「売上はあるのに手元の現金が足りない……」
事業を続けていると、上記のような黒字倒産の危機や大型案件を目前に資金不足で断念せざるを得ない状況が訪れるものです。
売上はあるものの手元の資金が枯渇している状況では、入金のタイムラグを埋めるつなぎ資金は事業を維持・拡大させる生命線です。
本記事では、つなぎ資金とは何かについて日本政策金融公庫・ファクタリングなど7つの具体的な調達手法を解説します。
本記事を読めば、つなぎ資金の基本情報を理解してスムーズに必要な資金を調達できます。
つなぎ資金で資金ショートの不安を解消し、ビジネスチャンスを確実に掴むためにも安定した資金繰りを実現しましょう。
つなぎ資金(つなぎ融資)とは?わかりやすく解説
つなぎ資金とは将来入る予定の売上などが手元に届くまでの間、一時的な資金不足を埋めるために利用する短期的な資金のことです。
売掛金の入金や本融資の実行まで、事業の支払いを維持する役割を担います。
経営現場では、黒字倒産を防ぐための手段として活用されます。
例えば、大型案件受注後に材料費や外注費が先行して発生し、売上の入金されるまでの運転資金として借り入れるなどがつなぎ資金の例です。
つなぎ資金を調達する場面では直近の支払いに充てる資金を確保したいなど、急を要する場面がほとんどです。
そのため、融資であれば審査の早いノンバンクや、日頃から経営状態を把握しているメインバンクへの相談が有効です。
事業者向けと個人(住宅ローン・福祉)向けの違い
つなぎ資金における、事業者向けと個人向けの主な違いを以下の比較表にまとめました。
| 項目 | 事業者向けつなぎ資金 | 個人向け |
|---|---|---|
| 主な用途 | 運転資金、設備投資の着手金、納税 | 住宅の着工金・中間金、公的給付が入金されるまでの生活費 |
| 返済の原資 | 売掛金、確定済みの本融資 | 実行される住宅ローン、公的な支援金 |
| 借入期間 | 数週間〜6ヶ月程度 | 数ヶ月〜1年程度 |
| 主な借入先 | 銀行、信用金庫、日本政策金融公庫 | 銀行、自治体、社会福祉協議会 |
事業者の場合、急な受注増による仕入れ代金の支払いや本融資が実行されるまでの工事代金の支払いなどに利用されます。
融資の場合は銀行から本融資の内諾がでていることが融資の条件となるケースが多く、二段構えの資金調達として活用されるのが一般的です。
一方で、個人向けのつなぎ資金は主に物件購入のために利用されます。
具体的には、注文住宅完成前の土地代・着工金を支払うために住宅ローン実行を前提として借り入れるなどが個人向けつなぎ資金の例です。
また、福祉分野では生活保護や失業給付の申請から支給まで当座の生活費をまかなうためのつなぎ資金を貸し付ける公的な制度が存在します。
つなぎ資金のメリット
つなぎ資金のメリットは、主に以下の2点です。
- 資金ショートによる倒産を回避できる
- 支払いサイトの長い案件や入金まで時間のかかる大型案件・補助金にも挑戦できる
つなぎ資金を上手く活用すれば、資金繰りの悩みを解消して事業展開を止めずに継続させられます。
資金ショートによる倒産を回避できる
つなぎ資金の活用で、資金ショートによる倒産を回避できる点がメリットです。
特に、仕入れ代金や外注費の支払いが売上金の入金よりも先に発生するシチュエーションで効果を発揮します。
実際に、建設業では売上が入金される前に材料費や人件費が数ヶ月先行して発生するケースが珍しくありません。
売上が入金される前に支出が先行する場面において、つなぎ資金を利用しない場合は以下のように資金ショートしてしまう可能性が高まります。
| 時期 | 取引内容 | 収支(例) | 現金残高の推移 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 材料仕入れ・着工 | ▲500万円 | 1,000万円→500万円 |
| 2ヶ月目 | 追加外注費の支払い | ▲600万円 | 500万円→▲100万円 |
| 3ヶ月目 | 工事完了・請求書発行 | 0円 | 債務不履行の状態 |
| 4ヶ月目 | 売上金の入金 | +1,500万円 | 既に債務不履行の状態で手遅れ |
上記のケースでは、2ヶ月目のマイナス100万円が発生した時点で取引先への支払いや従業員の給与が滞り、事業の継続は不可能です。
