決済機関と事業者の間に入り決済業務を代行する決済代行会社は、決済手段が多様化する現代では不可欠な存在だといえます。
この記事では、決済代行会社とは何かについて、仕組みや利用するメリットなどを解説するとともに、おすすめの決済代行会社を10選紹介します。
決済代行会社とは
近年は決済手段が多様化しており、事業者自身が決済業務を全てカバーすることが困難になりつつあります。そのため、これらの業務を代行する決済代行会社の重要性が高まっています。
まずこの章では、決済代行の仕組みや主な決済手段、料金体系やサービス導入の流れといった、決済代行会社の理解に必要な事項を解説します。
決済代行の仕組み
決済代行は、決済機関と事業者の間に決済代行会社が入り、事業者の代わりに決済に関する業務を行います。ここで決済機関とは、クレジットカード会社や、電子マネー決済を提供している会社などのことです。
決済代行会社は、加盟店申請手続きや決済システムの提供、そして実際の決済処理などを事業者の代わりに行います。
一方、決済代行会社を利用しない場合は、事業者自身が決済機関に直接加盟店申請を行い、決済に関する業務も自身で行います。
決済代行会社が対応している主な決済手段
決済代行会社が取り扱っている主な決済手段としては、以下のようなものがあります。ここでは、これらの決済手段について概要を解説します。
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
- キャリア決済
- 電子マネー決済
- プリペイドカード決済
- QRコード決済
- 口座振替
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、決済代行会社が取り扱っている主要な決済手段です。キャッシュレス決済の種類は年々多様化していますが、クレジットカードはいまだ最も利用の多い決済手段となっています。
クレジットカードの種類はいくつかありますが、「Visa」「Mastercard」「JCB」「American Express(AMEX)」「Diners Club」の5つが「5大国際ブランド」と呼ばれており、これに「中国銀聯(UnionPay)」と「Discover」を加えたものを「7大国際ブランド」といいます。
たいていの決済代行会社は5大国際ブランドに対応しており、7大国際ブランドに対応している業者もあります。
5大国際ブランドに対応しておけば、たいていの事業者にとって大きな問題はないことが多いです。しかし、インバウンド需要が多い業種などでは、アメリカや中国で普及しているDiscoverやユニオンペイに対応することが重要になります。
コンビニ決済
コンビニ決済とは、コンビニで代金を後払いする決済方法です。ネットで商品を購入すると「支払番号」が表示され、コンビニに行って支払番号を提示して支払います。クレジットカードを持っていない若い世代や、セキュリティ面でクレジットカードを使いたくない人などがよく利用する決済手段です。
コンビニ決済はクレジットカード決済に次いで利用者が多いので、対応可能な決済代行会社を選ぶことが重要になります。
コンビニ決済を取り扱っているコンビニチェーンは、「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「ミニストップ」「セイコーマート」「デイリーヤマザキ」などです。
たいていの決済代行会社は大手コンビニの決済を取り扱っていますが、デイリーヤマザキなどややマイナーなコンビニは取り扱っていないこともあります。
キャリア決済
キャリア決済とは、スマホの利用料金と合算して請求される決済方法です。買い物などで支払った代金が、毎月のスマホ利用料金と一緒に請求されます。
キャリア決済はクレジットカードがなくても利用できるので、クレジットカードを持っていない人や、カード情報を入力したくない人などが利用しています。
主なキャリア決済は、「ソフトバンクまとめて支払い」「d払い(ドコモ)」「auかんたん決済」「楽天モバイルキャリア決済」などです。
キャリア決済は多くの決済代行会社が対応しており、たいていは3大キャリア(ソフトバンク、ドコモ、au)に対応しています。
電子マネー決済
電子マネー決済とは、ICカードやスマホアプリを使った決済方法のことです。カードやアプリにお金をチャージしたり、クレジットカードと紐づけることで利用できます。
電子マネーの種類は非常に多く、代表的なものは下の表のように分類できます。通勤・通学のための交通系カードや、日頃の買い物で使うスーパーの流通系カードを持っている人は多いので、電子マネー決済を導入しておけばユーザーの利便性が高まります。
電子マネーの種類 | 代表的なブランド | 特徴 |
---|---|---|
交通系 | PASMO、Suicaなど |
|
流通系 | WAON、nanacoなど |
|
クレジットカード系 | iD、QUICPayなど |
|
QRコード系 | PayPay、d払いなど |
|
プリペイドカード決済
プリペイドカード決済とは、プリペイドカードを購入すれば、購入した金額分の支払いができる決済方法です。前払いのため使いすぎの心配がなく、クレジットカードより手軽に使えるのが利点となっています。
プリペイドカードは、コンビニやドラッグストアなどの店舗や、ネットなどから購入可能です。また、オンラインゲームや動画サイトなどの支払いに使われることが多い傾向があります。
主なプリペイドカード決済には、「BitCash」「NET CASH」「WebMoney」などがあります。他にも、携帯電話会社やクレジットカード会社などが、プリペイドカード決済を提供していることが多いです。
QRコード決済
QRコード決済とは、店舗が提示するQRコードをスマホで読み取ったり、自身のスマホに表示させたバーコードを店舗に読み取ってもらい支払う決済方法です。あらかじめお金を決済アプリにチャージしたり、クレジットカードに紐づけるなどの方法で支払いが行われます。
