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資金ショートとは?赤字や債務超過との違いと資金ショートを防ぐポイントを解説

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企業経営にとって赤字や債務超過よりも怖いと言って過言ではないものが資金ショートです。

資金ショートが起こると黒字でも倒産するため、資金ショートの原因と対策を把握しておくことが非常に重要です。

資金ショートは普段からの備えで防げる場合がほとんどですし、資金ショートが起きそうになったとき適切に対処することによって、倒産を免れることもできます。

この記事では資金ショートが起きる原因と普段からできる資金ショート対策などについて詳しく解説していきます。

収支管理と同じくらい資金繰り管理は重要ですので、経営者の方はぜひご覧ください。

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資金ショートとは

資金ショートとは

資金ショートとは、運転資金がなくなり支払いができなくなる状態です。

赤字や債務超過と異なり、資金ショートは倒産に直結する状態ですので、十二分に注意する必要があります。

資金が枯渇して支払いができなくなる状態

資金ショートとは、資金が枯渇して支払いができなくなることです。

企業にはさまざまな支払いがあります。

  • 借入金返済
  • 手形の決済
  • 従業員への給料
  • 取引先への仕入れ代金
  • 水道光熱費

これらの支払いには全て現金が必要ですが、資金ショートを起こすとこれらの支払いをすることが不可能になります。

支払いのための現金がなくなり、支払いができなくなる状態のことを「資金ショートを起こす」「資金ショートになった」などといいます。

企業は資金がなくなると倒産する

企業が倒産するときは、資金がなくなるときです。

赤字や債務超過でも、手元に資金があり支払いが継続できている限りは倒産しません。

しかし、資金が枯渇して、取引先や従業員の給料などの支払いができなくなると、事業の継続が不可能になり倒産します

また、借入金の返済や手形の決済ができなくなると、銀行との取引ができなくなり倒産に陥ります。

企業は赤字や債務超過だから倒産するわけではありません。赤字や債務超過でも手元に資金があり、支払いが継続できている限りは事業の継続は可能です。

企業は資金ショートを起こし、支払いができなくなるから倒産するのです。

赤字との違い

赤字とは損益計算書上で利益を出せず「収益-支出」がマイナスになり、いわゆる赤字になることです。

例えば、1年間の売上が1,000万円、1年間の支出が1,500万円であれば500万円の赤字です。

しかし、手元に現金があれば支払いができるので資金ショートではありません。

赤字が継続して、手元の資金が枯渇すると、資金ショートを起こす可能性があるため、赤字は資金ショートの原因にはなります。

しかし、赤字=ただちに資金が枯渇するというわけではないので、赤字と資金ショートは別物です。

黒字でも倒産することもある

赤字と資金ショートは異なるので、黒字でも資金ショートを起こして倒産する可能性は十分にあります。

企業の売上は取引が完了した時点で発生するため、売上が計上されるタイミングと売上代金が入金になるタイミングは異なるためです。

例えば、売上1,000万円、売上に対応する経費が600万円、売上代金の入金が3ヶ月後という取引では、売上代金の入金がある前に経費の支払い600万円の支払期日が到来します。

このときに、手元に600万円の資金がなければ、この企業は資金ショートを起こして支払いができずに倒産します。

本来であれば400万円の黒字であるはずの取引ですが、手元に資金がないために、資金ショートになり倒産するケースは少なくありません。

このように、収支は黒字であるにもかかわらず、倒産するケースを黒字倒産といいます。

実際に東京商工リサーチの調査によると、2022年に倒産した企業のうち、約4割が黒字で倒産しています。

参考:東京商工リサーチ|2022年「倒産企業の財務データ分析」調査

黒字だからといって、企業経営が必ずしも安泰というわけではありません。

売上の計上と入金は別ですし、日本の商慣習では「入金は後、支払いは先」というのが一般的です。

黒字なのか赤字なのかを算出する損益計算書の収支計算だけでなく、支払いのために必要な資金があるのか管理する「資金繰り管理」も企業経営には非常に重要です。

債務超過との違い

債務超過とは、負債が会社の総資産を上回り、純資産がマイナスになっている状態です。

例えば、会社の資産が1,000万円、負債が1,200万円であれば、この企業は200万円の債務超過です。

支払いのために必要な自己資本が1円もないということですので、もしも金融機関からの借入がストップし、事業が黒字化できなければ、この企業は資金ショートを起こして倒産する可能性が非常に高いと言えます。

