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黒字倒産の意味や起こる原因、防止・回避するための対策や資金繰りなどを解説

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利益が出ているにもかかわらず倒産してしまう黒字倒産は、キャッシュフローの悪化などによって、どのような企業でも起こる可能性があります。よって、黒字倒産の意味や対策方法などを知っておくことは重要です。

この記事では、黒字倒産の意味や起こる原因、防止策や黒字倒産回避のための資金繰りなどを解説します。

黒字倒産とは

黒字倒産とは黒字の状態で倒産することですが、意味を理解するためには、そもそも「倒産」「黒字」とは何か確認しておく必要があります。

まず「倒産」とは、債務(借入金や買掛金など)の返済・弁済、または費用(仕入や人件費など)の支払いができなくなり、事業の継続が困難になることです。

倒産という用語は法律用語ではないため厳密な定義はありませんが、おおむねこのような意味合いで使われます。

具体的には、以下のような状態になった時点で、倒産したとみなすことが多いです。

  • 法的整理または私的整理を行う
  • 手形・小切手の不渡りで銀行取引停止になる

そして「黒字」とは、収益が費用より大きく、利益が出ていることをいいます。具体的には、損益計算書から算出される営業利益や経常利益などが、プラスであることを意味することが多いです。

よって黒字倒産とは、損益計算書では利益が出ているが、債務の返済・弁済や費用の支払いができなくなり、事業の継続が困難になること、という意味になります。

黒字なのに倒産するのは一見不自然に見えますが、例えば資産を現金以外の形(売掛金や在庫など)で多く保有していて、現金の額が少ない時などに、黒字倒産が起こる可能性があります

赤字と黒字倒産の違い

赤字は黒字と反対の意味の用語で、収益が費用より少なく、利益(営業利益・経常利益など)がマイナスになることです。

たとえ赤字であっても、必要な支払いができているなら事業は継続でき、倒産することはありません。よって、黒字倒産とは明確に意味の違う用語です。

なお、赤字の状態で倒産することを、黒字倒産と対比して「赤字倒産」と呼ぶこともあります。

債務超過と黒字倒産の違い

債務超過とは、貸借対照表の負債の総額が、資産の総額より多いことです。これは、もし資産を全て処分して負債の弁済に充てたとしても、負債が残ってしまうことを意味します。

債務超過は倒産の要因となることも多いですが、債務超過でも必要な支払いができているなら、すぐに倒産するわけではありません

また、赤字でも資産が負債より多ければ債務超過ではないため、赤字と債務超過も意味が違います。

黒字倒産が起こる原因

黒字倒産は、利益が出ているのに、支払いのための現金が足りなくなることで起こります。

黒字なのに現金が足りなくなる具体的な状況としては、以下のようなものが考えられます。ここでは、これらの黒字倒産が起こる原因について解説します。

  • キャッシュフロー管理の不備
  • 負債の返済・納税
  • 過剰在庫
  • 過剰な設備投資
  • 売掛金の未払い・貸倒れ
  • 急激な売上の減少
  • 急激な売上の増加
  • 人手不足

キャッシュフロー管理の不備

キャッシュフロー管理の不備は、黒字倒産が起こる主要な原因の一つといえます。

ここでキャッシュフローとは、会社に入ってくる現金(キャッシュイン)と、会社から出ていく現金(キャッシュアウト)の流れ、もしくはキャッシュインとキャッシュアウトの差額のことです。

キャッシュフローがプラスなら会社が保有する現金が増えており、マイナスなら減っていることになります。

よって、キャッシュフロー管理がおろそかになると、黒字倒産が起こるリスクが高くなります

負債の返済・納税

負債の返済や納税が、黒字倒産を引き起こすケースがあります。

例えば、融資の元本の返済は経費ではないため、返済しても利益は減りません。一方、現金は減少するため、黒字にもかかわらず倒産するケースが発生します。

法人税などは利益に対してかかるものですが、その利益を仕入れなど他の用途に使いすぎてしまっている場合などでは、納税資金を工面できなくなるケースも考えられます。

特に、前期に所得が増えて今期に納める税額が大きくなった場合は、納税資金を確保しておかないと黒字倒産してしまう可能性があります。

消費税も、黒字倒産の原因となることがある税の一つです。消費税の納税額は課税売上などで決まるため、資金繰りが苦しいにもかかわらず、納める消費税額が比較的高くなるケースも考えられます。

過剰在庫

過剰な在庫は、黒字倒産を引き起こす原因の一つです。

在庫は資産の一種ですが、仕入れた分だけ現金は減少します。販売して売上を上げるまでは、現金を得ることはできません。

よって、過剰な在庫を抱えたまま他の支払いがかさむと、現金が足りなくなり黒字倒産するケースが出てきます

過剰な在庫は、品質の劣化や需要の変化で価値が下がることが多いため、売上や利益の減少につながるのもデメリットです。さらに、もし処分することになった場合は廃棄費用もかかります。

保有しているだけでコストがかかるのも、在庫が資金繰りに悪影響を及ぼす要因です。保管する倉庫の家賃、温度管理設備や電気代などが利益を圧迫します。

過剰な設備投資

過剰な設備投資も、黒字倒産を引き起こす原因の一つです。

設備投資は長期的な事業の継続・発展に必要ですが、短期的には投資に見合うリターンが得られないこともあります。

そのため、設備投資で現金が大きく減少し、リターンを得る前に資金繰りが悪化して黒字倒産するケースが出てきます

設備の費用は減価償却で計上することが多いのも、黒字倒産の要因になりやすい点です。

例えば、一括払いで購入した設備の費用を減価償却によって計上した場合、現金は購入時点で全額支払っているが、費用はその年度の減価償却の分しか計上しないことになります。