主なQRコード決済には「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」などがあり、他にも多数の決済サービスがあります。
QRコード決済は種類が多く、決済代行会社によって対応している種類や数が違います。よって、自身が導入したい決済手段に対応している決済代行会社を選ぶことが重要になります。
口座振替
口座振替とは、購入者の銀行口座などから代金を引き落とす決済方法です。クレジットカードを持つ必要がなく、コンビニなどに支払いに行かなくてもよいのが利点となっています。
サブスクや通販などでは、口座振替に対応しておくことが重要になります。
決済代行サービスの料金体系
決済代行サービスでかかる主な料金には、以下のようなものがあります。実際はこれら全てがかかるとは限らず、いくつかは無料のこともあります。
- 初期費用
- 月額費用
- 決済手数料
- 決済サービス利用料
- トランザクション費用
- オプション料金
初期費用
初期費用は、決済代行サービスを導入する際に生じる費用です。決済機関への審査や事務手続きの費用、利用者に合わせた決済システムの構築、店舗用の決済端末の費用などが含まれます。
初期費用は決済代行会社によってまちまちですが、無料に設定しているところもあります。
一般的には、決済代行会社が自社に合わせた決済システムを構築してくれる場合は、初期費用が有料になることが多いです。一方、汎用的なシステムを使う場合は無料になることが多い傾向があります。
月額費用
月額費用は、決済システムの利用料や端末のレンタル費用、運用のための事務作業などに対する費用です。決済の金額や数にかかわらず、毎月一定額が請求されるのが一般的です。
月額費用は無料に設定している決済代行会社もあります。
決済手数料
決済手数料とは、決済を行うたびに発生する、決済機関に支払う手数料のことです。手数料は決済金額の2%から4%程度が一般的で、電子マネー決済はクレジットカード決済より少し安くなる傾向があります。
決済手数料は、取り扱う商品・サービスの種類などによって変動することがあるのが注意点です。一般的には、未払いリスクの高い業種(サービス業など)や、高級品の販売などで手数料が高くなることがあります。
また、決済回数が多い大型店に比べて、小規模店舗は決済手数料が高くなる傾向があります。
トランザクション費用
トランザクション費用とは、決済データの送受信や処理にかかる通信費のことです。費用は決済1回につき数円から数十円程度が一般的です。
トランザクション費用は決済ごとにかかるため、少額の商品を大量に取り扱う業態では負担が大きくなる傾向があります。
オプション料金
決済代行会社は、基本サービスに加えてオプションサービスを用意していることが多いです。よって、オプションの追加機能を利用する際は、オプション料金が発生します。
例えば、POSシステムや高度なセキュリティシステムを導入する際などに、オプション料金が発生することがあります。
決済代行サービス導入の流れ
決済代行サービスの導入は、おおむね以下のような流れで進んでいきます。
- 問い合わせ
- ヒアリングと見積り提示
- 申し込み書類等の提出
- 決済機関の審査
- 決済システムの構築と提供、端末の発送など
問い合わせ
まずは、決済代行会社のHPの申し込みフォームなどから、サービスを導入したい旨の問い合わせを行います。
問い合わせフォームは、事業者名や事業内容、取り扱う商品や売上高、どの決済手段を導入したいかなどを記入するのが一般的です。
ヒアリングと見積り提示
問い合わせをした後は、決済代行会社が申し込みした事業者に対してヒアリングを行うのが一般的です。
事業内容などに加えて、どのようなサービスを導入したいかをヒアリングします。例えば、課金方式は都度課金か継続課金か、決済をリンク型にするかAPIにするかなどを聞きます。
そして、ヒアリングの内容に基づいて、決済代行会社が料金の見積もりを提示します。
申し込み書類等の提出
見積もりされた料金を了承したら、必要書類などを提出して申し込みを行います。一般的に提出を求められることが多い書類・資料は下の表のとおりです。
提出書類・資料 | 内容 |
---|---|
申込書 |
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事業内容が分かる資料 |
|
その他の書類 |
|
決済機関の審査
申し込みが終わると、決済機関による加盟店審査が行われます。審査期間は最短で3営業日程度、長くて2週間くらいです。もし提出書類に不備があると、審査が保留されて期間が延びることもあります。
決済システムの構築と提供、端末の発送など
決済機関による審査が終わると、決済代行会社によるシステム提供、および決済端末の発送などが行われ、決済サービスが利用できるようになります。
導入にかかる期間
サービスの導入にかかる期間は、決済代行会社によって違うのに加えて、選んだプランなどによっても変わってきます。
基本的には、申し込み手続きおよび決済機関の審査期間と、決済代行会社が提供するシステムを導入する期間の合計となります。
主な決済代行会社における、サービス導入にかかる期間の目安は下の表のとおりです。申し込みから導入完了まで、トータルで2週間から2ヶ月くらいかかります。
決済機関への審査は、クレジットカード決済のみなら最短2,3日程度で終わるのが一般的です。一方、電子マネー決済などは、1週間から10日程度かかることもあります。
店舗で決済代行サービスを導入する場合は、決済端末の送付に数日かかることがあります。また、決済システムをカスタマイズしてくれる決済代行会社の場合は、システム導入に数日から2週間程度かかるのが一般的です。
決済代行会社 | 導入にかかる期間 |
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SBペイメントサービス |