しかし、債務超過であっても金融機関からの借入など、何らかの方法で資金調達でき、手元に資金があれば、支払いはできるので、企業は倒産しません

債務超過の企業は借入がストップするなど、なんらかの理由で資金が枯渇して資金ショートを起こす可能性が非常に高いことは間違いありません。

しかし手元に資金がある限りは債務超過であっても支払いはできるので、債務超過=資金ショートではありません。

資金ショートの7つの原因

資金ショートの7つの原因

資金ショートの主な原因は以下の7つです。

  • 売掛債権の未回収や支払い遅れ
  • 入金サイトの長期化
  • 支払いサイトの短期化
  • 急激な売上減少
  • 急激な支出の増加
  • 資金管理不足
  • 横領・強盗などの犯罪被害や自然災害

入金が遅れたり少なくなったり、予期せぬ現金の流出があると資金ショートする可能性があります。

資金ショートの7つの原因について詳しく解説していきます。

売掛債権の未回収や支払い遅れ

売掛金などの売掛債権を回収できなかったり、回収が遅れてしまうと資金ショートする可能性があります。

  • 請求をし忘れている
  • 取引先の経営が悪化した

これらを原因として売掛債権の未回収や回収遅れが怒るのが一般的です。

例えば1月末に入金予定の売掛金の回収ができないと、1月前に予定していた支払いができません。

この支払いが事業継続上で絶対に必要なものであった場合、事業継続が困難になる可能性があります。

また、1月末に手形の決済が控えていた場合、資金不足によって手形が不渡りになれば、銀行取引停止処分に陥り、事業継続は実質的に不可能になります。

予定していた通りに売掛債権が入金にならないと、黒字であっても資金ショートすることは珍しくありません。

入金サイトの長期化

入金サイトが長期化することも資金ショートの原因です。

入金サイトとは売掛先や受取手形などが入金になるまでの期間のことです。

入金サイトが長ければ長いほど、資金繰りは苦しくなります

例えば、売上代金の入金が3ヶ月後の場合、入金されるまでの3ヶ月間は手元の資金で毎月の支払いをおこなっていかなければなりません。

この間に手元の資金が枯渇してしまったら資金ショートになってしまいます。

売掛先からの入金サイトが長い契約を結ぶと、その間会社に滞留させておかなければならない資金も多いので、入金サイトの長期化は資金ショートの大きな原因になります。

支払いサイトの短期化

支払いサイトが短くなることも資金ショートの原因になります。

支払いサイトとは、買掛金などの買入債務が支払期日になるまでの時間です。

支払いサイトが短ければ短いほど、資金繰りは苦しくなり、資金ショートする可能性が高くなります

例えば、1月に支払いサイトが1ヶ月の取引先から仕入れをおこない、入金サイトが3ヶ月先の販売先に2月に商品を販売した場合、2月末には仕入れ先に支払いをしなければなりませんが、対応した売上が入金になるのは5月末です。

