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経営革新等支援機関の支援内容や支援を受ける流れ、および認定の要件や流れなどを解説

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経営革新等支援機関の支援内容や支援を受ける流れ、および認定の要件や流れなどを解説

経営革新等支援機関は、中小企業への経営支援について、一定以上の知識と経験を持つことを国が認定した機関です。この記事では、経営革新等支援機関について、支援内容や支援を受ける流れ、および機関に認定されるための条件や申請の流れなどを解説します。

経営革新等支援機関とは

経営革新等支援機関(通称「認定支援機関」)とは、中小企業などを支援するための、一定以上の知識と経験を持つと国が認定した機関のことです。税理士や公認会計士などの士業事務所、金融機関などが認定の対象となります。

単に税務・会計や融資に関する業務を行うだけでなく、幅広い経営課題の解決をサポートし、中小企業の経営力強化を図るのがこの制度の目的となっています。

経営革新等支援機関の支援内容

経営革新等支援機関の支援内容は、中小企業の経営課題全般に渡ります。例としては以下のようなものがあります。

  • 経営状況の明確化
  • 事業の将来性、市場動向などの調査・分析
  • 事業計画の策定および実行支援
  • 計画実行後のモニタリング・フォローアップ
  • 適切な財務諸表の作成支援

これらの支援を受けることで、例えば以下のような経営課題の解決を目指すことができます。

  • 売上拡大・生産性向上
  • 経営改善・事業再生
  • 新事業展開・事業再構築
  • 事業承継・M&A

これらの支援は経営革新等支援機関でなくても行えますが、一定以上の能力が認定されている経営革新等支援機関を利用することで、よりレベルの高いサポートが期待できます

また、補助金や税制優遇・資金調達支援制度の中には、経営革新等支援機関のサポートがないと利用できないものもあります。これらの制度は経営力強化を目指す中小企業にとって大変有用です。

以下の節では、経営革新等支援機関のサポートによって利用できる、補助金や税制優遇・資金調達支援、および経営改善計画策定支援制度を解説します。

補助金申請

経営革新等支援機関のサポートが必要な補助金制度には、以下のようなものがあります。

  • 事業再構築補助金
  • ものづくり補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

ここではこれらの補助金制度の概要と、経営革新等支援機関がどのように関与するかを解説します。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、ポストコロナ時代に対応するために新事業進出や業態転換を目指す中小企業に対して、経費の一部を補助する制度です。

事業計画書を作成したうえで計画に沿った事業を行い、従業員の給与を一定以上増加させるなどの条件を満たすと、100万円から最大1億5,000万円の補助金が受け取れます。

この制度では、事業計画書を作成する際に、経営革新等支援機関の確認を受けることが必須となっています。

ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」)とは、中小企業が新しい製品やサービスを開発するための、設備投資費用の一部を補助する制度です。働き方改革やインボイスといった制度の変化に対応するための、革新的な取り組みが対象となります。

事業計画書を作成したうえで計画にもとづいて事業を遂行し、結果として付加価値額や給与総額などを一定以上上昇させることが給付の条件です。

ものづくり補助金は、2020年2月までは経営革新等支援機関による確認書の交付が必須でしたが、それ以降は確認書が不要となり、経営革新等支援機関を利用しなくても申請できるようになっています。

しかし、経営革新等支援機関は事業計画作成について一定以上の知識と経験があるため、サポートを受けることで採択率のアップが期待できます

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aをきっかけに経営革新などを目指す中小企業に対して、設備投資費用やM&A仲介会社への報酬などの一部を補助する制度です。

事業承継・引継ぎ補助金では、申請の前に経営革新等支援機関へ相談し、確認書の交付を受けることが必須となっています。

税制優遇・資金調達支援

補助金以外にも、経営革新等支援機関のサポートによって利用できる税制優遇・資金調達支援制度もあります。主なものは以下のとおりです。

  • 先端設備等導入計画
  • 事業承継税制
  • 中小企業経営強化税制C類型
  • 中小企業経営力強化資金

ここではこれらの制度の概要と、経営革新等支援機関がどのように関与するかを解説します。

先端設備等導入計画

先端設備等導入計画とは、労働生産性を高める設備投資を行う中小企業に対して、固定資産税を始めとする地方税の優遇、および融資の支援を提供する制度です。

労働生産性の向上が見込まれることを示す「先端設備等導入計画」を作成し、市区町村に認定されれば支援を受けることができます。計画は、各市区町村が策定している「導入促進基本計画」に沿ったものでなければならないのが特徴です。

