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注文書買取ファクタリングとは|スピーディーな資金調達で事業を拡大

注文書・発注書のスピード買取・資金調達なら

この記事は約53分で読めます。

「取引先を増やしたいけど資金繰りが難しい」「大きな受注を受けたものの、対応する運転資金がない」資金繰りがギリギリの企業の中にはそのようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

中小企業が取引先を拡大したり、大きな受注を受けるためには、素早く新規受注などに対応する資金調達ができるかどうかがひとつの大きなポイントです。スピーディーな資金調達に有効な手段として「注文書買取(注文書買取ファクタリング)」があります。

注文書買取は、通常のファクタリングよりも早い「仕事の着手前」に資金調達を可能にするサービスです。通常のファクタリングは請求書を資金化するため、仕事の着手前の資金ニーズには対応できません。

一方で注文書買取は仕事の受注時に発行される注文書(発注書)を資金化するため、仕事の着手時に必要資金を調達できるのです。

この記事では、注文書買取のメリット・デメリットとともに、注文書買取サービスを選ぶポイントを解説します。


注文書買取(注文書買取ファクタリング)の仕組み

注文書買取は、企業間の取引で発生した売掛債権を早期に資金化する「ファクタリング」という資金調達方法のひとつです。

注文書買取は、仕事を受注した段階で発生する「注文書(発注書)」を注文書買取業者が買い取って資金化することで、通常のファクタリングよりもスピーディーな資金調達が可能となりました。

つまり、仕事に取り掛かる前の受注段階で受注金額相当の資金を確保できる点が非常に大きな特徴です。

提供している業者はまだまだ少ない注文書買取ですが、銀行融資やクラウドファンディングなど数ある資金調達方法の中でも、とくに速く資金化できる方法として近年注目されています。

注文書買取ファクタリングの特徴や、請求書買取ファクタリングとの違いなどについて詳しく解説していきます。

注文書を売却する資金調達方法

注文書買取ファクタリングとは、その名の通り「注文書」を業者へ売却して資金化する方法です。

注文書買取をおこなうファクタリング業者は、注文書を受注業者の発注業者に対する債権とみなしています。

そして債権は民法に基づいて売却が可能です。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。
引用:e-GOV法令検索|民法

注文書も、受注通りに仕事をおこなえば、記載された受注金額を受け取れる権利が生じるため、債権とみなすことができます。

そして、債権は民法第466条に基づいて売却できるので、注文書買取ファクタリングでは、これらを根拠として注文書の買取をおこなっています。

注文書は仕事に取り掛かる前の、受注時(注文を正式に受けたとき)に売却できるので、受注に対応した運転資金を確保できます。

請求書ファクタリングとの違い

注文書買取ファクタリングと一般の請求書を買い取るファクタリングの違いは主に次の4点です。

  • 買取対象
  • 手数料
  • 資金調達のタイミング
  • 売掛先への通知

売却するものや手数料や、資金調達ができるタイミングなど、注文書買取ファクタリングと請求書買取ファクタリングは多くの違いがあります。

注文書買取ファクタリングと通常のファクタリングの4つの違いについて詳しく解説していきます。

買取対象

注文書買取と通常のファクタリングの大きな違いは、資金化するための買い取り対象です。

通常のファクタリングは「請求書」を買い取るのに対し、注文書買取は「注文書」または「発注書」を買い取って資金化します。

通常のファクタリングは商取引が完了して発生する「売掛金」を買い取ります。

しかし注文書買取ファクタリングは、取引先から注文が入った段階で発行される注文書を債権と見做して買取を行います。

通常のファクタリングが商品やサービスを納品後に売上が発生してからでないと債権を売却できないのに対して、注文書買取ファクタリングは売上発生前の注文があった段階で売却できるのは大きな違いです。

手数料

注文書買取ファクタリングと通常のファクタリングは手数料にも違いがあります。

結論的に言えば、注文書買取ファクタリングの方が手数料が高額になる傾向があります。

注文段階の方が売上発生時よりも不確定要素が多いので、ファクタリング会社のリスクが高くなるためです。

例えば注文段階は売上発生時にはない次のようなリスクが存在します。

  • 注文が履行されずに受注企業が倒産する
  • 発注企業が倒産して支払いができない
  • 受注した仕事の内容に不備があった
  • 納期が遅れる
  • 注文書そのものが偽造

注文書はまだ仕事に取り掛かる前の書類で、実際に注文書通りに仕事が履行されて、期日までに代金が入金になるかどうかは分かりません。

少なくとも仕事が注文書通りに履行されて売上が発生した段階よりも不確定要素が多いのは間違いありません。

注文書買取ファクタリングはファクタリング会社にとってリスクが高いので、通常のファクタリングよりも手数料は高くなるでしょう。

  • 通常のファクタリング(2社間ファクタリング)の手数料:8%〜15%程度
  • 注文書買取ファクタリング:10%〜20%程度

ファクタリング会社によって手数料は異なるものの、注文書買取ファクタリングの方が通常のファクタリングよりも手数料は高くなる傾向があります。

資金調達のタイミング

注文書買取ファクタリングと通常のファクタリングは資金調達のタイミングが大きく異なります。

  • 注文書買取ファクタリング:仕事を受注した段階
  • 通常のファクタリング:受注を履行して売上が発生した段階

請求書は商品やサービスが納入されたあと、売掛先へ発行する証憑を指します。そのため通常のファクタリングで資金化できるタイミングは、受注した仕事が完了し、商品やサービスを顧客へ提供した後となります。

一方で注文書は、商品・サービスの受注時に取引先から発行される証憑のため、注文書買取では仕事開始前に資金調達ができるのです。

さらに一般的に注文書買取の対象は、半年後に納品予定の注文書までとなります。その結果、入金サイクルを最大180日短縮することが可能です。

売掛先への通知

注文書買取ファクタリングと通常のファクタリングは売掛先への通知の有無も異なります。

注文書買取ファクタリングは基本的に申込企業(仕事を請け負った企業)とファクタリング会社の2者のみの契約となるので、売掛先(発注先)企業にファクタリングの利用を知られることはありません。

3社間ファクタリングでの取り扱いがないというのが注文書買取ファクタリングの特徴の1つです。

一方、請求書を買い取る通常のファクタリングでは、売掛先企業が契約に介在しない2社間ファクタリングの取り扱いに加えて、売掛先企業にファクタリング利用を通知した上で契約に介在する3社間ファクタリングの取り扱いもあります。

3社間ファクタリングは手数料は2社間ファクタリングよりも低いですが、売掛先企業にファクタリング利用を知られるのがデメリットです。

注文書買取ファクタリングであれば3社間ファクタリングの取り扱いはないので、取引先企業に知られる心配はありません。

買取対象は「注文書」もしくは「発注書」

注文書買取には「注文書」もしくは「発注書」が必要です。両者に法的な違いはなく、注文書買取ではどちらも買取の対象となります。

名前が違うため、まったく違う証憑ととらえる人もいるかもしれませんが、どちらも仕事を注文する際に発行されるため、同じ書面として扱います。ただ企業や業界によってはそれぞれのルールに応じて使い分けているところもあるようです。

注文書・発注書ともに用意が難しい場合には「取引先からのメール等による仕事の指示」でも資金化が可能な場合もあります。

「注文書も発注書もないから資金調達ができない」と諦めてしまう前に、まずはファクタリング会社に相談してみましょう。

注文書と発注書の違い

注文書買取ファクタリングで売却できるのは注文書または発注書です。

では、注文書と発注書にはどのような違いがあるのでしょうか?

