売掛先が倒産しても受け取った代金を返金する必要がありません。
ファクタリングで売掛債権を売却したあとは、ファクタリング会社が売掛金の回収義務を負います。売却した売掛債権について、利用者に弁済義務は発生しません。
ただし、契約に償還請求権が入っていると弁済義務が生じます。償還請求権入りの契約は、ファクタリング会社が貸金業に登録していない限り違法です。契約するときに、償還請求権の有無は必ずチェックしておきましょう。
柔軟な独自審査
ファクタリングは、銀行融資と比較して審査が通りやすいことが特徴です。
ファクタリングの審査は、「売掛債権が実在するか」「定期的に取引しているか」「決済期日が長すぎないか」といったことを調べます。審査対象は売掛先であり、主に売掛先の信用調査・業績調査を行います。
また、銀行融資では保証人や担保が必要ですが、ファクタリングでは必要ありません。ファクタリングは銀行融資に比べて審査が通りやすく、利用しやすい点が大きなメリットです。
決算書・貸借対照表・信用情報に影響しない
ファクタリングは、決算書・貸借対照表・信用情報に悪影響がなくて安心です。
ファクタリングは売掛金が現金化されるだけで、銀行融資のように負債は増えません。会計上の負債が増えないので、信用力の毀損や信用情報への記録を避けられます。
負債を増やさずに資金調達するなら、ファクタリングを選択肢の1つとして検討しましょう。
2社間ファクタリングなら第三者に知られない
2社間ファクタリングなら、売掛先にファクタリングの利用を知られません。
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社間で行うファクタリング契約です。売掛先にファクタリングの利用を知られないので、資金繰り悪化の懸念を抱かれる心配もありません。
くわえて、2社間ファクタリングならスピーディーな資金調達ができます。第三者に知られずファクタリングを利用したいなら、2社間ファクタリングを選択しましょう。
保証人や担保が必要ない
ファクタリングには、保証人や担保が必要ありません。
一般的な銀行融資では、保証人や担保が必要となります。保証人や担保を設定した方が、貸付金を回収できないリスクを減らせるからです。
担保や保証人が必要ないため、ファクタリングは契約の準備に時間がかかりません。
決済期日前に現金化できる
ファクタリングは、決済期日前に売掛債権を現金化できます。
掛け取引において、平均的な支払いサイトは30日です。しかし、企業によっては売掛債権を回収する前に資金繰りが悪化し、黒字倒産してしまうケースもあります。
ファクタリングを利用すれば、売掛債権をすぐに現金化できるので資金繰りが改善します。キャッシュフローを回復するには、ファクタリングの利用がおすすめです。
節税効果を期待できる
ファクタリングには節税効果があります。
ファクタリングのときに支払った手数料は、経費として計上できます。ただし、節税効果を主目的としてファクタリングを利用するのはやめましょう。手数料で利益が圧迫され、資金繰りが悪くなる可能性があるからです。
節税効果はあくまで、副次的な効果に過ぎません。
資産をオフバランス化して企業価値を高められる
ファクタリングは、資産をオフバランス化できます。
オフバランス化とは、賃借対照表から資産や負債を減らしてスリム化を行うことです。ファクタリングで売掛債権を売却して現金にしたあと、その現金を負債の返済に回すと賃借対照表から同額の現金と負債が消えてスリム化します。
企業を評価する指標にROA(Return on Assets)があります。ROAは総資産利益率と訳される指標で、「ROA(%)=当期純利益÷総資産×100」で算出が可能です。
オフバランス化によって総資産が減少すると、ROAが上昇して企業価値が高まります。
2社間ファクタリングなら手間がかからない
2社間ファクタリングは、契約や準備にあまり手間がかかりません。2社間ファクタリングの利用の流れは以下の通りです。
- 利用者は、必要書類を用意してファクタリング会社に見積もりを依頼
- ファクタリング会社が審査し、通れば契約
- 手数料を差し引いた代金を利用者が受け取る
- 売掛金が入金されたら、利用者はファクタリング会社に支払う
オンラインで申し込みができるファクタリング会社は、必要書類も2つ~4つ程度と少ないことが多いです。必要書類をアップして審査を受けるだけなので、とてもスピーディーに資金調達が可能です。
契約にあまり手間をかけたくないなら、2社間ファクタリングを選択しましょう。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットについて解説します。
- 手数料がかかる
- 資金繰りが悪化する可能性がある