この制度では、申請の前に計画内容について経営革新等支援機関に事前確認し、確認書の交付を受けることが必須となっています。

事業承継税制

事業承継税制とは、事業承継で株式を相続・贈与した時に、相続税や贈与税を猶予・免除する制度です。

株式の取得にともなう相続税や贈与税は、取得した株式で支払うことはできないため、納税のための現金を別に用意しなければなりません。しかし、相続税や贈与税は高額になることもあり、現金を用意できないために事業承継を断念するケースが出てきます。

このような場合に事業承継税制を利用すれば、納税のための現金がなくても事業承継を行うことができます。

事業承継税制は「特例承継計画」を提出することで条件が有利になりますが、この計画書の作成の際に、経営革新等支援機関による助言や指導を受ける必要があります

中小企業経営強化税制C類型

中小企業経営強化税制とは、設備投資の際に費用を即時償却したり、取得価額の一部を税額控除できる制度です。「経営力向上計画」を作成し、認定を受けることで利用できます。

中小企業経営強化税制は、取得する設備の使用目的(生産性向上、収益力強化など)によって、「A類型」から「D類型」の4つの類型に分かれています。

このうちのC類型(デジタル化のための設備投資)では、経営力向上計画を作成する際に、経営革新等支援機関から「事前確認書」を発行してもらう必要があります。一方、A,B,D類型は事前確認書などの申請先が違うため(工業会等または公認会計士・税理士)、経営革新等支援機関は関与しません。

中小企業経営力強化資金

中小企業経営力強化資金とは、経営革新等支援機関の指導・助言のもとに「事業計画書」を作成することで、設備投資費用や運転資金の融資が受けられる制度です。貸付限度額は7億2,000万円で、要件を満たすことで貸付利率が優遇されます。

この制度では、経営革新等支援機関の支援は必須ではありません。しかし、支援を受けない場合は、「「中小企業の会計に関する基本要領」を完全に適用する」などの別な条件を満たす必要があるため、支援を受けることで制度が利用しやすくなるメリットがあります

経営改善計画策定支援

経営改善計画策定支援とは、経営革新等支援機関の指導のもとで経営改善計画を作成することで、計画に必要な費用の一部(最大300万円)を補助してもらえる制度です。財務上の問題を抱えているが、自身だけで解決するのが難しい中小企業を支援する制度となっています。

計画の策定だけでなく、計画実行のサポート、金融機関との交渉支援も受けることができ、これらについても費用の一部が補助されます。

類似の制度として、経営計画などを早い段階で行い、経営革新等支援機関の指導の下で早期の経営改善を目指す「早期経営改善計画策定支援」というものもあります。これは経営改善計画策定支援とは別の制度で、計画策定費用などの一部(最大15万円)が補助されます。

経営革新等支援機関の支援を受ける流れ

経営革新等支援機関の支援を受ける流れは以下のとおりです。この章では流れの各プロセスを解説します。

  1. 相談する経営革新等支援機関を選ぶ
  2. 選定した経営革新等支援機関に相談して支援を受ける
  3. 支援内容に従って事業を遂行する
  4. 経営革新等支援機関からのモニタリングやフォローを受ける

1.相談する経営革新等支援機関を選ぶ

経営革新等支援機関は全国に約4万あるので、まずはこの中から相談する機関を選ぶ必要があります。

以下の節で、経営革新等支援機関の調べ方、および機関を選ぶ際のポイントとして、「相談したい内容に合う機関を選ぶ」「支援実績が豊富な機関を選ぶ」の2点を解説します。

経営革新等支援機関の調べ方

中小企業庁の「経営革新等支援機関検索システム」を使うのが、経営革新等支援機関を探す最も簡単な方法です。検索システムでは都道府県別に全国の経営革新等支援機関がデータベース化されており、条件に合う機関を探すことができます。

