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補助金の消費税について仕組みや返還義務が生じる条件などを解説

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補助金を申請する際は、補助金の消費税の仕組みを理解しておくことが大切です。この記事では、補助金の消費税の仕組みや仕入税額控除の返還義務が生じる条件、返還額の計算方法などを解説します。

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消費税の課税の仕組み

消費税の課税の仕組み

まずこの章では、補助金の消費税について理解するために必要な前提知識として、消費税の課税の仕組みについて、補助金に関連する項目を解説します。

補助金の消費税に関連する項目として、以下の5つを解説します。

  1. 課税事業者と免税事業者
  2. 仕入控除税額とは
  3. 原則課税と簡易課税
  4. 課税売上割合とは
  5. 一括比例配分方式と個別対応方式

課税事業者と免税事業者

消費税は全ての事業者に納税義務があるのではなく、納税義務がある「課税事業者」と、納税義務がない「免税事業者」に分けられます補助金の消費税の返還義務が生じる可能性があるのは課税事業者のみです。

課税事業者とは、以下の3つのいずれかを満たす事業者のことです。そして、これらを全て満たさない事業者が免税事業者となります。

  1. 消費税のかかる売上高(課税売上高)が大きい
  2. 「消費税課税事業者選択届出書」を提出している
  3. 「適格請求書発行事業者」に登録している

条件1は、一事業年度の課税売上高が1,000万円以上であるかが、基本的な判定基準になります。実際はさらに詳細な条件がありますが、ここでは割愛します。

条件2の「消費税課税事業者選択届出書」とは、条件1を満たさない事業者が、何らかの理由で課税事業者になりたい時に届け出るものです。届出書を提出した事業者は、条件1を満たすかどうかに関わらず課税事業者となります。

そして条件3の「適格請求書発行事業者」は、いわゆるインボイス登録のことです。インボイス登録した事業者は、条件1を満たすかどうかに関わらず全て課税事業者となります。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、仕入れの時に取引先に支払った消費税額を、税金として納める消費税額から控除することです。似た用語として、仕入税額控除の金額のことを仕入控除税額と呼びます。

一般的に、商品などを売って売上を上げた時は、取引先や消費者から税込価格で代金を受け取ります。逆に、仕入れで取引先に代金を支払う時は、税込価格でこちらが消費税を支払います。最終的に、売上の時に受け取った消費税額と、仕入れの時に支払った消費税額の差額が、納税する消費税額となります。

例として、取引先から材料を1万円(税込11,000円)で仕入れて、商品を製造し3万円(税込33,000円)で売った場合を考えてみましょう。この場合、仕入れで消費税1,000円を支払い、商品を売った時に消費税3,000円を受け取ります。結果として、受け取った3,000円から支払った1,000円を仕入税額控除として差し引いた、2,000円が納税額となります。

なお、2023年のインボイス制度開始にともない、仕入税額控除を行うには、仕入先から適格請求書の交付を受ける必要があるのが注意点です。

補助金で仕入れを行い消費税を支払った時に、仕入控除税額分を返還しなければならないことがあります。

原則課税と簡易課税

仕入控除税額を控除して納税する消費税額を求める方法には、「原則課税」と「簡易課税」の2種類があります。補助金では、原則課税は仕入控除税額の返還義務が生じる場合があるのに対して、簡易課税では生じないのが重要な違いです。

原則課税とは、取引内容に則してある程度正確に仕入控除税額を求める方法で、「全額控除」「一括比例配分方式」「個別対応方式」の3種類があります。これらについては後の節で解説します。

そして簡易課税とは、原則課税を行うための事務負担が大きい中小企業向けの、より簡易な計算方法です。

簡易課税では、業種ごとに「みなし仕入率」というものが定められています。実際の仕入れの内容に関係なく、売上げ時に受け取った消費税額に、単にみなし仕入率を掛けたものが仕入控除税額となります。

課税売上割合とは

課税売上割合とは、総売上高の中で課税売上高が占める割合のことです。総売上高には消費税がかからない非課税売上高も含まれているので、非課税売上が多いと課税売上割合が低くなります。

ちなみに、正確な課税売上割合の計算は、輸出による免税売上などを考慮したもう少し複雑な式になりますが、ここでは割愛します。

仕入控除税額の計算では、課税売上割合95%以上、かつ課税売上高5億円以下の場合、仕入れ時に支払った消費税を全額控除できます。全額控除とは、非課税売上のための仕入れで支払った消費税も、控除してよいという意味です。

補助金では、課税売上割合が95%以上か未満かで、消費税の返還義務の有無が変わることがあります。

個別対応方式と一括比例配分方式

課税売上割合が95%未満、または課税売上高が5億円以上の場合は全額控除が適用されず、代わりに「個別対応方式」か「一括比例配分方式」によって仕入控除税額を求めます

補助金では、個別対応方式か一括比例配分方式かによって、消費税の返還義務の有無が変わることがあります。

個別対応方式

個別対応方式とは、消費税を支払った仕入れ(課税仕入れ)の全てを、課税売上に対応するものと非課税売上に対応するものに分けて、課税売上に対応する消費税のみを控除する方法です。仕入控除税額の計算方法の中では、最も厳密な方法となります。

一括比例配分方式

一括比例分配方式とは、仕入れで支払った消費税の総額に、単に課税売上割合を掛けたものを仕入控除税額とする計算方法です。

一括比例分配方式は、個々の仕入れが課税売上・非課税売上どちらに対応するか分ける必要がないため、個別対応方式より計算が簡便になるのが利点です。一方、仕入れの実態を正確には反映していないため、個別対応方式より消費税額が高くなることがあります。