結論的に言えば両者に大きな違いはありません。

どちらも、仕事を発注する企業に対して正式に注文を出す際に作成・送付される書類です。

業態によって「注文書」という言葉を使ったり、「発注書」という言葉を使用することが多いようです。

なお、形の決まった既製品を数量を指定して注文する際には「注文書」、受注生産などをおこなう形が決まっていないものを注文する際には「発注書」と分けて使用されることもあります。

いずれにせよ、注文書も発注書も正式な注文があった際に発行される書類ですので、注文書買取ファクタリングで売却できます。

タイミングごとの資金調達方法

注文書買取ファクタリングは取引先から仕事を受注した際に利用できる資金調達方法です。

業務には以下のようなタイミングがあり、それぞれに対応した資金調達方法があります。

  • 仕事やサービスのアイデアを着想したタイミング
  • 仕事を受注したタイミング
  • 受注した仕事を納品したタイミング
  • 納品後に手形を受け取ったタイミング

企業が適切に資金調達をおこなうためには、それぞれのタイミングに適した資金調達方法を認識し、活用することが重要です。

タイミングごとにどんな資金調達方法を選択すべきなのか、詳しく解説していきます。

仕事やサービスのアイデアを着想したタイミング

仕事やサービスのアイデアは着想したタイミングには、そのアイデアを形にするための資金が必要です。

このタイミングではクラウドファンディングで資金調達が可能です。

クラウドファンディングではインターネット上に新規事業や商品などのアイデアを掲載し、そのアイデアに賛同した人から資金を募ることで資金調達をおこないます。

また、クラウドソーシングサイトにアイデアを掲載し、その反応を確かめることによって、そのアイデアが多くの人に受け入れられるかを確認するためのマーケティングとしても活用できます。

アイデアの着想段階では債権は発生しないのでファクタリングは利用できませんし、融資を受けることも簡単ではありません。

このようなタイミングではクラウドファンディングを活用することで、必要な資金を調達できる可能性があります。

なお、会社を創業する前であれば、創業する会社のアイデアや事業計画を策定することで銀行や日本政策金融公庫から創業資金融資を受けることも可能です。

仕事を受注したタイミング

仕事を受注したタイミングで活用できるのが注文書買取ファクタリングで資金調達できます。

注文書買取ファクタリングを取り扱う業者は注文書を債権とみなすので、注文書を売却して資金化できます。

また、銀行の引き当て融資を利用すれば、注文書や契約書に対応した運転資金を借りることも可能です。ただし、引き当て融資はまだ完了していない業務に対応する運転資金を借りるので、銀行にとってリスクが高いので、不動産担保などを要求されることがあり審査に時間もかかります。

仕事を受注したタイミングで急いで資金が必要なのであれば注文書買取ファクタリングを活用し、時間的に余裕があるのであれば銀行へ相談してみましょう。

受注した仕事を納品したタイミング

受注した仕事を終え、納品が完了したタイミングには請求書買取ファクタリングで資金調達できます。

受注が完了し、取引先に対して請求書を発行すれば、当該請求書をファクタリング会社へ売却することで最短即日で資金調達が可能です。

また、時間に余裕があるのであれば3社間ファクタリングを活用することで、低コストでファクタリングを利用できます。

また、このタイミングでは損益計算書上で売上が発生するので、通常の運転資金やABL(売掛債権担保融資)を銀行や日本政策金融公庫から借りることも可能です。運転資金の融資には2週間〜3週間程度の時間がかかり、難易度も厳しいので、時間に余裕がない場合や、銀行融資の審査に落ちた場合には請求書買取ファクタリングが向いています。

納品後に手形を受け取ったタイミング

納品後に代金として手形を受け取った場合には、銀行などの金融機関へ相談し、手形割引を利用することで、当該手形を早期に資金化できます。

手形割引とは、銀行に手形を売却して資金化する方法です。

ファクタリングの手形版と考えればわかりやすいですが、手形割引は年1%〜4%台程度の非常に低いコストで資金調達できるのが特徴です。

ただし、ファクタリングと異なり「償還請求権あり(ウィズリコース)」で実施されるので、もしも手形が不渡になった場合には、利用者が責任を負わなければなりません

つまり、納品後に手形を受け取った場合には手形割引で資金調達し、手形ではなく売掛金で受け取った場合は請求書買取ファクタリングやABLを利用しましょう。

注文書買取ファクタリングのおすすめ利用シーン

注文書買取ファクタリングは次のような場面で活用できます。

  • 大口の注文を受けたが運転資金が不足する
  • 着手金や中間金では資金が不足する
  • 受注するためには大型の設備投資が必要

基本的には「仕事に着手するために資金が必要になった」という場面で注文書買取ファクタリングは活用できます。

大口の注文を受けたが運転資金が不足する

大口の仕事を受注したものの「そんな運転資金がないから受注を断ろうかな」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

大きな仕事には仕入れも人件費も高額になるので、当然ながら運転資金も多く必要になります。

そして、受注した仕事の売上が入ってくるのは、仕事の完遂後ですので、受注によって増加した運転資金は手元に保有していなければなりません。

このような運転資金を増加運転資金と言います。

注文書買取ファクタリングを利用すれば、発注書の売上相当分が入金になるので、増加運転資金の確保は簡単です。

「大きな仕事を請けたけど運転資金が手元にない」という場面で注文書買取ファクタリングは活用できます。

着手金や中間金では資金が不足する

仕事を受注した際や業務の途中で、着手金や中間金を受け取れる契約を締結することがあります。

しかし着手金や中間金だけでは運転資金が枯渇する場合も注文書買取ファクタリングは活用できます。

注文段階から売上相当額が入金になるので、むしろ着手金や中間金は必要ありません。

着手金や中間金不要の契約であれば、発注企業にとっても有利な契約ですので、注文書買取ファクタリングを利用することで仕事を受注しやすくなるかもしれません。

受注するためには大型の設備投資が必要

仕事を受注するためには大型の設備投資が必要な場面でも注文書買取ファクタリングが活用できます。

例えば、自社の生産能力では月間1万個しか生産できないのに「月2万個生産してほしい」という受注があった場合などです。

生産に必要な設備投資を注文書買取ファクタリングで行うことができるので、事業拡大にも注文書買取ファクタリングは活用できるでしょう。

請求書買取ファクタリングの方が向いている場面

注文書買取ファクタリングではなく請求書買取ファクタリングの利用が向いている場面は次のようなケースです。

  • 受注した際の運転資金には困っていない
  • 即日で資金が必要
  • 注文書買取ファクタリングよりも手数料は低く抑えたい
  • 3社間ファクタリングを利用したい