ネットではなく対面で相談して探したい場合は、各地の経済産業局や「よろず支援拠点」に相談する方法もあります

経済産業局は関東・近畿など全国に8か所あり、「中小企業課」などで経営革新等支援機関に関する問い合わせを受け付けています。そして、よろず支援拠点は中小企業に関するあらゆる相談を受け付けている機関で、経営革新等支援機関を紹介してもらうことができます。

相談したい内容に合う機関を選ぶ

経営革新等支援機関は、税理士や公認会計士などの士業事務所、および金融機関や商工会などが登録しており、それぞれ得意分野が違います。経営革新等支援機関を選ぶ際は、自分が相談したい分野に詳しい機関を選ぶことが大切です。

経営革新等支援機関検索システムには、条件検索の一つに「相談可能内容」という項目があるので、これで絞り込むのが効率の良い探し方だといえます。検索できる主な相談内容は以下のとおりです。

  • 創業支援・事業計画作成支援
  • 経営改善・事業再生
  • 事業承継・M&A
  • 情報化戦略・知財戦略・物流戦略
  • 販路開拓・海外展開
  • 金融・財務
  • 人事・労務・人材育成

また、「支援可能業種」での絞り込み検索もできるので、自社の業種を支援できる機関を探すことができます。

支援実績が豊富な機関を選ぶ

経営革新等支援機関は非常に数が多いので、中にはまだ実績が少ない、またはあまり積極的に活動していない機関もあると考えられます。よって、経営革新等支援機関を選ぶ際は、支援実績が豊富な機関を選ぶのがよいでしょう。

検索システムは支援実績での条件検索もできるので、自分が支援してほしい分野の実績が多い機関を探すことができます。検索できる項目は以下のとおりです。

  • 事業再構築補助金
  • 経営改善計画策定支援事業
  • 早期経営改善計画策定支援事業
  • ものづくり補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

2.選定した経営革新等支援機関に相談して支援を受ける

相談する経営革新等支援機関を決定したら、実際に相談して支援を受けます。具体的な支援内容は相談する分野によって変わりますが、一般的な経営相談の場合はおおむね以下のような流れになります。

  1. 財務状況の分析・経営課題の抽出
  2. 事業計画の策定支援(戦略立案・財務に関するアドバイスなど)
  3. 事業計画の実行

3.支援内容に従って事業を遂行する

経営革新等支援機関に相談して事業計画を策定したら、計画に従って事業を遂行していきます。

経営革新等支援機関は、事業計画などの作成だけでなく、計画の実行に必要な支援も行います。支援内容の例としては以下のようなものがあります。

  • 月次決算書などの作成指導
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」などに沿った財務諸表の作成指導
  • 金融機関への経営状況の説明

4.経営革新等支援機関からのモニタリングやフォローを受ける

事業を遂行した後も、進捗状況のチェックや改善策の提案といった、モニタリングやフォローを受けることができます

経営革新等支援機関の認定を受けるメリット

前章までで、経営革新等支援機関を利用する側の立場から、支援内容や流れなどを解説しました。この章からは、支援業務を行いたい側の立場から、経営革新等支援機関の認定を受けるメリットや申請の流れなどを見ていきます。

経営革新等支援機関の認定を受ける主なメリットは以下のとおりです。この章では認定を受けるメリットについて解説します。

  • 経営革新等支援機関しかできない業務を行える
  • 信用が得られる
  • 研修や講習で能力を磨ける

経営革新等支援機関しかできない業務を行える

事業再構築補助金などの補助金や、事業承継税制などの税制優遇制度は、経営革新等支援機関から確認書の交付を受けるなどの手続きが必須となっています。

これらの経営革新等支援機関しかできない業務を行えるのは、認定を受ける大きなメリットの一つです。

信用が得られる

経営革新等支援機関は、一定以上の知識と経験を持つことを国から認定されている機関なので、利用者からの信用にもつながります

研修や講習で能力を磨ける

経営革新等支援機関の認定条件の一つに「理論研修」と「実践研修」の受講があり、研修を通して中小企業支援の能力を磨くことができます。研修は条件を満たすと受講が免除されますが、免除された者でも勉強のために自主的に受講可能です。

また、すでに認定を受けた機関向けのセミナーも行われており、支援機関としてのレベル維持・レベルアップを目指せるサポート体制があります。

例えば、中小機構では経営革新等支援機関向けの研修や出張相談・アドバイス提供を実施しており、無料でさまざまなサービスを受けることができます。また、経営革新等支援機関向けのセミナー開催や実務支援などを提供する、「経営革新等支援機関推進協議会」のような民間団体もあります。