そのため、現金が流出するタイミングと、費用に計上されるタイミングがずれることになります。

すると、損益計算書では黒字になっているが、実際は現金が足りず黒字倒産するケースが出てきます。

売掛金の未払い・貸倒れ

売掛金の未払いや貸倒れが、黒字倒産の原因となることも少なくありません。

売掛金は本来期日通りに支払われるべきですが、売掛先の資金繰り悪化や倒産による、未払いや貸倒れのリスクを完全に排除するのは困難です。

特に、期日通りに支払われることを前提にぎりぎりで資金繰りしていた場合は、未払いが黒字倒産に直結することもあります

急激な売上の減少

何らかの理由で売上が急激に減少すると、直近の損益計算書は黒字だが、現金が足りなくなり黒字倒産する可能性があります

売上減少は、経営判断の失敗などの内的要因でも起こりますが、トレンドや社会情勢の変化、法改正などの外的要因で起こることも少なくありません。

よって、急激な売上の減少による黒字倒産は、どのような会社にも起こるリスクがあるといえます。

急激な売上の増加

急激な売上の増加も、黒字倒産の原因になることがあります。

売上の増加で黒字倒産が起こるのは、仕入れや設備、人件費などの急激な増加をともなうことが多いためです。

売上が現金として入ってくるまでにタイムラグがあり、かつ現金が入ってくるまでの間に多額の出費が発生すると、黒字倒産する可能性が出てきます。

売上増加による資金繰りの悪化は、急成長中のスタートアップ企業などで起こりやすいのが特徴です。

他には、M&Aなどによる大規模な組織再編や、ビジネスモデルの大幅な変更などによって起こることもあります。

会社がこういった状況にある時は、売上に注力するだけでなく、現金が十分残っているかも注意しておくことが大切です。

人手不足

利益は十分出ているが、人手不足のために倒産するケースもあります。

人手不足倒産が起こる主な原因は、後継者の不在、従業員の退職、採用難、人件費の高騰などです。特に、中小企業は給与や福利厚生、知名度などの点で大企業に劣ることが多いため、人手不足になりやすいといえます。

また、人口減少や団塊世代の高齢化など、現代は社会的に人手不足が起こりやすい状況でもあります。

実際、帝国データバンクによると、人手不足倒産は年々増加傾向にあり、特に建設業と物流業が多いというデータが出ています。

黒字倒産しやすい業種

建設業・製造業・卸売業・小売業などは、黒字倒産が起こりやすい業種です。また、スタートアップ企業や中小企業も、黒字倒産が起こりやすい傾向があります

下の表は、これらの業種が黒字倒産しやすい主な理由をまとめたものです。どの業種も、前章で解説した「黒字倒産が起こる原因」の、いずれかに該当しやすい傾向があります。

業種 黒字倒産しやすい理由
建設業
  • 工事の受注から完了まで時間がかかることが多い
  • 売掛金の請求から支払いまでの期間(回収サイト)も長い傾向がある
  • 工事代金が支払われる前に、材料費や人件費など多額の経費が必要になることが多い。
製造業
  • 工場などの大規模な設備投資が必要なことが多い
  • 過剰在庫や人手不足に陥りやすい
卸売業・小売業
  • 過剰在庫が発生しやすい
スタートアップ企業
  • 事業の成長にともなう費用の増加が大きい
  • 金融機関の信用が低いため資金調達力が劣る
中小企業
  • 財務基盤が弱い傾向がある
  • 大企業に比べて金融機関の信用が低い傾向がある
  • 知名度が低い、給与が低い、採用のノウハウが乏しいなどの理由で採用難が起こりやすい。

黒字倒産の具体例

黒字倒産の具体例を知っておくことは、黒字倒産への対策として有用です。ここでは、過去に起こった上場企業の黒字倒産のうち、有名な以下の3例を紹介します。

  • アーバンコーポレイション
  • 江守グループホールディングス
  • 日本綜合地所

アーバンコーポレイション

株式会社アーバンコーポレイションは、かつて東証1部に上場していた不動産関連会社です。

2008年3月期決算において、営業利益約700億円、純利益約300億円と大きな黒字でしたが、同年8月に黒字倒産しました。負債総額は約2,600億円です。

アーバンコーポレイションは不動産関連事業で業績を伸ばしていましたが、2007年のサブプライムローン問題をきっかけに、追加融資が途絶えるなど資金繰りが悪化。結果として黒字倒産しました。

アーバンコーポレイションの黒字倒産の主な原因は、過剰在庫であるというのが主要な見解です。売れる見込みの低い不動産を借入により仕入れ続けたことが、黒字倒産の大きな要因になったとされています。

まだ売れていない在庫は、費用に計上されないため利益を減少させません。しかし、仕入により現金は減少しているため、利益は出ているが現金が足りなくなるという事態が起こります

江守グループホールディングス

江守グループホールディングス株式会社(現「株式会社サスティナ」)は、かつて東証1部に上場していた化学品などを扱う卸売商社です。順調に業績を伸ばし黒字でしたが、2015年に黒字倒産しました。

江守グループホールディングスが黒字倒産したのは、売掛金の貸倒れが主な原因とされています

中国の大口取引先の売掛金の回収がうまくいかず、巨額の貸倒損失を計上したことなどが倒産につながりました。

売掛金は売上および収益にカウントされますが、実際はまだ現金は入手できていません。そのため、売掛金が未回収になると、黒字だが現金が足りず倒産するケースが出てきます。

また、江守グループホールディングスの営業キャッシュフロー(本業の営業活動による現金の流れ)は、黒字倒産する数年前から継続的にマイナスでした。

これは、たとえ黒字でも本業によって手元の現金は増えておらず、むしろ減っていることを意味します。黒字だがキャッシュフローがマイナスの状態は、黒字倒産につながる典型的な状況の一つです。