- 売掛先の業績次第では資金調達できない
- 債権譲渡登記の費用がかかるケースがある
- 売掛債権がないと資金調達できない
- 分割払いは不可
- 3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要
- 3社間ファクタリングでは契約の手間がかかる
- 悪徳業者が存在する
- 資金繰りが悪化していると思われる可能性がある
- 譲渡不可の売掛債権はファクタリングできないことがある
デメリットをしっかりと事前に把握しておきましょう。
手数料がかかる
ファクタリングは、銀行融資などほかの資金調達方法に比べて手数料が割高です。
銀行融資やビジネスローンの場合、年利は1%~10%程度です。しかし、ファクタリングの場合は取引ごとに手数料がかかります。ファクタリングの手数料の相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング | 10%~20% |
3社間ファクタリング | 1%~9% |
手数料の分だけ利益が減少するので、ファクタリングの利用のし過ぎは資金繰り悪化につながる恐れがあります。しっかりと利益を計算して、計画的にファクタリングを利用しましょう。
資金繰りが悪化する可能性がある
ファクタリングには手数料が必要なため、利用のし過ぎは資金繰り悪化の原因になりかねません。
たとえば、薄利多売などの利益率の低い企業がファクタリングを多用すると、利益がさらに少なくなってしまいます。利益率を考えて、ファクタリングを利用しましょう。
また、利益を圧迫しないためには、手数料の安いファクタリング会社を選んでください。オンラインで契約できるファクタリング会社なら、2社間ファクタリングでも2%~10%程度の手数料で資金調達できます。
売掛先の業績次第では資金調達できない
ファクタリングは、売掛先の業績や信用力に問題があると利用できないケースがあります。
ファクタリングの審査は、主に売掛先の業績や信用力を調査します。そのため、審査を通過するかは売掛先次第です。
審査通過率を公表しているファクタリング会社もあります。ファクタリングで審査に通らなかった場合は、審査通過率の高いファクタリング会社に申し込んでみましょう。また、複数のファクタリング会社に同時に申し込んで、審査に通過したファクタリング会社を利用するのもおすすめです。
債権譲渡登記の費用がかかるケースがある
ファクタリングでは、債権譲渡登記の費用がかかることがあります。
ファクタリングとは、利用者の売掛債権をファクタリング会社に譲渡する契約です。そのため、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記が行われます。債権譲渡登記とは、債権の譲渡を公的に証明する制度です。
債権譲渡登記のメリットは、ファクタリング会社が売掛債権の未回収リスクを減らせることです。リスクが下がるので、その分だけ手数料が下がるケースもあります。
しかし、債権譲渡登記には登録免許税として7,500円、司法書士報酬として50,000円~100,000円程度の費用が必要です。債権譲渡登記は3社間ファクタリングで必須となっており、2社間ファクタリングではファクタリング会社によって異なります。
必要な費用をファクタリング会社にしっかりと確認しておきましょう。
売掛債権がないと資金調達できない
ファクタリングは、売掛債権がないと資金調達できません。利用金額も売掛債権額が上限であり、売掛債権額を上回る利用は不可能です。
ただし、ファクタリングには請求書だけでなく注文書を扱う注文書ファクタリングもあります。注文書ファクタリングなら、注文が入ってすぐに現金化が可能です。
そのため、現金化した資金で人件費などのコストを支払って経費をまかなえます。
分割払いは不可
ファクタリングで売掛金が売掛先から入金されたときに、ファクタリング会社への分割払いはできません。
ファクタリングで現金を得た利用者は、売掛先から売掛金が支払われるとファクタリング会社に入金する必要があります。このとき、一括で入金しなければなりませんので注意しましょう。
分割払いができると宣伝しているファクタリング会社は、違法業者である可能性が高いです。分割払いは貸付とみなされるため、貸金業への登録が必要だからです。
契約の中に分割払いが出てきたら、違法業者の可能性があるので注意しましょう。
3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要
3社間ファクタリングでは、売掛先の承諾が必要です。
