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個人事業主の融資はどこが通りやすい?日本政策金融公庫など融資方法を徹底比較

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「事業を拡大したいけれど、個人事業主だから融資は難しいのでは……」

「法人と比べられ、審査で不利になるかもしれない……」

確かに、個人事業主が融資審査に落ちやすいのには法人と比べて社会的信用が低いなどの理由があります。しかし、適切な融資先の選定や審査対策を実施すれば、個人事業主でも融資の利用は可能です。

本記事では個人事業主が受けられる融資を紹介し、「どこが通りやすいのか」などの観点を徹底比較します。本記事を読めば、自身にあった個人事業主が利用できる融資方法をスムーズに選定できます。融資で必要な資金を調達し、個人事業主としての事業を安定化させましょう。

個人事業主でも融資は受けられる

結論から言うと、個人事業主であっても融資は問題なく受けられます。個人事業主の中には、「法人でなければ融資による資金調達は難しいのでは」などの不安を抱えている方も少なくありません。

しかし、融資の審査において重要なのは法人格の有無よりも事業の安定性・将来性や返済能力です。金融機関は提出された事業計画書や確定申告書などの内容から事業の状況や資金使途の妥当性、返済原資を総合的に判断します。

事業の実態を正確に伝えて説得力のある事業計画を示せれば、個人事業主でも融資の利用は十分に可能です。実際に、多くの金融機関が個人事業主・小規模事業者向けの融資制度を積極的に提供しています。

融資には公的融資と民間融資がある

まず押さえておきたいのは、融資には大きく分けて公的融資と民間融資の2種類がある点です。公的融資と民間融資は特徴が異なるため、自身の状況に合わせて選ぶ必要があります。公的融資と民間融資の概要は以下の通りです。

融資の種類 主な提供先 メリット デメリット・注意点
公的融資 日本政策金融公庫、地方自治体など
  • 民間融資に比べ金利が低い傾向にある
  • 創業期や事業実績が浅い個人事業主でも審査の対象となりやすい
審査に一定の時間がかかる傾向がある
民間融資 銀行、信用金庫、信用組合など
  • 日頃の取引を通じて、経営相談など長期的な関係性を築ける
公的融資に比べ、金利がやや高くなる可能性がある

公的融資は、国・地方自治体が中小企業・小規模事業者・個人事業主の支援を目的として行う融資です。代表的なのが日本政策金融公庫が提供する融資で、公的融資のメリットは民間に比べて金利が低く設定されている点です。

また、銀行融資のように「事業の実績がまだ浅い」「小規模である」などの理由だけで門前払いされにくいメリットもあります。特に創業期の個人事業主にとっては非常に心強い存在と言えますが、審査には一定の時間がかかる傾向があります。

一方の民間融資は、銀行・信用金庫・信用組合など民間の金融機関が行う融資です。民間融資には、金融機関が直接回収リスクを負うプロパー融資と信用保証協会が保証人となる信用保証協会付き融資があります。

個人事業主の場合、まずは信用保証協会付き融資から提案されるケースが一般的です。公的融資に比べると金利は高くなりますが、経営相談にも乗ってもらえるなど長期的な関係性を築けるメリットがあります。

個人事業主が融資審査に落ちやすい理由

個人事業主が融資審査に落ちやすい主な理由は、以下の3点があげられます。

審査で不利になりやすい要因 具体的な内容・理由
法人に比べた社会的信用の差
  • 法人は設立登記・決算書作成が義務付けられ、財務の透明性が高いと評価される
  • 個人事業主は開業・廃業が容易なため、事業の継続性に懸念を持たれやすい
事業と個人の区別が曖昧
  • 事業用資金と個人の生活費の区別が曖昧になりがちで、お金の管理がルーズと見なされやすい
  • 金融機関が事業の正確な利益や融資資金が適切に事業に使われるかを把握しにくい
事業計画書・返済計画の具体性不足
  • 「なぜ資金が必要か」「どうやって返済するか」を客観的な数字で示せない個人事業主が多い