キャッシュフロー管理に不備があると、こういった兆候に早期に気づけないことがあります。

日本綜合地所

日本綜合地所株式会社(現「大和地所レジデンス株式会社」)は、かつて東証1部に上場していた不動産会社です。

分譲住宅・マンションの販売や不動産開発で業績を伸ばしていましたが、2009年に黒字倒産しました。負債総額は子会社も含めて約2,100億円です。

日本綜合地所が黒字倒産した主な原因は、先ほどのアーバンコーポレイションと同様、過剰在庫であるとされています

リーマンショックの影響で不動産市況が悪化する中、好況時と同様に積極的な仕入を行ったことが、資金繰り悪化につながりました

また、先ほどの江守グループホールディングスと同様、黒字だが営業キャッシュフローは慢性的にマイナスでした。

キャッシュフローの管理と、市況の変化に合わせた適切な在庫管理が、黒字倒産の防止に重要だといえます。

黒字倒産の防止方法

ここでは、黒字倒産を防止する方法として、以下の手段を解説します。

  • キャッシュフローの管理
  • 適切な支払・回収サイトの設定
  • 適切な在庫管理
  • 未払いの売掛金の把握と迅速な回収
  • 資金調達力の強化

キャッシュフローの管理

倒産は、利益が黒字かどうかにかかわらず、支払いのための現金が足りなくなることで起こります。

よって、黒字倒産を防止するには、キャッシュフローを管理し、現金の不足が起こらないようにすることが重要です。

キャッシュフローの管理に有用なのが、「キャッシュフロー計算書」と「資金繰り表」です。これらの書類を日頃からきちんと作成しておけば、キャッシュフロー管理を行いやすくなります。

また、売上や利益だけでなくキャッシュフローを重視した、「キャッシュフロー経営」を心がけることも重要です。

キャッシュフロー経営は、積極的な投資を行いづらいなどの欠点がありますが、手元の現金を重視するため黒字倒産は起こりにくくなります。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは、事業年度ごとの現金の流れを記載した書類で、上場企業は作成が必須となっています。非上場企業は作成義務はありませんが、黒字倒産の防止のために作成しておくのは有用です。

キャッシュフロー計算書では、キャッシュフローを下表の3つに分けて計算します。

キャッシュフローの種類 概要 キャッシュフローがプラスになる具体例 キャッシュフローがマイナスになる具体例
営業キャッシュフロー 本業の営業活動による現金の増減
  • 商品を販売する
  • 売掛金を回収する
  • 在庫や原材料を仕入れる
  • 買掛金を支払う
投資キャッシュフロー 設備投資や資産運用などによる現金の増減
  • 設備や固定資産の売却
  • 投資目的の有価証券等の売却
  • 設備や固定資産の購入
  • 投資目的の有価証券等の取得
財務キャッシュフロー 資金調達や返済などによる現金の増減
  • 融資を受ける
  • 株式や社債等の発行
  • 融資を返済する
  • 株式や社債等の償還

キャッシュフローを上記の3種類に分けることで、現金の流れを詳しく把握できます。

例えば、たとえトータルのキャッシュフローがプラスでも、営業キャッシュフローがマイナスなら、黒字倒産のリスクが高まっている可能性があります。

これは、本業の営業活動では現金が増えておらず、借入などでまかなっている状態です。この借入を過剰な仕入や設備投資などに投入している場合、黒字倒産する可能性が出てきます。

また、投資キャッシュフローのマイナスは、事業拡大のための積極的な投資を行っていることを示唆しています。よって、マイナスだからといって必ずしも悪いわけではありません。

資金繰り表

資金繰り表とは、一定期間における現金の収入と支出を、項目ごとに分けて記載した表です。現金の過不足を客観的に把握するのに役立ちます。

資金繰り表は、将来のキャッシュフローの予測額を記載するのが、キャッシュフロー計算書との大きな違いの一つです。

キャッシュフロー計算書は、過去のキャッシュフローの実績を記載するのに対して、資金繰り表は現在と将来のキャッシュフローを記載します。

資金繰り表の作成方法に決まりはありませんが、例えば、現在から数か月後までのキャッシュフローの「予測値」と「実績値」を、月単位で記入するのがよくある方法の一つです。

収支の記載項目も決まりはありませんが、営業収支と財務収支について、下表のような項目を記入することが多いです。これらの各項目について、月ごとの予測値と実績値を記入します。

収支の種類 記載項目の例
営業収入
  • 現金での売上
  • 売掛金の回収
  • 受取手形の入金
  • 前受金の入金
  • その他の入金
  • 合計額
営業支出
  • 現金での仕入れ
  • 買掛金の支払い
  • 支払手形の決済
  • 未払金の支払い
  • 人件費
  • 販売費
  • 管理費
  • 税金
  • その他の支出
  • 合計額
財務収入
  • 借入金
  • その他の収入
  • 合計額
財務支出
  • 借入金の返済
  • 設備投資
  • その他の支出
  • 合計額

適切な支払・回収サイトの設定

適切な支払・回収サイトの設定は、黒字倒産の防止のために重要だといえます。

ここで支払サイト・回収サイトとは、それぞれ買掛金・売掛金が発生する締日から支払期日までの期間のことです。

例えば、月初から月末までの一か月分の取引代金を、翌月末日にまとめて支払う場合は、支払サイトは一か月となります。同様に、売掛金を翌月末日に支払ってもらう場合は、回収サイトは一か月となります。

一般的に、月末締め翌月末払いを「30日サイト」と呼ぶことが多いです。同様に、翌々月末払いは「60日サイト」、3ヶ月後の末日払いは「90日サイト」と呼ぶのが通例です。

原則として、支払いサイトが長く回収サイトが短いほど、黒字倒産は起こりにくくなります。買掛金の支払いを後回しにでき、売掛金を早く現金化できるからです。

逆に、支払いサイトが短く回収サイトが長いと、現金が枯渇しやすくなり黒字倒産のリスクが高まります

よって、こちら側の都合だけを考えると、支払いサイトはできるだけ長く、回収サイトはできるだけ短いほうが有利です。

しかし、実際は取引先の都合も考慮しなければならないため、お互いにとってちょうど良い、適切な支払・回収サイトを設定することが重要になります。

適切な在庫管理

過剰在庫による黒字倒産を防止するには、適切な在庫管理を行うことが大切になります

下表は、在庫管理の主な業務と、業務の具体例をまとめたものです。これらの業務を徹底することで、過剰在庫による黒字倒産リスクの低下が期待できます。

主な業務 業務の例
在庫量の把握
  • 定期的に在庫量を確認し現在の在庫量を把握する
在庫の保管
  • 温度や湿度管理などを徹底し、品質が劣化しにくい方法で保管する。
  • 倉庫は入出庫作業を行いやすい構造にする
  • 倉庫内の在庫の配置を最適化する(ロケーション管理)
需要予測
  • 過去の販売実績、流行の変化、季節性、社会情勢などを踏まえて需要を予測する。
在庫量の判断
  • 需要の不確実性が大きい在庫は多めに保有する(安全在庫)
  • 主力商品や売れ筋商品は在庫を多めに保有する(ABC分析)
業務効率化
  • QRコード等による在庫管理
  • 在庫管理システムの導入