毎月この取引をおこなった場合、2月、3月、4月と3ヶ月間は入金がないまま支払いだけを継続していかなければならないため、資金繰りは非常に苦しくなります。

支払いサイトが短いということは、それだけ早く手元から資金が出ていくということですので、資金ショートの大きな原因になります。

急激な売上減少

急激に売り上げが減少した場合も資金繰りは苦しくなります。

会社の支払いに必要な支出が月100万円であるのに対して、売上が減少したことによって入金が80万円しかなければ、支払いができません。

これは赤字によって資金ショートに至るケースです。

急激に売上が減少すると、会社を維持していくために必要な基本的な支出である固定費すら支払うことが難しくなるので、資金ショートによって倒産する可能性があります。

急激な支出の増加

急激に支出が増加する場合も資金ショートの原因になります。

支出が増加するということは、それだけ現金が手元から流出するということですので、資金繰りが苦しくなります。

仕入単価や光熱費などの上昇で支出が増加するケースは、会社の経費が増えているので赤字に至る可能性があります。

一方、黒字であるにもかかわらず支出の増加に耐えきれずに資金ショートするケースもあります。

それが、急激な受注拡大による資金繰りが悪化するケースです。

急激な受注拡大による資金繰り悪化

大口の注文や多くの注文を受ければ、仕入れや人件費が増えるので、それだけ対応した運転資金が必要になります。

このような運転資金を増加運転資金といいます。

日本の商慣習では、支払いが先、入金が後になるので、急激に受注が拡大すると、最初に増加運転資金の支払いをしなければなりません。

つまり、大口の受注であればあるほど、最初に企業から流出するキャッシュは大きくなるのです。

増加した受注分の売上が入金になるまでに、企業から資金が枯渇すれば資金ショートになる可能性があります。

大口の注文を受けるということは、一見すると企業にとって良いことのように思えますが、体力の乏しい企業にとっては資金ショートの原因になってしまうこともあるので注意しましょう。

資金管理不足

会社側で資金の管理を怠っていたケースです。

会社は貸借対照表や損益計算書だけでなく、資金繰り表を作成し次のようなことを把握していなければなりません。

  • 現在の資金の残高がいくらか
  • いつ・いくらの入金があるのか
  • いつ・いくらの支払いがあるのか
  • 予定していた支払いに資金は足りるのか
  • 週末・月末時点の現金はどの程度になる見込みなのか

これらを予測して、資金の過不足がないよう調整するのが資金繰り管理です。

会社が資金繰り管理を怠っていると、支払いが必要になった時に「お金がなくて支払えない」という状況になります。

一方、資金繰り管理を徹底していれば、「月末にいくら不足しそうだから、金融機関へ借入金の相談をする」などの計画的な対策ができるようになります。

資金繰り管理が不足していることによって必要な支払いができずに会社が資金ショートしてしまうケースも珍しくありません。

横領・強盗などの犯罪被害や自然災害

横領、強盗などの犯罪の被害に遭った場合、自然災害によって現金や会社の大切な資産を喪失するケースです。

例えば、翌日従業員へ支払おうと思って用意しておいた現金を強盗に盗まれてしまったら、給料の支払いができないので資金ショートする可能性があります。

また、大規模な地震が起こり、会社の資産が破損して営業ができなくなってしまえば入金が途絶えるため

必要な支払いができません。

このような予期せぬ事態によって資金ショートする可能性もあります。

強盗や横領などの被害に遭わないよう、現金などの貴重品は厳重な金庫などで管理するか、できる限り社内に現金は置かないようにしましょう。

また、災害があった時に会社の大切な資産を喪失しても経営に問題がないよう、経費にはしっかり加入しておくことも重要です。

資金ショートを防ぐ12の方法

資金ショートを防ぐ12の方法

資金ショートを防ぐには次の12の方法があります。

  • 資金繰り表を日次で作成する
  • 不要な在庫を持たない
  • 入金サイトを短くする
  • 支払いサイトを長くする
  • 経費を削減する
  • 経費の支払いにクレジットカードを使用する
  • 売掛先の与信管理を徹底する
  • 不要な資産を売却する
  • 長期借入金を利用する
  • 借入金のリスケジュールをおこなう
  • 手形割引・でんさい割引を利用する
  • ファクタリングを利用する

最も重要なことは日常的な資金繰り管理と経営管理です。資金ショートの12の対策について解説していきます。

資金繰り表を日次で作成する

資金繰り表はできる限り毎日作成していきましょう。

日次で資金繰り表を作成する場合、入金と支払いの予定を日毎に把握して、次のように明記していきます。

日付 入金 支払い 残高
前月繰越 5,500,000円
2/1 光熱費支払い. 200,000円 5,300,000円
2/2 交通費精算    150,000円 5,150,000円
2/10 給与      3,000,000円 2,150,000円
2/20 売掛金入金    1,500,000円 3,650,000円
2/25 買掛金支払い1,000,000円 2,650,000円
2/27 売掛金入金   2,000,000円 4,650,000円
次月繰越 4,650,000円