残念ながら、一般的に法人と個人事業主では社会的な信用力に差があると見なされがちです。法人は設立に登記が必要であり、決算書の作成が義務付けられているため、財務状況の透明性が高いと評価されます。一方、個人事業主は開業・廃業が比較的容易であるため、事業の継続性に対する懸念を持たれやすい側面があります。

また、個人事業主の場合、事業用の資金と経営者個人の生活費の区別が曖昧になりがちです。例えば、事業用と生活用の口座を1つにまとめていた場合、金融機関は融資審査で必要な以下の点を正確に把握できません。

  • 事業でどれだけの利益が出ているのか
  • 融資した資金が本当に事業に使われるのか

お金の管理がルーズであると判断されると金融機関から信頼を失い、融資は一気に難しくなります。他にも、個人事業主によっては融資審査で重要視される事業計画に関して、以下のような曖昧な内容で作成してしまうケースが見受けられます。

  • 「なんとなく資金繰りが不安だから」などの漠然とした資金調達目的
  • 「これくらい売れるはずだ」などの希望的観測に基づく売上予測

融資審査を通過するためには、客観的な数値を基に金融機関が納得できる具体的で実現可能性の高い事業計画の提示が不可欠です。

個人事業主が利用できる融資6選

以下では、個人事業主が利用できる融資を6つピックアップして紹介します。

  • 日本政策金融公庫
  • 銀行融資
  • 信用金庫
  • 信用保証協会付き融資
  • 地方自治体の制度融資
  • ビジネスローン

上記の中から自身の目的にあった融資を選んで利用しましょう。

日本政策金融公庫

個人事業主の融資において、まず最初に検討すべき選択肢が日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は、国が100%出資している政府系の金融機関です。日本政策金融公庫の設立目的は、民間の金融機関では対応が難しい中小企業・小規模事業者・個人事業主の支援にあります。

日本政策金融公庫のメリットは民間に比べて金利が低く設定されており、創業期や事業実績が浅い段階でも相談しやすい点です。例えば、新規開業・スタートアップ支援資金など、これから事業を始める方や開業後間もない方を対象とした融資制度も充実しています。

一方で、申し込みから融資が実行されるまでに数週間から1ヶ月以上かかる場合があるため、スピード感を最優先する場合は注意が必要です。まだ事業実績が少ないものの、できるだけ有利な条件で借りたい個人事業主にとって心強い融資です。

銀行融資

メガバンク・地方銀行のような、いわゆる銀行からの融資も個人事業主が選べる選択肢となります。銀行融資のメリットは事業規模が大きくなった際、多額の資金調達に対応できる点です。また、継続的な取引を行っていれば、ビジネスマッチングのような融資以外の経営サポートを受けられる可能性がある点もメリットと言えます。

しかし、銀行が回収リスクを負って直接融資を行うプロパー融資は、個人事業主が受けるのはかなりハードルが高くなります。銀行は融資の審査において事業主の将来性以上に過去の実績や財務状況、信用力を厳しく審査するためです。そのため、創業期や売上が安定していない個人事業主が銀行融資を利用する場合は、次に解説する信用保証協会付き融資が基本となります。

信用金庫

銀行と似ていますが、個人事業主にとってより身近な存在となり得るのが信用金庫です。銀行が株式会社であるのに対し、信用金庫は地域の方々が出資しあって運営される協同組織の金融機関です。営業エリアが限定されており、事業展開する地域の発展への貢献が使命とされています。

そのため、銀行に比べると売上規模などの数字面だけでなく事業主の人柄や事業への熱意も含めて総合的に評価してくれる傾向です。日頃から事業用の口座を開設して取引実績をつくっておけば、いざという時に融資の相談にも親身に乗ってもらいやすくなります。地域に根差して事業を行う個人事業主の方は、近くの信用金庫との関係づくりも検討してみてください。