一方で、つなぎ資金で2ヶ月目の不足分を補填すれば、4ヶ月目の入金で一括返済して事業を継続できます。
支払いサイトの長い案件や入金まで時間のかかる大型案件・補助金にも挑戦できる
つなぎ資金を活用すれば、自社の現預金残高を超える規模のビジネスチャンスを掴める点がメリットです。
特に、支払いサイトが120日を超えるような厳しい条件の案件や精算払いとなる補助金事業において資金不足を理由にした辞退を防げます。
案件によっては納品まで長い期間がかかるにもかかわらず、着手金や中間金がなく完了後の全額払いとなるケースは少なくありません。
先行して発生する経費をつなぎ資金でまかなえれば、上記のような案件でも安心して挑戦できます。
また、補助金を利用する際は先に自費で補助対象となる設備やシステムなどを購入し、実績を報告した後に支払われる後払い制度が基本です。
そのため、自己資金で補助対象の設備やシステムを購入できない場合、外部からつなぎ資金を調達しなければ制度自体を利用できません。
つなぎ資金を外部から調達できれば、利用できる補助金制度の幅も広がり、ビジネスチャンスを拡大しやすくなる点もメリットです。
つなぎ資金が必要になる場面
つなぎ資金が必要になる主な場面は以下の3つです。
- 売上や融資の入金まで時間がかかる時
- 補助金の対象事業の運転資金が必要な時
- 不渡りや災害などの突発的事態が起こった時
これらの事態が起こった時は、あせらずにつなぎ資金を検討しましょう。
売上や融資の入金まで時間がかかる時
売上や融資の入金に時間がかかり、さらに手持ちの現金が少ない時に、つなぎ資金を調達する必要が出てきます。
売上を売掛金や手形で引き受けた場合、入金まで数か月かかることもあるので、それまでの間に必要になる現金は別で確保しておかなければなりません。
現金を確保しておかないと、利益があるのに現金が足りず倒産する「黒字倒産」になってしまう恐れもあります。
また、公的機関や銀行の融資は入金までかなり時間がかかることもあるので、つなぎ資金が必要になることもあります。
補助金の対象事業の運転資金が必要な時
補助金は対象となる事業が終わった後に入金されることが多いので、事業自体は自己資金でまかなう必要があります。
そのため、もし事業の運転資金がない場合は、つなぎ資金を調達しなければ事業が行えません。
運転資金がないために補助金申請をあきらめるという事態を避けるためにも、つなぎ資金の確保は重要だといえます。
ただし、補助金が採択されれば、金融機関がつなぎ融資に応じてくれるケースが多いようです。
不渡りや災害などの突発的事態が起こった時
売掛金や手形の不渡り、または災害など不測の事態で現金が不足した時、つなぎ融資を検討する必要が出てきます。
つなぎ資金の調達方法7選
つなぎ資金の調達方法としては、以下の7つが利用されることが多いです。
これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、審査に通るためのポイントも違います。違いをしっかり理解して、最も適した方法を選ぶことが大切です。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、銀行や消費者金融業者などが提供している事業者向けローンのことです。
基本的なシステムは個人向けカードローンと同じですが、個人向けのように限度枠の範囲内で何度も借入・返済を繰り返せないタイプもあります。
ビジネスローンは主に銀行系と消費者金融系がありますが、消費者金融系は銀行系より審査が甘く金利が高い傾向があります。
ビジネスローンはあくまで事業資金を借りるためのものなので、個人的な目的に使うことはできません。一方、消費者金融の個人向けローンの中には、事業資金に使えるものもあります。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンの主なメリットは以下の通りです。
- 担保や第三者保証が不要なものが多い
- 審査基準が甘い
- 税金を滞納していても利用できることが多い
- 審査期間が短い
- 資金の使用用途に制限がない
ビジネスローンのメリットは、簡単に早く借りられることだといえます。担保や第三者保証は不要なものが多く、審査基準も比較的甘く迅速に借りられます。