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GMOペイメントゲートウェイ |
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サブスクペイ |
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楽天ペイ店舗決済サービス |
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Air Pay |
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STORES決済 |
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ソニーペイメントサービス |
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決済代行会社を利用するメリット
決済機関と直接加盟店契約するのに比べて、決済代行会社を利用すると以下のようなメリットがあります。
- 決済機関と個別に契約しなくてよい
- 決済代行会社が提供するシステムで一元管理できる
- 入金日を統一できる
- 決済機関の比較や提案、交渉などを行ってくれる
決済機関と個別に契約しなくてよい
決済代行会社と契約すれば、その業者が取り扱っている複数の決済手段をまとめて利用できるようになるのは大きなメリットです。例えば、クレジットカード決済、電子マネー、コンビニ決済などの決済手段を、一度の申し込みでまとめて導入できます。
一方、決済機関と直接加盟店契約すると、決済手段ごとに審査を受けなければなりません。各決済機関と個別に契約するのは、非常に手間がかかり現実的ではないこともあります。
また、複数の決済機関の審査を受けた場合、いくつかの審査には通ったが、それ以外は落ちてしまうといった事態が起こるかもしれません。一方、決済代行会社の審査に通れば、希望する決済手段が全て利用できます。
特に、個人事業主や小規模事業者は、決済機関の審査に通りにくいことがあります。それに対して、小規模なショップやECサイト向けの決済代行会社を利用すれば、小規模事業者でも比較的簡単に複数の決済手段を導入できます。
決済代行会社では、審査で必要な書類作成のサポートを行ってくれることがあるのも利点です。何もノウハウがない状態で自分で審査を受けるより、審査に通りやすくなる可能性があります。
決済代行会社が提供するシステムで一元管理できる
個別に決済機関と契約すると、決済機関ごとに提供されるシステムで別々に管理しなければなりません。複数のシステムに何度もログインしながらの管理は、手間がかかりヒューマンエラーの要因にもなります。
一方、決済代行会社と契約すれば、決済代行会社が提供する一つのシステムで、複数の決済手段の一元管理が可能です。
また、メンテナンスやアップデート、セキュリティ管理なども決済代行会社が行ってくれるため、決済システムやセキュリティに詳しくなくても運用できます。
入金日を統一できる
決済機関によって入金日はまちまちなため、個別に直接契約すると入金日が統一できなくなります。入金日がバラバラだと入金管理がしづらく、経理業務が煩雑になりミスの要因にもなります。
一方、決済代行会社は複数の決済手段による決済がまとめて同じ日に入金されるため、管理がしやすくなります。
決済機関の比較や提案、交渉などを行ってくれる
自分で直接決済機関と契約しようとすると、手数料や審査の通りやすさ、利便性などを自分で比較検討しなければなりません。
しかし、事業者の方は必ずしも決済機関に詳しいわけではないため、何が最適なのか分からなかったり、比較検討に手間がかかってしまうことがあります。一方、決済代行会社は決済機関に精通しているので、事業者からのヒアリングをもとに最適な決済機関を比較検討できます。
また、手数料率などについても、決済代行会社が決済機関と交渉してくれることもあります。手数料率は小規模な事業者は不利になることがあるので、決済代行会社を通したほうが安く契約できる可能性もあります。
決済代行会社を選ぶポイント
決済代行会社の数は非常に多いため、業者選びが重要になります。以下のポイントを踏まえたうえで、自社に合った決済代行会社を選ぶようにしましょう。
- 対応している決済手段は十分か
- 料金体系は良心的か
- セキュリティは万全か
- 自社の事業内容に合ったサービスを提供しているか
- 入金日を柔軟に設定できるか
- 十分な実績がある会社か
- 決済以外のサービスも充実しているか
対応している決済手段は十分か
対応している決済手段は決済代行会社によって違うため、利用したい決済手段に対応しているか確認することが大切です。
例えば、クレジットカード決済の場合、いわゆる「5大ブランド」と呼ばれる「VISA」「Mastercard」「JCB」「American Express」「Diners Club」はたいていの決済代行会社が取り扱っていますが、日本では利用者の少ない「Discover」や「UnionPay(銀聯)」は取り扱っていないこともあります。
新しい決済手段への対応の早さも重要なポイントです。決済手段は次々に新しいものが出てくるため、フォローの遅い決済代行会社だと、利用者のニーズに対応できなくなる恐れがあります。
業態や顧客層などによって、決済手段のニーズが違うのも注意したい点です。顧客層・業態とニーズの高い決済手段には、下の表のような関係性があります。
顧客層・業態 | ニーズの高い決済方法 |
---|---|
若い世代が多い |
|
主婦層が多い |
|
インバウンド客が多い |
|
サブスク・月額課金 |
|
料金体系は良心的か
料金体系が良心的かどうかは、決済代行会社選びの重要なポイントになります。特に、決済手数料は決済の数が増えるほど料金がかさむため、重視すべき事項となります。