3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングより手数料が安いというメリットがあります。しかし、売掛先にファクタリングの利用が知られるため、資金繰り悪化などの可能性を懸念される恐れがあります。
3社間ファクタリングを利用するなら、売掛先に説明を十分にしておきましょう。
3社間ファクタリングでは契約の手間がかかる
3社間ファクタリングは、契約に手間がかかるのがデメリットです。
3社間ファクタリングでは、売掛先も契約に加わってもらうため煩雑な手続きが必要です。また、3社間ファクタリングではほとんどの場合、債権譲渡登記を行います。審査時間や必要書類、準備の手間も増えて時間がかかるので注意しましょう。
しかし、手数料は2社間ファクタリングより安いので、急いでいないなら3社間ファクタリングはおすすめの選択肢です。
悪徳業者が存在する
ファクタリングを利用すると、悪徳業者に騙されるリスクがあります。
多くのファクタリング会社は誠実な運営をしていますが、中には悪徳業者や違法業者が混ざっている可能性もあります。悪徳業者を見分けるためのポイントは、以下の通りです。
- 登記の手数料が異様に高い
- 使途不明の手数料や消費税を請求された
- 契約に償還請求権が入っている
- 契約書がない
- 入金が遅滞する・入金がなされない
- 分割払いが可能だと宣伝している
悪徳業者と契約すると、さまざまな不利益があるので慎重に見極めましょう。
資金繰りが悪化していると思われる可能性がある
ファクタリングの利用が知られると、資金繰りが悪化していると思われる可能性があります。
3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの利用が知られます。資金繰りや経営悪化の可能性が懸念されると、今後の取引に影響が出かねません。
なぜなら、ファクタリングは手数料が高いため、資金に余裕があるなら銀行融資を利用する企業の方が多いからです。3社間ファクタリングを利用するなら、事前に十分な説明を行いましょう。
譲渡不可の売掛債権はファクタリングできないことがある
ファクタリングでは、債権譲渡禁止特約がついている売掛債権は利用できない可能性があります。債権譲渡禁止特約とは、第三者に譲渡が禁止されている売掛債権です。
しかし、2020年4月に民法が改正され、債権譲渡禁止特約がついた売掛債権もファクタリングが可能となりました。改正民法466条第2項は、「債権譲渡禁止特約が付されている売掛金でも、譲渡を妨げることはできない」と改正されました。
しかし、一方で債権譲渡禁止特約がついている売掛債権の譲渡には、売掛先への通知が必須とされています。そのため、債権譲渡禁止特約の売掛債権は3社間ファクタリングでしか利用できません。
ファクタリング会社によっても扱いが異なるので、事前に問い合わせて確認しておきましょう。
ファクタリングのメリットがデメリットを上回るケース
ファクタリングを利用するメリットが、デメリットを上回るケースについて解説します。
- 黒字倒産の危険性がある
- ファクタリングの利用で新たな利益が発生する
- 利益率の高い売掛債権をファクタリング
- 資金調達するため決算書をよくしたい
上記のケースのときは、ファクタリングの利用を積極的に検討しましょう。
黒字倒産の危険性がある
黒字倒産のリスクがあるなら、ファクタリングの利用はメリットが上回ります。
黒字倒産とは、帳簿上の損益計算では利益が出ているにも関わらず、資金繰りが悪化して債務不履行になり企業が存続できなくなることです。東京商工リサーチによれば、利益を計上しているにもかかわらず黒字倒産する企業は半数弱に上ります。
ファクタリングを利用すれば、売掛債権を決済期日前に現金化して黒字倒産を防ぐことが可能です。倒産を回避できるため、ファクタリングを利用するメリットは大きいでしょう。
なお、ファクタリングの利用だけでなく、根本的な資金繰りの改善にも取り組むのがおすすめです。
ファクタリングの利用で新たな利益が発生する
ファクタリングを利用すると新規利益が発生するなら、メリットがデメリットを上回ります。
たとえば、大口取引希望があるが必要な資材を仕入れるための現金が足りない場合です。ファクタリングを利用して資金調達すれば、大口取引を受注できます。
手数料以上の利益があるなら、ファクタリングを積極的に利用しましょう。また、ファクタリングの利用により機会損失も抑えられます。
一般のファクタリングより早く現金化できる、注文書ファクタリングも視野に入れて検討しましょう。
利益の大きい売掛債権をファクタリング
利益の大きい売掛債権をファクタリングするなら、メリットが大きくなります。
すぐに資金が必要で、売掛債権の利益が大きいならファクタリングがおすすめです。ファクタリングで得た資金で、仕入れ代金・設備投資・広告投資などを拡大して新たな売上を発生させることもできます。