このように、あらかじめ分かっている入金と支払いの予定を全て書き出し、いつの時点でどの程度の現金の残高になりそうか、ということを詳細に把握しておくことが重要です。

細かく予測することによって、資金調達計画も立てやすくなるので、可能な限り日次で毎日の資金繰りの予測を立てるようにしてください。

不要な在庫を持たない

不要な在庫をできる限り持たず、すぐに販売できないのであれば、在庫を売却しましょう。

不要な在庫を持つということは、それだけ売上に結びつかない仕入れをおこなっているということで、資金繰りはその分だけ苦しくなります。

また、在庫を抱えていれば倉庫の維持管理コストなどもかかるでしょう。

不要な在庫を売却して現金化すれば資金繰りは円滑化するので、資金ショートしそうな時には棚卸しをおこない、すぐに売却できる不要な在庫を保有していないか確認してください。

入金サイトを短くする

販売先と交渉し、入金サイトを早められないか交渉してみましょう。

売掛金の入金期日が少しでも早くなれば、それだけ長く企業には資金が滞留することになるので、資金繰りは円滑になります。

販売先の中に交渉の余地がありそうな企業があるのであれば「入金期日を早められませんか?」と交渉してみるとよいでしょう。

ただし、販売先は企業にとって大切なお客様ですので、あまりにも強く交渉すると、気分を害される可能性もあるので、無理な交渉をしないよう注意してください。

支払いサイトを長くする

仕入れ先と交渉して支払いサイトを長くすることでも、資金繰りは改善します。

買掛金の支払い期日を少しでも遅らせることで、企業に資金が滞留する期間が長くなるためです。

支払いサイトが1ヶ月以内の取引先があるのであれば、「翌月末までなど、長くできないか」ということを交渉してみましょう。

同じ商品や材料で複数の仕入れ先を抱えているのであれば、支払いサイトの長さで仕入れ先を選別していくことも重要です。

経費を削減する

会社の経費を削減することで、資金繰りは楽になります。

経費が削減できれば、それだけ会社から出ていく現金が少なくなるためです。

仕入れ、水道光熱費、広告費、人件費等から見直せる経費がないかどうか確認しましょう。

なお、人件費の削減は従業員のモチベーション管理のため、軽々におこなうべきではありません。

保険や通信費など、業者を変えるだけで見直せる経費がないか確認してください。

経費の支払いにクレジットカードを使用する

経費の支払いを現金ではなく、クレジットカードを使用するだけで資金繰りを改善する効果があります。

特に、毎月多くの現金で従業員に経費を精算しているような企業では、費の支払いをクレジットカードに切り替えるだけで、非常に大きな資金繰り改善効果を期待できるでしょう。

クレジットカードを使用して経費を払えば、その支払いは1ヶ月程度先になるためです。

例えば、これまでは現金で月末に従業員へ精算していた経費の支払いが、クレジットカードを使用することで翌月末になります。

また、カードを使用することで、不正な経費支出がないかの管理も簡単ですし、会計ソフトによっては使用データから自動で仕訳までおこなってくれるものもあるので、経理事務の効率化にもつながります。

資金繰りにも事務効率化にも有効ですので、クレジットカードを使用して経費の支払いをおこないましょう。

売掛先の与信管理を徹底する

売掛先企業の与信管理を徹底することも資金ショート対策には非常に重要です。

与信管理とは「売掛先企業の信用がどの程度で、いくらまで取引可能なのか」という審査と管理をおこなうことです。

与信管理を徹底しておけば、急な取引先の倒産や、売掛債権の未入金のリスクを大きく軽減できます。

取引先銀行や周囲の企業などから聞き取りをおこない、取引先企業の経営が健全かどうかを日々管理しておきましょう。

審査に自信がないのであれば、保証ファクタリングなどを活用するのがおすすめです。

保証ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛債権の保証を受けるもので、万が一、当該売掛債権が支払い不能になった場合に代金の一部をファクタリング会社が保証してくれます。