信用保証協会付き融資

信用保証協会付き融資とは、金融機関から融資を受ける際に各都道府県にある信用保証協会が公的な保証人となってくれる制度です。もし事業主が返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に対して立て替え払いを行います。

金融機関側は貸し倒れのリスクを軽減できるため、実績の少ない個人事業主や担保・保証人がいない場合でも融資審査に通りやすくなるのが特徴です。ただし、利用には所定の信用保証料を支払う必要があり、立て替えてもらった場合も事業主の返済義務がなくなるわけではありません。

地方自治体の制度融資

都道府県・市区町村などの地方自治体が独自に設けている制度融資も、個人事業主にとって非常に有力な選択肢です。制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して地元の個人事業主・中小企業を支援するための融資制度です。

制度融資のメリットは自治体が利子の一部を負担してくれたり、信用保証料を補助してくれたりするケースが多い点です。結果として、日本政策金融公庫と同等か、それ以上に低い金利で融資を受けられる可能性があります。利用できる制度・条件は地域によって異なるため、まずは事業所の所在地の自治体や地域の商工会議所・商工会の窓口で確認してみましょう。

ビジネスローン

最後に紹介するのが消費者金融・信販会社、一部の銀行が提供するビジネスローンです。ビジネスローンとは事業者向け融資商品の総称で、銀行融資と比較して審査スピードが速く手続きが手軽な点がメリットです。ビジネスローンの中にはオンラインで申し込みが完結し、最短即日で融資が実行されるケースも少なくありません。

また、公的融資・銀行融資に比べて審査基準が柔軟な傾向があり、担保・保証人が不要なビジネスローンがほとんどです。ただし、ビジネスローンの金利は他の融資方法と比べてかなり高く設定されています。

「急な売掛金の入金ズレで、明日までに資金が必要」など緊急時のつなぎ資金として、ビジネスローンは有効です。しかし、金利負担が重いため長期的な運転資金や設備投資には不向きであり、利用はあくまでも短期・緊急の場合に留めましょう。

融資方法別にメリット・デメリットを一覧表で比較

以下では、個人事業主の方が融資を選ぶ際の判断材料として今まで紹介した融資方法の特徴を一覧表にまとめました。

融資方法 審査の通りやすさ 金利相場 融資スピードの目安 借入限度額の目安 おすすめな人
日本政策金融公庫 比較的易しい 1%~4%程度 2週間程度 最大7,200万円程度 開業したての人、金利を抑えたい人
地方自治体の制度融資 比較的易しい 1%~2%程度 2週間〜3週間 最大2,000万円〜3,500万円程度 金利・保証料を最優先で抑えたい人
信用金庫 銀行より柔軟 1.5%~2%程度 1週間〜2週間 最大1,000万円程度 地域密着型で対面相談を重視する人
銀行融資 非常に難しい 1%~1.5%程度 1週間〜2週間 最大8,000万円程度 事業実績が豊富で信用力が高い人
信用保証協会付き融資 比較的易しい 1.5%~3.5%程度 2週間〜3週間 最大2,000万円〜3,500万円程度
ビジネスローン 非常に易しい 2%~18%程度 最短即日 最大1,000万円程度 つなぎ資金が必要など、とにかく急いでいる人

※上記表の金利・融資スピードはあくまで目安であり、申込者の状況や制度によって変動します。

上記の表からも分かる通り、金利の低さと融資スピードは多くの場合トレードオフの関係にあります。日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資などは金利は非常に低いですが、入金までに2週間以上など時間がかかります。逆に、ビジネスローンは審査が速く最短即日で資金が手に入る反面、金利が高く設定されている点に注意が必要です。

したがって、個人事業主の方が融資を成功させるためには、まず「いつまでに資金が必要か」を明確にしましょう。時間に余裕がある場合は、金利の低い日本政策金融公庫・制度融資から検討するのが賢明な判断です。