ただし、やみくもに安いだけの決済代行会社を利用すると、サービスの質が低くて後悔する可能性もあります。必要なサービスが揃っている決済代行会社をピックアップして、その中で料金が良心的なところを選ぶとよいでしょう。
また、初期費用や月額費用が無料のプランはコスト面では有利ですが、決済システムの利便性が低かったり、決済端末が利用できないこともあります。初期費用や月額費用が無料のプランを選ぶ際は、サービス内容をよく確認しておくことが大切です。
セキュリティは万全か
決済業務はクレジットカード情報などを取り扱うため、セキュリティが万全かどうかが重要になります。たいていの決済代行会社はHPなどにセキュリティを明記しているので、利用の際は確認しておきましょう。
ただし、セキュリティに関する用語は分かりにくいものもあるため、各用語のおおまかな意味を理解しておくことが大切です。
セキュリティに関する用語には、具体的なセキュリティ技術を指す用語と、セキュリティの指針やガイドラインを表す用語があります。
例えば、代表的なセキュリティの指針・ガイドラインには以下のようなものがあります。これらの指針・ガイドラインに準拠していれば、相当するセキュリティが施されていることを意味します。
- クレジットカード・セキュリティガイドライン
- PCI DSS
- ISO27001(ISMS認証)
- プライバシーマーク
そして、具体的なセキュリティ技術を表す主な用語としては、以下のようなものがあります。これらの意味を理解して、どのようなセキュリティが施されているか把握できるようにしておきましょう。
- SSL、TSL
- トークン決済
- 3Dセキュア、EMV3-Dセキュア
- セキュリティコード
- AI不正検知
- メールリンク型決済
- IVR決済
たいていの決済代行会社は、これらのセキュリティのうちの多くを備えています。しかし、業者によってセキュリティの内容が違ったり、いくつかのセキュリティをオプションサービスにしているところもあるので注意が必要です。
クレジットカード・セキュリティガイドライン
クレジットカード・セキュリティガイドラインは、日本のクレジットカード会社などの協議で定められた、クレジットカードのセキュリティに関する指針のことです。日本におけるクレジットカード決済の安全性を、国際的なレベルにまで引き上げることなどを目的に策定されています。
具体的には、加盟店によるクレジットカード情報の非保持化や、決済代行会社のPCI DSS認証などが盛り込まれています。
このガイドラインの準拠が明記されている決済代行会社は、セキュリティ管理が適切に行われていると判断できます。
PCI DSS
PCI DSSとは、クレジットカードの5大国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB、AMEX、Diners)が定める、クレジットカードのセキュリティの指針のことです。統一された指針を定めることで、加盟店や決済代行会社がセキュリティ対策を行いやすくなっています。
PCI DSSは、認定機関による審査に通ることで認証を受けられます。よって、PCI DSS認証を明記している決済代行会社は、適切なセキュリティが施されていると判断できます。
ISO27001(ISMS認証)
ISO27001(ISMS認証)とは、会社などの組織が情報のセキュリティ体制を構築するための仕組み、および構築できていることを認証する制度のことです。さまざまなモノやシステムの国際的な規格を定める「ISO規格」の一種となっています。
「ISO27001」という規格に沿って情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築することで、「ISMS認証」を取得できます。
ISO27001(ISMS認証)は、クレジットカードなどの決済だけでなく、広く組織の情報管理全般を対象とする点が、クレジットカード・セキュリティガイドラインやPCI DSSとの違いです。
そのため、ISO27001(ISMS認証)は決済代行会社以外にも幅広い業種で取得されています。
プライバシーマーク
プライバシーマーク(Pマーク)とは、個人情報の保護を適切に行っている事業者を認定する制度です。日本国内の制度であり、PCI DSSやISMS認証といった国際的な規格とは異なります。
プライバシーマークを取得している決済代行会社は、個人情報の適切な管理を行っていると判断できます。
SSL、TSL
SSLまたはTSLとは、ネット上でデータを暗号化して送受信する仕組みのことです。TSLはSSLを改良したもので、安全性がより高くなっています。一般的に、URLに「https」がついているウェブページは、SSLやTSLによって暗号化されています。
クレジットカード情報などを送受信する際に情報漏洩を防ぐ手段として、SSLやTSLが重要になります。
トークン決済
トークン決済とは、クレジットカードなどの情報を別な文字列に置き替えて(トークン化)送受信する決済方法です。事業者がクレジットカード情報などを保有せずに決済できるため、漏洩リスクを軽減できます。
3Dセキュア、EMV3-Dセキュア
3DセキュアまたはEMV3-Dセキュアとは、クレジットカードの国際ブランド各社が推奨している、決済の際の本人認証システムのことです。具体的には、ワンタイムパスワードによる追加認証などのことを指します。
EMV3-Dセキュアは3Dセキュアを改良したもので、2025年以降は原則として全てのECサイトでの導入が求められます。
セキュリティコード
セキュリティコードとは、クレジットカードに記載されている3桁か4桁の数字のことです。セキュリティコードはクレジットカードを手元に持っていないと分からないため、不正利用対策として一般的に利用されます。
AI不正検知
AI不正検知とは、過去の決済履歴から不正利用の傾向を分析し、不正が疑われる決済を検知するシステムです。決済代行会社によっては、オプションサービスなどでAI不正検知システムを提供していることがあります。
