売掛債権を現金化する方法として、手形割引とファクタリングという2つの方法があります。
資金が必要になったとき、どちらの方法で資金化すべきなのか「違いが分からないから判断できない」という方も多いのではないでしょうか?
手形割引とファクタリングは「売掛債権を早期資金化する」という方法は同じですが、特徴やメリット・デメリットは大きく異なるので、違いを理解した上で適切に使い分けることが重要です。
売掛債権が手元にある時には、コストや資金化までの日数や売掛債権のリスクを勘案して最適な方法で資金化しましょう。
手形割引とファクタリングの違いを徹底解説していきます。
手形割引とは
手形割引とは、期限が到来する前に受取手形を金融機関へ売り渡して現金化することです。
例えば5月31日が期限の手形は5月31日になるで入金されません。
そこで手形割引を利用することによって、手形期日前に現金化できるようになります。
手形の期限が到来すると、金融機関が手形の取り立てを行うため、利用者は手形期日には何もする必要はありません。
手形割引のメリット
手形割引には次のようなメリットがあります。
- 期限到来前に資金化できる
- 低コストで資金調達できる
- 裏書譲渡された手形も割引できる
手形割引は期限前に低コストで現金化でき、さらに裏書譲渡された手形も資金化できます。
手形割引の3つのメリットについて詳しく解説していきます。
期限到来前に資金化できる
手形割引を利用すれば期限が到来する前に資金化することができます。
売掛債権は期限になるまで資金化できない資産ですが、手形割引を利用して現金化することによって様々な支払いに利用することが可能です。
支払手段としては利用できない資産を支払手段に変えられるのが、手形割引のメリットです。
低コストで資金調達できる
手形割引はファクタリングと比較して低コストで資金調達できます。
利用企業の業況や銀行との取引状況によりますが、概ね年利1%〜5%程度の金利で手形割引を利用することができます。
例えば期日が30日後の1,000万円の手形を金利5%で手形割引した場合、手数料は1,000万円×5%÷365日×30日=41,095円となります。
1,000万円もの資金調達をたったの4万円程度のコストで資金調達できるのは手形割引の大きなメリットです。
裏書譲渡された手形も割引できる
手形割引は裏書譲渡された手形も割り引くことができます。
裏書譲渡とは、自社の買掛金を支払うために、他社から受け取った受取手形を他社へ譲り渡すことです。
具体的に言えば、A社がB社へ売り上げた際に代金としてB社から受け取った手形を、A社の仕入れ先であるC社への支払いのために譲り渡すことです。
この際、C社は裏書譲渡された手形を保有していますが、手形割引ではこの裏書譲渡された手形も割引することができます。
売掛金の場合には、そもそも他社への支払いのために自社が保有する売掛金を譲り渡すことができないため、裏書譲渡された手形を譲渡できるという点は手形割引の大きな特徴です。
手形割引のデメリット
手形割引には次のようなデメリットもあるので理解しておきましょう。
- 手形がないと割引できない
- 借入金として負債になる
- 手形がデフォルトした場合には責任が生じる
手形割引はそもそも手形がないと利用できませんし、貸借対照表にも悪影響です。
さらに手形振出企業に万が一のことがあった場合には、金銭的に大きな損失を負ってしまう可能性もあります。
手形割引のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
手形がないと割引できない
手形割引は手形がないと割り引くことはできません。
そもそも、昨今は手形の発行自体が大幅に減少しているため、「取引先から手形で売上を受けることはない」という企業も多いのではないでしょうか?