これらの場面では注文書買取ファクタリングを利用するよりも請求書買取ファクタリングの方が向いています。

請求書買取ファクタリングの方が向いている4つの場面について詳しく解説していきます。

受注した際の運転資金には困っていない

受注した際の運転資金には困っていないのであれば、手数料が低く掛目も高めに設定される請求書買取ファクタリングが向いています。

注文書買取の手数料は請求書買取の2割増し程度ですし、掛目も請求書買取が80%程度であるのに対して注文書買取は60%程度です。

結論的に言えば、請求書買取の方が低コストで多くの資金を手にできます。

受注時に特段大きな資金が必要でないのであれば、注文書買取ファクタリングではなく、請求書買取ファクタリングを利用しましょう

即日で資金が必要

即日で資金が必要なのであれば、請求書買取ファクタリングが向いています。

注文書買取ファクタリングの中にも「最短即日」と謳っている商品は少なくありません。

しかし注文書買取ファクタリングは審査難易度が請求書買取ファクタリングよりも高いので、審査回答までに1日以上かかってしまうことがよくあります。

一方、請求書買取ファクタリングでは多くの会社で当日中に審査が完了し、オンライン完結で即日契約が可能です。つまり、請求書買取ファクタリングの方が即日資金調達できる可能性が非常に高いので、即日で資金が必要な方は、注文書ではなく、手元の請求書をファクタリングした方が確実dす。

注文書買取ファクタリングよりも手数料は低く抑えたい

できる限り低い手数料でファクタリングを利用したい方は、注文書買取ファクタリングよりも請求書買取ファクタリングを利用した方がよいでしょう。

請求書買取ファクタリングは2社間で15%以下程度の手数料で利用できるケースが多いですが、注文書買取ファクタリングは20%程度の手数料が設定されることは珍しくありません。

受注金額の2割もの金額を手数料で持っていかれてしまったら、場合によっては受注に係る利益のすべてが手数料に取られてしまうこともあります。

そもそもファクタリングはコストが非常に高い資金調達方法として知られていますが、その中でも注文書買取ファクタリングのコストは飛び抜けています。

できる限り手数料負担を抑えたいのであれば、注文書買取ファクタリングではなく請求書買取ファクタリングを選択すべきでしょう。

3社間ファクタリングを利用したい

3社間ファクタリングを利用したい方は、請求書買取ファクタリングを選択しましょう。

3社間ファクタリングは売掛先企業の同意が必要になり、即日資金調達できないというデメリットがあるものの、次のようなメリットがあります。

  • 手数料が低い(1%〜5%程度)
  • 売掛先企業とのお金のやり取りや未入金時の督促はファクタリング会社がおこなう

3社間ファクタリングは売掛債権の回収業務を低コストでアウトソーシングしながら早期資金化ができるという大きな特徴があります。

しかし、3社間ファクタリングを利用できるのは請求書買取ファクタリングだけで、注文書買取ファクタリングは取り扱っていません

3社間ファクタリングを利用したいのであれば、請求書買取ファクタリングを選択しましょう。

注文書買取ファクタリングのメリット

注文書買取ファクタリングには次の5つのメリットがあります。

  • 資金繰りが難しいときも案件も取り逃さない
  • 発注元の信用で資金を調達できる
  • 最大6か月先の注文書を資金化できる
  • 発注先企業が倒産しても回収リスクがない
  • 発注先企業にファクタリングの利用を知られない

注文書買取ファクタリングは融資や請求書買取ファクタリングと比較して多くのメリットがあります。

主な5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

資金繰りが難しいときも案件も取り逃さない

注文書買取を利用すると、これまでなら「資金不足で諦めるしかない」はずだった案件も受注できる可能性があります。

なぜなら前述の通り、仕事の受注段階に交わされる注文書で資金調達ができるからです。

注文書買取で得た資金は、商品・サービス納入に必要な資材や人件費などに充てられます。

銀行融資や通常のファクタリングにはできないスピーディーな資金調達により、資金繰りが難しい駆け出しの中小企業でも、事業や取引先の拡大につながるでしょう。

発注元の信用で資金を調達できる

注文書買取ファクタリングの審査で重視されるのは発注元企業の信用です

注文書買取ファクタリングでは注文書を債権とみなして売却するため、債務者である発注元企業に支払能力があるかどうかが最も重視されます。

受注に対応した資金の融資を受ける方法である引き当て融資では、発注元企業の業況も審査対象になりますが、やはり最も重視されるのは利用者の信用です。

そのため融資審査では利用者が赤字や債務超過の場合には審査に通過できない可能性が高くなります。

一方、注文書買取ファクタリングの審査で主に重視されるのは発注元企業の信用ですので、発注元企業の信用力に問題がないのであれば、利用者の決算状況が赤字や債務超過であっても審査に通過できる可能性があります。

そのため、できる限り優良先や継続的に取引がある企業からの注文書を売却するとよいでしょう。

最大6か月先の注文書を資金化できる

注文書買取ファクタリングは、最大6ヶ月程度先の注文書を資金化できます。

2月1日:発注。注文書受取
3月1日:工事着手
6月1日:工事完了。引き渡し。売掛金額発生
7月31日:代金支払い

このようなスケジュールで仕事を受注した場合、注文書買取ファクタリングであれば2月1日の受注段階で資金化できます。

請求書買取ファクタリングは仕事が完了後に売掛金が発生した後でないと資金調達できないことと比較すると、注文書買取ファクタリングの方が圧倒的に早いタイミングで資金化できることが分かります。

また一般的に請求書買取ファクタリングは3ヶ月先の期日の売掛債権までしか資金化できませんが、注文書買取ファクタリングは6ヶ月先が期日の注文書も資金化できるのはメリットです。

なお、ファクタリング会社によってはさらに先の期日の注文書も買取に応じてくれることもあります。

発注先企業が倒産しても回収リスクがない

注文書買取ファクタリングで売却した債権は、仮に発注先企業が代金支払い前に倒産したとしても、その損失はファクタリング会社が負ってくれます。

ファクタリングはノンリコースで行われるため、債権が回収不能になった場合のリスクを売り手に請求できないためです。

大きな仕事を請ける時には「本当にこれだけの金額を支払えるのか」と不安になることが少なくありません。

しかし注文書買取ファクタリングを利用すれば、仮に受注後に売掛先企業が倒産したとしても、受注金額を手にできます。

商取引にはつきものの、売掛先企業の倒産リスクを排除できるのも、注文書買取ファクタリングのメリットです。

発注先企業にファクタリングの利用を知られない

注文書買取ファクタリングはファクタリングを利用したことを取引先企業に知られる心配がありません。

注文書買取ファクタリングは2社間取引で行われるためです。

2社間取引とは、申込企業とファクタリング会社の2者だけで契約する取引で、売掛先企業は契約には介在しません。

そのため、売掛先企業(発注企業)には秘密で取引できます。

注文書を売却する時点で資金繰りが楽ではないのは明白です。

そのため注文書買取ファクタリングを利用したことが発注元企業に知られてしまうと「資金繰りが苦しいから業務遂行に不安」と評価され、場合によっては契約をキャンセルされる可能性をあります。