メールリンク型決済
メールリンク型決済とは、決済画面のURLをメールなどで購入者に送信して、決済画面にアクセスして決済してもらう方法です。
事業者がクレジットカード情報などを保持しなくてよいため安全性が高いのに加えて、ECサイトを持たない事業形態でも利用できるメリットがあります。
IVR決済
IVR決済とは、コールセンターによる電話注文の際に、自動音声応答で決済することです。オペレーターがクレジットカード情報などを直接聞かなくてよいため、情報漏洩のリスクを軽減できます。
決済代行会社の中には、オプションサービスなどでIVR決済を提供しているところもあります。
自社の事業内容に合ったサービスを提供しているか
決済代行会社はそれぞれサービス内容が違うため、自社の事業内容に合ったサービスを提供しているかが重要になります。
例えば、以下のような基準で決済代行会社のサービスを比較検討し、最適な業者を利用するとよいでしょう。
- 都度課金向けか継続課金(サブスク)向けか
- 実店舗向けかECサイト向けか
- 大企業向けか小規模な事業者向けか
- サイトがない事業形態でもメールリンク決済が利用できるか
- 実店舗の場合はPOSシステムを導入できるか
大手の決済代行会社は、たいてい都度課金と継続課金、および実店舗とECサイト両方に対応しています。一方で、中にはサブスクやECサイトに特化している業者もあります。
入金日を柔軟に設定できるか
決済代行会社は、複数の決済手段の入金日を統一できるのがメリットの一つです。ただし、入金日の設定は業者によってかなり違いがあるため、自身に合った入金日を設定できるところを選ぶことも重要になります。
入金日が遅い、または柔軟な設定ができないと、キャッシュフローの悪化につながる恐れがあります。特に、小規模な事業者はキャッシュフロー悪化が資金ショートにつながりやすいため、入金日の設定は重要です。
下の表は、主な決済代行会社の入金日です。月1回か2回程度のところもあれば、翌日に入金されるところもあります。
また、入金回数を増やしたり、早期入金できるサービスをオプションで提供しているところもあります。さらに、入金する金融機関によって、入金日の設定が変わる業者もいくつかみられます。
【主な決済代行会社の入金日】
決済代行会社 | 入金日 |
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SBペイメントサービス |
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GMOペイメントゲートウェイ |
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VeriTrans4G |
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Square |
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サブスクペイ |
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楽天ペイ店舗決済サービス |
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Air Pay |
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STORES決済 |
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ペイジェント |
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ソニーペイメントサービス |
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十分な実績がある会社か
決済代行会社の数は非常に多いため、十分な実績がある会社を選ぶことが重要です。過去には零細の決済代行会社が倒産した事例もあるため、実績のある大手を選ぶようにしましょう。
大手の決済代行会社は、たいていHPで導入社数や年間取引金額などを公開しています。また、主な加盟店の企業名を公開している業者も多いので、HPなどでチェックして判断材料にしましょう。
特に、上場企業や公的機関が加盟している決済代行会社は、安全度が高いと判断できます。
決済以外のサービスも充実しているか
決済代行会社は、決済以外の関連サービスも提供していることが多いです。関連サービスの充実度も、業者選びの一つのポイントになります。
決済代行会社が提供している、主な関連サービスは以下のとおりです。決済以外の有用なサービスが充実している決済代行会社を利用すれば、利便性のさらなる向上が期待できます。
- セキュリティシステムのオプションサービス
- POSレジシステムの提供
- ECパッケージの提供
- アクワイアラとしてのサービス提供
- 会計ソフトとの連携
- 加盟店向けの融資や早期入金
- マーケティング支援
おすすめの決済代行会社10選
決済代行会社の数は非常に多いため、どの業者を選べばよいか迷うこともあるでしょう。そこでここでは、おすすめできる大手の決済代行会社の中から、以下の10選を紹介します。
- SBペイメントサービス
- GMOペイメントゲートウェイ
- VeriTrans4G
- Square
- サブスクペイ
- 楽天ペイ 店舗決済サービス
- Air Pay
- STORES決済
- ペイジェント
- ソニーペイメントサービス
SBペイメントサービス
SBペイメントサービスは、ソフトバンクの子会社が運営する決済代行サービスです。
店舗決済とECサイトともに対応しており、ECカートパッケージの提供や、店舗決済とオンライン決済の連携など、利便性を高める関連サービスも充実しています。