財務省の「法人企業統計調査」によると、手形の発行残高は1990年度の約107兆円をピークに減少傾向で、近年は約25兆円となっています。
手形割引は手元に手形がある企業でなかれば利用できないので、売掛金しか手元にない企業はファクタリングなどの方法を利用するしかありません。
借入金として負債になる
手形割引は貸借対照表には「借入金」として流動負債の欄に計上されます。
つまり、手形割引を利用することは借入金を増やすということであり、自己資本比率などの貸借対照表から分析されるさまざまな指標が悪化します。
今は、不要な資産や負債は保有しない貸借対照表のオフバランス化が重視される時代ですので、手形割引を利用することで負債が増えるのはデメリットだと言えます。
手形がデフォルトした場合には責任が生じる
割引を行った手形が万が一デフォルト(期日通りに支払われない)場合には、申込企業に責任が生じ、手形を割り引いた金融機関に対して、手形金額を補償しなければなりません。
手形割引は償還請求権ありで行われるので、利用後にはデフォルトしても申込企業に責任が生じない償還請求権なしで行われるファクタリングと比較してデメリットだと言えます。
手形振出企業の業況によっては、後から金銭的に大きな負担を強いられる可能性があります。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは売掛債権の売却です。
売掛債権をファクタリング会社へ手数料を支払って売却することで、最短即日で資金調達できます。
ファクタリングのメリット・デメリットについては以下の記事をご覧ください。
****
ファクタリングと手形割引の7つの違い
ファクタリングと手形割引には次の7つの違いがあります。
- 売却か借入か
- 償還求償権の有無
- 資金調達コスト
- 審査されるポイント
- 資金調達までの時間
- 売掛先に知られるかどうか
- 貸金業法の適用
7つの違いをまとめると以下のようになります。
手形割引 | ファクタリング | |
売却か借入か | 借入 | 売却 |
償還請求権の有無 | あり | なし |
資金調達コスト | 年利1%〜5%程度 | 最大20%程度 |
審査されるポイント | 自社および手形振出企業 | 売掛先企業 |
資金調達までの時間 | 数日〜1週間程度 | 最短即日 |
売掛先に知られるか否か | 知られない | 2社間ファクタリングは知られない |
貸金業法の適用 | 適用 | 適用されない |
ファクタリングと手形割引の違いをしっかりと理解しておくことによって、適切な方法で資金調達できるようになります。
ファクタリングと手形割引の7つの違いについて詳しく解説していきます。
売却か借入か
ファクタリングは売掛債権の売却で、手形割引は借入に該当します。
そのため、ファクタリングを利用した場合は、貸借対照表には負債として計上されることはありません。
「売掛金」という資産を「現金預金」という資産へ交換しただけの処理となります。
一方、割引手形は貸借対照表上で流動負債へ計上されます。
手形割引を行うと負債がその分増えるので、貸借対照表が大きくなってしまいますが、ファクタリングであれば負債は増えないので貸借対照表(バランスシート)のオフバランス化につながります。
償還求償権の有無
ファクタリングには償還請求権がありません(ノンリコース)が、手形割引には償還請求権があります(ウィズリコース)。
償還請求権とは、売却したり割り引いた売掛債権が期日通りに履行されなかった場合に、元の所有者に対して支払いを請求する権利のことです。
ファクタリングは償還請求権なし(ノンリコース)で行われるので、万が一ファクタリング後に売掛債権が期日通りに支払われなかった場合にも、ファクタリング会社がその損失を負ってくれます。
一方、手形割引は償還請求権あり(ウィズリコース)で行われるので、万が一、手形割引後に売掛債権が期日通りに支払われなかった場合は、申込企業が金融機関から損失の補填を求められます。
資金調達コスト
資金調達にかかるコストもファクタリングと手形割引では大きく異なります。
手形割引は手形金額に対して年利で1%〜5%程度の手数料が発生します。
そのため、1ヶ月先が期日の1,000万円の手形を割り引いた場合、手数料は8,200〜41,000円程度です。
一方、ファクタリングは2社間の場合で売掛債権金額に対して10%〜20%程度の利率の手数料が発生します。