未払いの売掛金の把握と迅速な回収

売掛金の未払いは黒字倒産の原因となることが多いため、迅速に回収して貸倒れを防ぐことが大切です。

また、そのためには売掛金管理によって、売掛金の未払いを早期に把握することも重要になります

売掛金の回収

売掛金の回収は、まずは低コストで行える方法で支払いをうながし、それでも支払いがない場合は、コストが高い手段に段階的に移行するのが一般的です。

一例としては、以下のような順序で支払いを催促・要求する流れが考えられます。

順序 回収方法 概要
1 こちら側のミスによる未払いでないか確認する
  • 請求書の発行忘れ
  • 支払期日や金額などの記載間違い
  • 消し込み忘れ
2 売掛先に未払いの事実を伝える
  • うっかりミスによる未払いの可能性もあるので、催促は行なわず未払いの事実のみ伝える。
3 督促状を送付する
  • 丁寧な文体で支払いをうながす
  • 最終通告ではないので、法的手段の可能性は記載しないのが一般的。
  • 普通郵便で送付するのが一般的
  • 返事がない場合は複数回送付してもよい
4 催告書を送付する
  • 督促状より強い文体で支払いを要求する
  • 最終通告であり、対応がない場合は法的手段に移行する予定であることを記載するのが一般的。
  • 内容証明郵便で送付する
  • 最終通告なので送付回数は原則1回
5 簡易な法的手段による回収
  • 確定判決と同等の効果が得られる、訴訟より簡易な法的手段で回収を試みる。
  • 公正証書の作成、即決和解、支払督促、民事調停など。
6 訴訟による回収
  • 売掛金が60万円以下の場合は、「少額訴訟」という簡易な訴訟が利用可能。

売掛金の管理

売掛金の管理の基本となる帳簿は「売掛金元帳」です。売掛金元帳は、売掛金が発生した取引の内容を、取引先ごとに分けて記録します。

売掛金以外も含めた全ての取引を記録する「総勘定元帳」でも、売掛金の管理は可能です。しかし、売掛金の取引だけを抜き出して、さらに取引先ごとにまとめている売掛金元帳のほうが、管理を行いやすくなります。

なお、売掛金元帳は「売掛帳」「得意先元帳」と呼ばれることもあります。

売掛金元帳の記載内容に決まりはありませんが、以下のような内容を記載するのが一般的です。

  • 取引先の名称
  • 取引の日付
  • 商品名と単価・個数
  • 売掛金の額
  • 支払期日
  • 入金の有無と入金額

売掛金元帳の作成に加えて、売掛金に関する業務を正確に行うことも重要になります。請求書の作成・送付や消し込み作業はヒューマンエラーが起きやすいため、防止策を徹底することが大切です。

ヒューマンエラーの防止策としては、以下のようなものが考えられます。会社の規模やコストに応じて、適切なレベルの防止策を施しましょう。

  • ダブルチェックを行う
  • 業務のマニュアル化
  • ヒューマンエラーが起きにくい環境づくり(資料の整理整頓、適度な休憩など)
  • 売掛金管理システムの導入
  • 経理代行サービスの導入

資金調達力の強化

資金調達力を強化するのも、黒字倒産防止の重要な点です。

多くの会社にとって融資が主な資金調達手段となるため、まずは融資に通りやすい状況をつくることが大切になります。

また、融資に依存しない資金調達力を得るために、融資以外の資金調達手段を確保しておくことも重要です。

融資に通りやすい状況をつくる

融資に通りやすい経営状況をつくるのは、資金調達力強化の重要なポイントとなります

財務などの経営状況を良くすることはもちろん重要ですが、以下のような点も融資に通りやすい状況をつくるのに有用です。

  • 説得力のある事業計画書を作成する
  • 決算書をきちんと作成する
  • 創業融資に申し込む

創業融資は、まだ実績のないスタートアップ企業が、融資を借りて返済した実績を作れるのがメリットです。

創業融資で実績を作っておけば、後に資金繰りが苦しくなった時に、全く実績がない場合に比べて融資を受けやすくなる可能性があります。

融資以外の資金調達手段を持つ

資金調達は融資以外にもさまざまな手段があるため、複数の手段を持つことが資金調達力の強化につながります

資金調達手段は、「デットファイナンス」「アセットファイナンス」「エクイティファイナンス」の3つに分類できます。

これらの手法のメリットとデメリットを理解して、バランスよく活用することが大切です。

資金調達の種類 デットファイナンス アセットファイナンス エクイティファイナンス
概要 負債を増やすことによる資金調達 資産を現金化する資金調達 資本を増やすことによる資金調達
具体例
  • 融資
  • 社債
  • 株式の発行
  • ベンチャーキャピタルからの出資
メリット
  • 資金調達の手段が多い
  • 資金調達しやすい
  • 返済の必要がない
  • 売却できる資産があれば信用の低い会社でも利用できる
  • 返済の必要がない
デメリット
  • 返済義務がある
  • 利息の支払いが必要
  • 売却できる資産がなければ利用できない
  • 利息や手数料が発生することがある
  • 他者に経営に介入される

