「後払い現金化」または「ツケ払い現金化」と呼ばれるサービスが増えていますが、使い方が分からない、ローンとの違いが分からないという人も多いのではないでしょうか?この記事では、後払い現金化の仕組みや利用の流れ、メリット・デメリットを解説するとともに、違法性はあるのか、ファクタリングとは何が違うのかなどを解説します。
後払い現金化とは
後払い現金化とは、商品を後払いで購入し、転売やキャッシュバックなどで現金化することです。例えば、5万円の商品を1カ月後の後払いで購入しそれを4万円で転売すると、1万円の手数料を払う代わりに現金を一か月早く手に入れるのと同じ効果が得られます。
2021年ごろから、この後払い現金化を代行する業者が増えてきています。転売を自分で行うと手間や日数もかかりますし、希望の価格で商品を買ってくれる相手が見つからないこともありますが、業者は手続きを全て代行してくれます。
多重債務で消費者金融から借入ができない人や、多重債務ではないが消費者金融は使いたくない人などが、金策の手段として後払い現金化を利用することがあります。後払い現金化は基本的に個人が対象で、現金化できる額は数万円程度までのことがほとんどです。
通常のファクタリングとの違い
通常のファクタリングとは、事業者(会社や個人事業主)の売掛債権をファクタリング業者が買い取り、買い取り代金をファクタリング利用者に支払う取引です。ここで、売掛債権とは将来的に取引先から金銭を受け取る権利のことで、具体的には取引先への請求書や注文書などのことです。通常のファクタリングは普通は単に「ファクタリング」と呼ばれます。
例えば、1カ月後に入金される100万円の売掛債権を業者に90万円で売却すれば、10万円の手数料を支払う代わりに1ヶ月早く現金を入手できます。売掛債権は支払いが数か月後になることも多く、その間に資金ショートしてしまうこともあるので、ファクタリングは資金ショートの回避手段として有効です。
債権の譲渡は民法で認められており、貸金業者でない業者がファクタリングを行うことは問題ありません。ファクタリングは売掛債権の売買なので、事業者を対象としているのが後払い現金化との大きな違いです。
また、ファクタリングの手数料は3%から20%程であるのに対して、後払い現金化は10%から40%以上と、後払い現金化のほうが手数料が高い傾向があります。
他にも、ファクタリングは法的に問題ないサービスであるのに対して、後払い現金化はクレジットカードや携帯決済枠などの利用規約に違反することがほとんどです。
給与ファクタリングとの違い
給与ファクタリングとは、給与を受け取る権利を業者が買い取り、その代金を利用者に支払うサービスです。例えば、1ヶ月後に支払われる20万円の給与を受け取る権利を業者に15万円で売却すると、5万円の手数料を支払う代わりに現金を1ヶ月早く入手できます。
給与ファクタリングは給与を受け取る権利自体を売買する取引で、商品の購入や転売は行わないのが後払い現金化との違いです。
また、給与ファクタリングは「ファクタリング」と名前がついていますが実際は貸金業の一種で、貸金業者でなくても行える通常のファクタリングとは別物です。貸金業者でない業者が給与ファクタリングを行うのは違法であり、闇金業者ということになるので利用しないようにしましょう。
後払い現金化の種類
後払い現金化は、現金化の仕方によっていくつかの種類に分けられます。ここでは主な後払い現金化の種類を解説します。
携帯決済枠などで商品を転売する方式
携帯決済枠や後払いアプリで商品を買い、転売して現金化する手続きを業者が代行する方式です。
ここで、携帯決済枠(またはキャリア決済)とは、買い物代金が携帯料金として請求されるサービスのことで、ドコモの「d払い」やソフトバンクの「まとめて支払い」などがあります。後払いアプリとは、「PayPay」や「Paydy」などの後払い機能のことです。
この方式では、携帯決済枠などを持つ利用者が、それを使ってギフト券や電子マネーなどを購入し、それを業者が売却して現金化します。換金率は大手の業者だと80%から90%程度のことが多いです。
デジタルコンテンツなどを転売する方式
携帯決済枠などを利用せず、後払い現金化業者に直接代金を支払うタイプもあります。
このタイプでは、業者が指定するデジタルコンテンツなどを後払いで購入し、業者がそれを転売した代金として利用者が金銭を受け取ります。後日、購入代金を業者に直接支払って取引完了となります。
キャッシュバック方式
キャッシュバック方式では、転売ではなくキャッシュバックという名目で利用者が金銭を受け取ります。
デジタルコンテンツなどを後払い現金化業者から後払いで購入し、購入価格の数十パーセント程度に相当するキャッシュバックを受け取ります。そして、後日購入代金を業者に支払って取引完了となります。
宣伝報酬方式
宣伝報酬方式では、購入した商品のレビューを提供した見返りという名目で金銭を受け取ります。
電子書籍やFX自動売買ソフトなどを後払いで購入し、そのレビューを書くと宣伝報酬として購入価格の数十パーセントほどの金銭が支払われます。そして、後日購入代金を業者に支払って取引完了となります。
後払い現金化は合法?違法?