注文書買取ファクタリングは2社間で行われるので、発注元企業にファクタリングの利用を知られる心配はありません。

自社の外部からの評価を落とすことなく、資金調達できるのも注文書買取ファクタリングの魅力です。

注文書買取ファクタリングのデメリット

受注段階から資金調達できるのが注文書買取ファクタリングの特徴ですが、次のようなデメリットもあるので注意してください。

  • 手数料が高い
  • 請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しい
  • 取り扱っている会社が少ない
  • 2社間ファクタリングのみ
  • 個人事業主への取り扱いが少ない

コストが高い上に審査が厳しく、請求書買取ファクタリングのように選択肢も多くありません。

注文書買取ファクタリングの5つのデメリットを詳しく解説していきます。

手数料が高い

急ぎの資金調達に有効な注文書買取ですが、通常のファクタリングよりも手数料を高く設定している会社が多いため注意しましょう。

手数料を高く設定している理由は「未回収リスク」が高いためです。

通常のファクタリングは、商品・サービスの納入まで済ませた状態で交わされる請求書を資金化します。

そのためファクタリング会社側からすると、ほぼ確実に振り込まれる売掛金の入金を待つだけとなるのです。

しかし注文書買取の場合、商品・サービス納入がなされる前に交わされる注文書を買い取ります。

そのため注文書買取業者側からすると売掛金回収までに時間がかかり、その間に売掛先の倒産や、契約破棄などにより売掛金が回収できない「未回収リスク」が高くなってしまうのです。

こうしたリスクに備え、売掛金回収までの期間が長い注文書買取は手数料が高めに設定されています。ちなみに通常ファクタリングの手数料は5~20%が相場で、注文書買取はさらに2~5%程高く設定されているところが多いようです。

請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しい

注文書買取ファクタリングは請求書買取ファクタリングよりも審査が厳しく行われます。

債権が発生してから入金になるまでの期間が長い注文書買取ファクタリングは、請求書買取ファクタリングよりもファクタリング会社のリスクが大きいためです。

請求書が発行された段階であれば、売掛先企業の業況がよほど急に悪化しない限りは期日通りに支払われる可能性は高いと言えます。

しかし、注文書の発行段階の場合は、入金になるまでに次のようなリスクがあります。

  • 仕事が完遂しない
  • 申込企業が倒産した
  • 売掛先企業が倒産した
  • 納期の遅れから入金期日も遅れる

注文書買取ファクタリングは、このようは不確定要素が大きいので、ファクタリング会社も注文書買取ファクタリングよりも厳しく審査します。

売掛先企業や申込企業の業況や資金繰りがあまりにも悪い場合は審査に通過できない可能性に注意しましょう。

取り扱っている会社が少ない

注文書買取ファクタリングはそもそも取り扱っている会社が多くありません。

請求書買取ファクタリングと比較して、ここ数年で広がったサービスですので、請求書買取ファクタリングのように、有名企業が多数取り扱っているわけではありません。

選択肢が少ないという点は注文書買取ファクタリングのデメリットだと言えます。

ただし、最近は独立系を中心として大手ファクタリング会社も注文書買取ファクタリングを取り扱うようになりました。

これらの会社はオンライン買取に対応していらため、地方に所在する企業でも利用できます。

ただし、地方のファクタリング会社には注文書買取ファクタリングに対応しているところはほとんどありません。

「対面で注文書買取ファクタリングを利用したい」という地方の方は選択肢が非常に少ないのはデメリットです。

2社間ファクタリングのみ

注文書買取ファクタリングは2社間ファクタリングしか取り扱いがありません。

3社間ファクタリングは手数料が低く、代金回収時のやり取りをファクタリング会社を売掛先企業が直接おこなってくれるなどのメリットがありますが、これらのメリットを注文書買取ファクタリングで享受することは不可能です。

注文書買取ファクタリングでは、3社間ファクタリングと比較して手数料が高い2社間ファクタリングを選択せざるを得ない点は大きなデメリットだといえます。

個人事業主への取り扱いが少ない

注文書買取ファクタリングは個人事業主に対して取り扱いをおこなっている業者が少ない点もデメリットです。

個人事業主と比較して対外的な信用度が高い法人に対する取り扱いのみとしている業者が多くなっています。

しかし、個人事業主は法人と比較して資金力が弱いため、個人事業主こそ大口の受注があった際には注文書買取ファクタリングの需要が高まります。しかし個人事業主には選択肢が少ないですし、個人事業主が申し込めたとしても、法人よりも厳しい視点で審査がおこなわれる可能性が高いでしょう。

請求書買取ファクタリングであれば、ほとんどのファクタリング会社で個人事業主に対して取り扱っており、審査基準も個人事業主だからといってそれほど厳しくなることはないので、この点は注文書買取ファクタリングのデメリットだといえるでしょう。

注文書買取ファクタリングの審査基準

注文書買取ファクタリングの審査で主に確認されるポイントは次の6点です。

  • 発注先企業の信用
  • 申込企業の信用
  • 過去の取引実績
  • 発注金額
  • 納期と入金サイト
  • 注文内容

注文書買取ファクタリングの審査で重視される6つのポイントについて、具体的に解説していきます。

発注先企業の信用

まずは自社へ注文書を発注する、発注元企業(売掛先企業)の信用が重視されます。

売掛債権の期日にファクタリング会社へ代金を支払うのは発注元の企業だからです。

発注元企業が大手企業や、これまでも十分な取引実績のある企業であれば「この発注書も期日通りに入金される確率が高い」と判断されるため、審査に通る可能性が高いでしょう。

一方、発注元企業が小規模企業や赤字企業、債務超過企業、取引実績がない企業の場合は、期日通りに入金されると判断できる材料がありません。

このような場合は審査に通過できないことがあります。

注文書買取ファクタリングを利用するのは、次の条件ができる限り揃っている取引先からの注文書としましょう。

  • 規模の大きな企業
  • 業績に問題のない企業
  • これまで何度も取引をしたことがある企業

申込企業の信用

注文書買取ファクタリングは2社間取引で行われるため、申込企業の信用も重要です。

  • 注文書を偽造するリスク
  • 期日に代金を流用するリスク
  • 受注した仕事を完遂できないリスク
  • 売上発生前に倒産するリスク
  • 発注内容

2社間ファクタリングそのものが抱える偽造や二重譲渡や資金流用のリスクに加えて、注文書買取ファクタリングは受注した仕事を完遂できずに売掛金が発生しないリスクも内包しています。

そのため注文書買取ファクタリングの審査では、申込企業の業況に問題がないかに加え、期日通りに仕事を受注できる業務遂行能力も審査されます。

そのため、これまでほとんど取り組んだことのない受注で、注文書買取ファクタリングを利用しようとしても審査に通過できないこともあります。

過去の取引実績

過去の取引したことがある取引先からの注文書の方が注文書買取ファクタリングの審査には通過しやすいと言えます。

例えば、これまで何も取引をしたことがない企業から、突然大口の受注があったら「なぜウチなのか」「期日通りに代金を支払えるのか?」と誰もが不安を感じるのではないでしょうか?