黒字倒産のリスク評価に有用な指標

黒字倒産を防止するには、キャッシュフローが健全かどうかを見極めることが重要です。

黒字倒産のリスクを客観的に評価する手段として、キャッシュフローに関連する経営指標を参考にする方法があります

例えば、以下のような経営指標は、キャッシュフローや財務の健全さと関連性があるため、黒字倒産のリスク評価に有用です。

  • 自由資金比率
  • 当座比率
  • 売掛債権回転率
  • 在庫回転率
  • 自己資本比率
  • 利益

自由資金比率

自由資金比率とは、以下の式で定義される指標です。

  • 自由資金比率(%)=フリーキャッシュフロー÷利益剰余金の増加額×100

なお、フリーキャッシュフローと利益剰余金の定義は以下のとおりです。

  • フリーキャッシュフロー=本業で稼いだ売上ー仕入れや設備投資などの経費
  • 利益剰余金=純利益-株主への配当など

自由資金比率は、本業で稼いだ現金が、会社が持つ現金の増加にどれくらい寄与しているかを示します

自由資金比率の高さは、借入れなどに頼らず現金を十分増やせていることを意味しており、黒字倒産リスクが低いといえます。

自由資金比率70%以上なら健全、40%以下なら注意というのが、大まかな判断基準です。

数値は単年で計算してもよいですが、数年間の平均を取ると、より適切な数値を算出できます。

当座比率

当座比率とは、以下の式で定義される指標です。

  • 当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

ここで、当座資産と流動負債の意味は下表のとおりです。

名称 定義 具体例
当座資産 現金および簡単に現金化できる資産
  • 現金
  • 預金
  • 売掛金
  • 受取手形
  • 未収金
  • 長期保有しない予定の有価証券
  • 1年以内に回収される予定の債権
流動負債
  • 本業の営業活動で生じた負債
  • 1年以内に支払期日が来る負債
  • 買掛金
  • 支払手形
  • 未払金
  • 未払費用
  • 1年以内に返済する借入金(短期借入金)

当座比率は、近いうちに支払期日が来る負債に対して、現金をどれくらい用意できるかを示しています

当座比率が100%以上なら、当面の支払いに必要な現金を用意できる状態です。逆に100%未満なら、黒字倒産のリスクが高まっているといえます

当座比率の平均値は業種によっても違いますが、中小企業庁のデータによると、130%〜200%程度となっています。

なお、当座比率と似た指標として、「流動比率」という指標もあります。

流動比率は、当座比率における当座資産の部分を、在庫なども含めた流動資産に置きかえたものです。式は以下のとおりとなります。

  • 流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

在庫を早期に現金化できる状況なら、流動比率で評価するのも有用です。

売上掛債権回転率

売上債権回転率は、以下の式で定義される指標です。

  • 売上債権回転率=売上高÷売上債権の額

ここで売上債権とは、売掛金や受取手形などのことです。

売上高に占める売上債権の額が大きいと売上債権回転率は低くなり、逆に売上債権の額が小さいと売上債権回転率は高くなります。

売上債権回転率の高さは、売掛金などを効率的に回収し、現金化できていることを意味します。よって、売上債権回転率が高いほど、黒字倒産のリスクが低いと判断できます

売上債権回転率は業種によって大きく違うため、同業種の平均と比較するとより有用です

例えば、現金取引の多い飲食業・娯楽業などは回転率が高く(30から40程度)、掛取引の多い卸売業・製造業・建設業などは低く(5から10程度)なります。

なお、計算の際に使う売上高の期間は任意でよいですが、損益計算書に記載の一事業年度の売上高を使うことが多いです。また、売上債権の額は期末時点の数値でもよいですが、ばらつきが大きい場合は期首と期末の平均を取るなどします。

また、売上債権回転率と類似の指標として「売上債権回転期間」があり、以下の式で定義されます。

  • 売上債権回転期間(日)=365÷売上債権回転率
  • 売上債権回転期間(月)=12÷売上債権回転率

売上債権回転期間は、売上債権回転率を日数や月数を単位として書き直したものであり、両者の意味合いは同じです。

在庫回転率

在庫回転率は、在庫の仕入と出庫のサイクルの早さを示す指標です。

在庫回転率には、「金額による在庫回転率」と「在庫数による在庫回転率」の2つの定義があり、具体的な式は次節で解説します。

在庫回転率の高さは、在庫が効率的に販売されて滞留していないことを意味しており、黒字倒産のリスクが低い状態だといえます。

なお、在庫回転率は業種によって大きく違うため、同業種の平均と比較するとより有用です。

例えば、建設業・製造業・卸売業などは回転率が低く(10から15程度)、運輸業・飲食業・サービス業などは高く(80から100程度)なります。

金額による在庫回転率

金額による在庫回転率は、以下の式で定義されます。

  • 在庫回転率=売上原価÷棚卸資産

計算に使う数値は任意の期間を取ってよいですが、一事業年度の売上原価を、期首と期末の棚卸資産の平均値で割って求めるのが一般的です。

ここで売上原価とは、すでに販売した商品にかかった費用のことで、売上高とは異なるのが注意点です。売上原価は損益計算書に記載されています。

そして棚卸資産とは、保有している在庫の資産価値のことで、貸借対照表に記載されています。在庫の価値は、購入代金とイコールではないのが注意点です。

在庫数による在庫回転率

在庫数による在庫回転率は、出庫した在庫の数を保有している在庫の数で割ったもので、式で書くと以下のようになります。

  • 在庫回転率=出庫した在庫の数÷保有している在庫の数

意味合いは金額による在庫回転率と同じで、回転率が高いほど黒字倒産のリスクが低いといえます。

対象とする期間は一事業年度でもよいですが、一カ月や一週間など、在庫数を把握している任意の期間を選ぶことも可能です。

自己資本比率

自己資本比率とは、自己資本と他人資本の合計額のうち、自己資本が何パーセントかを示す指標です。式で書くと以下のとおりとなります。

  • 自己資本比率(%)=自己資本÷(自己資本+他人資本)×100

なお、細かい条件(新株予約権を発行している場合や、特別法上の準備金がある場合など)によって式が多少変わることがありますが、ここでは割愛します。

ここで自己資本とは、会社が持つ資金のうち返済の必要がないもので、株主からの出資や利益剰余金などのことです。自己資本の額は、貸借対照表の「純資産」の額と原則として一致します。