個人事業主が融資審査を通る確率を高める6つのポイント

個人事業主が融資審査を通る確率を高めるポイントとして、以下の6つがあげられます。

  • 明確で説得力のある事業計画書を作成する
  • ある程度の自己資金を用意する
  • 信用情報に傷がないか確認する
  • 税金・公共料金の支払いを滞納しない
  • 融資の面談対策を実施する
  • 開業前のタイミングで申し込む

上記のポイントを意識し、希望の融資を受けられるよう万全な態勢で審査に臨みましょう。

明確で説得力のある事業計画書を作成する

個人事業主で融資審査を通過するためには、明確で説得力のある事業計画書を作成しましょう。個人事業主の融資審査では、事業計画書が最も審査結果を左右する重要な書類です。特に創業期や実績がまだ浅い場合、金融機関は事業計画書を見て事業の将来性や返済能力を判断するしかありません。

なお、事業計画書を作成する上で大切なのは熱意・夢を語るだけでなく数字に基づいた客観的な根拠を示すことです。以下のように、事業計画書に記載すべき項目を具体的かつ数値ベースで記載しましょう。

計画の項目 避けるべき抽象的な記載例 望ましい具体的な記載例
資金使途 運転資金として300万円
  • 仕入れ費用に150万円(単価〇円×〇個)
  • 広告宣伝費に50万円
  • 当面の運転資金(固定費3ヶ月分)に100万円
売上・利益の根拠 月100万円売れるはず 客単価5,000円×1日平均10人×営業日数20日=月100万円の売上見込み
返済計画 将来の利益から返済する 売上計画に基づき、以下のように返済原資を算出します。

 

1.売上高: 月100万円
2.売上原価:月40万円
3.販売管理費:月15万円
4.事業利益(1-2-3):月45万円

 

上記(4)の事業利益から、個人事業主である経営者個人の生活費を差し引きます。

 

5. 経営者の生活費: 25万円
6. 返済原資(4-5): 20万円

 

上記の計算により、事業を圧迫せずに毎月20万円を返済に充てられると試算できます。 したがって、希望する融資額に対し、余裕を持たせて毎月15万円の返済を計画します。

金融機関の担当者を「なるほど、この計画ならしっかり返済してくれそうだ」と納得させられる、具体的で説得力のある計画書を作成しましょう。

ある程度の自己資金を用意する

融資を申し込む際は、ある程度の自己資金を用意しましょう。ある程度の自己資金があると、融資審査で担当者に対して以下のような印象を与えられます。

  • 事業に対する本気度と計画性が高い
  • 融資希望額の一部を自己資金で賄えるため、貸し倒れのリスクが少ない
  • 事業主自身に資金的な余力があるため、不測の事態にも対応できる

例えば、日本政策金融公庫でかつて提供されていた新創業融資制度では、以下のような自己資金に関する申請要件が設定されていました。

  • 創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金がある

そのため、金融機関の融資審査において自己資金の有無が審査に与える影響は非常に大きいのが実情です。融資希望額の20%~30%程度は、自己資金として銀行口座に用意しておくのが理想です。

信用情報に傷がないか確認する

融資を申し込む際は、信用情報に傷がないかも確認しておきましょう。金融機関は、融資審査の際に必ず個人の信用情報を照会します。個人事業主の場合、「事業の信用力=経営者個人の信用力」と直結するためです。

信用情報とはクレジットカードの支払い履歴やローンの返済状況、スマートフォンの分割払いの状況などが記録されたデータです。もし信用情報に延滞・異動のような金融事故の記録があると、融資審査の通過は極めて困難になります。

個人の信用情報であるため、個人事業主の中には「事業のお金ではないから大丈夫」と思われる方がいるかもしれません。しかし、金融機関は「個人のお金を管理できない人が、事業資金の管理をできるはずがない」と判断します。過去に支払いの遅れなどで不安がある方はCIC・JICCなどの信用情報機関に自身の情報を開示請求し、事前に確認しておきましょう。