特に、消費者金融系のローンは即日融資可能なものが多くある状況です。
審査に関しては、税金の滞納があっても通ることが多く、他の手段に比べてかなり甘いといえます。
また、資金の使用用途に制限がないのが一般的なので、急な事情で別な用途に使いたくなった時でも対応できるメリットがあります。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンのデメリットとしては、以下の点があげられます。
- 調達できる金額が少ない
- 金利が高い
ビジネスローンは審査基準が比較的甘いですが、銀行系は審査が厳しいので、通る前提で資金繰りしていると後で困る恐れもあります。
また、ビジネスローンで調達できる金額は多くても数百万円程度で、他の手段と比べて多額の資金を調達できません。
金利が高いのも欠点で、年利は5%から18%程度になることが多いです。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が出資する金融機関です。事業者を支援するさまざまな融資を提供しており、どの資金も短期で利用できます。
日本政策金融公庫の審査の通過率に公表値はありませんが、50%から60%程度だといわれています。事業計画と決算書がしっかりしていれば、審査に通るのは特別に難しいわけではないといえます。
日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫の主なメリットは以下の通りです。
- 金利や手数料が低い
- 融資額が大きい
- 担保なしの融資も可能
日本政策金融公庫の金利は1%から2%程度で、ビジネスローンに比べるとかなり低いのが特徴です。
また、融資の金額も高額なものが多く、個人事業主で最大数千万円程度、法人で最大数億円程度の融資が可能となっています。
条件によっては無担保の融資が可能なのも、日本政策金融公庫のメリットです。
日本政策金融公庫のデメリット
日本政策金融公庫のデメリットとしては、以下の点があげられます。
- 審査に時間がかかる
- すぐに再申請できないことがある
日本政策金融公庫の融資が入金されるまでの期間は、申し込み完了からおおむね1カ月程度で、ビジネスローンなどに比べるとかなり時間がかかります。数日中にどうしても資金が必要な場面では、日本政策金融公庫は有用ではありません。
日本政策金融公庫は、一度審査に落ちてしまうとすぐに再申請できないことがあるといわれています。つなぎ資金は早さが重要なので、一度落ちると他の調達手段を探すことになる可能性もあります。
信用保証協会を活用した制度融資
制度融資は自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携し、中小企業の資金調達を支援する公的な融資制度です。
つなぎ資金として利用する場合、補助金の入金待ちや設備投資の本融資が実行されるまでの期間を埋める目的で活用されます。
信用保証協会を活用した制度融資のメリット
信用保証協会を活用した制度融資を活用するメリットは、主に以下の3点です。
- 自治体が利子の一部を補給する制度があり、実質的な利払いの負担を抑えられる
- 信用保証協会が保証人となるため、実績の少ない個人事業主でも融資を受けられる確率が高まる
- 制度融資の完済実績は、将来的な銀行のプロパー融資へのステップアップにつながる
特に、創業間もない時期や赤字決算の場合でも事業計画の妥当性と返済計画を明確に示せば、利用できる可能性が高い融資です。
信用保証協会を活用した制度融資のデメリット
信用保証協会を活用した制度融資は利便性が高い一方で、以下のような注意点もあります。
- 銀行と保証協会の二重審査が行われるため、申し込みから着金まで1ヶ月〜2ヶ月を要する場合がある
- 利息とは別に信用保証協会へ支払う信用保証料を支払う必要がある
- 自治体の窓口、銀行、保証協会のそれぞれに提出する書類が多く、事務作業の工数が増加する
急ぎで明日・明後日の支払いに充てたいなど緊急事態には、制度融資のスピードでは対応できない現実があります。
資金不足が予想される段階で、早めに自治体の商工会議所などへ制度融資の利用に関して相談してください。
POファイナンス
POファイナンスは注文書を電子記録債権化し、譲渡担保として銀行から融資を受ける仕組みです。