これはファクタリング会社も同じです。

そのため、過去に何度も受注がある企業からも注文書の方が圧倒的に審査には有利になります。

初めて取引する企業からの注文書ではなく、過去に取引をしたことがある企業からの注文書をファクタリングしましょう。

特に、毎月のように継続的に取引が発生している企業からの発注であれば、受注自体も自然ですし、支払いにも心配がないことから審査で有利になります。

発注金額

発注金額があまりにも大きいと審査に通過できない可能性があります。

それほど大きな金額を発注企業が支払えない可能性があるためです。

さらに、受注企業の売上規模と比較して、受注金額があまりにも大きな場合には、「注文書を偽造しているのでは?」などと疑われるので、利用者の売上規模から見て不自然ではない毎月発生している注文書を売却する方が審査では有利になります。

発注金額が小さければ必ずしも審査で有利になるわけではありませんが、利用者の売上規模から見て、不自然ではない金額の注文書を売却した方が審査ではプラスになります。

納期と入金サイト

納期や入金サイトがあまりにも長いと、ファクタリング会社のリスクが高くなるのでファクタリングを断られる可能性もあります。

納期や入金サイトが長いということは、ファクタリング会社にとって債権を回収するまでの期間が長くなるということです。

この期間が長ければ長いほど次のようなリスクが高くなります。

  • 発注企業の経営悪化
  • 納品完了前に受注企業が倒産するリスク

納期までの日数、そして納品してから入金になるまでの日数である入金サイトは短い方がファクタリング会社のリスクは低くなります。

注文書買取ファクタリングは売掛債権の入金日は6ヶ月以内までの注文書しか買取に対応していないので、できる限り入金までの期間が短い注文書売却した方が審査には通過しやすいでしょう。

発注内容

発注内容も審査では確認されます。

これは「利用者の業態から考えて納期までに納品できそうな発注か」という視点です。

例えば小売業者が住宅建築の発注を受けたという内容であれば、「建設業のノウハウがないのに、受注を完遂できるわけがない」と判断される可能性が高いでしょう。

一方、主に住宅建築をおこなう工務店が住宅建築の受注を請けたのであれば、業態からして自然な受注ですので、問題なく審査に通過できる可能性が高くなります。

できる限り、普段おこなっている業務内容から逸脱しない注文書を売却しましょう。

注文書買取サービスを選ぶ際の注意点

ここからは、実際に注文書買取業者を選ぶ際の注意点を紹介します。

仕事に着手する前に資金調達をできる注文書買取ですが、しっかりサービスを見極めて選択しなければさまざまなトラブルを招きかねません。

後から後悔しないためにも、注文書買取サービスを選ぶ注意点についてここで確認しておきましょう。

注文書買取ファクタリングを選択する際の注意点は主に次の2点です。

  • 取引先との関係を崩さない「2社間契約」であるか
  • 万が一にも安心な「ノンリコース契約」であるか

基本的に注文書買取ファクタリングは2社間契約でノンリコースで行われるので、当然といえば当然ですが、これらの2点を満たしていない注文書買取ファクタリングは違法の可能性もあるので十分に注意が必要です。

注文書買取ファクタリングを選ぶ際に重要な2つの注意点について詳しく解説していきます。

取引先との関係を崩さない「2社間契約」であるか

通常のファクタリングには、利用者とファクタリング会社間のみで完結する「2社間契約」と、ファクタリング会社から売掛先に通知や同意を得る「3社間契約」があります。

現在の注文書買取は前者の2社間契約でサービスを提供する会社が主流です。

2社間契約のメリットは、なんといっても取引先に知られないことでしょう。

取引先に同意を得るステップがない分早く資金を調達できます。さらには注文書買取を利用していることが取引先に知られて「資金繰りがうまくいっていないのでは?」と勘繰られる心配もありません。

取引先との関係に影響を与えずに、素早く資金調達をするには2社間契約であるかどうかが重要なポイントとなります。

万が一にも安心な「ノンリコース契約」であるか

万が一の場合でも償還請求権がない「ノンリコース契約」の注文書買取業者を選ぶと利用者側は安心して活用できるでしょう。

償還請求権(リコース)とは、事情によって売掛金が回収できなかった場合に、注文書買取業者から利用者へ回収金額を請求する権利のことです。

ノンリコース契約は償還請求権のない契約であるため、売掛先が倒産するなどの理由で売掛金を回収できなかった場合でも、利用者は責任を追う必要がありません。

そのため利用者は、万が一売掛金を回収できなかったとしても返済義務がないため安心して仕事に取り組めます。

現在はノンリコース契約の注文書買取業者が主流ですが、万が一の事態に備えて契約時にはノンリコース契約であるかを必ず確認しておきましょう。

注文書買取ファクタリングが向いている業種

注文書買取ファクタリングは次のような業種に向いています。

  • 建設業
  • 製造業
  • 運送業
  • IT業

これらの業種は受注時に多額の現金が必要になることが多いので、受注が即資金化できる注文書買取ファクタリングが向いています。それぞれの業界でなぜ注文書買取ファクタリングが活用できるのか、詳しく解説していきます。

建設業

建設業は受注金額が大きい分、あらかじめ用意しなければならない運転資金が多くなる業種です。

  • 人件費
  • 材料費
  • 外注費
  • 重機のレンタル代

これらの膨大な費用にうち、多くの部分を前もって資金を用意しなければならないため、受注段階である程度まとまった資金がないと受注そのものを請けられません。

また、着工から工事完了まで1年以上になることも珍しくないので、入金サイトも非常に長い業種です。

受注段階でかなりのまとまった資金が必要になることと、入金サイトが長いことから、受注時にまとまった資金を調達できる注文書買取ファクタリングは非常に有効な資金調達手段であるといえます。

製造業

製造業はあらゆる業種の中で、最も入金サイトが長い業種の1つだといえます。

また、建設業などとは異なり、中間金の入金などはなく、基本的には納品完了後でないと代金を受け取れません。

その一方で、材料費や人件費や場合によっては新規の設備導入費用などは事前に用意しなければならないので、入金前に多くの資金が必要です。

そのため、受注時に受注金額の一部を調達できる注文書買取ファクタリングを活用することで、納品完了後の代金受け取りまでの期間に必要な高額な運転資金を円滑に確保できます。