税金・公共料金の支払いを滞納しない

信用情報と同様に厳しく融資審査でチェックされるのが税金・公共料金の支払い状況で、以下の滞納は絶対に避けてください。

  • 所得税、住民税、消費税
  • 国民健康保険料、国民年金
  • 水道光熱費など

上記の税金・公共料金は事業を行う上で、また社会人として当然支払うべきものです。税金・公共料金の支払い遅延・滞納があると「基本的な義務を果たしていない」と見なされ、事業主としての信頼性を疑われてしまいます。

融資の申し込み時には納税証明書や公共料金の領収書の提出を求められるケースが一般的で、もし未納がある場合は必ず完済しておきましょう。

融資の面談対策を実施する

個人事業主が融資を申し込む際は、面談対策を実施しましょう。融資の申し込み後に書類審査を通過すると多くの場合、金融機関の担当者との面談が行われます。

融資の面談は書類では分からない事業主の人柄や熱意、事業への理解度を確認するための場です。そのため、担当者は「事業計画書に書かれている内容が、借り手自身の言葉でしっかり説明できるか」を見ています。具体的には、融資審査で以下のような質問が投げかけられます。

  • なぜ、この事業を始めようと思ったのですか
  • 競合他社と比べて、あなたの強みは何ですか
  • 計画通りにいかなかった場合、どう対処しますか

上記のような質問に対して事業計画書を丸暗記するのではなく、自身の言葉で自信を持って具体的に答えられるように準備しましょう。

開業前のタイミングで申し込む

もし、個人事業主で融資に申し込む場合は、開業前のタイミングがおすすめです。意外に思われるかもしれませんが、融資は事業実績がある段階よりも開業前に申し込む方が有利な場合があります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金のように、これから事業を始める人を支援する融資制度が用意されているためです。

上記のケースでは、審査の対象となるのは決算書のような過去の実績ではなく未来の計画を示す事業計画書です。しかし、一度開業して事業をスタートさせてしまうと、たとえ数ヶ月であっても実績が生まれます。もし実績が計画を下回って赤字になってしまうと金融機関は「事業が計画通りに進んでいない」と判断し、融資のハードルが一気に上がってしまいます。

もちろん、開業後でも融資は可能ですがゼロの状態で計画の妥当性で勝負できる開業前のタイミングは個人事業主にとって大きなチャンスです。

個人事業主が融資を受ける際に注意すべきポイント

個人事業主が融資を受ける際に注意すべきポイントとして、以下の4点があげられます。

  • 融資を受けるためには確定申告と開業届の提出が必要
  • 資金繰りが厳しくなる前に申し込む
  • 必要書類に不備・記入漏れがないか確認する
  • 事業資金を私的に使わない

上記のポイントを意識し、スムーズに融資の手続きを進めましょう。

融資を受けるためには確定申告と開業届の提出が必要

融資を受けるためには、原則として確定申告と開業届の提出が必要です。金融機関が融資の申し込みを受けた場合、相手が個人事業主として実在して事業を行っているかを必ず確認します。上記の公的な証明となるのが、税務署に提出する開業届と毎年の確定申告書です。

「まだ開業届を出していなかった」「売上が少ないから確定申告をしていなかった」などの場合、融資の申し込みを受け付けてもらえません。個人事業主として融資を申し込むのであれば、確定申告と開業届の書類は必須であるため、必ず適切に提出・保管しておきましょう。

資金繰りが厳しくなる前に申し込む

個人事業主が融資を利用する際は、資金繰りが厳しくなる前に申し込みましょう。なぜなら、金融機関が最も恐れるのは貸したお金が返ってこないことであるためです。すでに資金がショートしそうな状態で融資の相談を受けても、返済能力に重大な懸念ありと判断されて審査は格段に厳しくなります。