請求書が発行される前の受注段階で資金を調達できるため、仕入れや人件費が先行する製造業や建設業に適しています。
POファイナンスのメリット
POファイナンスのメリットは、主に以下の3点があげられます。
- 請求書の発行を待たずに、仕事を受けた時点で運転資金を確保できる
- 発注元の信用力が重視されるため、財務基盤が弱い中小企業でも利用しやすい傾向にある
- 通常の融資枠とは別枠で設定されるケースが多く、既存の借入に影響を与えずに資金調達が可能
大型案件を受注したものの、着手金が得られず材料費が払えないなどのジレンマを解消する有効な手段となります。
POファイナンスのデメリット
POファイナンスにはメリットがあるものの、以下のようなデメリットも存在します。
- 発注元企業がPOファイナンスのプラットフォームを導入している必要がある
- 利息に加えてシステム利用料などが発生し、銀行融資よりも実質的なコストが高くなるケースがある
- 一定以上の信用力がある企業からの受注に限られるなど、全ての注文書が対象になるわけではない
POファイナンスを利用する際、受注者側だけでなく発注元の企業も同じシステムに登録しなければなりません。
そのため、POファイナンスによる資金調達を実施している事実を発注元に知られてしまいます。
POファイナンスを利用する際は発注元に資金繰りに困っていると誤解されないよう、制度の仕組みを正しく説明して同意を得るプロセスが重要です。
不動産担保ローン
不動産担保ローンとは、不動産を担保にした融資です。不動産担保ローンの用途は原則自由なので、つなぎ資金として利用することもできます。
不動産担保ローンのメリット
不動産担保ローンのメリットは以下の通りです。
- 担保価値によっては高額の融資が可能
- 金利が比較的低い
- 赤字・債務超過でも融資できる可能性がある
- 設立間もない会社でも融資できる可能性がある
- 親族所有の不動産も担保にできる場合がある
`年利は1%から7%くらい、融資額は数百万円から1億円程度で、中には5億円以上の融資が可能と謡っているところもあります。
また、審査は信用力と担保価値の両方を加味するので、赤字・債務超過の企業や設立間もない企業でも、担保価値が十分なら融資を受けられる可能性があります。
担保となる不動産は原則として法人か代表者所有のものになりますが、代表者の親族が保有する不動産も担保にできる場合があります。
不動産担保ローンのデメリット
不動産担保ローンのデメリットは以下の通りです。
- 不動産がないと利用できない
- 返済できないと不動産を売却される
- 必要書類が多く準備と審査に手間がかかる
- 融資までにやや時間がかかる
- 手数料が高額になりがち
不動産担保ローンでは、決算書や事業計画書などに加えて、登記簿謄本やローン残高証明書といった不動産関連の書類が必要です。また、不動産価値の判定のために現地調査があり、審査にやや手間がかかります。
ビジネスローンに比べると融資までに時間がかかるのも、不動産担保ローンのデメリットです。融資までの期間は最短1週間程度で、長いと1カ月くらいかかることもあります。
不動産担保ローンは手数料が高くなりがちなのも注意しておきたい点です。たとえ金利が低くても、登記や保険などの手数料を加味するとあまり有利にならないケースも考えられます。
手数料の具体的な内容としては、まず抵当権の登録免許税が融資額の0.4%かかり、手続きを司法書士などが代行した場合はその報酬もかかります。
保険に関しては、火災保険や生命保険の加入が必要になる場合があります。
手形割引
手形割引とは、支払日がまだ来ていない手形を銀行や手形割引業者に買い取ってもらうことです。支払日がまだ先の手形がある場合は、手形割引をつなぎ資金の調達手段として利用できます。
手形割引のメリット
手形割引のメリットは以下の通りです。
- 入金までのスピードが比較的早い
- 審査は比較的ゆるい
- 赤字・債務超過でも利用可能
- ローンを返済する必要がない
- 担保や保証人が不要
手形割引を申し込んで入金されるまでの期間はだいたい数日程度で、即日現金化できることもあります。ビジネスローンほどではないものの、スピードは比較的早い点が特徴です。また、一般的な融資に比べて審査はゆるいといわれています。