後払い現金化は形式的には商品の売買ですが、実態は貸金業に該当する恐れがあるとして、金融庁などが注意喚起しています。
利用者はほとんどの場合商品に興味はなく金銭を受け取りたいだけであり、業者側も転売などの差額を利益とするのが目的であることが、貸金業とみなされる理由です。また、業者側が用意するデジタルコンテンツなどの商品はほとんど無価値なものが多いといわれており、これも形式的に商品の売買を装おうとしているとみなされる要因となります。
後払い現金化業者はほとんどが貸金業登録していないので、もし貸金業とみなされた場合は違法なヤミ金融ということになります。実際に貸金業とみなされ、貸金業法違反で摘発された業者もあります。
後払い現金化を利用すること自体は違法ではありませんが、法的にグレーゾーンのサービスであることを理解しておく必要があります。また、クレジットカードや携帯決済枠は現金化目的での利用を禁止しているのが一般的なので、利用規約違反になるケースが多いです。
業者を通さず自分で現金化する方法
後払い現金化は、業者を通さず自分で行う方法もあります。携帯決済枠などを使って商品を購入し、それを自分で転売すれば現金化することは可能です。
ただし、自分で現金化するのは非常に手間がかかりますし、高換金率の商品を選んで買い手を見つけるのは簡単なことではありません。
自分で現金化するのは合法?違法?
自分で行う後払い現金化は、取引としては単なる商品の購入と売却なので、その行為自体に違法性はないと考えられます。
しかし、携帯決済枠や後払いアプリは、利用規約で換金目的の利用が禁止されているのが一般的です。よって、後払い現金化していることが携帯会社などにバレると、利用停止などの処分を受ける可能性があります。
後払い現金化利用の流れ
後払い現金化の流れは方式によって多少違いますが、大まかな流れは同じです。ここでは、どのような流れで後払い現金化を利用するかを解説します。
携帯決済枠などの確認
携帯決済枠などを利用した後払い現金化では、利用枠の範囲内しか現金化できないので、まずは利用枠が残っているかを確認します。キャッシュバック方式など他の方法ではこの手続きは必要ありません。
業者に申し込む
業者の申込みフォームなどから、必要事項を入力して申し込みます。入力内容は業者によって違いますが、以下のような内容を入力することが多いです。IDセルフィーの代わりに、社員証や給与明細などの提示を求める業者もあります。
- 名前・住所などの個人情報
- メールアドレス
- 携帯番号
- 希望金額
- 振込口座
- 身分証明書と自分の顔が写った写真(IDセルフィー)
審査を受ける
申込みが終わると審査が行われます。審査内容の詳細は不明な部分もありますが、申込み時の入力内容・必要書類の確認に加えて、同業他社の利用歴などを確認することもあるといわれています。
職場に電話して在籍確認する業者もあるといわれているので注意が必要です。在籍確認は会社に後払い現金化を利用しているのがバレる原因になるので、心配なら申込み時に在籍確認するかあらかじめ聞いておきましょう。悪質な業者だと、無断で在籍確認をして、しかも電話対応が横柄なため会社に怪しまれるケースもあるといわれているので注意しましょう。
金額と支払日が提示される
審査が終わると、購入する商品の価格と振り込まれる金額が提示されます。この差額が手数料に相当するので、納得できる差額になっているか確認しましょう。差額があまりに大きい業者は悪質業者の可能性があります。
商品代金の支払日は、1ヶ月後など日数を指定されるか、次の給料日に設定されることが多いです。
商品を購入する
金額に合意したら商品を後払いで購入します。後払いなのでこの時点では支払いをする必要はありません。