そして他人資本とは、会社が持つ資金のうち返済の必要があるもので、借入金や買掛金などのことです。他人資本の額は、貸借対照表の「負債」の額と原則として一致します。

自己資本比率は、キャッシュフローと直接的には関連しない指標ですが、財務の健全性を評価する基本的な指標のため、黒字倒産のリスク評価においても重要となります

一般的に、自己資本比率が高いほうが財務が健全で、黒字倒産のリスクが低いと判断できます。

自己資本比率の目安は、業種や会社の規模によっても異なりますが、おおむね40%以上なら健全とされています。

利益

損益計算書の利益の額は、無駄な費用がかかり過ぎていないかなどを評価するのに有用です。

例えば、売上高に対して売上総利益が少なすぎる場合は、仕入れや製造コストがかかり過ぎている可能性があります。

同様に、売上総利益に対して営業利益や経常利益が少なすぎる場合は、人件費や利息の支払いなどが多すぎる可能性があります。

黒字倒産を回避するための資金繰り

ここでは、黒字倒産のリスクが高まっている時に、それを回避するための具体的な資金繰りとして、以下の方法を紹介します。

  • 融資のリスケジュールを行う
  • 現金化できる資産を売却する
  • クレジットカード払いで支払いを猶予する
  • 補助金・助成金を活用する
  • ファクタリングを活用する

融資のリスケジュールを行う

融資のリスケジュールは、黒字倒産の回避に有用な資金繰りの一つです。

融資のリスケジュールとは、金融機関からの融資の返済条件をゆるくしてもらうことです。以下のような返済条件の変更を行うことで、資金繰りが苦しい状態でも返済できるように融通してもらいます。

  • 返済期限を延長し、毎月の返済額を少なくしてもらう。
  • 一定期間(半年から1年程度)は利息のみ支払い、元金の返済は保留してもらう。

融資のリスケジュールは、経営改善計画がきちんと作成されていれば、比較的利用できる可能性が高い手段です。

金融庁のデータによると、リスケジュールを申し込んで実行できる確率は約99%となっており、ほとんどの場合リスケジュールが利用できる状況となっています。

リスケジュールは有用な手段ですが、リスケジュール中は新たな融資を受けるのが難しくなるなどの注意点もあります。

現金化できる資産を売却する

現金化できる遊休資産があれば、それを売却することで資金繰りを改善できます。

資金繰り改善のために売却できる、主な資産は下表のとおりです。これらの中に遊休資産になっているものがあれば、売却を検討するとよいでしょう。

資産の種類 概要・備考
在庫
  • セールやアウトレットで安く販売する
  • 専門の在庫買取業者に売却する
  • 売却により管理コストも節約できる
  • 普通に販売した場合に比べて利益は減少する
不動産
  • 売却により維持費や固定資産税も節約できる
  • 流動性が低く売却に手間と時間がかかる
有価証券
  • 不要な株式や投資信託などを売却・解約する
  • 売却損が発生する場合がある
会員権
  • ゴルフ会員権やリゾート会員権など
  • 売却により会費などのコストも節約できる
  • 売却損が発生する場合がある
  • 譲渡所得として課税対象になる

請求書カード払いで支払いを猶予する

請求書カード払いとは、売掛金などの支払いをクレジットカードで支払うことです。

支払期日にクレジットカードで支払いを済ませた後、翌月カード会社から請求が来るため、実質支払期日を1か月から2ヵ月程度先延ばしできます

資金繰りに窮していて、どうしても支払いを先延ばしにしたい時などに有用な手段です。

請求書カード払いは、取引先がカード払いを受け付けていなくても利用できるのがメリットです。また、振込み作業はカード会社が代行するため、業務の効率化にもなります。

一方、利用の際に手数料がかかるのが注意点です。カード会社によりますが、3%程度の手数料がかかるのが一般的です。

補助金・助成金を活用する

補助金・助成金の中には、経営改善・経営再建の支援を目的とするものもあります。こういった補助金・助成金を活用して、黒字倒産の回避を目指すのも有用な手段です。

補助金と助成金は制度として似ている部分もありますが、下表のような相違点があります。

相違点 補助金 助成金
給付額 高額のものもある(数十万円から数億円程度) 少額のものがほとんど(数万円から数百万円程度)
審査
  • 審査を受けて採択された事業者のみ受給できる
  • 採択率は3割から5割程度のものが多い
要件を満たす事業者は原則として受給できる

ただし、補助金・助成金には厳密な区別はないため、実体としては助成金だが、名称は「補助金」となっているケースもあります。

補助金・助成金は、返済しなくてよいのが大きなメリットです。借入を増やさずに、黒字倒産の回避を目指すことができます。

ただし、特定の事業を対象とする補助金・助成金の場合は、対象事業の実行後でないと金銭が給付されないのは注意点です。対象事業そのものは、別途つなぎ融資などで資金調達して行わなければなりません。

一方で、対象事業が存在しないタイプの補助金・助成金(物価高対策など)は、申請後一定期間(一か月後など)経てば給付されるのが一般的です。

補助金・助成金は非常に多数あり、常に新しいものが募集されています。下表は、2025年2月時点で募集中のものの中から、黒字倒産の回避に有用と思われるごく一部を記載したものです。

最新の補助金・助成金の情報は、国(経済産業省・厚生労働省・中小企業庁など)や自治体のHP、または「補助金ポータル」などのポータルサイトで探すことができます。

補助金・助成金の名称 概要
経営改善計画策定支援(全国) 経営革新等支援機関から経営改善計画の策定支援を受ける際に、その費用の一部を補助。
タクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業(全国) タクシー事業者の燃料費の補助
セーフティネット支援金(鹿児島県西之表市) 社会情勢の変化などにより売上が大幅に減少し、事業継続が困難になっている事業者に対して、最大50万円補助。(2025年3月6日まで)
大泉町事業所電気・ガス料金補助金(群馬県大泉町) 町内の事業所等で使用した電気・ガス料金を最大5万円補助。(2025年5月31日まで)
物価高騰緊急対策支援金(東京都葛飾区) 物価高の負担軽減として最大15万円交付(2025年3月31日まで)

