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支払いサイトの意味や適切な長さ、期間を短くする手段などを解説

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事業での取引は代金を後で支払う掛取引が多いため、支払いまでの期間を意味する「支払いサイト」について理解することが重要になります。この記事では、支払いサイトの意味や適切な長さ、支払いサイトを短くする手段などを解説します。

支払いサイトとは

支払いサイトとは、掛取引の締め日から支払日までの期間のことです。例えば、3月1日から3月31日までの取引代金を4月30日にまとめて支払う場合、4月1日から4月30日までの30日間を支払いサイトと呼びます。

ここで、掛取引とは後払い取引のことで、取引先から仕入れた商品などの代金をその日にすぐ支払うのではなく、一定期間(一般には一か月)分の代金を後日まとめて支払う取引のことです。事業における取引は多くの場合掛取引で行われます。そして、締め日とは支払い対象となる期間の最終日のことです。

ウェブサイトの「サイト」と混同しないよう注意

支払いサイトという言葉は一見すると「支払いのためのウェブサイト」という意味に見えますが、掛取引における支払いサイトはそういう意味ではありません。支払いサイトの「サイト」は「sight」のことで、ウェブサイトの「site」とは違います

税金などをネット上で支払うサイトとして「国税クレジットカードお支払サイト」「地方税お支払サイト」といった名称のウェブサイトもあるため、混同しないように注意しましょう。

回収サイトと支払いサイトの違い

支払いサイトと似た用語に「回収サイト」という言葉がありますが、これは売り手側から見た時の締め日から支払期日までの期間です。

支払いサイトは売り手側から見ると、売掛金を回収するまでの期間という意味になります。そのため、売り手側の目線で見た時に支払いサイトを回収サイトと呼ぶことがあります。

手形サイトと支払いサイトの違い

手形サイトとは、手形の振出日(取引先に手形を渡す日)から支払期日までの期間のことです。振出日は締め日より後に設定することも可能なので、支払いサイトとは意味が違ってきます。

例として、3月1日から3月31日までの取引代金を4月30日に手形で取引先に渡し、手形の支払期日が5月31日の場合を考えてみましょう。この場合、締め日は3月31日、手形の振出日は4月30日、支払日は5月31日です。よって、手形サイトは4月30日から5月31日までの一か月間、支払いサイトは3月31日から5月31日までの2か月間となります。

一般的な支払いサイトの長さ

支払いサイトの長さは、当事者同士が合意すれば原則として何日に設定しても構いません。しかし、一般には「30日サイト」か「60日サイト」のどちらかになることが多いです。また、手形で支払う場合は60日を超える支払いサイトになることもあります

30日サイト

30日サイトとは、締め日から支払日が一か月間の支払いサイトのことで、普通は月末締めの翌月末払いのことを指します。1月や2月など30日でない月でも、「31日サイト」や「28日サイト」とは呼ばず30日サイトと呼ぶのが一般的です。

30日サイトは月単位で財務状況を把握でき、支払いまでの期間も比較的短いので、最もよく利用される支払いサイトの一つとなっています。

60日サイト

60日サイトとは、締め日から支払日が二か月間の支払いサイトのことで、普通は月末締めの翌々月末払いのことを指します。30日サイトと同様、厳密に60日でない場合も60日サイトと呼ぶのが一般的です。

60日サイトも月単位で財務状況を把握できるので、30日サイトに次いでよく使われます。ただし、30日サイトより支払いが遅くなるので、売り手側は資金ショートに注意しなければなりません。

60日超の支払いサイト

手形での支払いは支払いサイトが長くなる傾向があり、60日を超えることもあります。

ただし、下請代金支払遅延等防止法により、下請け業者への支払いサイトは60日以内にすべきと定められています。支払いサイトが長すぎる事業者に対して、公正取引委員会が60日以内に変更するよう要請を出す事例もあるため、60日超の支払いサイトにする場合は注意が必要です。

適切な支払いサイトの長さ

支払いサイトの長さは原則として当事者同士で決めるので、適切な長さを設定することが重要です。一般には、売り手(支払を受ける側)はできるだけ短く、買い手(支払する側)はできるだけ長いほうがよいとされています。