経営革新等支援機関認定の要件

経営革新等支援機関に認定されるための主な要件は、中小企業支援の「専門知識」と「実務経験」があることの2点です。何をもって専門知識や実務経験があるとみなされるかについては、条件が詳細に定められています。

この章では、経営革新等支援機関の認定に必要な、専門知識と実務経験の要件を解説します。

実際にはこの2点以外にも、中小企業支援を継続的に行える基盤が整っているか(財務状況や組織体制など)なども審査対象となります。詳細は中小企業庁HPの「認定経営革新等支援機関:具体的な認定基準について」で確認できます。

専門知識を有している

中小企業支援の専門知識については、以下の3つの条件うち、いずれか1つを満たす必要があります

  1. 税理士・弁護士・監査法人・公認会計士・中小企業診断士・金融機関のいずれかである
  2. 「経営革新計画」などの中小企業支援制度の申請業務を行い、3件以上の認定を受けたことがある
  3. 中小機構が実施する「理論研修」を受講し試験に合格する

条件1.税理士・弁護士・監査法人・公認会計士・中小企業診断士・金融機関のいずれかである

1つめの条件に該当する士業事務所や金融機関は、それだけで専門知識を有しているとみなされます。ただし、税理士と弁護士は個人事業主・法人ともにOKなのに対して、公認会計士と中小企業診断士は個人事業主のみが対象となるのが注意点です。

この条件に当てはまらない事業者(行政書士やコンサルタントなど)は、条件2か3のどちらかを満たさなければなりません。

条件2.「経営革新計画」などの中小企業支援制度の申請業務を行い、3件以上の認定を受けたことがある

「経営革新計画」などの中小企業支援を目的とした制度の支援業務を行い、3件以上の認定を受けたことがあれば、条件2を満たすことができます。

この条件の対象となる主な支援制度は以下のとおりです。

  • 経営革新計画
  • 経営⼒向上計画
  • 地域資源活⽤事業計画
  • 異分野連携新事業分野開拓計画
  • 農商工等連携事業計画

対象となる支援制度の一覧と詳細な条件については、経済産業局HPの「経営革新等支援機関の認定(更新)基準について」などで確認できます。

条件3.中小機構が実施する「理論研修」を受講し試験に合格する

条件1と2どちらも満たさない場合は、条件3の理論研修の受講が必要です。

理論研修は、財務・税務・金融の基礎的・実践的な知識を身につけたうえで、最終的に経営改善計画の策定と実行支援ができることを目指す内容となっています。研修時間はトータル17日間(120時間)で、4日間か5日間の研修を月一回、合計四カ月間かけて行われます。

研修後の試験に合格することで、条件3を満たすことができます。もし試験に不合格となった場合は試験のみ再受験でき、研修を再度受ける必要はありません。

理論研修の詳細は、中小機構HP「経営改善計画策定に関する理論研修」などに記載されています。

実務経験がある

実務経験については、下の3つの条件のうち、「条件1と2をともに満たす」か「条件3を満たす」のどちらかを満たせばOKです。

  1. 「中小企業・小規模事業者に対する支援」の実務経験が3年以上ある
  2. 「経営革新等支援業務に係る」実務経験が1年以上ある
  3. 中小機構が実施する「実践研修」を受講し試験に合格する

条件1と2をともに満たす

条件1と2について具体的にどの実務が該当するかは、経済産業局HPの「経営革新等支援機関の認定(更新)基準について」などに詳細が記載されています。

以下に税理士・公認会計士・監査法人・弁護士の場合を例として挙げておきます。

【条件1「中小企業・小規模事業者に対する支援」に該当する実務の例】

税理士 中小企業等に対して実施する税務相談、申告等
公認会計士・監査法人 中小企業等に対して実施する財務書類の監査または証明等
弁護士 中小企業等に対して実施する法律相談等