ファクタリングを活用する

ファクタリングも黒字倒産の回避に有用な手段です。

ファクタリングとは、まだ支払期日が来ていない売掛債権(売掛金を受け取る権利)を、ファクタリング業者に売却するサービスです。

売掛金は、売上は上がっているのに現金が入手できていない状態であり、黒字倒産の要因となりやすいものです。そこで、ファクタリングによって支払期日前に現金化すれば、黒字倒産の回避に有用となります

売掛金の未払いリスクを回避できるのも、ファクタリングのメリットの一つです。

ファクタリングを行うと、ファクタリング業者が売掛債権の債権者になりますが、その際、もし売掛金が未払いになった時に元の債権者に支払いを求める「償還請求権」は付与しないのが一般的です。

よって、もし売掛金が未払いになっても、その損失はファクタリング業者が負うことになります。

また、ファクタリングは申込みから入金までの時間が早く、申し込んだその日に現金化できることも少なくありません。さらに、審査通過率も高い傾向があり、90%以上の業者も多数あります。

一方、手数料が高い傾向があることはファクタリングの注意点です。

ファクタリングは借入ではないため貸金業法や利息制限法の対象外であり、手数料の設定は業者側の判断で決まります。

そのため、ファクタリングの手数料は1%程度から20%程度とかなり幅があり、審査結果によっては手数料が高くなる可能性もあります。

なお、ファクタリングには、売掛先の許可を取らずに行う「2社間ファクタリング」と、許可を取る「3社間ファクタリング」があり、3社間ファクタリングのほうが手数料が安い傾向があります。

具体的には、2社間ファクタリングの手数料相場はおおむね8%から20%くらい、3社間ファクタリングは1%から9%くらいです。

黒字倒産の回避におすすめのファクタリング業者

ファクタリング業者の数は大変多く、サービス内容にそれぞれ違いがあります。よって、黒字倒産の回避に有用な、良心的なサービスを提供している業者を選ぶことが大切です。

そこでここでは、黒字倒産の回避に有用な、おすすめの大手優良業者を紹介します。

ベストファクター

ベストファクター

ベストファクターは、黒字倒産の回避におすすめのファクタリング業者です。2%からという良心的な手数料や最短即日での入金など、優良なサービス内容となっています。

即日振込の実行率は2025年1月実績で59.5%となっており、利用者の約6割が申し込んだその日に入金できています。黒字倒産の回避には現金化のスピードが重要なので、約6割が即日入金している実績は大変強みです。

また、注文書・発注書をファクタリングできる「ベストペイ」というサービスも展開しており、こちらも好評となっています。

注文書・発注書ファクタリングとは、まだ納品されておらず、請求書を発行していない段階で利用できるファクタリングです。請求書を発行した後で行う通常のファクタリングに比べて、現金化する期日をより早めることができます。

なお、契約時に対面での面談が必要なのは、ベストファクターの注意点です。ファクタリングの契約は、電子契約サービスを使って面談なしで行う業者も増えていますが、ベストファクターでは対面が必須となります。

ベストファクターのオフィス所在地は東京・大阪・福岡で、それ以外の地域の方はスタッフが出張訪問しての契約となります。遠方の方は、即日入金可能かあらかじめ問い合わせてから利用するとよいでしょう。

【ベストファクターの基本情報】

運営会社
  • 株式会社アレシア
住所 【本社】
  • 〒163-1524 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー24階
  • 大阪・福岡に支社あり
電話番号
  • ベストファクター 0120-767-014(平日10:00-19:00)
  • ベストペイ 0120-927-565(10:00-19:00)
取り扱っているファクタリングの種類
買取可能額
  • 最低利用額:原則として30万円~(これ以下も実績あり)
  • 最高利用額:原則として売掛先1社につき1億円まで(それ以上も相談可)
手数料
  • 請求書ファクタリング:2%~
  • 個人事業主向けプラン:5%~
  • 注文書ファクタリング:5%~
入金スピード
  • 請求書ファクタリング:最短即日~3営業日程度
  • 注文書ファクタリング:最短翌日
申し込み方法
  • 電話・メールから
必要書類 【審査時】
  • 申込書
  • 請求書・注文書
  • 通帳(3ヶ月分)

【契約時】

  • 納税証明
  • 印鑑証明書
  • 登記簿謄本
オンライン契約
  • 契約時に面談が必要(出張面談あり)
個人事業主の利用
  • 注文書ファクタリングは法人のみ
  • 請求書ファクタリングは個人事業主も可

ビートレーディング

ビートレーディング

ビートレーディングは、累計取引実績5.8万社以上、累計買取額1,300億円以上を誇る(2024年3月時点)大手ファクタリング業者です。2012年設立の老舗業者で、「ファクタリングのパイオニア」とも呼ばれています。

ビートレーディングのファクタリングはオンライン完結型で、対面なしで審査から契約まで可能となっています。また、最短2時間での即日入金が可能で、注文書ファクタリングにも対応しており、サービス内容は大変優良です。

対面なしで契約する場合は、「クラウドサイン」という電子契約サービスを使用します。電子契約は書面の契約書を作成しませんが、書面と同様の法的効力を持ちます。

また、全国の主要都市に支店がある(仙台・名古屋・大阪・福岡)ので、対面で相談や契約したい方にも利用しやすい業者となっています。

【ビートレーディングの基本情報】

運営会社
  • 株式会社ビートレーディング
住所 【東京本社】
  • 〒105-0012 東京都港区芝大門一丁目2-18 野依ビル3階・4階
  • 仙台・名古屋・大阪・福岡に支店あり
電話番号
  • 0120-265-039(平日9:30-18:00)
取り扱っているファクタリングの種類
買取可能額
  • 3万円~7億円まで実績あり
手数料
入金スピード
  • 最短2時間~3日程度
  • 介護・診療報酬ファクタリングについては要問合せ
申し込み方法
  • 公式サイト・電話・メール・LINEから
必要書類 【会員登録時】
  • 代表者の本人確認書類

