クラウドファクタリングは、オンラインで完結するファクタリングのことです。
申し込みから入金まですべての手続きがオンラインでできるので、時間や場所を選ばず利用でき、面談のためにファクタリング会社に行く必要もありません。
そのため、忙しい方や地方に住んでいる方にメリットが大きいサービスですが、デメリットや注意点もあります。
そこで本記事では、クラウドファクタリングのメリット・デメリットについて詳しく解説します。特におすすめのクラウドファクタリング会社も紹介するので、利用を判断する際に役立ててください。
クラウドファクタリングとは
クラウドファクタリングは、申し込みから審査、入金までのすべてがオンラインで完結するファクタリングサービスのことです。
「クラウドファクタリング」という言葉自体はOLTA株式会社の商標登録しているファクタリングサービスの名称ですが、オンライン型のファクタリングサービスを総称して使われている言葉でもあります。
ファクタリング会社によって「Web完結型」や「オンライン完結型」「オンラインファクタリング」などさまざまな名称でサービスが提供されていますが、内容はクラウドファクタリングと同様と考えて問題ありません。
クラウドファクタリングは時間や場所を選ばずに利用できるメリットがあり、入金もスピーディーです。そのため、利用者、取扱業者ともに増加しているサービスです。
通常のファクタリングとクラウドファクタリングの違い
通常の対面型ファクタリングと、クラウドファクタリングの違いをまとめました。
ファクタリングの種類 | クラウドファクタリング | 通常のファクタリング |
必要書類 | 2点~4点 | 3点~7点 |
必要な手続き | オンラインで完結 | 面談が必要 |
手数料 | 2%~20% | 5%~20% |
入金までのスピード | 最短数十分~即日 | 最短即日~数日 |
審査の柔軟性 | なし | あり |
買取可能額 | 1万円~ | 数十万円~ |
クラウドファクタリングは通常のファクタリングに比べて、必要書類が少なく入金までのスピードが早いという特徴を持っています。面談も必要ないため、忙しい人や店舗が近くにない人の利用が向いています。
一方、面談がない分柔軟な対応を受けづらく、資金繰りのアドバイスや取引後のサポートを重視する人には不向きです。手数料や買取可能額はサービスによって違うので、自社の状況に合わせて選びましょう。
資金調達の分類とクラウドファクタリング
資金調達は企業の運営に必要な資金を集めることであり、主に以下の3種類の方法があります。
- デット・ファイナンス
- エクイティ・ファイナンス
- アセット・ファイナンス
なかでもファクタリングやクラウドファクタリングは、アセットファイナンスに分類されます。以下でそれぞれの資金調達方法について解説するので、資金調達を検討している人は違いについて理解しておきましょう。
デット・ファイナンス
デット・ファイナンスは借り入れによる資金調達方法で、社債発行や銀行借り入れなど、外部から融資を受けるものを指します。社債とは、会社が資金を調達する目的で発行する債券で、買い手は主に保険会社や金融機関などです。
デット・ファイナンスをおこなった場合は、元本の返済と利息の支払いが必要です。社債の場合は満期が設定され、それまでの間は買い手に対し規定の利息を支払い、期日には元本の償還をおこないます。一方、金融機関からの借り入れであれば元本とともに利息を返済していきます。
デット・ファイナンスは返済義務があるものの、資金調達の中では比較的簡単かつスピーディーに資金調達できるため、利用する企業が多い方法です。
エクイティ・ファイナンス
エクイティ・ファイナンスは新株を発行することで、株式資本(エクイティ)を増やして資金調達をおこなう方法です。
エクイティ・ファイナンスの大きなメリットは、投資家から出資を受けるため、返済義務がないことです。借り入れによる資金調達では返済義務が生じることにより、資金繰りを圧迫する恐れがありますが、その点を気にかける必要がないのは魅力的と言えます。
ただし、新株を発行したことにより株の保有数が変わってしまうと、経営権に影響が出る可能性があるので、実施は慎重に検討する必要があります。
アセット・ファイナンス
アセット・ファイナンスは資産(アセット)を売却することにより資金を調達する方法で、ファクタリングはアセット・ファイナンスに該当します。
また、アセット・ファイナンスはファクタリング以外にも、不動産や車両といった固定資産の売却、リースバックがあります。
リースバックとは、保有する不動産を売却するとともに、売却した後の不動産を賃貸契約しそのまま利用する手法です。リースバックをおこなうと、まとまった資金を得ることができ、資金繰りの改善につながります。
クラウドファクタリングのメリット
クラウドファクタリングのメリットは、次の通りです。
- すべての手続きがオンラインで完結
- 必要書類が少ない
- 入金スピードが早い
- 審査が比較的緩い
- 手数料が安い