売掛債権が万が一支払不能になった場合も安心ですし、ファクタリング会社がいくらまで保証するのかによって、売掛先企業の信用を把握できます

初めて取引する企業の与信管理をしたい時には保証ファクタリングは有効です。

不要な資産を売却する

会社に不要な資産があるのであれば売却して資金化しましょう。

土地や建物であれば、売却して資金化することで資金繰りが安定するだけでなく、固定資産税などの管理コストの圧縮にもつながります。

昨今は、不要な資産も負債もできる限り持たずに貸借対照表をできる限り小さくするオフバランス化の経営が評価される時代です。

会社に使用していない遊休資産があるのであれば、売却して資金化することで資金繰り改善と経営の効率化の両立ができます。

長期借入金を利用する

資金ショートの可能性があるのであれば、銀行などから長期借入金を調達しましょう。

長期借入金は一度にまとまった資金の融資を受け、数年間にわたって少しずつ返済していくので、毎月の負担が少ない借入方法です。

長期借入金が手元にあるうちに、売上拡大や資金繰りの改善をおこなうことによって本質的な経営改善を図れます。

ただし、長期借入金の融資には2週間〜3週間程度の時間がかかります。

早めに申し込みをしないと、支払いのタイミングに資金が間に合わない可能性があるので注意が必要です。

このためにも日頃から資金繰り表を作成し、資金繰り管理をおこなっておくことが重要になります。

借入金のリスケジュールをおこなう

銀行などから融資を受けている場合には、借入金のリスケジュールをおこないましょう。

リスケジュールとは返済計画の見直しによって、毎月の返済負担を軽減することです。

毎月の借入金返済額が減少すれば、月々の返済金による現金流出が少なくなるため、資金繰りは楽になります。

リスケジュールには次の2つの方法があります。

  • 最終返済期日の延長
  • 元金返済の据え置き

それぞれ、活用できる場面が異なるので、以下詳しく解説していきます。

最終返済期日の延長

最終返済期日の延長とは、借入当初決まっていた返済期限を数年間延長して、毎月返済額の軽減を図るものです。

例えば、残高1,000万円、金利1.5%、残り返済期限10年(元利均等)の借入金の返済期限を5年間延長した場合の返済額は以下のようになります。

期限延長前 期限延長後
最終返済期日 10年後 15年後
毎月返済額 89,791円 62,074円
返済総額 10,774,922円 11,173,280円

期限延長によって、毎月返済額27,000円程度減少するので、その分資金繰りは円滑になります。

ただし、借入期間が延びたことによって利息負担が増え、返済総額は40万円程度上昇してしまいました。

長期間にわたって毎月の返済に伴う現金流出を抑えたい方には期限延長を金融機関へ相談しましょう。

元金返済の据え置き

元金返済の据え置きとは、一定期間のみ借入金の元金返済をストップして、利息のみの支払いに切り替える方法です。

元金返済据え置き期間中は、元金返済の負担が生じないので、資金繰りは楽になります。

ただし、利息の負担は発生するので、残高1,000万円、金利1.5%のローンの返済を1年間据え置く場合には、1,000万円×1.5%=15万円の利息負担が余計に生じる点はデメリットです。

なお、通常、据置期間は1年が限度です。社会的な不況などによって「不況が収束するまで資金繰りを安定させたい」などと考える方には有効です。

なお、どちらの方法のリスケジュールも、銀行の審査に通過しなければ利用できません。審査期間は1ヶ月程度かかることもあるので、やはり資金繰り管理を徹底し、できる限り早めに相談しましょう。

手形割引・でんさい割引を利用する

手形割引やでんさい割引を利用して金融機関から資金調達する方法です。

企業が取引先から受取手形や、でんさいによって代金の支払いを受けていた場合、取引銀行で手形やでんさいを期日前に売却して資金化できます。

最短即日で手形割引やでんさい割引は割り引くことができるので、急に資金繰りが苦しくなった時にも有効です。

また、手数料も2%〜4%程度の安価で割り引けるので資金調達コストも少なくなります。

ただし、手形割引やでんさい割引は、手形やでんさいによって支払いを受けている企業しか利用できません。売掛金を割り引くことはできないので、利用できるケースはそれほど多くないでしょう。