売り手(支払いを受ける側)の場合

売り手の支払いサイトはできるだけ短いほうが有利です。支払いサイトが短いと早く現金が手に入り、それを運転資金などに回すことができます。黒字倒産のリスクが減るのも有利な点です。

ただし、あまり支払いサイトが短すぎると、請求書作成など事務手続きの時間がとれなくなるデメリットも出てきます。

買い手(支払いする側)の場合

買い手は支払いサイトが長いほうが、手元に現金を残すことができるので有利です。ただし、支払いサイトを長くしても最終的に支払いをしなければならないことは変わらないので、やみくもに長ければいいというわけではありません。

支払いサイトが長いと売り手に負担がかかりますし、下請代金支払遅延等防止法による制限もあります。よって、長くなり過ぎないよう適切な支払いサイトを設定することが大切です。

支払いサイトを使ったキャッシュフローの評価方法

支払いサイトを使ったキャッシュフローの評価方法として、仕入債務回転率・仕入債務回転期間といった指標があります。これらの指標を使えば、キャッシュフローが健全か、支払いサイトが適切かなどを評価できます。

仕入債務回転率

仕入債務回転率は、以下の式で表されます。

  • 仕入債務回転率=売上原価÷仕入債務×100

ここで売上原価とは、売った商品やサービスにかかった費用・経費のことです。具体的には、商品・サービスを作るための原材料費や、商品・サービスの製造に関わる人件費などが該当します。

そして仕入債務とは、購入した商品やサービスのうち、代金がまだ未払いのものの額です。具体的には、買掛金と支払手形の総称と思っておけばおおむね問題ありません。

支払いサイトが長いと仕入債務が増えるので、仕入債務回転率は低くなります。逆に、支払いサイトが短いと仕入債務回転率は高くなります。

仕入債務回転期間

仕入債務回転期間とは、仕入債務が売上原価の何日分または何か月分に相当するかを示す指標で、下の式で表されます。

  • 仕入債務回転期間=仕入債務÷(1ヶ月あたり、または1日あたりの売上原価)

支払いサイトが長いと仕入債務回転期間が長くなり、逆に支払いサイトが短いと仕入債務回転期間が短くなります。

支払いサイトを短くする手段

支払いサイトの長さは取引先との合意で決まるので、お互いにとって適切な長さになるように設定しなければなりません。しかし、下請けは立場が弱いことが多いので、支払いサイトができるだけ短くなるよう元請けと交渉することも大切になります

ここでは、受注する側が支払いサイトを短くするための手段について解説します。

取引先と交渉して支払いサイトを短くしてもらう

まず最初に検討すべきなのは、取引先と交渉して支払いサイトを短くしてもらうことです。

もし支払いサイトの短縮に合意してもらえない場合は、譲歩案を持ちかけるのも有効なことがあります。例えば、支払いサイトを短縮する代わりに取引金額を少し値引きする、全額ではなく一部だけ前払いしてもらうなどの条件を提示することで、合意してもらえることもあります。

支払いサイトの短縮を交渉する時は、資金繰りが苦しいのでないかという疑念を持たれないようにすることも大切です。また、あまり強引な交渉をすると、関係性を壊してしまう恐れもあります。

手形を現金取引にしてもらう

手形の支払いサイトは長くなる傾向があるので、交渉して現金取引にしてもらうのも一つの手です。もし全額現金取引にするのが難しいなら、一部だけ現金にしてもらう、一定額以上は現金取引にしてもらうなどの譲歩案も有効となります。

手形割引やファクタリングで現金化する

取引先が交渉に応じてくれない場合は、手形割引やファクタリングを利用する手もあります。手形割引・ファクタリングとは、手形や売掛債権を金融機関やファクタリング業者に譲渡して、支払期日前に現金化するサービスです。

手形割引やファクタリングは便利な手段ですが、手数料が引かれる、審査に通らないと利用できないといったデメリットがあります。

まとめ

支払いサイトは適切な長さにすることが大切ですが、売り手と買い手で利益相反が発生するため、両者が納得できる条件にすることが重要です。特に立場の弱い下請けは、元請けとうまく交渉して支払いサイトを短くすることが大切になります。

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