手形割引は振出人の信用力も審査対象なので、財務状況が悪い会社でも利用できる可能性があります。ただし、受取人側も不渡りの時に買い戻す信用力は審査されるので、財務状況がよいほうが有利です。
手形割引は不渡りにならなければ返済の必要がないのもメリットといえます。また、手形自体が担保となるので、別途担保や保証人を用意する必要がありません。
手形割引のデメリット
手形割引のデメリットは以下の通りです。
- 不渡りになると買い戻さなければならない
- 手数料がかかる
- 持っている手形の額しか調達できない
- 分割譲渡しにくい
手形が不渡りになると受取人が買い戻さなければならないのは、必ず留意しておかなければならない点です。
また、手形割引は手数料が引かれるので、支払日まで待って現金化するより損になります。早く現金化できるメリットと手数料が引かれるデメリットを比較して、メリットが大きい時のみ利用するべきです。
持っている手形の額しか調達できないのも、手形割引のデメリットだといえます。手形割引で十分な資金を調達できない場合、他の手段も併用しなければなりません。
また、紙の手形は一部分だけを現金化するのが難しいので、例えば100万円のつなぎ資金が必要な時に1,000万円の手形しかないようなケースでは、手形割引は利用しづらくなります。
電子記録債権(でんさい)は分割譲渡できるので、つなぎ資金にちょうどよい紙の手形がない場合は、でんさいを手形割引と同様に買い取ってもらえる「でんさい割引」を利用するのもよいでしょう。
ファクタリング
ファクタリングとは、売掛金を支払期日前にファクタリング業者に売却して現金化することです。手数料が引かれますが、早く現金化できるメリットのほうが大きい時に有効な手段となります。
ファクタリングには、債権者とファクタリング業者の2者間のみで契約する「2者間ファクタリング」と、売掛先の承諾を得る「3者間ファクタリング」があります。
2者間ファクタリングでは、まず債権者がファクタリング業者に売掛債権を売却した後、支払期日が来たら通常通り債権者が売掛金を回収します。そして、回収した売掛金をファクタリング業者に支払って手続き完了となります。
一方、3者間ファクタリングは、売掛先がファクタリング業者に直接売掛金を支払います。
2者間ファクタリングは売掛先に知られずに行えるメリットがありますが、手数料は高めで審査もやや厳しくなります。
3者間ファクタリングは手数料が安く審査に通りやすいですが、手続きに手間がかかるのがデメリットです。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは以下の通りです。
- 信用情報に影響しない
- 返済の必要がない
- 担保や保証人が不要
- 不渡りになっても買い戻さなくてよい
- 入金までのスピードが早い
- 審査が比較的ゆるい
- 赤字や債務超過の会社でも利用できる
ファクタリングは売掛金の売却であって融資ではないので信用情報に影響せず、返済の必要もなく担保や保証人も不要です。また、手形割引と違って不渡りになっても買い戻さなくていいのもメリットだといえます。
入金までのスピードは2者間ファクタリングなら即日から2日程度で、ビジネスローンに劣らない早さです。ただし、3者間ファクタリングは1週間程度かかることもあります。
審査は一般の融資に比べるとゆるく、売掛先に信用力があれば赤字や債務超過の会社でも審査に通ることがあります。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは以下の通りです。
- 手数料は高め
- 手持ちの売掛金の額しか調達できない
- 分割譲渡できない
- 売掛先からの印象が悪くなる可能性がある
ファクタリングの手数料は2者間で10%から18%くらい、3者間で2%から10%くらいで、全体的に高めの傾向があります。
手持ちの売掛金の額しか資金調達できない、分割譲渡できないといった点は、手形割引と同様のデメリットです。
また、売掛先の承諾を得る3者間ファクタリングの場合、売掛先から「経営が苦しいのではないか」と印象が悪くなる可能性もあります。
つなぎ資金・融資はもったいない?デメリット・注意点を解説
つなぎ資金・融資にはメリットが数多くありますが、一方で以下のようなデメリット・注意点も存在します。
- 金利・手数料の負担が高く利益を圧迫しやすい
- 慢性的に利用すると自転車操業となりやすい