キャッシュバック方式や宣伝報酬方式の場合は、デジタルコンテンツや自動売買ソフトなどの商品がネット上で送付されます。転売方式の場合は業者がすぐに転売するため、実際に商品が送付されることはないのが一般的です。
商品のレビューを書く
宣伝報酬方式の場合は、商品のレビューを書きます。他の方式の場合はこのプロセスは必要ありません。
現金が入金される
商品購入およびレビュー投稿が終わると、利用者の口座に現金が入金されます。
期日が来たら購入代金を支払う
支払期日が来たら商品の購入代金を支払います。携帯決済枠を使う方式の場合は携帯料金と一緒に請求が来ます。
後払い現金化のメリット
後払い現金化はグレーゾーンなサービスですが、すぐに現金が手に入る、ブラックでも利用できるといったメリットがあります。以下でこれらのメリットについて詳しく解説します。
すぐに現金が手に入る
後払い現金化は審査が早いのが特徴で、業者のHPには「最短10分で入金可能」「最短30分で審査」などと書かれていることが多いです。審査が早いのは、融資と違い信用情報の審査が必要ないことなどが要因だと考えられます。
ブラックでも利用できる
後払い現金化は融資ではないので、信用情報に傷があるブラックの人でも利用できます。総量規制の対象にもならないので、年収の3分の1以上の借入がある人でも利用可能です。
後払い現金化のデメリット
後払い現金化は、悪質業者が多く手数料も高いのがデメリットだといえます。以下ではこれらのデメリットについて解説します。
悪質業者が多い
後払い現金化は、実態は闇金の一形態であると注意をうながしている弁護士などもおり、悪質業者が多いサービスです。給与ファクタリングが規制されたため、後払い現金化に鞍替えした闇金業者が多いといわれています。
また、個人情報を悪用される可能性もあるとして、金融庁などが注意をうながしています。例えば、闇金業者に個人情報を売却され、闇金業者からしつこく勧誘の電話がかかってくるなどのトラブルが起こる恐れがあります。
手数料が高い
後払い現金化は商品の売買という形をとっていますが、商品購入価格と振り込まれる金額の差額は事実上の手数料に相当します。後払い現金化の手数料は10%から40%以上と非常に高く、利用するとかえって経済状況が悪化する恐れがあります。
これは年利に換算すると数百パーセント以上で、出資法が規定する20%を大きく超える数値です。
後払い現金化に関するQ&A
後払い現金化は周りにバレずに利用したい人が多いと考えられます。そこでこの章では、勤務先情報の提出や電話確認はあるか、転売商品は自宅に届くのかといった点について解説します。
勤務先情報の提出・電話確認は必ずある?
後払い現金化業者の業務の詳細については不明な部分もありますが、一般には携帯決済枠などを利用した転売方式の場合、勤務先情報は聞かれないことが多いといわれています。
一方、携帯決済枠などを使わず業者に直接代金を支払う形式では、支払能力を確認するため勤務先情報を調べることが多いといわれています。
転売商品は自宅に届く?
後払い現金化の転売商品はデジタルコンテンツが多いので、商品が自宅に届くことはほとんどないと考えられます。ただし、ネット上でデジタルコンテンツが送付・ダウンロードされた場合、家族などにそれを閲覧される可能性はあります。
まとめ
後払い現金化はブラックの人でも手早く現金が入手できる手段ではありますが、悪質業者も多く法的にはグレーゾーンなサービスです。法的に問題がないファクタリングとは全く違うサービスであることを理解しておきましょう。
後払い現金化は悪質業者が多く、利用すると高い手数料のためにかえって経済的に困窮するため、利用すべきではありません。貸金業登録している正規の業者から融資を受けるか、多重債務で融資を受けられない場合は国や地方自治体の多重債務相談窓口などに相談しましょう。