ファクタリングを利用する

ファクタリングを利用して売掛金を売却する方法でも資金調達できます。

ファクタリングとは売掛金などの売掛債権をファクタリング会社へ売却して、売掛債権の期日前に早期資金化する方法です。

手形やでんさいを保有していなくても、ファクタリングを利用すれば売掛金も早期資金化できますし、2社間ファクタリングであれば最短即日で利用できます。

また、審査対象は売掛先企業ですので、申込企業が赤字や債務超過で融資や手形割引などの審査に通過できなくても、資金調達できる可能性のある方法だといえます。

売掛債権を早期資金化できるので資金調達手段としては有効ですが、ファクリングは手数料が高いのがデメリットです。

  • 2社間ファクタリング:10%〜20%程度
  • 3社間ファクタリング:2%〜8%程度

たった1ヶ月先が期日の売掛債権をファクタリングしても、買取代金に対して上記の手数料が発生します。

資金調達コストは融資は手形割引の何倍にもなるので、本当に急にお金が必要になったときか、どこからもお金が調達できない場合のみ使用しましょう。

資金ショートを防ぐため普段から心がける6つのこと

資金ショートを防ぐため普段から心がける6つのこと

資金ショートを防ぐために、日常的な経営活動の中で次の6つのことを心がけましょう。

  • 資金繰り管理を細かくおこなう
  • 固定費を見直す
  • 取引先との契約時の入金と支払いの期日を意識する
  • 与信管理をしっかりする
  • 請求漏れがないか確認する
  • 在庫管理を徹底する

これらは比較的簡単に実行できることばかりです。

資金ショートを日常的に防ぐ7つの方法を詳しく解説していきます。

資金繰り管理を細かくおこなう

日頃から資金繰り管理は細かくおこなっておきましょう。

企業経営において、手元の資金が足りなくなることは決して珍しいことではありません。だからこそ銀行が存在するのです。

問題なのは、資金が不足することに気づかない状態です。支払日近くになって資金が不足することに気づいても、それほど急に資金調達できる方法はないので、支払いができずに資金ショートする可能性が高くなります。

前もって資金が不足することを予測して、早めに調達手段や対策を立てられるよう、日次で資金繰り管理をするとともに、月次においては3ヶ月〜6ヶ月程度先まで資金繰り表を作成しておきましょう。

固定費を見直す

会社の支出の中で余分な固定費がないかどうか見直しをおこなってください。

固定費とは、毎月固定でかかる次のようなものです。

  • 従業員の給与・賞与
  • 福利厚生費
  • 事務所や工場の家賃
  • 光熱費
  • 保険料

固定費は売上の大小に関わらず発生する支出ですので、固定費を削減できれば売上が芳しくない月も資金繰りは楽になります。

例えば、家賃の安い事務所へ引っ越したり、料金の安い保険へ切り替えるなど、会社の固定費を洗い出して、削減できる支出がないかを検討しましょう。

取引先との契約時の入金と支払いの期日を意識する

取引先と最初に契約する際、入金サイトと支払いサイトを意識した契約を締結しましょう。

入金サイトが長くなり、支払いサイトが短くなれば資金繰りは苦しくなるので、できれば入金サイトは長く、支払いサイトは短い契約にするよう交渉する必要があります。

入金サイトも支払いサイトも1ヶ月程度で同じであれば、資金繰りは円滑になります。

契約締結後になって、後から「入金サイトを短くしてほしい」などと交渉しても難しいでしょうし、相手の心象もよくありません。

そのため、新規取引先と交渉する際に、入出金のサイトを意識した交渉を行いましょう。また、これは営業担当者にも徹底させた上で営業活動をさせてください。

与信管理をしっかりする

新規取引先、既存取引先の与信管理を徹底してください。

いくら売上を作っても、入金まできっちりをおこなわれなければ会社には大きな損失となってしまいます。

新規取引先については、支払いに問題ない企業かどうかネットなどで資本金を確認するとともに、営業担当者にも会社の様子を確認させましょう。

また、既存取引先も支払いに遅れがちな企業は取引金額を制限する必要があります。これまで問題なく支払いが行われている企業であっても、売上が急に落ちていないか、近隣で悪い噂が流れていないかなどから定期的に与信管理をおこなうことが重要です。