- 無闇に利用すると返済不能に陥る
したがって、利用する際は確実な返済計画を立て、あくまで一時的な措置である点を念頭に置く必要があります。
金利・手数料の負担が高く利益を圧迫しやすい
つなぎ資金のデメリットは、通常の資金調達と比較して金利・手数料が高く設定されている点です。
特に借入の場合、金融機関側にとって短期間の融資は手間がかかる割に収益が低くリスクも伴うため、金利を高めに設定する傾向があります。
借入を例にした場合、通常の融資とつなぎ資金として借りる場合の具体的なコストを比較すると以下の通りです。
| 項目 | 通常の融資 | つなぎ資金としての融資 |
|---|---|---|
| 金利目安 | 1%〜3%程度 | 3%〜15%程度 |
| 事務手数料 | 数万円程度 | 融資額の数%が多い |
| 保証料 | 信用保証協会などの規定 | 独自設定や割増の場合あり |
そのため、利益率が低い事業においてつなぎ資金を多用すると、売上はあっても手元に利益が残らない状況に陥ります。
慢性的に利用すると自転車操業となりやすい
慢性的なキャッシュフロー不足を補うためにつなぎ資金を繰り返し調達すると、自転車操業になりやすい点にも注意が必要です。
つなぎ資金を慢性的に利用して自転車操業に陥る主な原因は、以下の通りです。
- 入金予定が遅延し、返済のために別のつなぎ融資を受ける
- つなぎ資金の返済によって、次月の運転資金が不足する
- 金利・手数料の支払いが累積し、自己資金が目減りする
つなぎ資金は一時的な資金の補填として活用すべきであり、毎月の支払い原資が足りない場合はビジネスモデル自体の見直しが必要です。
一度つなぎ資金へ依存してしまうと、追加の資金を調達できなくなった瞬間に経営が破綻するリスクを常に抱えてしまいます。
無闇に利用すると返済不能に陥る
つなぎ資金を融資で調達する場合、無闇に利用すると返済不能に陥る点にも注意が必要です。
つなぎ資金は後に控える本融資や売掛金の入金を返済原資とするため、前提となる資金調達が失敗すると一気に返済不能となります。
特に、つなぎ資金を利用する際は以下のリスクがある点を理解しておかなければなりません。
| リスク要因 | 発生の原因 | 経営への直接的な影響 |
|---|---|---|
| 本融資に審査落ちする | 住宅ローンや公的融資の最終審査で否決される | 数千万円単位の返済を即座に迫られる |
| 売掛先が倒産して損失を受ける | 支払いを予定していた取引先が経営破綻する | 返済原資を失い、資金ショートに直結する |
| 追加融資を拒否される | 融資履歴から資金繰りが悪化していると判断される | メインバンク等の金融機関から支援が止まる |
確実な返済計画がない状態でつなぎ資金を利用するのは、経営の命取りになりかねません。
つなぎ資金を利用する際は、万が一予定していた資金が入らなかった場合の対策も考える必要があります。
各つなぎ資金の調達方法における審査通過のポイント
各つなぎ資金の調達方法における審査通過のポイントを、以下の観点に分けて解説します。
- 各つなぎ資金調達の審査で見られる共通ポイント
- ビジネスローンは決算書・業歴が主な審査対象
- 日本政策金融公庫は事業計画書と税金の納付状況が重要になる
- 信用保証協会を活用した制度融資は資格要件や返済能力を多角的に評価する
- 不動産担保ローンは不動産の担保価値が優先される
- 手形割引は振出人の信用で審査通過の可否が決まる
- ファクタリング・POファイナンスは売掛先の信用力が重視される
各つなぎ資金の調達方法によって審査の重点が自社の業績にあるのか、それとも資産や取引先にあるのかが異なります。
自社の現状や強みに最も合致した手段を選び、スムーズに必要な資金を調達しましょう。
各つなぎ資金調達の審査で見られる共通ポイント
つなぎ資金の審査において、金融機関や審査担当者は貸したお金が返ってくる根拠を最優先で確認します。
具体的には、以下の2点が各つなぎ資金調達の審査で共通して見られます。
| 審査項目 | 求められる対応・基準 |
|---|---|
| 資金使途の明確化 | 「何に使い、いつ返すか」を具体的かつ論理的に説明できる |
| エビデンスの準備 | 口頭説明だけでなく、客観的な証拠資料を提示する |