補助金の消費税の仕組み

補助金の消費税の仕組み

ここでは、補助金の給付や、補助金による仕入れを行った時に、消費税の取り扱いがどのようになっているか解説します。

給付される補助金に消費税はかからない

給付される補助金は、消費税がかからない「不課税売上」に該当するので、預かり消費税は発生しません。よって、例えば100万円の補助金が税込110万円給付されるといったことはありません。

補助金で仕入れた物の消費税は仕入税額控除の対象となる

給付される補助金に消費税はかからないのに対して、補助金を使って税込価格の仕入れ(課税仕入れ)を行った時は、支払った消費税が仕入税額控除の対象になります

消費税の支払いに使われた補助金は返還しなければならない場合がある

補助金による仕入れで消費税が控除されるのは、補助金の一部が消費税の控除のために使われるということであり、これは補助金や消費税の本来の目的と合致しません

よって、補助金による仕入れで発生した仕入控除税額については、後で返還しなければならないことがあります

消費税を返還しなければならない事業者の条件

消費税を返還しなければならない事業者の条件

補助金で支払った消費税の返還は、全ての事業者に課せられるわけではありません。

原則として、課税事業者で原則課税を採用している事業者のみに返還義務が生じます。逆に言うと、免税事業者、および課税事業者でも簡易課税を選択している事業者は、返還義務が生じないことになります。

課税事業者で原則課税を採用している事業者でも、以下の条件を満たす場合は、例外的に返還義務は生じません。

  1. 補助金の使い道が非課税売上に対応するもののみである
  2. 仕入控除税額を個別対応方式で計算している

また、非課税の仕入れしか行っていない場合は、当然ながら返還義務は生じません。

消費税返還の手続きの流れ

消費税返還の手続きの流れ

補助金による仕入れで消費税の支払いが発生した場合は、仕入控除税額が確定した時点で報告書を提出します。

報告書を提出すると、自治体などから返還のための納付書が送られてくるので、期日までに納付すれば手続きは完了となります。

なお、返還義務のない事業者も、返還額ゼロ円の報告書を提出する必要があるのが注意点です。

消費税の返還額の計算方法

消費税の返還額の計算方法

消費税の返還額の計算は、全額控除・一括比例配分方式・個別対応方式のうち、自身が採用している方法に従います。以下でそれぞれの場合の計算方法を解説します。

全額控除の場合

全額控除の場合は、単純に補助金の給付額に消費税率を掛けたものが返還額となります。式で書くと以下のとおりです。

(税率10%の場合)

  • 返還額=補助金の給付額×(10/110)

一括比例配分方式の場合

一括比例配分方式を採用している場合は、この方式に従って同様に返還額を計算します。具体的には、補助金の給付額に消費税率を掛け、それに課税売上割合を掛けえたうえで、さらに補助金で支払った仕入れのうち課税仕入れが占める割合を掛けます

式で書くと以下のとおりです。

(税率10%の場合)

  • 返還額=補助金の給付額×(10/110)×課税売上割合×A
  • A=補助金による仕入れのうち課税仕入れの額÷補助金による仕入れの総額

個別対応方式の場合

個別対応方式の場合も、同様にこの方式に従って返還額を計算します。

個別対応方式の場合は、補助金による仕入れのうち、課税売上に対応する仕入れのみを抜き出して返還額を計算します課税売上と非課税売上両方に対応する仕入れがある場合は、課税売上割合を掛けて按分した額を、返還の対象となる部分とみなして計算します。

式で書くと以下のとおりです。

まず、課税売上のみに対応する仕入れを抜き出して、それに対して以下の式で返還額を計算します。

(税率10%の場合)

  • 返還額=補助金の給付額×(10/110)×A
  • A=補助金による仕入れのうち課税売上のみに対応する部分の額÷補助金による仕入れの総額

次に、課税売上と非課税売上両方に対応する仕入れを抜き出して、それに対して以下の式で返還額を計算します。

(税率10%の場合)

  • 返還額=補助金の給付額×(10/110)×課税売上割合×B
  • B=補助金による仕入れのうち課税売上と非課税売上両方に対応する部分の額÷補助金による仕入れの総額

最後に、①と②を足したものが返還額となります。

税抜価格で補助金を申請すれば返還手続きは生じない

税抜価格で補助金を申請すれば返還手続きは生じない

補助金で消費税の返還が生じるのは、税込価格で申請した場合です。もし、申請時点で仕入控除税額が分かっているなら、始めから税抜価格で申請すれば返還手続きは生じません

補助金によっては、公募要領で税抜価格で申請することが義務付けられている場合もあります。また、申請後に補助金額が確定するタイプの補助金では、給付前に仕入控除税額が確定したら、それを差し引いた額が給付されることもあります。このようなケースでは、消費税の返還手続きは生じません。

一方、補助金が給付される時点で仕入控除税額が確定しないケースでは、一旦税込価格で給付を受け、仕入控除税額が確定してから返還することになります

まとめ

まとめ

補助金は不課税取引に該当するため、給付時に預かり消費税は生じません。一方、仕入れは仕入税額控除の対象となるため、控除額を返還しなければならないことがあります。ただし、返還義務があるのは原則課税を採用している課税事業者のみで、免税事業者や簡易課税を採用している事業者は返還義務はありません。

補助金を申請する際は、こういった消費税の仕組みを理解しておくことが大切です。特に、返還義務があるにもかかわらず、返還手続きを忘れることがないように注意しましょう。

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