【審査時】

  • 請求書・発注書・契約書など
  • 通帳コピー(表紙と直近2ヶ月分)
  • 審査内容によって追加の書類提出をお願いする場合あり

【オンライン契約時】

  • 原則必要なし

【書面契約時】

  • 履歴事項全部証明書(1か月以内)
  • 会社と代表者の印鑑証明書(1か月以内)
  • 実印
オンライン契約
個人事業主の利用

アクセルファクター

アクセルファクター

アクセルファクターは、「経営革新等支援機関」に認定されている大手ファクタリング業者です。

経営革新等支援機関とは、中小企業支援の専門知識や実務経験を国が認定する制度で、質の高いサービスが期待できます。

アクセルファクターのファクタリングは、申込者の約半数が即日入金を実現しています。さらに、手数料が良心的でオンライン契約も可能と、優良なサービス内容となっています。

ファクタリング以外に、以下のようなさまざまなサービスを提供しているのも、アクセルファクターの特徴です。

  • 財務コンサルディング
  • 資金調達先の選定・紹介
  • 金融機関対策支援
  • 税金・社会保険料の猶予支援
  • 助成金・補助金紹介

これらのサービスはどれも黒字倒産の回避に役立つものなので、ファクタリング以外に総合的な支援を受けたい方におすすめです。

【アクセルファクターの基本情報】

運営会社
  • 株式会社アクセルファクター
住所 【本社】
  • 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-30-4 30山京ビル5階
  • 大阪・名古屋・仙台に営業所あり
電話番号
  • 0120-785-025(平日10:00-19:00)
取り扱っているファクタリングの種類
買取可能額
  • 30万円~
手数料
  • ~100万円:10%~
  • 101万円~500万円:5%~
  • 501万円~1,000万円:2%~
  • 1,001万円以上:要相談
入金スピード
  • 最短即日
申し込み方法
  • 申し込みフォームから
必要書類
  • 申込書
  • 請求書
  • 通帳
  • 決算書(利用金額によって必要な場合あり)
  • 身分証明書
オンライン契約
個人事業主の利用

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構は、AIファクタリングを始めとする、さまざまな中小企業支援を手がけている社団法人です。先ほどのアクセルファクターと同様、経営革新等支援機関に認定されており、質の高いサービスが期待できます。

日本中小企業金融サポート機構のファクタリング「FACTORU(ファクトル)」は、独自のAIを利用した最短40分という入金スピードが強みです。

さらに、対面不用のオンライン完結型手続き、1.5%からという安価な手数料と、黒字倒産の回避に適したサービス内容となっています。

また、ファクタリング以外にも以下のようなサービスを提供しており、黒字倒産回避のための総合的な支援を受けたい方にもおすすめです。

  • 金融機関の紹介
  • 補助金・助成金の紹介・支援
  • M&A支援
  • リースバック支援
  • クラウドファンディング支援
  • 事業マッチング支援

【日本中小企業金融サポート機構の基本情報】

運営会社
  • 一般社団法人日本中小企業金融サポート機構
住所
  • 〒105-0011 東京都港区芝公園一丁目3-5 ACN芝公園ビル2階
電話番号
  • 03-6435-7371(平日9:30~18:00)
取り扱っているファクタリングの種類
買取可能額
  • 制限なし
手数料
  • 1.5%~
入金スピード
  • 最短40分
申し込み方法
  • 問い合わせフォーム・電話から
必要書類
  • 請求書・契約書など
  • 通帳コピー(表紙と直近3ヶ月分)
オンライン契約
個人事業主の利用

トップ・マネジメント

トップマネジメント

トップ・マネジメントは、総買取件数55,000以上の実績を誇る大手ファクタリング業者です。創業15年の老舗業者であり、安心して利用できる業者だといえます。

トップ・マネジメントのファクタリングは、サービスの種類が豊富なのが特徴です。通常の2社間・3社間ファクタリングと注文書ファクタリングに加えて、下表のような独自サービスを提供しています。

サービス名 概要
ペイブリッジ 広告・IT企業専門ファクタリング
ゼロファク 助成金申請とファクタリングを同時に行うサービス
電ふぁく 専用口座の利用などにより手数料を最大限抑えたファクタリング

【トップ・マネジメントの基本情報】

運営会社
  • 株式会社トップ・マネジメント
住所
  • 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町1-4-3竹内ビル2F
電話番号
  • 0120-36-2005(平日10:00-19:00)
取り扱っているファクタリングの種類
買取可能額
  • 最大3億円
手数料
入金スピード
  • 最短即日
申し込み方法
  • 申し込みフォーム・電話・FAXから
必要書類 【審査時】
  • 請求書・発注書など
  • 通帳コピー
  • 決算書
  • 本人確認書類

【書面契約時】

  • 印鑑証明
  • 実印
  • 商業登記簿
オンライン契約
個人事業主の利用
  • 発注書ファクタリングは法人のみ
  • 請求書ファクタリングは個人事業主も可

まとめ

黒字倒産とは、利益が黒字にもかかわらず倒産してしまうことで、キャッシュフローの悪化や過剰在庫などが原因で起こります。

資金繰り表などを活用したキャッシュフロー管理、および在庫や売掛金の適切な管理などによって、日頃から黒字倒産リスクの軽減を心がけることが大切です。

また、黒字倒産の危機が迫っている時は、融資のリスケジュールやファクタリングを始めとする、適切な資金繰りで回避することが重要になります。

黒字倒産の原因や回避方法などを理解して、黒字倒産リスクの低い健全な経営を実現しましょう。

注文書ファクタリング会社 - BESTPAY

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