【条件2「経営革新等支援業務に係る実務」に該当する例】

税理士 ・税理士業務に付随して行う財務書類の作成

・中小企業等の経営状況の分析

・事業計画の策定支援・実行支援

・経営革新計画等の策定支援

など

公認会計士・監査法人 ・中小企業等の経営状況の分析

・事業計画の策定支援・実行支援

・経営革新計画等の策定支援

など

弁護士 ・企業の再⽣事案の事務等

・中小企業等の経営状況の分析

・事業計画の策定支援・実行支援

・経営革新計画等の策定支援

など

条件3.中小機構が実施する「実践研修」を受講し試験に合格する

条件1と2両方を満たさない場合は、条件3の実践研修を受講する必要があります。実践研修の内容は、中小企業が金融機関からの借入れの条件変更をしたい状況を想定して、資料を作成し金融機関に説明する流れを実践形式で演習するものです。

研修はトータル2日間で、研修後の試験に合格すると条件3を満たすことができます。もし試験に不合格になっても、試験のみ再受験できるのは理論研修と同様です。

実践研修の詳細は、中小機構HPの「中小企業経営改善計画策定支援研修(実践研修)」などに記載されています。

経営革新等支援機関申請の流れ

専門知識や実務経験などの要件を満たした者は、経営革新等支援機関の申請ができます。申請の流れは以下のとおりです。

  1. 認定スケジュールをチェックする
  2. 必要書類を揃える
  3. 電子申請システムから申請する

以下で各プロセスについて解説します。

1.認定スケジュールをチェックする

申請はいつでも受け付けているのではなく、受付期間が決まっています。よって、まずは認定スケジュールをチェックしておくことが大切です。

受付は2ヶ月に1回程度あり、受付期間は1ヶ月程度です。そして、受付締切日から認定まで1ヶ月ほどかかるので、トータルで申請から認定まで1ヶ月から2ヶ月程度かかることになります。

認定スケジュールは、中小企業庁HPの「認定経営革新等支援機関」のページで確認できます。2024年2月以降のスケジュールは以下のとおりです。

受付期間 認定日
2024年2月16日~3月18日 2024年4月24日
2024年4月19日~5月20日 2024年6月26日
2024年6月21日~7月22日 2024年8月28日
2024年8月23日~9月24日 2024年10月29日
2024年10月11日~11月11日 2024年12月18日

2.必要書類を揃える

スケジュールを把握したら、次に申請に必要な書類を揃えます。申請する事業者の属性(士業の種類や個人・法人など)によって必要書類が違うので注意しましょう。

必要書類の詳細は、経済産業局HPの「新規・更新申請に係る添付書類一覧」などで確認できます。以下で例として、税理士(個人)と弁護士(個人)の場合の必要書類を記載します。

事業者の属性 必須書類 場合によって必要となる書類
税理士(個人) ・青色申告決算書(一般用)の損益計算書過去3期分

・税理士証票(写真付)

・旧姓使用に関する通知書

・屋号に使用している資格名の証票類

弁護士(個人) ・青色申告決算書(一般用)の損益計算書過去3期分

・①から③のいずれか1つ

①弁護士名簿登録通知

②「身分証明書」と「登録証明書」

③会員証明書

・旧姓使用に関する通知書

・屋号に使用している資格名の証票類

3.電子申請システムから申請する

必要書類を揃えたら、「認定経営革新等支援機関電子申請システム」から申請します

申請システムのログインには、「gビズID」という、行政サービスにログインするためのアカウントを使います。gビズIDの新規取得は数日から2週間ほどかかるので、早めに取得しておきましょう。

gビズIDを取得したら電子申請システムにログインし、申請手続きを行います。申請手続きの詳細については、電子申請システム内の「操作マニュアル」を参照してください。

電子申請システムは、受付期間外でも申請内容を入力して保存できるので、早めに入力して準備しておくこともできます。

経営革新等支援機関の認定を受ける際の注意点

この章では、経営革新等支援機関の認定を受ける際の注意点として、以下の5点を解説します。

  1. 研修に時間とコストがかかる
  2. 研修の開催場所が少ない
  3. 研修の開催回数と受付人数が少ない
  4. 5年毎に更新が必要
  5. 認知度がまだ高くない

研修に時間とコストがかかる

認定条件の一つである理論研修と実践研修は、時間的・金銭的にかなりコストがかかります。特に、理論研修は研修時間・日数が長く、平日に4日または5日間かけて行われるので、研修期間中の日常業務への影響も考えておいたほうがよいでしょう。