ただし、手数料の安いファクタリング会社をしっかりと選びましょう。ファクタリングの利用では、できるだけ利益を減少させないことが大切です。
資金調達するため決算書をよくしたい
よい決算書が必要なときにファクタリングは有効な手段です。
ファクタリングは借入ではないため、負債が増えず決算書に悪影響がありません。また、ファクタリングを利用すればオフバランス化が進み、ROA(総資産利益率)が上昇して企業価値を高く見せられます。
ファクタリングによるオフバランス化は、以下の手順で行います。
- 売掛債権を売却して現金化
- 現金化した資金で負債を返済し、資産の部・負債の部をスリム化
- 総資産が減少するのでROA(総資産利益率)が上昇し、企業価値が高まる
銀行融資などでよい決算書が必要なときは、ファクタリングの利用を検討しましょう。
ファクタリングのデメリットがメリットを上回るケース
ファクタリングのデメリットがメリットを上回るケースを解説します。
- ファクタリングを継続して利用しないと資金繰りが成り立たない
- 売掛債権の利益率が低い
- ファクタリング会社への入金をできる見込みがない
上記のようなケースでは、ファクタリングの利用を慎重に検討しましょう。
ファクタリングを継続して利用しないと資金繰りが成り立たない
ファクタリングを繰り返さないと資金繰りが成り立たないなら、長期的な資金繰りの改善が必要です。
自転車操業に陥ると、ファクタリングから抜け出せなくなります。すると、手数料がいつも必要になって利益率が下がり、さらに悪い状況へと陥ります。
売掛金から手数料が差し引かれることが常態化すれば、資金繰りは悪化の一途をたどるばかりです。慢性的に資金が不足している場合は、以下の根本的な解決方法を検討しましょう。
- コスト削減
- 売掛債権の早期回収
- 眠っている資産の売却
そのほかにも、銀行融資やビジネスローンなど別の資金調達方法を検討してください。また、政府や自治体が出している中小企業向けの補助金を受けられれば、資金繰り改善に役立つでしょう。
政府が行っている中小企業向けの補助金は、中小企業庁から検索できます。
売掛債権の利益が低い
利益率の低い売上の売掛債権は、ファクタリングの利用はおすすめできません。
たとえば、ファクタリング手数料を差し引くと赤字になる場合、ファクタリングを利用するデメリットが大きくなります。倒産などの緊急事態以外では、ファクタリングの利用を見送るのが賢明です。
売掛先に支払いサイトの短縮を交渉するなど、ほかの解決方法を検討しましょう。
ファクタリング会社への入金をできる見込みがない
ファクタリング会社に入金できる見込みがないなら、利用は諦めましょう。
2社間ファクタリングの場合、売掛先から売掛金が利用者に支払われます。その売掛金を利用者は、ファクタリング会社に一括で支払うことが必要です。しかし、経済的に困窮して売掛金を使い込んでしまうケースも見られます。
使い込んでしまって未払いが発生すると、以下のようなトラブルになる可能性が高くなります。
- 回収委託契約違反になる
- 損害賠償請求や契約解除
- 遅延損害金の発生
- 横領罪・業務上横領罪に問われる
さらなる状況の悪化を招く危険性があるので、ファクタリングの利用は慎重に検討してください。
ファクタリングを利用するタイミングやシーン
ファクタリングを利用するタイミングは以下の2つです。
- 現金が不足していて資金繰りに困っている
- 銀行融資の審査に通らず資金調達ができない
一般的に企業が商品やサービスを取引するとき、売掛債権が発生する掛け取引を行います。掛け取引とは、期間内の取引を後払いでまとめて精算する仕組みです。
売掛債権の回収は平均して30日~60日ほどかかります。そのため、売上はあるのに手元に資金がないといった状況に陥るケースもあります。
ファクタリングを利用すれば売掛債権をすぐに現金化できるので、資金繰りの改善や黒字倒産の防止が可能です。また、銀行融資が受けられなくてもファクタリングの審査に通る可能性はあります。
ファクタリング会社の選び方のポイント
ファクタリング会社の選び方のポイントは、以下の4つです。
- 資金調達までのスピード
- 利用範囲額の下限・上限
- 手数料
- 信頼性
契約する前にしっかりとファクタリング会社を選び、上手に資金調達をしましょう。
資金調達までのスピード
ファクタリング会社選びでは、資金調達までのスピードを重視しましょう。
2社間ファクタリングでは最短数時間~即日、3社間ファクタリングでも数日程度で現金化できるファクタリング会社がおすすめです。ファクタリングは、銀行融資のように数週間もかからないのが特徴です。