運送業

運送業は突然高額な資金が必要になる業種です。

例えば車両が故障した場合には、数百万円単位の修理費用が突然必要になります。

このような場合には、注文書買取ファクタリングを活用することで、必要な高額の修理費用を迅速に賄うことが可能です。

また、新規受注があったタイミングで車両の入れ替えを検討することもできるでしょう。

突発的に高額な車両の購入費用や整備費用が必要になることが多い運送業も迅速かつ機動的な資金調達ができる注文書買取ファクタリングが活用できます。

IT業

IT業、とくにシステム開発業者は、受注時に高額な運転資金が必要になります。

システム開発案件の中には開発期間が1年以上にもなるプロジェクトもあるので、この期間の人件費をはじめとした運転資金は膨大になります。

そして中間金の支払いなどは基本的におこなわれないので、他の業務でプロジェクト開発期間中の運転資金を賄えないのであれば、受注時にどこかから運転資金を調達する必要があります。

注文書買取ファクタリングであれば、迅速に受注金額の一部を調達できるので、長期のプロジェクトに必要な運転資金を安心して確保可能です。

注文書買取ファクタリングを利用する流れ

注文書買取ファクタリングは次のような流れで利用していきます。

  1. 発注元企業が注文書を発行
  2. 注文書買取ファクタリング会社へ買取を依頼
  3. 注文書などの必要書類をもとにファクタリング会社が審査
  4. 審査通過後に契約をして注文書代金が入金
  5. 業務完了後に売掛先から売掛金を回収しファクタリング会社へ支払い

注文書買取ファクタリングを実際に利用する流れや手数料について詳しく解説していきます。

①発注元企業がが注文書を発行

まずは仕事を発注している企業が申込企業に対して注文書を発行します。

通常は、発注元企業から仕事の打診があり、申込企業が見積もりを提出し、金額面などで折り合いがつけば正式に発注書が発行される流れです。

注文書買取ファクタリングが利用できるのは、この発注書発行のタイミングです。

見積依頼などでは注文書買取ファクタリングは利用できないため注意しましょう。

②注文書買取ファクタリング会社へ買取を依頼

発注元企業から発行された注文書をファクタリング会社を提出し、ファクタリングの申し込みを行います。

注文書買取ファクタリングに必要な書類はファクタリング会社によって異なりますが、最低限次の書類は必要になります。

  • 申込者の本人確認書類
  • 発注書
  • 発注元企業からの過去の入金が分かる通帳のコピー

さらに、ファクタリング会社によって申込企業の決算書や、発注元企業との基本契約書などの提出が必要になることもあります。

あらかじめ、必要書類を確認し、漏れなくスムーズに提出できるようにしておきましょう。

③注文書などの必要書類をもとにファクタリング会社が審査

注文書買取ファクタリングの申し込みが完了したら、ファクタリング会社が書類や申込内容をもとに審査を行います。

審査基準は主に売掛先企業の業況と、注文内容、申込企業と売掛先企業の取引実績などです。

早いファクタリング会社は30分程度で完了しますが、注文書買取ファクタリングは請求書買取ファクタリングよりもリスクが高いため、審査完了までに数日程度かかってしまうこともあります。

急いで資金が必要な方は、あらかじめ審査時間を確認し、審査回答が早いファクタリング会社へ申し込んでください。

④審査通過後に契約をして注文書代金が入金

審査通過後にはファクタリング会社と申込企業で契約を行います。

注文書買取ファクタリングは売掛先企業が契約に介在しない、2社間ファクタリングで行われるため、契約手続は30分〜1時間程度で完了します。

なお、ファクタリング会社の中には契約手続きを対面で行わなければなりません。

対面契約が必須のファクタリング会社は契約完了までに時間がかかってしまうため、急いで資金が必要な方はオンライン完結型のファクタリング会社を選択してください。

契約完了後に指定した銀行口座へ代金が入金になります。

資金化が早いファクタリング会社は、申込から入金まで2時間程度で完了します。

⑤業務完了後に売掛先から売掛金を回収しファクタリング会社へ支払い

ファクタリング後には注文書で発注された業務を行います。

売掛先企業へ商品やサービスを納品したら、売掛金が発生します。

そして売掛金の期日になると、売掛先企業が申込企業へ代金を支払うので、この代金をファクタリング会社へ送金すれば、ファクタリング会社への支払いは完了します。

ファクタリング会社によって違いはあるものの、一般的に注文書買取ファクタリングは6ヶ月先が入金期日の注文書の資金化が可能です。

注文書買取ファクタリング会社を選ぶポイント

注文書買取ファクタリング会社は無数に存在しますが、業者は次のようなポイントで選択するようにしてください。

  • 手数料
  • 買取可能額
  • 自社でも利用できるか
  • 悪徳業者・違法業者でないか

注文書買取ファクタリング会社を選択する際に重要になる4つのポイントについて詳しく解説していきます。

手数料

注文書買取ファクタリングを選ぶには手数料負担に注意しましょう。

注文書買取ファクタリングの手数料は10%〜20%程度と高額です。

そしてこれは年利ではないので、例えば3ヶ月先に入金になる注文書をファクタリングした場合、年利に置き換えると(10%〜20%)÷3ヶ月×12ヶ月=年40%〜80%もの高額になります。

銀行で注文書に対応した資金の融資を受ける引当融資では、年1%〜4%台程度の金利で資金調達できるので、注文書買取ファクタリングの資金調達コストは融資の20倍〜40倍にもなります。

少しでもコストを引き下げるため、できる限り手数料の低い業者と取引するとともに、もしも手数料の低い業者がわからないのであれば、複数の業者へ同時に申し込みをおこない、相見積をとって、最も手数料が低い業者と取引するようにしてください。

買取可能額

注文書買取ファクタリング業者の買取可能額が自社が必要とする金額に対応しているかどうかも非常に重要な視点です。

業者によっては最小買取額100万円などと決められていることがあるので、この場合は100万円未満の数十万円単位の資金調達は不可能です。反対に買取額の上限が低い業者も存在します。

業者によって買取額の上限や下限が定められているため、自社の必要な資金を調達できる業者かどうかを検討し、ファクタリングを利用する業者を選定してください。

自社でも利用できるか

注文書買取ファクタリングの業者を選ぶ際には、自社が利用できるファクタリング会社かどうかも重要です。

注文書買取ファクタリングは請求書買取ファクタリングと異なり、次のような特徴があります。

  • 個人事業主に対する取り扱いが少ない
  • 建設業・IT業界専門など、特定の業界に特化している業者が多い

自社の事業形態や業種などによっては、そもそも注文書買取ファクタリングに申し込めない可能性ががあるので、自社でも利用できるファクタリング会社であることを確認し業者を選択しましょう。