また、日本政策金融公庫・制度融資は申し込みから審査、そして実際の入金までに2週間以上かかるのが一般的です。「資金繰りが厳しくなり、来週までに資金が必要」などの状況には、まず間に合いません。資金繰り表を日頃から管理し、「〇ヶ月後に資金がこれくらい必要になりそうだ」と予測できた段階で余裕を持って申し込みましょう。

必要書類に不備・記入漏れがないか確認する

融資の申請手続きを実施する際は、必要書類に不備・記入漏れがないか入念に確認しましょう。融資の申し込みには事業計画書・確定申告書の他にも見積書や納税証明書、通帳のコピーなど多くの書類が必要です。

もし上記の書類に不備・記入漏れがあると融資審査が中断し、担当者から確認の連絡が来て再提出を求められます。上記のやり取り一つで、融資が実際に実行されるまでの時間は大幅に遅れてしまいます。

さらに、「こんな簡単な書類管理もできない人なのか」と事業主としての信頼性を疑われ、担当者の心証を悪くしてしまうのも問題点です。提出前に必要書類の一覧リストと照らし合わせて不足がないかチェックし、「数字は合っているか」「押印漏れはないか」なども確認しましょう。

事業資金を私的に使わない

融資で事業資金を手に入れた場合、計画外の私的な用途に流用してはいけません。金融機関は提出された事業計画書を精査し、「事業を成長させるために、〇〇の目的で使う」という約束を信頼して資金を提供するのが原則です。

金融機関は、資金使途確認のために融資した個人事業主に対して調査を行うケースがあります。上記の際に計画書にない使途不明な出金や私的な支出と疑われる履歴が見つかれば、すぐに説明を求められるのが通常です。

万が一、資金の私的流用が悪質であると判断された場合、融資資金の一括返済を求められるリスクがあります。個人事業主としての信用は完全に失墜し、将来的に同じ金融機関から追加の融資を受けるのは困難です。融資で得た資金はあくまで事業のために借りたお金であるため、個人の資産とは厳格に区別して計画通りの目的にのみ使用してください。

融資が難しい場合に検討したい他の資金調達手段

今まで融資について解説しましたが、依然として個人事業主が融資を受けられるケースは少ないのが現実です。そこで、融資が難しい場合に検討したい他の資金調達手段として以下の4つを紹介します。

  • ファクタリング
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • 事業者向けクレジットカードの活用

融資を受けられない場合は、上記の中から希望の条件にあった資金調達手段を選びましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい資金化するサービスです。ファクタリングは金融機関からの融資とは異なり、売掛債権の譲渡・売買取引にあたります。

例えば、取引先に100万円の請求書を発行し、入金予定が2ヶ月先だとしましょう。売掛債権である請求書をファクタリング会社に買い取ってもらえば、請求額から所定の手数料が引かれた金額を最短即日で受け取れます。

ファクタリングのメリットは、売掛債権を売却した時点で請求書が入金される期日を待たずに資金が手に入る点です。また、融資審査とは異なり、事業主の事業実績・信用情報よりも売掛先の信用力が重視される点もファクタリングの特徴です。そのため、赤字決算・債務超過・税金滞納など融資審査が通りづらい個人事業主でも健全な売掛債権があれば資金調達できます。

一方、デメリットとしてはファクタリングの手数料を金利換算すると、融資の金利に比べて割高になる点があげられます。売上は立っているのに入金が先で手元の現金が足りないなど、急ぎで運転資金を確保したい場合に有効な手段です。

補助金・助成金

補助金・助成金は、国・地方自治体が事業者における特定の取り組みを支援するために資金を支給する制度です。補助金・助成金のメリットは原則として返済不要である点で、将来の返済負担により経営が不安定になる心配がありません。例えば、個人事業主が利用できる補助金・助成金制度の例として、以下のようなものがあげられます。