決済手段は、クレジットカードの7大国際ブランドを始め、電子マネーやキャリア決済など40以上のブランドに対応。主な決済手段は一通りカバーしているといえます。
新聞社やプロ野球球団など多くの企業が導入しており、実績と信頼も十分です。
【SBペイメントサービスの基本情報】
決済手数料 |
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初期費用 |
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機器の費用 |
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月額費用 |
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トランザクション
費用 |
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クレジットカード決済 |
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キャリア決済 |
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コンビニ決済 |
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電子マネー決済 |
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プリペイドカード決済 |
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その他の主な決済手段 |
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セキュリティ |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.sbpayment.jp/ |
GMOペイメントゲートウェイ
GMOペイメントゲートウェイは、さまざまなIT関連事業を手がけるGMOインターネットグループの決済代行サービスです。
法人向けの「PGマルチペイメントサービス」、個人事業主向けの「Epsilon by GMO」、スタートアップ・エンジニア向けの「fincode by GMO」など、事業者の特性に合わせたサービスを提供しているのが強みとなっています。
加盟店は15万店以上で、メルカリやGoogle Playなどの有名企業に加えて、NHKや公的機関なども加盟しており、実績と信頼も十分です。
【GMOペイメントゲートウェイの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
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キャリア決済 |
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コンビニ決済 |
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電子マネー決済 |
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その他の主な決済手段 |
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セキュリティ |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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実績 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.gmo-pg.com/ |
VeriTrans4G
VeriTrans4Gは、2022年度の決済取扱件数が9.8億件、決済取扱高5.3兆円を誇る大手決済代行会社です。
30以上の決済手段に対応、都度課金・継続課金・メールリンク決済可能と、サービス内容も充実しています。ただし、個人事業主は利用できないのが注意点です。
加盟店は森永製菓やトイザらスなどの大手企業に加えて、特許庁などの公的機関も名を連ねています。
【VeriTrans4Gの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
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キャリア決済 |
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コンビニ決済 |
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電子マネー決済 |
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その他の主な決済手段 |
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セキュリティ |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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実績 | (2022年4月〜2023年3月)
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.veritrans.co.jp/lp/4g.html |
Square
Squareは、小規模ビジネスに強みを持つ決済代行会社です。飲食・小売・予約ビジネスといった業種別のプランがあり、きめ細かいサービスを提供しています。