悪徳業者・違法業者でないか

注文書買取ファクタリングを利用する際には、請求書買取ファクタリングを利用する際と同様に、悪徳業者や違法業者に注意が必要です。

特に売掛先企業の同意が不要な2社間ファクタリング限定で取り扱われる注文書買取ファクタリング業者には悪徳業者や違法業者が混在している可能性が高いといえます。

金融庁も次のようにファクタリング業者については注意喚起をおこなっています。

ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額であるといったケースは、偽装ファクタリングの疑いがありますので、ヤミ金融を利用しないよう、十分注意してください。
ファクタリングとして行われ、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
例えば、譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、
○ 売主が債権を買い戻すこととされている
○ 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
などといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
引用:金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起

要約すると次の2点について注意喚起をしています。

  • 手数料が相場を超える業者は悪徳業者
  • 売掛債権が未回収になった際のリスクを負わない業者は闇金

手数料20%以下売掛債権が未回収になった際のリスクを負うノンリコース(償還請求権なし)のファクタリングを選択しましょう。

スムーズに審査に通過するための注文書の選び方

注文書買取ファクタリングの審査にスムーズに通過するためには次のようなポイントを押さえて注文書の選定をおこなうことが重要です。

  • 発注元の規模が大きく業績がよい注文書を選ぶ
  • 継続的な取引のある注文書を選ぶ
  • 納期と入金期日が短い注文書を選ぶ
  • 必要最小限の金額の注文書を選ぶ

手元に複数の注文書がある場合、注文書の選定方法を少し工夫するだけで、スムーズに審査に通過することが可能です。

審査に通過しやすい注文書の選び方をご紹介していきます。

発注元の規模が大きく業績がよい注文書を選ぶ

発注元の企業の規模が大きく業績が良好であれば、注文書の代金が期日通りに支払われる可能性が高いと判断されるので審査で不利になることはありません。

そのため、次のような企業からの発注書を売却しましょう。

  • 大手企業・上場企業・上場企業の子会社・関連会社
  • 地元の有力企業
  • 官公庁

これらの企業であれば、売掛先企業の支払能力に対する懸念が少ないので、スムーズに審査に通過できます。

継続的な取引のある注文書を選ぶ

利用者と継続的に取引のある企業からの注文書を売却しましょう。

継続的に取引があることによって、「注文書の偽造」や「入金の遅れ」などの懸念が払拭されるので、審査に時間がかからずにスムーズに審査に通過できます。

毎月のように継続的に注文があり、これまで入金にも遅れたことがない既存取引先からの注文書を売却することで、時間をかけずに高い確率で審査に通過できるでしょう。

納期と入金期日が短い注文書を選ぶ

納期と入金期日が短い注文書の方がスムーズに審査に通過できるでしょう。

入金されるまでの期間が短い方が、入金されるまでに売掛先企業の経営が傾いたり、利用者の資金繰りが悪化するなどのリスクが低くなるためです。

注文書買取ファクタリングでは最長6ヶ月先が入金期日の注文書の買取をおこなっています。

できる限り期間が短い方がファクタリング会社のリスクも低くなるので、納期や入金日までの期間が短い注文書を売却するようにしてください。

必要最小限の金額の注文書を選ぶ

売却する注文書の金額は必要最小限の方がスムーズに審査に通過できるでしょう。

ファクタリング会社にとっては買い取る金額が大きくなればなるほどリスクが高まるためです。

反対に、買い取る金額が少なければファクタリング会社のリスクも低いので審査に通過できる可能性は高まります。

手数料の負担を最小限にするためにも、不要に大きな金額でのファクタリングを利用するのではなく、本当に必要になる最小限の金額の注文書を売却した方がよいでしょう。

注文書買取ファクタリングが利用できるファクタリング会社7選

注文書買取ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社はそれほど多くありません。

次の7社であれば、安心して注文書買取ファクタリングを利用できるでしょう。

  • ビートレーディング
  • GMO BtoB 早払い
  • BESTPAY
  • トップ・マネジメント
  • けんせつくん
  • 日税ファクタリングサービス
  • ネクストスタイル

注文書買取ファクタリングを取り扱っている安心な業者を7社ご紹介していきます。

ビートレーディング

入金スピード 最短即日
買取金額 上限下限なし
手数料 4%~12%

ビートレーディングは店舗型のファクタリング会社として、国内最大クラスの規模と知名度を誇っています。

累計の取引実績は5.2万社以上、累計買取額1,170億円という大きな実績を誇ります。

またメディアにも度々特集されており、知名度も抜群です。

安心、安全なファクタリング会社と取引たい方にはおすすめのファクタリング会社です。

ファクタリングの専門会社であるビートレーディングは、あらゆる売掛債権の買取をおこなっており、注文書買取ファクタリングにもしっかりと対応しています。

担当者の金融知識も深いので、資金調達だけでなく会社の資金繰り改善の相談にもビートレーディングは活用できます。

GMO BtoB 早払い

入金スピード 最短2営業日後​​
買取金額 100万円~1億円
手数料 1%~12%​​

大手インターネット会社のGMOグループが提供するファクタリング会社です。

ネット企業のサービスですが、顧客のサポートをしっかりとおこなっており、利用企業には専任の担当者がつき資金繰りのサポートをおこなっています。

そのため契約には面談が必要になりますが、オンライン面談もおこなっており、最短2営業日で売掛債権を資金化でき、注文書の買取にも対応しています。

最初の企業ごとに「いくらまで買い取る」という枠を作成するので、2回目以降の利用は枠の範囲内で非常にスムーズに利用できるのも特徴です。

なお、利用できるのは法人だけで個人事業主は利用できないの注意しましょう。

BESTPAY

入金スピード 最短翌日
買取金額 100万円〜3億円程度
手数料 5%〜

BESTPAYは独立系の大手ファクタリング会社であるベストファクターが運営する注文書買取の専門サービスです。

大手ファクタリング会社の運営ですので安心して利用でき、手数料も5%〜と低めの設定です。

また、注文書買取ファクタリングは審査に時間がかかることがありますが、最短翌営業日入金ですので、スムーズに注文書の現金化ができます。

ホームページには「調達希望額」「事業形態」「売掛先の会社規模」を入力するだけで、調達可能金額が表示されるシミュレーションもついているので、「いくら資金調達できるのか」と不安な方は気軽に利用しましょう。

