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一般社団法人が利用できる資金調達方法は?特徴や利用難易度をわかりやすく解説

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非営利組織である一般社団法人ですが、事務所や備品の費用など、資金調達が必要になる場面はやってきます。しかし、一般社団法人は通常の営利目的の法人とは違い、金融機関から融資を受けるのが難しくなっています。

ただし、資金調達の方法がないわけではありません。一般社団法人の特徴をおさえて正しい方法で手続きをおこなえば、資金調達をできる可能性はあります

当記事では、一般社団法人でも利用しやすいおすすめの資金調達方法について解説します。

一般社団法人の概要

一般社団法人は、民間で運営される非営利組織です。非営利法人というと「利益を出してはいけない」というイメージがありますが、実際は「事業利益を配当できない」だけであり、利益を出すのは問題ありません。非営利法人の事業利益は、翌年の事業の運営や給与に充てられます。

設立時には社員が2名以上、理事が1名以上(社員との兼任可)で、社員が0名になると法人は解散となります。

また、一般社団法人は税制上「普通型」と「非営利型」の2種類に分けられます。普通型は一般的な株式会社や合同会社と同等の課税形態であるのに対し、非営利型は一定の条件に該当すればNPO法人などと同等の「公益法人等」として扱われ、収益事業所得以外の税金がかかりません。

NPO法人は非営利型一般社団法人に比べて設立条件が厳しく、設立後も行政に管理されます。そのため、最近では設立条件が易しい一般社団法人が増加傾向にあります。

一般社団法人におすすめの資金調達方法

一般社団法人は株式会社や合同会社に比べて金融機関の融資を受けるのが難しく、資金調達方法が限られます。おすすめの資金調達方法には、次のようなものがあります。

  • 基金制度
  • 会費収入
  • クラウドファンディング
  • 日本政策金融公庫の融資制度

以下でそれぞれの資金調達方法について詳しく解説するので、ぜひ検討の際の参考にしてください。

基金制度

一般社団法人には「基金制度」という特別な資金調達方法があります。基金制度は、一般社団法人の資本金に近い性格を持ち、構成員や外部の人々からの資金の提供を受けることができます。

返済の必要がない資本金とは異なり、基金は拠出者が返還請求権を有しますが、基金の返金タイミングは基金提供の要項によって制限を加えることが可能です。制限によっては解散時まで延期することも可能な上、利息の支払いも不要というメリットがあります。

また、基金の実施には特別な認証手続きなどは必要なく、一般社団法人の活動内容を定めた「定款」に基金を実施することができる旨の記載があれば、法人内での手続きだけで実施することができます。

ただし、定款に基金実施の規定がない場合は、基金を実施することはできないため、基金実施の規定を追加するために社員総会での特別決議が必要です。

基金は現金だけでなく、不動産や商品・車などの財産、有価証券といったさまざまな資産を受け入れることができます。そのため、一般社団法人の資金調達としては有力な選択肢と言えるでしょう。

会費収入

一般社団法人の中には、主に会員からの入会金や会費収入で資金調達をおこなっている組織も存在します。一般社団法人には会員制度の導入が可能で、会員共通の利益を図る目的で設立された一般社団法人の多くが導入しています。

会員共通の利益を図る目的で設立される一般社団法人は、以下のような団体です。

  • 同業者団体
  • 業界団体
  • 職能団体
  • 医療系学会
  • 学術団体
  • 同窓会
  • スポーツ団体

このような社団法人は、会員に向けての活動をおこなうのが特徴です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットにプロジェクトページを作成し、不特定多数の人から出資を募る方法です。クラウドファンディングには出資者にリターンのある購入型・金融型と、リターンのない寄付型があります。

寄付型クラウドファンディングは集金の難易度が高い側面がありますが、一般社団法人のような公益性の高い組織であれば、資金が集まる可能性は十分にあります。

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫の融資制度を受ける方法もありますが、ほとんどの制度で審査を通過する難易度は高いと言えます。融資を受けにくい理由は、一般社団法人が営利を上げることを主な目的としていないからです。

融資を受ける場合は返済義務が発生しますが、返済の原資となるのは法人の利益です。その点で、積極的に利益を上げる株式会社や合同会社と比較して、一般社団法人は融資を受けにくくなっています。