無料のPOSレジアプリをスマホにダウンロードすることで、スマホを決済端末として使えるのも魅力です。イベント会場やタクシーといった、実店舗がない事業形態でも導入しやすくなっています。
決済の翌営業日に入金できる(振込口座が三井住友銀行・みずほ銀行の場合)のも強みで、現金取引並みのキャッシュフローが実現可能です。
主な導入企業はタワーレコード、ブルーボトルコーヒー、クリスプ・サラダワークスなどで、飲食・サービス業などの有名企業が多数利用しています。
【Squareの基本情報】
決済手数料 |
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その他の費用 |
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クレジットカード決済 |
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電子マネー決済 |
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決済以外の主なサービス |
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セキュリティ |
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入金日 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://squareup.com/jp/ja |
サブスクペイ
サブスクペイは、継続課金・サブスクリプション向けの決済代行会社です。課金周期や課金日、課金回数を細かく設定でき、自動継続課金やクレジットカード洗い替えなど、サブスクに適した機能が多数搭載されています。
また、申込フォーム・会員ページが簡単に作れるサイト作成機能、および新規顧客獲得や解約防止に役立つデータ分析機能など、決済以外の機能も豊富です。
累計導入企業は14,000社以上で、郵便局や毎日新聞社、Gakken、KADOKAWAなど多くの有名企業が利用しています。
【サブスクペイの基本情報】
決済手数料 |
|
---|---|
その他の費用 |
(金額はプランによる) |
クレジットカード決済 |
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コンビニ決済 |
|
その他の主な決済手段 |
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決済以外の主なサービス |
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セキュリティ |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
|
実績 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.robotpayment.co.jp/service/payment/ |
楽天ペイ 店舗決済サービス
楽天ペイ 店舗決済サービスは、楽天が運営する決済代行サービスです。
前日の決済を翌営業日に入金できる入金の早さが強みで、特に楽天銀行を振込口座にした場合は、前日の売上が毎日翌日に入金されます。
決済手段も豊富で、特にアジア圏のインバウンド向け決済に強いのが特徴です。
【楽天ペイ 店舗決済サービスの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
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電子マネー決済 |
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QRコード決済 |
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インバウンド向け決済 |
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決済以外の主なサービス |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://pay.rakuten.co.jp/business/service/ |
Air Pay
Air Payは、業界最安水準の決済手数料(2.95%~)と、対応決済ブランドの豊富さ(68種類)、月額費用無料のリーズナブルな料金体系などが強みの決済代行会社です。
シフト管理ソフトや求人サポートサービスなど、独自の周辺サービスも魅力となっています。また、入金回数が月6回または3回(振込口座による)あるのも便利な点です。
導入企業は小規模な事業者がメインで、飲食店やサービス業の方によく利用されています。
【Air Payの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
|
電子マネー決済 |
|
決済以外の主なサービス |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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公式サイト | https://airregi.jp/payment/ |
STORES決済
STORES決済は、良心的な料金体系などが強みの決済代行会社です。決済手数料は電子マネーが1.98%と業界最安水準で、クレジットカードなども低い水準となっています。
医療向け、理容室向け、クリーニング向けなど、業種別の手数料プランがあるのも特徴です。プランによって、クレジットカードの決済手数料が最大で1.50%まで安くなります。
ネットショップ作成サービスや予約業務の自動化サービスなど、周辺機能が充実しているのも強みです。