例えば、資金使途に関しては以下のように具体的かつ論理的な説明が必要です。
「A案件の仕入れ代金として〇〇万円が必要で、B社からの入金が×月×日にあるため、完済できる」
また、以下のように資金が必要な理由や返済が可能な根拠を客観的な証拠資料として審査で提示する必要があります。
- 資金が必要な根拠となる発注書・請求書
- 返済原資となる入金予定を示す契約書・注文書
上記のような必要書類に不備や矛盾があると資金繰りに関する管理能力を疑われ、審査落ちの原因となります。
ビジネスローンは決算書・業歴が主な審査対象
ビジネスローンの審査では、主に以下の項目が数値的に評価されます。
| 審査項目 | 審査の仕組み・基準 | 重視される指標 | 審査への影響・注意点 |
|---|---|---|---|
| 決算書の内容 | 決算書の数値をコンピュータに入力し、自動的に点数化するスコアリングシステムを採用するケースが多い | ・売上高
・利益率 ・自己資本比率 |
赤字決算や債務超過の状態では点数が伸び悩み、審査通過が難しくなる |
| 業歴と事業の継続性 | 「事業がどれだけ長く続いているか」を確認し、安定性を評価する | 事業歴の長さ | 業歴が長いほど「事業が安定している」とみなされ、プラス評価につながる |
なお、決算書上の数字が悪い場合でも減価償却費を足し戻した実質キャッシュフローがプラスであれば、審査に通過できる可能性があります。
ビジネスローンへ申し込む前に、自社の財務状況を正確に把握しておきましょう。
日本政策金融公庫は事業計画書と税金の納付状況が重要になる
政府系金融機関である日本政策金融公庫は民間金融機関に比べて低金利で融資を受けられる点がメリットですが、審査は厳格に行われます。
特に、日本政策金融公庫の審査で重視されるのは以下の2点です。
| 審査項目 | 求められる内容 | 評価のポイント・基準 | 審査への影響・注意点 |
|---|---|---|---|
| 事業計画書の実現性 | つなぎ資金が必要となった経緯や今後の資金繰り見通しの提示 | 単なる希望的観測ではなく、具体的な受注予定や市場動向に基づいた根拠のある数値計画か | 計画に具体性がないと、返済の確実性が低いと判断される |
| 税金の納付状況 | 所得税、法人税、消費税などの納税状況の確認 | 税金を滞納していないことが必須条件 | 未納がある時点で返済能力や経営者の資質に問題ありと判断され、融資の可能性は極めて低くなる |
日本政策金融公庫の融資は、申し込みから融資が決まるまでに2週間程度の時間を要するケースが一般的です。
緊急の資金調達には向かない場合があるため、余裕を持ったスケジュールで相談に行く必要があります。
参考:よくあるご質問 事業を営む方 個人・小規模企業の方|日本政策金融公庫
信用保証協会を活用した制度融資は資格要件や返済能力を多角的に評価する
制度融資の審査は金融機関と信用保証協会の双方で行われますが、実質的な決定権は協会側が握っています。
信用保証協会を活用した制度融資の審査で重要視される点が、主に以下の2つです。
| 審査段階・項目 | 概要・目的 | 主な確認事項(チェックポイント) |
|---|---|---|
| 資格要件の確認 | 融資の対象として適格かどうか、要件を満たしているかを最初に確認する | ・対象となる業種であるか
・事業所の所在地が自治体内にあるか ・事業に必要な許認可を取得しているか |
| 返済能力 | 決算書の数字だけでなく、多角的な視点から返済能力を総合的に審査する | ・決算書の内容
・経営者の資質 ・業界の動向 ・現在の借入金の状況 ・過去の返済履歴 |
なお、制度融資では担当者との面談も重要な審査項目の一つです。
自社の事業内容や資金が必要な理由を経営者自身の言葉で熱意を持って伝えることが、プラスの評価につながります。
不動産担保ローンは不動産の担保価値が優先される
不動産担保ローンの審査において重視されるのは、決算内容ではなく「担保となる不動産にどれだけの価値があるか」に尽きます。
具体的には、主に以下の2つを不動産担保ローンの審査では確認されます。
| 審査項目 | 定義 | 審査のポイント |
|---|---|---|
| 担保掛目(LTV)と評価額 | ・担保掛目(LTV):担保不動産の評価額に対して、融資可能な割合を示す比率