制度名 概要
小規模事業者持続化補助金
  • 個人事業主を含む小規模事業者の持続的な経営に向けた販路開拓、業務効率化などの取り組みを支援する制度
  • 通常枠の補助率は2/3、補助額上限は50万円
事業再構築補助金
  • 中小企業・個人事業主における新市場進出・業種転換などの事業再構築を支援
  • 成長分野進出枠(通常類型)で補助率は1/3〜2/3、補助上限は最大7,000万円
IT導入補助金
  • 中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)のITツール導入による生産性向上を支援
  • 通常枠の補助率1/2〜2/3で、補助上限額は450万円
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
  • 中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)の新製品開発、設備投資を支援
  • 補助率は1/2〜2/3で、補助上限額は3,000万円

ただし、補助金・助成金の申請手続きは複雑で事業計画書の作成などに時間がかかります。また、採択の可否を決定する審査が設けられているため、審査落ちすれば補助金・助成金は受け取れません。

さらに、補助金・助成金の多くは後払いが原則で、先に事業者が実費を全額支出して実績報告を経てから後日振り込まれる仕組みです。今すぐ資金が必要な場合には向きませんが、設備投資・事業拡大など将来の取り組みに対して活用すれば、自己負担を大幅に軽減できます。

クラウドファンディング

クラウドファンディングはインターネットで事業・プロジェクトの魅力を発信し、共感した不特定多数の人々から少額ずつ資金を募る仕組みです。特に、購入型と呼ばれるタイプが主流で、支援者は資金を提供する見返りとして完成した商品・サービスを受け取る権利を得られます。

クラウドファンディングのメリットは事業の実績がなくてもアイデアや熱意、将来性で資金を集められる可能性がある点です。また、単なる資金調達に留まらず、自身の事業を宣伝してファンを事前に獲得できるメリットもあります。

一方で、クラウドファンディングのデメリットはプロジェクトの準備やPR活動に多大な労力がかかる点です。また、クラウドファンディングの形式によっては設定した目標金額に達しなければ資金が一切受け取れない場合もあります。

事業者向けクレジットカードの活用

事業者向けクレジットカードを活用するのも、個人事業主の資金繰り対策としておすすめです。事業者向けクレジットカードは直接的にお金を借りる方法ではありませんが、資金繰りを改善するテクニックとして非常に有効です。

具体的には、個人事業主が仕入れ費用・広告費経費などの経費を支払う際、現金・銀行振込ではなく事業者向けクレジットカードに一本化します。支払いをクレジットカードで行えば、実際の支払い日を口座から引き落とされる日まで1ヶ月〜2ヶ月程度先延ばしが可能です。結果として、手元にある現金を温存できる時間に余裕が生まれます。

もちろん、支払いを先延ばしにしているだけでクレジットカードを利用した金額分はカード会社に返済しなければなりません。しかし、事業における入金サイクルと支払いサイクルのズレを調整する上で、クレジットカードの活用は大きな助けとなります。

また、クレジットカードに支払いをまとめると経費管理が一元化され、事業資金を管理しやすくなります。クレジットカードの利用で貯まったポイントを利用金額と相殺すれば、実質的な経費削減につながる点もメリットです。

ファクタリングで資金調達する際におすすめの会社3選

ファクタリングは最短即日で資金を調達でき、審査で事業主の事業実績・信用情報も重視されないなど個人事業主にとって多くのメリットがあります。そこで、以下では個人事業主がファクタリングで資金調達する際におすすめの会社を3つピックアップして紹介します。

  • ベストファクター
  • ビートレーディング
  • ペイトナー

上記の中から、希望の条件で資金を調達できるファクタリング会社を選びましょう。

ベストファクター

ベストファクター

種類 
手数料 2%〜
入金スピード 最短即日
買取可能額 30万円〜1億円
手続き方法 オンライン・電話・メール
公式サイト https://bestfactor.jp/

ベストファクターは、売掛債権を早期資金化できるスピードと低い手数料設定が魅力のファクタリング会社です。急な資金調達が必要な個人事業主の方にとって、非常に頼りになるファクタリング会社といえます。