導入企業は小規模な飲食・サービス業などが多いですが、大型店舗・複数店舗向けの導入サポートもあります。
【STORES決済の基本情報】
決済手数料 |
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その他の費用 |
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クレジットカード決済 |
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電子マネー決済 |
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決済以外の主なサービス |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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公式サイト | https://stores.jp/payments |
ペイジェント
ペイジェントは、豊富な決済手段と導入しやすいシステムなどが強みの決済代行会社です。
入金は締日から10営業日と早く、オプションでさらに早く入金することも可能です。また、メールリンク決済や継続課金なども対応しており、どのような事業形態の方でも導入しやすくなっています。
主な導入企業はスシロー、JAF(日本自動車連盟)、ディノスなどで、他にも多くの有名企業が導入しています。
【ペイジェントの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
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キャリア決済 |
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コンビニ決済 |
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電子マネー決済 |
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プリペイドカード決済 |
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インバウンド向け決済 |
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その他の主な決済手段 |
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決済以外の主なサービス |
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セキュリティ |
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入金日 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.paygent.co.jp/ |
ソニーペイメントサービス
ソニーペイメントサービスは、約30年の実績を誇る、決済代行のパイオニアといえる会社です。豊富な実績とノウハウにもとづいた、質の高いサービスを提供しています。
対応決済サービスの多さ、セキュリティ関連のオプションサービス、多数のECカート用決済など、どのような事業者の方でも満足できるサービス内容となっています。
主な導入企業は、ソニーミュージックショップ、ソニー損保、ニフティ、セシールなどで、他にも多くの有名企業が導入しています。大企業だけでなく、小規模な店舗やECサイトでの導入もおすすめです。
【ソニーペイメントサービスの基本情報】
決済手数料 |
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クレジットカード決済 |
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キャリア決済 |
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コンビニ決済 |
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電子マネー決済 |
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その他の主な決済手段 |
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セキュリティ |
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導入にかかる期間 |
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入金日 |
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実績 |
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主な導入企業 |
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公式サイト | https://www.sonypaymentservices.jp/ |
まとめ
決済代行会社は、決済機関と事業者の間に入って決済関連の業務を代行する会社で、決済手段が多様化する現代では不可欠な存在といえます。
決済代行会社を利用することで、複数の決済手段をまとめて導入・運営でき、決済にまつわる業務を大幅に効率化できます。
決済手段の数や料金体系、セキュリティなどのポイントを比較検討して、自身に合った決済代行会社を選びましょう。