1,000万円の売掛債権を手数料10%で売却した場合には、100万円もの高額な手数料が発生するので、ファクタリングの方が資金調達コストは手形割引と比較して圧倒的に高くなると認識しておきましょう。
審査されるポイント
手形割引とファクタリングでは審査されるポイントが大きく異なります。
ファクタリングにおいて審査で重視されるポイントの大部分が売掛先企業です。
償還請求権なしで行われるファタリングにおいて、ファクタリング会社にとってのリスクは「売掛先企業が期日通りに代金を支払うことができる企業かどうか」のみと言っても過言ではありません。
そのため、申込企業が赤字や債務超過で非常に業況が悪かったとしても、問題のない企業の売掛債権であればファクタリング審査に通過できる可能性があります。
一方、手形割引では、手形振出企業だけでなく申込企業の業況についても審査が行われます。
手形割引は償還請求権があるので、万が一手形が期日通りに履行されない場合には、申込企業が支払いの義務を負っているためです。
そのため、手形を割り引く金融機関にとっても「万が一の際に手形代金を支払うことができる企業かどうか」という点はリスク管理上、非常に重要です。
いくら優良企業が振り出した手形でも、申込企業が赤字や債務超過で全く支払い能力が求められないのであれば、手形割引の審査に通過できないこともあります。
ファクタリングと手形割引では、申込企業の審査への影響度が大きく異なります。
資金調達までの時間
ファクタリングと手形割引では資金調達までの時間も異なります。
2社間ファクタリングであれば、最短即日で資金調達に対応しているファクタリング会社は多数存在します。
しかし手形割引の場合、資金化まで平均的には3日〜1週間程度の時間が必要です。
ほとんどのケースでファクタリングの方が資金調達までの時間がかかりません。
なお、金融機関に手形割引の極度枠を保有している企業は、実質的には審査なしで手形割引に対応してもらえるので最短即日で資金調達することも可能です。
売掛先に知られるかどうか
売掛先企業に知られるかどうかという点もファクタリングと手形割引では違いがあります。
手形割引は売掛先企業へ通知はされないので、手形割引を利用したことを売掛先企業が知ることはありません。
一方、ファクタリングは契約形態によって違いがあります。
2社間ファクタリング | ファクタリング会社と申込企業の2社で契約 | 売掛先企業には知られない |
3社間ファクタリング | ファクタリング会社と申込企業と売掛先企業の3社で契約 | 売掛先企業に知られる |
ファクタリングを3社間で利用する場合には、売掛先企業に知られてしまうので注意しましょう。
売掛先企業に秘密でファクタリングをしたいのであれば、2社間ファクタリングを利用するようにしてください。
貸金業法の適用
ファクタリングと手形割引では貸金業法が適用されるかどうかも異なります。
ファクタリングは借入ではないので、貸金業法は適用されません。
そのため、手数料等もファクタリング会社が自由に決めることができます。
一方、銀行などの金融機関ではなく民間会社と手形割引をする場合には貸金業法が適用されます。
貸金業法は法律によって不適切な業者を取り締まり、安全に融資を利用できるように様々なルールが設けられています。
貸金業法では金利の上限も次のように定められています。
融資金額 | 上限金利 |
10万円未満 | 20.0% |
10万円以上100万円未満 | 18.0% |
100万円以上 | 15.0% |
そのため、手形割引でも上記の金利を超える手数料を設定することはできません。
なお、銀行と手形割引を利用する場合には、貸金業法ではなく銀行法が適用されます。
手形割引の方が法律によって詳細に決められたルールのもとで取引できるので、安全だということはできるでしょう。
ファクタリングと手形割引に共通するメリット
ファクタリングと手形割引に共通するメリットとしては次の3点を挙げることができます。
- 売掛債権を資金化できる
- 他の資金調達方法よりも早めに資金調達できる
- 返済の心配がない
早期に売掛債権を資金化できますし、期日になっても自社には返済の義務がないので、返済期日にお金を用意しなければならない心配はありません。
ファクタリングと手形割引に共通する3つのメリットを解説します。
売掛債権を資金化できる
手形割引もファクタリングも売掛金や受取手形などの売掛債権を期日前に資金化できるのがメリットです。
売掛金も受取手形も期日なるまでは資金化できない資産ですので、事業に活用することができません。