・評価額:金融機関が算出する不動産の時価相当額 |
・LTVが高すぎると不動産価格下落リスクが増大するため、審査で減額や否認の可能性がある
・評価額が低いと希望額の融資が受けられない ・第1順位の場合、LTVが高く設定されやすい |
| 抵当権の順位 | 一つの不動産に複数の抵当権が設定された場合の優先弁済順位で、第1順位が最優先 | ・第1順位は回収リスクが低いため、LTV・融資額が高く金利は抑えやすい
・第2順位以降は回収リスクが高いため、LTVが低く抑えられ、金利が高めになりやすい ・多くの金融機関は第1順位を条件とする |
なお、赤字決算や銀行リスケ中であっても、担保価値さえ十分であれば審査に通る確率は十分にあります。
ただし、不動産の鑑定や登記設定に時間を要するため、申し込みから着金まで1週間〜2週間程度見ておきましょう。
手形割引は振出人の信用で審査通過の可否が決まる
手形割引の審査対象は、割引を依頼する自社ではなく手形を振り出した企業(振出人)の信用力です。
上場企業や公的機関など社会的信用の高い企業が振り出した手形であれば、持ち込んだ企業が赤字であってもスムーズに審査を通過します。
一方で、振出人の経営状態が悪いと判断された場合は手形割引の利用を拒否されるケースがあります。
なお、銀行での手形割引は利用者の信用状況もチェックされるため、審査が厳しい上に融資枠の設定が必要です。
急ぎの場合や融資枠がない場合、手数料は割高になるものの手形割引専門の業者を利用するのが現実的な選択肢となります。
専門業者は独自のデータベースを持っており、即日で可否を判断してくれるケースが大半です。
ファクタリング・POファイナンスは売掛先の信用力が重視される
ファクタリング・POファイナンスの審査基準は自社の返済能力ではなく、「売掛先が期日通りにお金を支払えるか」です。
ファクタリング・POファイナンスの審査で具体的に見られるポイントは、以下の通りです。
| 手法 | 活用タイミング | 審査の最重要ポイント |
|---|---|---|
| ファクタリング | 請求書発行後 | 売掛先の信用力、売掛債権の健全性 |
| POファイナンス | 受注段階 | 発注者の信用力、自社の納品遂行能力 |
ファクタリングの場合は売掛先が倒産リスクの低い企業であれば、自社が債務超過や税金滞納の状態でも利用が可能です。
審査では売掛先との継続的な取引履歴などが重視され、架空債権でないことの裏付けが求められます。
なお、POファイナンスは受注時点で資金を調達できる手法ですが、「本当に商品を納品できるか」という自社の実務能力も審査されます。
そのため、POファイナンスの審査では過去の納品実績や業務体制を示した資料の提出を求められるケースが一般的です。
ファクタリングなら「BESTPAY」がおすすめ
つなぎ資金を必要とする事業者にとって、最もおすすめできるサービスは注文書買取ファクタリングのBESTPAYです。
一般的なファクタリングは納品後の請求書を資金化しますが、BESTPAYは仕事に着手する前の注文書を買い取る仕組みです。
納品を待たずに資金を調達できるため、これから始まる案件の材料費・外注費・人件費のような先出しの費用を確実にカバーできます。
なお、BESTPAYの注文書ファクタリングにおける強みは、以下の通りです。
- 最短で翌日の入金が可能で急な資金ショートの危機を即座に回避できる
- 利用者とBESTPAYの2社間取引となるため、発注元への通知や承諾は一切不要
- 万が一、売掛先が倒産して代金が回収不能になっても利用者が弁済責任を負う必要はない
買取手数料は低水準の5%〜となっており、利用可能額は30万円から最大1億円まで対応しています。
建設業や製造業など、大型案件の受注により一時的にキャッシュフローが悪化しやすい業種での利用実績も豊富です。
つなぎ資金の調達をお考えの場合は、ぜひBESTPAYの注文書ファクタリングをご検討ください。
つなぎ資金とは何かしっかり理解して経営に活かそう!
キャッシュフローが健全な会社でも、状況の変化によってつなぎ資金が必要になる場面は起こり得ます。
つなぎ資金の調達失敗は黒字倒産など致命的な事態につながる恐れもあるので、調達方法やメリット・デメリットをしっかり理解して、うまく経営に活かすようにしましょう。