なお、審査のプロに取引先の与信管理を任せたいのであれば、保証ファクタリングを活用することがおすすめです。

保証ファクタリングでファクタリング会社が提示した保証限度額が、審査のプロがチェックしたその会社の取引限度額ですので、保証限度額を参考に取引金額を決めるとよいでしょう。

また、審査に通過できないのであれば、取引を控えた方が安全です。

請求漏れがないか確認する

売掛先に対して請求漏れがないかどうか確認してください。

いくら売上があっても、請求を出さなければ、ほとんどのケースで売上は入金になりません。

販売先が多いと請求が漏れているケースも少なくないので、売上台帳などと照らし合わせて、請求に漏れがないかどうかをしっかりと確認するようにしてください。

在庫管理を徹底する

日常的に在庫管理を徹底しましょう。

不要な在庫を抱えている企業は、資金繰りが悪くなります。

売上にならない在庫を仕入れるために、資金を流出させているためです。

多くの在庫を持つと、その分販売できない在庫も増えるので、収支的にも非効率です。

在庫は、販売する分だけを仕入れるのが基本ですので、売上予測をしっかりと立てて、必要な在庫を必要な分のみ仕入れるようにしてください。

資金ショートを起こしそうになったときの相談先

資金ショートを起こしそうになったときの相談先

資金ショートを起こしそうになったら、経営者が1人で抱えるのではなく、次のような先へ相談してください。

  • メインバンク
  • 税理士・会計士
  • ファクタリング会社

それぞれの相談先でどのようなソリューションが提供されるのか、解説していきます。

メインバンク

資金繰りが苦しいのであれば、まずはメインバンクへ相談しましょう。

新規の資金が必要な場合には、新規融資を受けることが可能です。また、すでに融資を借りているのであればリスケジュールなどの相談もできます。

銀行の借り入れを延滞してしまうと、その後追加融資が受けられなくなり、その後の資金繰りに大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

すでに銀行に借入金があるのであれば、資金繰りが苦しくなったときには必ずメインバンクへ最初に相談してください。

税理士・会計士

税理士や会計士にも資金ショートの懸念などの相談ができます。税理士や会計士は企業の財務の専門家ですので、資金ショートを防ぐためにどのような対応をすべきなのか、具体的な提案を受けられるでしょう。

また、企業の財務上の問題点を洗い出してもらうこともできるので、根本的な経営改善も可能です。

金融機関の担当者よりも専門性は高いので、「専門家に自社の資金繰りについてサポートを受けたい」と考える方には税理士や会計士と相談することが向いています。

さらに、税理士や会計士のもとには銀行融資、制度資金、補助金、助成金など、さまざまな資金調達手段の情報が集まっています。

企業にとって最適な資金調達の提案とサポートも受けられるので、資金調達をしたい方も税理士や会計士に相談するのがよいでしょう。

ファクタリング会社

ファクタリング会社は資金ショートしそうな時に活用できます。ファクタリングでは最短即日で資金調達ができるので、「今日お金が必要」というタイミングでも、必要な資金が間に合う可能性があります。

手元に発行済みの請求書や、発注を受けた注文書があれば、ファクタリング会社に相談することで当日中に資金が用意できる可能性が高いでしょう。

審査の対象になるのは、申込企業ではなく、売掛先企業です。そのため、売掛先企業が優良企業が大手企業など財務的に問題のない企業であれば、業況が悪く融資審査を断られた企業でも資金調達できる可能性があります。

また、ファクタリング会社の中にはコンサルティング機能をもっている会社も多いので、当日中の資金調達だけでなく、財務分析や財務コンサルティングを受けられることもあるので、資金繰りに困ったら気軽に相談してみましょう。

まとめ

まとめ

資金ショートとは、企業の資金が枯渇し、必要な支払いができずに事業継続が困難になることです。

企業は赤字や債務超過でも、手元に現金があり支払いができている限りは倒産しません。

しかし資金ショートを起こすと倒産してしまう可能性があります。

資金ショートの原因はさまざまですが、基本的には日々の資金繰り管理を厳格におこない、前もって資金の不足に備えることができれば資金ショートは起こりません。

売上や支払いの管理だけでなく、資金繰りの管理は非常に重要です。急な資金ショートを起こすことがないよう、日々、資金繰りの管理を徹底してください。

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