研修の受講料・受験料の合計額は、理論研修が106,000円、実践研修が31,000円です。これに交通費が数千円から数万円程度、プラス宿泊代・食事代などが一日数千円程度かかるため、トータルで数十万円程度かかる可能性もあります

研修の開催場所が少ない

研修の開催場所が少ないのも注意しておきたい点です。開催場所である中小企業大学校は全国に9か所しかなく、居住地が遠い方は研修のために出張しなければなりません。

特に、理論研修は東京校と関西校(兵庫県)でしか開催されないので、関東・関西以外の方は研修のためにかなり遠出しなければならないことになります。

研修の開催回数と受付人数が少ない

研修の受付人数は1回30人程度なので、応募人数が多いと受講できないことがあるのも注意点です。また、研修は年に1回から3回しか開催されないので、一度逃すと次まで数か月以上待たなければなりません。

5年毎に更新が必要

経営革新等支援機関の有効期限は5年間で、5年ごとに更新しなければなりません。更新は新規申請と同じ電子申請システムで行います。

更新期限が、認定資格の有効期限日の約1か月前に設定されているのも注意点です。例えば、認定資格の有効期限日が2024年3月7日の場合、更新期限は2024年2月6日となります。

更新のスケジュールは、経済産業局HPの「経営革新等支援機関の更新申請について」などで確認できます。

認知度がまだ高くない

経営革新等支援機関の認知度はまだそれほど高くないため、認定を受けても顧客側がそれが何なのか分からないこともあり得ます

経営革新等支援機関であることを顧客にアピールしたい場合は、自社のHPなどで経営革新等支援機関とは何か解説したり、顧客との面談時に説明するなどするとよいでしょう。

経営革新等支援機関の認定を受けているファクタリング業者

売掛債権を支払期日前に現金化できる「ファクタリング」業者の中には、経営革新等支援機関の認定を受けているところもあります

ここでは、経営革新等支援機関の認定を受けているファクタリング業者として、「日本中小企業金融サポート機構」と「アクセルファクター」を紹介します。

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構は、ファクタリングを始め、金融機関紹介や補助金・助成金支援など、さまざまな中小企業経営サポートを行っている一般社団法人です。当機構は、2020年に経営革新等支援機関の認定を受けています

【日本中小企業金融サポート機構の基本情報】

住所 〒105-0011

東京都港区芝公園一丁目3-5 ACN芝公園ビル2階

電話番号 03-6435-7371(平日9:30~18:00)
公式サイト https://chushokigyo-support.or.jp/
取り扱っているファクタリングの種類 2社間ファクタリング

3社間ファクタリング

買取可能額 制限なし
手数料 1.5%~
入金スピード 最短30分で審査可能
申込方法 電話・問い合わせフォームから
必要書類 ・通帳のコピー(表紙付き3か月分)

・請求書・契約書など

オンライン契約

アクセルファクター

アクセルファクター

アクセルファクターは、即日入金可能、審査通過率93%という良心的なサービスが特徴の大手ファクタリング業者です。アクセルファクターは、2023年に経営革新等支援機関の認定を受けています

【アクセルファクターの基本情報】

住所 本社

〒169-0075

東京都新宿区高田馬場1-30-4 30 山京ビル5階

電話番号 0120-785-025(平日10:00~19:00)
公式サイト https://accelfacter.co.jp/
取り扱っているファクタリングの種類 2社間ファクタリング

3社間ファクタリング

買取可能額 30万円~
手数料 100万円まで:10%~

101万円~500万円:5%~

501万円~1000万円:2%~

入金スピード 即日入金可能
申込方法 公式HPから
必要書類 ・請求書

・預金通帳

・直近の確定申告書

・代表者様の身分証明書

オンライン契約

まとめ

経営革新等支援機関は、中小企業支援について一定以上のスキルがあることを国が認定した機関です。士業事務所などに経営相談する際は、経営革新等支援機関を選ぶとレベルの高いサポートが期待できます。

また、士業などを営む事業者の方は、経営革新等支援機関に認定されることで、顧客からの信用が得られ、経営革新等支援機関でないとできない業務を行うことができます。中小企業支援に力を入れたい方は、経営革新等支援機関になるメリットが大きいといえるでしょう。

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