しかしファクタリングや手形割引を利用することによって期日を待たなくても資金化して、事業に必要なさまざまな支払いに充てることができる方法です。
売掛債権という資金繰りには寄与しない資産を活用して資金繰りできるという点は、ファクタリングと手形割引に共通したメリットです。
他の資金調達方法よりも早めに資金調達できる
ファクタリングも手形割引も他の資金調達方法と比較して、資金調達までの時間がかかりません。
ファクタリングは2社間であれば最短即日資金化できます。
また、手形割引も数日程度で資金化できますし、極度枠を持っていれば最短即日で資金化できます。
銀行融資で1週間〜2週間、日本政策金融公庫であれば2週間〜3週間程度、資金調達するまでに時間がかかることを鑑みれば、ファクタリングも手形割引も、資金調達までに時間がかからないという点は共通したメリットだと言えます。
急いでいる場合には売掛債権を活用した資金調達方法を検討しましょう。
返済の心配がない
ファクタリングも手形割引も期日に返済する必要がありません。
返済は売掛先企業が行うためです。
通常、融資を利用すると、返済期日に返済金を用意しなければなりません。
しかしファクタリングも手形割引も返済の心配をする必要なく事業活動が可能です。
なお、2社間ファクタリングは期日に売掛先企業が自社に振り込んだ代金を自社がファクタリング会社へ送金する必要があるので、全く返済の必要がないわけでもありません。
2社間ファクタリングを利用する場合には、返済についても考慮するようにしてください。
ファクタリングと手形割引に共通するデメリット
ファクタリングと手形割引には次の2つ共通するデメリットがあります。
- 売掛債権の範囲までしか資金化できない
- 本質的には資金繰りは改善しない
用意できる金額は限られますし、短期的に資金確保ができたとしても本質的に資金繰りは改善しません。
ファクタリングと手形割引に共通する2つのデメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。
売掛債権の範囲までしか資金化できない
ファクタリングも手形割引も売掛債権の金額が資金調達できる限度額です。
長期借入金のように、売上の何倍もの金額の資金調達はできません。
これらの方法で資金調達できるのは、あくまでも「売掛金や受取手形などの将来入金予定になるもの」に限られます。
売掛債権金額を超えるような金額の資金調達を希望するのであれば、他の資金調達方法を検討すべきでしょう。
本質的には資金繰りは改善しない
ファクタリングも手形割引も、「期日になれば入金になる予定の金額を前倒しで受け取る」という資金調達方法です。
そのため、これらの方法では本質的に資金繰りが改善することはありません。
むしろ、本来であれば期日に入金になる予定の代金を前もって受け取ってしまっているため、期日になる頃には再度資金繰りが苦しくなる可能性もあります。
どこかで売上を拡大させるか、長期借入金を利用しなければ本質的に資金繰りは改善しません。
一度利用してしまうと、手形割引やファクタリングから抜け出せなくなるリスクがあるという点も理解しておきましょう。
ファクタリングに向いている事業者
手形割引よりもファクタリングに向いている事業者として次のような方が挙げられます。
- 借入金の審査に通過できない方
- 売掛債権の不良債権化が心配な方
- すぐに資金が必要な方
- 非対面で資金調達したい方
融資審査に落ちてしまった方や、売掛先の業況が心配な方、また資金が必要なタイミングが今日や明日などの場合にファクタリングが向いています。
以下の4つのいずれかに当てはまるのであれば、手形割引よりもファクタリングの利用を検討した方がよいでしょう。
借入金の審査に通過できない方
ファクタリングは借入金の審査に通過できない事業者に向いています。
償還請求権なしのファクタリングでは、ファクタリング会社にとっては「申込企業が信頼できる企業かどうか」ということは重要ではありません。
そのため、申込企業が赤字や債務超過で借入金の審査に通過できない状態でも、ファクタリングであれば審査に通過して資金調達できる可能性があります。
銀行や日本政策公庫などの金融機関から融資を断られてしまった企業は、ファクタリングで資金調達することに向いています。
売掛債権の不良債権化が心配な方
手持ちの売掛債権が「期日通りに支払われるかどうか心配」という企業は、ファクタリングを利用するとよいでしょう。