ベストファクターでは必要書類を事前に準備しておけば、最短即日で売掛債権の資金化が可能です。2社間ファクタリングであれば手数料を2%〜からと低水準で利用でき、コストがかさんで利益が圧迫される心配がありません。

ベストファクターの買取可能額は30万円から1億円と広く設定されており、幅広い資金ニーズに対応できる点も特徴です。柔軟な審査体制を築いており、審査通過率は92.25%と高い数値を誇るため、審査が不安な個人事業主も安心して利用できます。

ビートレーディング

ビートレーディング

種類
買取可能額 下限・上限なし
手数料 2%〜
入金スピード 最短2時間
手続き方法 オンライン・対面・訪問・LINE

ビートレーディングは取引実績8万社以上かつ累計買取額1,670億円を達成している豊富な実績があり、高い信頼性が特徴です。特に、申し込みから契約まで全てオンラインで完結できる点は、忙しい個人事業主にとって非常に便利です。

ビートレーディングではファクタリングの手続きを簡素化し、申し込みから最短2時間での資金化を実現しています。直近の支払いに充てる原資がないなど、急ぎで資金を確保しなければならない個人事業主に最適なファクタリング会社です。

また、クラウドサインを導入していてPC・スマホでオンライン契約が可能で、外出が多い個人事業主でも出先から手続きが完了できます。申し込みに必要な資料は請求書と口座の入出金明細の2点のみと非常に少なく、面倒な書類準備も必要ありません。

請求書だけでなく、受注した時点で発行される注文書の買い取りに対応した注文書ファクタリングに対応している点も魅力です。請求書の発行までに時間がかかる大型案件や資材費の先行投資が必要なケースなどでも、十分に対応できます。

ペイトナー ペイトナー

種類  2社間ファクタリング
手数料 一律10%
入金スピード 最短10分
買取可能額 1万円〜25万円(初回のみ)
手続き方法 オンライン

ペイトナーは、個人事業主・フリーランスに特化したファクタリング会社です。ペイトナーは個人事業主の使いやすさを高めている点が特徴で、審査が通れば最短10分のスピードで振込まで完了できます。振込は土日・祝日も含め365日対応しているため、急な支払いや入用にも即時に対応が可能です。

手続きは手元のスマホだけで申請が完了し、面談・電話も不要で決算書・契約書など面倒な書類の準備も必要ありません。ファクタリングの手続きは非常に簡単で、入金待ちの請求書を公式サイトからアップロードするだけで完了できます。

最小利用額はわずか1万円からとなっており、事業規模が小さい個人事業主でも必要な金額をスムーズに調達できます。手数料は売掛債権の金額にかかわらず一律10%で、想定外のコストがかからない点も安心です。

融資を含めて最適な資金調達方法で個人事業主の事業を成長させよう

個人事業主の方が融資での資金調達を目指す際、法人に比べて不利ではないかと不安に思うかもしれません。しかし、個人事業主であっても適切な制度を選んで事前準備をしっかり行えば、問題なく融資を受けられます。

なお、個人事業主が利用できる融資は銀行が提供するプロパー融資だけではありません。低金利で創業期にも利用しやすい日本政策金融公庫や自治体が利子補給などを行う制度融資など、選択肢は数多くあります。

ただし、個人事業主は資金管理において事業と個人の区別が曖昧になりやすいなど、融資審査では厳しい評価になりがちです。融資審査を通過するためには数字の根拠が明確な事業計画書を作成し、ある程度の自己資金を用意するなどポイントを押さえる必要があります。

もし融資が難しい場合でも、資金調達事態を諦める必要はありません。入金待ちの売掛債権を買い取ってもらうファクタリングや、返済不要の補助金・助成金など多様な選択肢が存在します。融資を含めて自身に最適な資金調達方法を見つけ、資金繰りを安定させて事業を軌道に乗せましょう。

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