以下でそれぞれのメリットについて詳しく解説するので、利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
すべての手続きがオンラインで完結
クラウドファクタリングの大きな特徴として、すべての手続きがオンラインで完結することが挙げられます。通常のファクタリングでは、ファクタリング会社に出向いて担当者との面談が必要です。
営業所が近くにある場合は問題ありませんが、遠方の人や出向く時間のない人はそうもいきません。その点、クラウドファクタリングは申し込みや審査、入金までがすべてオンラインで完結するので、場所や時間を選ばず利用できます。
必要書類が少ない
通常のクラウドファクタリングは必要書類が3点~7点ほど必要ですが、クラウドファクタリングでは2点~4点ほどと少ないのも魅力です。
ファクタリング会社によっては請求書と通帳のコピーのみで申し込みできるものもあり、書類を用意する手間が大幅に省けます。必要書類が多いと用意するのにも時間がかかり、その分申し込みが遅くなるので、少ないに越したことはありません。
ただし、必要書類が多い場合は精度の高い審査ができ、買取手数料が安くなる可能性があることも知っておきましょう。
入金スピードが早い
クラウドファクタリングはオンラインで書類が提出でき、審査の結果も早くでることから、入金スピードが早いという特徴があります。
入金スピードはファクタリング会社によって違いますが、必要書類が揃っていれば、申し込みから入金までが最短即日という会社も多いです。そのため、「とにかく早く資金を用意したい」という人に向いています。
審査が比較的緩い
ファクタリングの利用には必ず審査が必要ですが、クラウドファクタリングは審査が比較的緩い傾向にあります。特に、即日入金を謳っているようなサービスは、金融機関の融資のような入念な審査はおこなわれません。
本来、ファクタリングにおいて売掛先の調査は財務諸表の確認や信用情報の請求・チェックなど、様々な機関との連携が必要です。審査が緩いファクタリング会社はその作業を簡略化、あるいは機械化することにより審査スピードを上げています。
また、必要書類が少ないサービスはチェックする書類が少ないため、より審査スピードが早いと言えます。できるだけ審査が緩いファクタリング会社を使いたい人は、ファクタリング会社の公開している審査通過率を比較しましょう。
手数料が安い
クラウドファクタリングは、ほかのファクタリング会社に比べて手数料が安いのもメリットです。
手数料はサービスによって異なるものの、通常のファクタリングの手数料相場が5%~20%なのに対して、クラウドファクタリングの手数料相場は2%~10%程度となっています。
通常のファクタリングでは、面談や審査を人の手でおこなうため、人件費や運営費などのコストがかかります。その点、クラウドファクタリングは申し込みがオンラインで完結し、審査もAIを導入しているためコストを削減できており、手数料を安くしてもサービスを提供できるのです。
個人事業主・フリーランスも利用可能
クラウドファクタリングは、個人事業主やフリーランスでも利用可能です。
金融機関の融資は個人事業主・フリーランスにも対応していますが、審査が厳しく、安定した収入を証明できなければ難しいでしょう。
ファクタリングにも審査はありますが、重視されるのは依頼者の信用情報ではなく、取引先の信用情報や財務状況です。そのため、取引先が公的機関や大企業など信用性の高い組織であれば審査に通過しやすく、手数料も低くなります。
一方、取引先が個人事業主・フリーランスの請求書はリスクが大きいと判断され、買い取ってもらえない可能性が高いのでおすすめしません。
クラウドファクタリングのデメリット
クラウドファクタリングを利用する際のデメリットは、以下の3つです。
- オンライン以外対応不可のサービスもある
- 提出書類の電子化が必要
- 基本的に2社間ファクタリングしか利用できない
あらかじめデメリットについて理解しておき、自社の状況に合わせて利用するかどうか検討しましょう。
オンライン以外対応不可のサービスもある
クラウドファクタリングは基本的にオンラインですべて完結する反面、オンライン以外対応不可のサービスもあります。そのため、対面での面談や資金繰りについてのアドバイスを受けたい人には向いていません。
対面での面談があるファクタリング会社は申込者の状況に合わせた柔軟な対応が可能なので、ファクタリング以外にもサポートを受けたい人は、通常のファクタリングを利用するのが良いでしょう。
提出書類の電子化が必要
クラウドファクタリングはすべての手続きがオンラインのため、提出書類は電子化して転送する必要があります。電子化はクラウドファクタリングならではの作業であり、パソコンが不得意な人は不満に感じるかもしれません。
スマートフォンで画像を撮影することもできますが、整然とした書類を揃えるならPDF化するのが無難です。
紙の書類をPDF化する場合は、スキャナやスキャン機能を搭載した複合機を使えばPDF化できます。また、最近ではスマートフォンからPDF化できるアプリもあります。