ファクタリングは償還請求権なしで行われるので、万が一、ファクタリング後に売掛債権が入金にならなくてもファクタリング会社がその損失を負ってくれます。
ファクタリングでは、売掛債権の回収リスクも一緒に売却できるので「初めての取引だから期日通りに支払ってくれるかどうか心配」という企業の売掛債権があれば、ファクタリングで売却してしまうのがよいでしょう。
なお、売掛債権が期日通りに支払われなかった場合のみ、代金が保証される「保証ファクタリング」という商品もあるので、「資金繰りには問題ないが売掛債権のデフォルトが心配」という企業は保証ファクタリングの利用も検討してください。
すぐに資金が必要な方
できる限り早く資金が必要な方はファクタリングが向いています。
2社間ファクタリングであれば、今や多くのファクタリング会社が最短即日買取に対応しています。
ファクタリング会社によっては申込から最短10分で資金化に応じてくれる業者もあるほど、今やファクタリングで資金化までにかかる時間はどんどん短くなっています。
「銀行の営業時間内に資金を用意しないと手形が不渡りになる」など、どうしても今日の今日、お金が必要な場合には、手形割引ではなくファクタリングを選択した方がよいでしょう。
非対面で資金調達したい方
誰にも会わずに非対面で資金調達したいという方もファクタリングの方が向いています。
融資や手形割引では必ず金融機関の窓口に行って申込をしなければなりません。
しかし、一部のファクタリング会社はWebから申し込み、Web完結で契約できる方式を採用しているため、ファクタリング会社の窓口へ訪問する必要はありません。
お金が必要なときというのは「恥ずかしい」「誰かに見られたら気まずい」などの思いから、人に見られたくないと考える人も多いのではないでしょうか?
オンライン完結型のファクタリングであれば、会社や自宅でパソコンやスマホで申込と契約を完結できるので誰かに見られる心配はありません。
非対面で契約したいのであれば、オンライン完結型のファクタリングを利用しましょう。
手形割引が向いている事業者
ファクタリングよりも手形割引が向いている事業者の特徴は次の通りです。
- 資金調達コストを抑えたい方
- 取引先に秘密にしたい方
手数料や利息などを抑えたい方や、確実に取引先に秘密にしたい方などはファクタリングよりも手形割引の方が向いています。
手形割引を選んだ方がよい事業者の特徴も理解しておきましょう。
資金調達コストを抑えたい方
できる限り手数料などのコストを抑えて資金調達したい方はファクタリングよりも手形割引の方が向いています。
ファクタリングは2社間の場合10%〜20%もの手数料が発生するのに対して、手形割引は年利1%〜5%程度の圧倒的に少ないコストで資金調達できるためです。
ファクタリングの手数料は収支どころか資金繰りまで圧迫するほど負担が大きいですが、手形割引の手数料は微々たるものですので、収支や資金繰りにはそれほど大きく影響しません。
手形を保有しているのであれば、まずは手形割引の利用を検討した方がよいでしょう。
取引先に秘密にしたい方
確実に取引先に秘密にしたいのであれば、ファクタリングよりも手形割引の方が安心です。
手数料の低い3社間ファクタリングは取引先の同意なしに利用することはできないので、確実に取引先に利用を知られてしまうためです。
一方、手形割引は期日通りに売掛先企業が支払いさえすれば取引先に知られることはまずありません。
また、手形割引という資金調達手段は以前からポピュラーな資金調達の方法ですので、取引先に万が一知られて自社に対してネガティブな印象を持たれる心配はありません。
さらに金融機関にファクタリングを利用していることが知られると「資金繰りが相当苦しいのか」とネガティブに判断されることはありますが、資金調達手段として一般化している手形割引であればそれほどネガティブに判断されることはないでしょう。
他社や金融機関からの目線を気にするのであれば、ファクタリングよりも手形割引を利用しておいた方が無難です。
それぞれの特徴を理解して適切に使い分けよう
手形割引もファクタリングも、売掛債権を期日前に資金化する資金調達方法であるという点は同じです。
しかし、手数料や償還請求権の有無など、メリットとデメリットは正反対です。
手形も売掛金も保有している場合には「いつまでに資金が必要か」「どのくらいの資金調達コストを負担できるのか」「売掛先企業のリスクはどの程度か」などを判断基準に、最適な方法で資金調達するようにしてください。