ただし、必要書類が多いファクタリング会社だと準備に時間がかかりスピードが遅くなります。オンライン契約で必要書類の少ないファクタリング会社なら、スピーディーに資金調達が可能です。
利用範囲額の下限・上限
ファクタリング会社は、利用範囲額の下限・上限をチェックしましょう。
ファクタリング会社によっては利用範囲額が決まっており、少額の売掛債権では利用できないケースがあります。利用範囲額は公式サイトや問い合わせて確認しましょう。
売掛債権が少額の場合、手数料が高くなる傾向があるので併せて確認してください。
手数料
手数料の安いファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリングでは、売掛債権から手数料を差し引いた金額が支払われます。そのため、手数料が安いほど利益が残ります。ファクタリングの手数料の相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング | 10%~20% |
3社間ファクタリング | 1%~9% |
オンラインで契約できるファクタリング会社なら、2社間ファクタリングでも手数料が2%~10%程度のところもあります。手数料の安いファクタリング会社を上手に利用して、利益をしっかりと残しましょう。
信頼性
ファクタリング会社選びでは、信頼性も重要なポイントです。信頼性の高いファクタリング会社の見極め方は以下の通りです。
- 大手金融機関のグループ企業
- 手数料や売掛債権の限度額など、条件が具体的に明記されている
- 取扱実績が豊富
- 現金化事例が詳しく書いてある
- 運営日数が長い
3年以上運営しているファクタリング会社なら、ある程度信頼性があるでしょう。悪徳業者や違法業者は短期で会社名を変更するからです。
また、事前に口コミでファクタリング会社の評判をチェックしておきましょう。
ファクタリングを利用するときの注意点
ファクタリングを利用するときの注意点を解説します。
- 手数料の相場を確認しておく
- 契約書の控えを保管
- 償還請求権の有無をチェック
契約後のトラブルを避けるためにも、しっかりとチェックしておきましょう。
手数料の相場を確認しておく
ファクタリングの手数料の相場を確認しておきましょう。
法外な手数料を提示するファクタリング会社は、悪徳業者の可能性があります。ファクタリングの手数料の相場は以下の通りです。
2社間ファクタリング | 10%~20% |
3社間ファクタリング | 1%~9% |
手数料以外に必要な費用も、見積もり段階で確認しておくのがおすすめです。また、相見積もりを取ると、手数料の交渉が有利になるケースがあります。
契約書の控えを保管
ファクタリング会社と契約したら、契約書の内容を精査した上で控えを保管しましょう。契約書の控えは、法的拘束力がある売買の証明になります。
また、実際のサービスが契約内容と異なった場合、契約書を保管しておくことで利用者の主張が通りやすくなります。
トラブルが裁判に発展しても、契約書の控えがあれば利用者に有利です。
償還請求権の有無をチェック
ファクタリングの契約に、償還請求権が含まれていないか必ずチェックしましょう。
一般的なファクタリング契約は、償還請求権を含みません。償還請求権とは、売掛先が倒産したときにファクタリング会社が利用者へ売掛債権の弁済を求める権利です。
償還請求権を含む契約は、ファクタリング会社が貸金業に登録している必要があります。そのため、償還請求権を含むファクタリング契約をする業者はほとんど違法業者です。
違法業者との契約はトラブルになるので避けましょう。
ファクタリングの申し込みに必要な書類
利用者が法人の場合、ファクタリングの申し込みに必要な書類は一般的に以下の通りです。
- 商業登記簿謄本
- 代表者の本人確認書類
- 決算書類
- 銀行口座の入出金明細
- 請求書など売掛金を証明できるもの
- 取引先との基本契約書
オンラインで契約できるファクタリング会社なら、必要書類が2つ~4つのケースもあります。必要書類が少ないと、準備に時間がかからずスピーディーな資金調達が可能です。
また、必要書類を事前にチェックしておけば、スムーズに契約を進められるでしょう。
おすすめのファクタリング会社4選
おすすめのファクタリング会社を4つ紹介します。
ビートレーディング | 累計買取額900億円の実績
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
調達可能金額 | 制限なし |
手数料 | 2社間ファクタリング:4%~12% 3社間ファクタリング:2%~9% |
入金スピード | 最短5時間 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://betrading.jp/ |