基本的に2社間ファクタリングしか利用できない
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、クラウドファクタリングで利用できるのは基本的に2社間ファクタリングです。
3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングに比べて売掛先に売掛金の売却を知られることになるデメリットがあります。しかし、手数料が最大でも9%程度と低く、売却後は売掛先がファクタリング会社へ売掛金を支払うことになるため、返済の手間がかかりません。
売掛先と信頼関係ができており、手数料をより抑えたい人は3社間ファクタリングが向いています。
クラウドファクタリングの利用がおすすめな人
クラウドファクタリングの利用がおすすめなのは、以下のような人です。
- 手続きを簡略化させたい人
- すぐに現金化したい人
- 手数料を安く抑えたい人
該当した人は、ぜひクラウドファクタリングの利用を検討しましょう。
手続きを簡略化させたい人
クラウドファクタリングは通常のファクタリングと比べて、申し込みから入金までがすべてオンラインで完結します。必要書類の提出もデータのアップロードだけで済むので、手続きを簡略化させたい人に向いています。
通常のファクタリングを利用する際は担当者との面談が必要ですが、面談も必要ないため、ファクタリング会社に訪問する時間と労力を削減できます。
すぐに現金化したい人
クラウドファクタリングは必要書類が揃っていれば最短数時間~即日入金可能なので、すぐに現金化したい人におすすめです。
また、時間や場所を選ばず利用できるので、資金が必要になったらすぐに利用できる魅力があります。
手数料を安く抑えたい人
クラウドファクタリングは通常のファクタリングより手数料が安い傾向にあります。その理由は、面談がなく、オフィス賃料や人件費を削減できているからです。
ファクタリングの手数料が1%違うだけでも年利換算すると6%~12%異なります。ファクタリングの手数料の年利換算は、以下のような式で求められます。
- 12ヶ月÷支払いサイト×手数料率=年利換算の手数料率
支払いサイトとは、取引における支払い期日から、実際に売上金額が振り込まれる期日までの期間のことです。ファクタリングで取り扱われる請求書は、支払いサイトが1ヶ月~2ヶ月のものがほとんどです。
例えば、2ヶ月の支払いサイトで手数料が5%と6%のものを比較すると、以下のようになります。
- 12ヶ月÷2ヶ月×5%=30%
- 12ヶ月÷2ヶ月×6%=36%
手数料を抑えたい人は、各サービスを比較してできるだけ安いものを選びましょう。
クラウドファクタリングが利用できるファクタリング会社
ここからは、クラウドファクタリングが利用できるファクタリング会社を5つ紹介します。
- OLTA
- ペイトナーファクタリング
- 日本中小企業金融サポート機構
- QuQuMo
- PayToday
以下ではそれぞれの特徴について詳しく解説するので、よく比較して自社の状況や受けたいサービスに合ったファクタリング会社を選びましょう。
OLTA
入金スピード | 最短24時間以内 |
審査通過率 | 非公開 |
買取可能額 | 下限・上限なし |
手数料 | 2%~9% |
公式HP | https://www.olta.co.jp/ |
OLTA(オルタ)は「クラウドファクタリング」を商標登録しているファクタリング会社で、代表的なサービスであると言えます。累計の利用者は1万人以上、申し込み金額は1,000億以上と実績と信頼性の高さが魅力です。
手数料はAI審査の導入やオフィス賃料と人件費の削減により、2%~9%と低い水準に設定されています。
また、かんたん査定機能による利用前のチェックができるのも大きな特徴です。この機能を使うことで、利用前に想定審査通過率や買取金額がわかるので、審査が不安な方やファクタリングの利用を迷っている方の判断材料になるでしょう。
ペイトナーファクタリング
入金スピード | 最短10分 |
審査通過率 | 非公開 |
買取可能額 | 1万円~100万円(初回25万円まで) |
手数料 | 一律10% |
公式HP | https://paytner.co.jp/factoring |
ペイトナーファクタリングは申し込みから入金までが業界最速の最短10分を誇るクラウドファクタリングサービスです。
ペイトナーファクタリングは小口の請求書を主な取引対象としており、1万円の少額から利用できます。初回は上限25万円までですが、利用実績に応じて最大100万円まで買取可能額が拡大するため、小口の売掛債権が多い個人事業主・フリーランスの人に向いています。
また、ほかのサービスとは違い、売掛先が個人事業主の売掛債権を取り扱っているのも大きな特徴です。個人事業主に対する売掛債権を売却したい人は、ぜひペイトナーファクタリングを利用しましょう。
日本中小企業金融サポート機構
入金スピード | 最短3時間 |
審査通過率 | 95% |
買取可能額 | 下限・上限なし |