トップ・マネジメント

入金スピード 最短即日
買取金額 最大1億円
手数料 3%~

トップマネジメントはファクタリングを専門に行う独立系の店舗型ファクタリング会社です。

創業以来延べ45,000件以上のファクタリングを取り扱っており、口コミ評価も高い安心な企業です。

トップマネジメントも注文書の買い取りに応じており、安心して注文書を売却できます。

トップマネジメントは国が指定した電子債権記録機関であるTranzax株式会社と提携し、売掛債権を電子記録債権としてファクタリングを実施しています。

国が指定している企業と提携しているため、安心して利用できます。

店舗型のファクタリング会社ですので、利用には面談が必要になりますが、基本的に面談はWEB面談で行われるので地方に所在する企業も安心して利用できます。

けんせつくん

入金スピード 最短即日
買取金額 上限下限なし
手数料 5%~

けんせつくんは、建設業専門のファクタリング会社です。

建設業は仕事を受注してから工事完了までに非常に長い時間がかかるので、受注する企業にとっては増加運転資金が懸念される業種です。

そこで、けんせつくんは「建設業専門のファクリングサービス」として、建設業の売掛債権を最短2時間で資金化してくれます。

建設業専門ですので、他社では「期間が長い」と断られてしまった売掛債権も、けんせつくんであれば、買取に応じてもらえる可能性があるでしょう。

日税ファクタリングサービス

入金スピード 1週間〜2週間(2回目以降は最短即日)
買取金額 下限上限なし
手数料 1ヶ月~3ヶ月 0.3%~3.5%
4ヶ月~6ヶ月 0.5%~5.0%

日税ファクタリングサービスは、1972年に全国の税理士とその関与先企業の経営者向け保険を業界関係者と企画・立案する企業として設立された会社です。

税理士が関与する企業ですので、非常に安心して取引できるファクタリング会社です。

日税ファクタリングサービスは注文書だけでなく、補助金や助成金も買い取っています。

最大の特徴が手数料が月利率という点です。

ほとんどのファクタリング会社が、額面金額に対して所定の利率を乗じたものが手数料であるのに対して、日税ファクタリングサービスは月〇〇%と決められているので、期間が短ければコストも低くなります。

さらに、その利率も月0.3%〜5%程度と低めです。

例えば、100万円の売掛債権を2ヶ月ファクタリングし、手数料が3%であれば、手数料は月3万円の合計6万円です。

利用した期間しか手数料がかからないため、非常にコスパのよいファクタリング会社だと言えるでしょう。

ネクストスタイル

入金スピード 最短即日
買取金額 1社につき20万円~5000万円程度(買取上限1億円)
手数料 1%(その他雑費ありなので、実質上10〜20%)

ネクストスタイルは注文書、契約書などの買取を行うファクタリング会社です。

買取スピードに定評があり、注文書や契約書でも最短即日で資金化できるのが特徴です。

審査は最短30分で完了し、非対面で契約できます。

2社間ファクタリングでも10%〜資金化できるので、手数料が高い注文書買取ファクタリングも比較的低コストで資金化できます。

急いで注文書や請求書を資金化したい場合に活用できるファクタリング会社です。

注文書買取ファクタリングについてよくある質問

注文書買取ファクタリングに対してよくある質問をご紹介していきます。

  • 注文書買取ファクタリングは違法ではありませんか?
  • 注文書買取ファクタリングは借入ではありませんか?
  • 注文書買取ファクタリングとTranzax(トランザックス)社にはどんな関係がありますか?
  • 注文書買取ファクタリングを利用した際の仕訳方法を教えてください
  • 審査なしで利用できるか審査が甘い注文書買取ファクタリングはありますか?

注文書買取ファクタリングは違法ではありませんか?

違法ではありません。債権譲渡は民法で認められています。

また、ファクタリング業者は債権回収や督促などを業としておこなっていますが、特定金銭債権の事例として国は「ファクタリング業者の保有する債権」を明示しているので、国はファクタリングを認めています。そのため弁護士法違反でもありません。

ただし、売掛債権が未回収になった際にファクタリング会社が未回収のリスクを負わないファクタリングは実質的な貸付となり、貸金業法違反になるので、ファクタリング契約の際にはノンリコース(償還請求権なし)かどうかは必ず確認しましょう。

注文書買取ファクタリングは借入ではありませんか?

借入ではありません。業者が債権とみなしているため、注文書買取ファクタリングは債権の売却です。

つまり、資産を売却していることと同じですので、借入ではなく会計上は資産と資産の交換というような位置付けとなります。

注文書買取ファクタリングとTranzax(トランザックス)社にはどんな関係がありますか?

Tranzax(トランザックス)社は企業が保有する売掛債権を電子記録債権として目に見える形とすることで、金融機関が当該電子記録債権を担保に融資をおこなうPOファイナンスを実施しています。

Tranzax(トランザックス)社は売掛債権を電子記録債権化し担保にするというノウハウを保有しているので、一部ファクタリング会社の中にはTranzax(トランザックス)社からノウハウの提供を受けて注文書買取ファクタリングを取り扱っていることがあります。

関係性はあくまでのノウハウの提供だけで、金融機関のPOファイナンスのように直接的にTranzax(トランザックス)社の技術を活用した融資をおこなっているわけではありません。

注文書買取ファクタリングを利用した際の仕訳方法を教えてください

注文書買取ファクタリングを利用した際の仕訳は以下のとおりです。

例)1,000万円の注文書を掛け目60%、手数料20%で売却した
売却額:600万円、手数料120万円

・ファクタリング契約時

借方 貸方
未収入金 480万円
売上債権売却損 120万円
売掛金 600万円

・ファクタリング代金の入金時

借方 貸方
普通預金 480万円 未収入金 480万円

手数料は売上債権売却損とか売掛債権売却損などの費用の勘定科目を使用して処理するのが基本です。

審査なしで利用できるか審査が甘い注文書買取ファクタリングはありますか?

ありません。どのファクタリング会社も、売掛先企業の支払能力、注文書の信憑性、利用者の信用などをしっかりと審査して買取をおこなっています

特に注文書買取ファクタリングは請求書買取ファクタリングよりもファクタリング会社にとってのリスクが大きいのでより慎重に審査をおこなっています。

したがって必ず審査は実施しています。「審査なし」「必ず審査に通る」などの広告を見たら、それは詐欺や闇金だと判断し、絶対に取引をおこなってはなりません。

厳格に審査をおこなうものの、一般的に考えて期日通りの支払いに問題がないと考えられる売掛債権であれば問題なく審査に通過できるでしょう。ファクタリングは融資と比較してかなり審査通過率は高くなっています。

スピーディーな資金調達であなたの事業は拡大する

この記事では、スピーディーな入金で中小企業の事業拡大を支援する「注文書買取(注文書買取ファクタリング)」のメリット・デメリットや、サービスを選ぶポイントについて解説しました。

仕事の受注時に発行される「注文書(発注書)」を資金化するため、仕事の着手時に必要資金を確保できます。

類似サービスの中でも特にスピーディーな資金調達ができる一方で、手数料が高いというデメリットもある注文書買取。

そのため、むやみやたらに利用するのではなく「資金不足だけど確実な売上が見込めるから、この案件はどうしても逃したくない」ような、事業に追い風を吹かせてくれるであろうタイミングで計画的に利用しましょう。

もちろん、同時に安定した資金繰りができるように進めていくことも大切です。

注文書ファクタリング会社 - BESTPAY