ビートレーディングは、業界最速水準の入金スピードを誇るファクタリング会社です。
取引実績は3.7万社以上、累計買取額は900億円以上を達成しました。高い信頼性を誇り、多くの利用者から高い評価を得ています。
ビートレーディングは利用範囲額に制限がないため、少額の売掛債権でも契約できます。創業1年以内の企業や個人事業主でも利用できるため、フリーランスにとって強い味方です。
審査通過率は98%で、他社や銀行の審査に落ちた人でもビートレーディングなら資金調達できる可能性が高いです。
スピーディーに資金調達したい人に、ビートレーディングはおすすめです。
PayToday(ペイトゥデイ) | 手数料が1%~9.5%と最安
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 10万~5,000万円 |
手数料 | 1%~9.5% |
入金スピード | 最短30分 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://paytoday.jp/ |
PayTodayは、AI審査によりオンライン契約・即日入金ができるファクタリング会社です。
PayTodayは法人からフリーランスまで幅広く対応しています。AI審査により確実性の高い売掛債権のみを買い取ることで、1%~9.5%という業界最安水準の手数料を実現しました。
一般的なファクタリング会社が対応している売掛債権の決済期日は30日~45日ですが、PayTodayは最大90日まで対応しています。
PayTodayは最短30分で資金調達ができる、リーズナブルな手数料のファクタリングサービスです。
トップマネジメント | 創業13年で信頼性抜群
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
調達可能金額 | ・売掛先1社に対しての上限は1億円まで ・買取上限総額は3億円まで |
手数料 | 2社間ファクタリング:3.5%~12.5% 3社間ファクタリング:0.5%~3.5% |
入金スピード | 最短即日 |
手続き方法 | ・電話 ・FAX ・オンライン ・LINE |
公式サイトURL | https://top-management.co.jp/ |
トップマネジメントは、創業13年の実績と信頼性を誇るファクタリング会社です。
創業13年で積み上げてきたノウハウによる、高い審査通過率が特徴です。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらも扱っています。さらに、注文書ファクタリングにも対応しているので、受注時点で資金調達をしたい人におすすめです。
トップマネジメントは、3社間ファクタリングの手数料が特にリーズナブルです。そのほかにも、国の助成金や補助金を含む資金繰りのコンサルティングも受けられます。
ペイトナーファクタリング | フリーランス・個人事業主向け
種類 | 2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 初回は15万円まで |
手数料 | 一律10% |
入金スピード | 最短10分 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイトURL | https://paytner.co.jp/factoring |
ペイトナーファクタリングは、フリーランスと個人事業者向けのファクタリング会社です。
売掛先に送った請求書を審査し、最短10分で入金が行われます。手数料は一律10%に設定されており、フリーランスや個人事業者向けの2社間ファクタリングとしては破格です。
AIによる審査で、煩わしい事業計画書などの提出が不要で手続きが簡単です。必要書類は請求書・本人確認書類・実態確認資料の3つだけになります。
パートナー企業は大手企業が多く、信頼性が高い点も嬉しいポイントです。ペイトナーファクタリングは、フリーランスや個人事業主でファクタリングを利用したい人に向いています。
ファクタリングのメリット・デメリットを知って上手に利用しよう!
ファクタリングとは、利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却できるサービスです。利用者は手数料が差し引かれた金額を、決済期日前に現金で受け取れます。
ファクタリングにはさまざまなメリット・デメリットがあります。上手にファクタリングを利用すれば、資金繰りの改善や売掛先の倒産リスクの回避が可能です。
ファクタリングのメリット・デメリットをしっかりと押さえ、賢くファクタリングを利用しましょう。