手数料 | 1.5%~10% |
公式HP | https://chushokigyo-support.or.jp/ |
日本中小企業金融サポート機構は一般社団法人日本中小企業金融サポート機構が運営するファクタリングサービスです。経営革新等支援機関として中小企業支援の実績・専門知識があると国に認定されており、信頼性の高さが魅力です。
利用者からは手数料と審査通過率の評判が良く、特に手数料は上限が10%と明確になっているため目安を把握した上で安心して利用できます。
さらに、クラウドファクタリング以外にも助成金・補助金申請サポート、クラウドファンディングでの資金調達支援、財務コンサルティングをおこなっており、経営課題の解決に向けた相談も可能です。
QuQuMo
入金スピード | 最短2時間 |
審査通過率 | 98% |
買取可能額 | 下限・上限なし |
手数料 | 1~14.8% |
公式HP | https://ququmo.net/ |
QuQuMo(ククモ)は最短2時間の入金スピードと、98%の高い審査通過率が魅力のファクタリングサービスです。必要書類は請求書と通帳の2点のみであり、半日もあれば書類の準備を始めてから資金調達までが完結するでしょう。
買取可能額も下限・上限ともになく、どんなシーンでも利用しやすくなっています。ただし、買取手数料は最大14.8%と上限がやや高めに設定されているため、手数料を抑えたい方は注意しましょう。
PayToday
入金スピード | 最短30分 |
審査通過率 | 非公開 |
買取可能額 | 10万円〜上限なし |
手数料 | 1%〜9.5% |
公式HP | https://paytoday.jp/ |
PayToday(ペイトゥデイ)はAI審査を導入しており、最短30分の即日入金が可能です。手数料は1%から最大9.5%と、上限が設定されているため安心して利用できます。
審査結果は最短15分、遅くとも24時間以内に通知されるので、とにかくすぐに現金化したい方におすすめです。
法人・個人事業主・フリーランスに対応しており、開業間もない事業者も利用可能です。
クラウドファクタリングの必要書類
クラウドファクタリングを利用する際に必要な書類は、主に次の4点です。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 売却予定の請求書
- 法人口座の直近4~7か月分の入出金明細
- 昨年度の決算書
必要書類はファクタリング会社によって異なり、2点~4点求められるので、事前に必要書類を調べておきましょう。なかには通帳のコピーと請求書のみで申し込み可能なファクタリング会社もあります。
また、提出書類はアップロードが必要なので、すべて電子化しておいてください。
クラウドファクタリング利用の流れ
クラウドファクタリングを利用した際、申し込みから入金までは以下のような流れで進みます。
- 申し込み
- 審査
- 契約
- 入金
それぞれの段階で何をするのか理解しておけば適切でスムーズな対応ができるので、ぜひ一度チェックしておいてください。
申し込み
クラウドファクタリングの申し込みは、インターネットでおこないます。利用者の本人確認書類や請求書など、必要書類もインターネットで提出するので、必要書類を事前に確認して電子化しておきましょう。
また、利用前に買取できるかどうかや見積もり依頼をできるサービスもあるので、気になる業者を比較検討できます。利用前に疑問がある場合は、メールで問い合わせてください。
審査
申込内容と提出した書類に基づいて審査がおこなわれます。審査時間はサービスによって異なりますが、クラウドファクタリングでは多くのサービスが即日の審査完了を謳っています。
ただし、夜間や土日祝など、営業時間外に申し込む際は即日入金にならない場合もあるので注意しましょう。また、場合によっては書類の追加提出が求められる可能性もあります。
契約
審査が完了し買取が確定すると、契約の締結に進みます。クラウドファクタリングでは、Web署名による契約か、後日郵送される契約書での対応が必要です。
入金
契約が締結されると、指定口座に手数料を差し引いた金額が入金されます。即日入金を謳っているサービスでは、契約と同時に振り込みが完了する場合もあります。
2社間ファクタリングでは、売掛先にはファクタリングの利用は通知されないため、通常通り売掛金が利用者に支払われます。売掛金が支払われたら、速やかに売掛金をファクタリング会社に支払う義務があるので忘れないよう注意してください。
まとめ
クラウドファクタリングはすべての手続きがオンラインで完結するファクタリングであり、時間や場所を選ばずにできるメリットがあります。また、面談の必要もなく、スピーディーに安い手数料で売掛金を現金化できるので、利用者・取り扱い業者ともに増加しています。
必要書類も通常のファクタリングに比べて少ないので、ファクタリングにかかる負担を減らしたい人は利用を検討してみましょう。
ぜひ本記事を参考に各ファクタリング会社を比較し、自社に合ったクラウドファクタリングを選んでください。