特に非営利型の一般社団法人の場合、普通型よりもさらに融資のハードルは高いです。

しかし、ソーシャルビジネスと呼ばれる保育サービス事業や介護サービス事業、社会課題の解決を目的とした事業を営む場合は、日本政策公庫のソーシャルビジネス支援資金の対象となるので、チャレンジする価値はあります。

この制度ではNPO法人や同格の法人を対象として、運転資金や設備資金の融資をおこなっています。最近では、手続きのしやすさからNPO法人ではなく一般社団法人として設立する組織も増えており、融資を受けられる可能性はあるでしょう。

まずは、日本公庫各支店の中小企業事業の窓口に直接相談してみてください。「会社案内」「決算書」「事業計画書」などがあれば、より具体的な相談が可能です。

今後は銀行でも融資が受けられるようになる可能性がある

一般社団法人は営利を目的としない団体であるため事業の成長見通しや利益確保の確実性がわかりにくく、融資を受けづらいという弱味があります。

特に、銀行は新規の融資をおこなう際、信用保証協会の保証をつけて融資をおこないます。ところが、大半の信用保証協会が一般社団法人を融資の対象外としており、現状では融資を受けられる可能性はほとんどありません

ただし、一般社団法人が融資を受けられないことが問題視されており、資金繰りの円滑化を目的として中小企業保険法の一部を改正する法律が施行されました。この改正では、中小企業者の定義にNPO法人が追加され、信用保証の対象となったNPO法人が融資を受けられるようになりました。それに伴って、徐々に一般社団法人でも融資を受けられる整備がなされていく可能性はあります。

また、銀行から直接融資を受けるプロパー融資であれば、利用できる可能性はゼロではありません。しかし、審査が厳しいプロパー融資を受けるには、信用されるだけの実績や担保がなければ難しいでしょう。

いずれにせよ、銀行から新規で融資を受けられる可能性はまったくないわけではありませんが、現時点では現実的ではありません。本記事で紹介するほかの資金調達方法を利用しましょう。

一般社団法人が融資を受けるために必要な準備

一般社団法人が融資を受けるためには、次のポイントが重要になります。

  • 自己資金の有無
  • 事業内容
  • 事業経験
  • 事業計画
  • 担保や保証人の有無

以下では、それぞれの内容について具体的に解説します。

また、融資をおこなうかの可否は各金融機関によって見解が異なるため、融資の申し込みをする前に各金融機関の窓口で相談するのがおすすめです。

自己資金の有無

融資を受けるために必要な自己資金の目安は、必要資金の3割程度です。ただし、必要な自己資金の金額は金融機関によって異なるので注意しましょう。

特に、一般社団法人は営利目的の法人ではないため、返済能力についてはより厳しく審査される可能性があります。審査を通過する確率を上げるなら、自己資金は多めに用意しましょう。

また、銀行や金融機関が自己資金として認めるものは、出所の確認できるものである点にも注意が必要です。自己資金として認められるのは、以下のような資金です。

  • 預金
  • 保有資産を売却して入手した資金
  • 退職金
  • 親族や知人から贈与された資金

返済の必要がある借入金や、出所のわからないタンス預金などは自己資金と認められません。

一般社団法人の資金調達方法として、基金制度による資金調達がありますが、基金は返済義務があるため自己資金として認められないので注意してください。

事業内容

事業内容は、借入金を返済する上で「返済可能なだけの収益をあげられるか」を証明するために重要です。

市場規模や将来性が十分で、しっかりとした収益性が確保できることを示せれば、融資を受けやすくなります。

事業経験

一般社団法人として取り組む事業の経験があれば、事業の成功率が高くなるため審査で有利です。特に、日本政策金融公庫の融資では、事業経験が重視されます。

具体的な基準はありませんが、目安として日本政策金融公庫の新創業融資制度では、6年の事業経験があれば自己資金の要件が免除されます。

事業計画

融資を受ける際には事業計画書の提出が必須です。基金やクラウドファンディングにおいても、事業の透明性や収益性を示すために事業計画を提示できると良いでしょう。

事業計画書には事業を立ち上げるに至った経緯や事業内容、市場分析、事業への熱意を記載しましょう。さらに、説得力を持たせるために自社の成長戦略や資金計画を具体的に記載してください。

事業計画の作り方に悩んでいる方は、税理士や司法書士などの専門家に頼るのがおすすめです。

担保や保証人の有無

融資を受ける際は担保や保証人の有無を窓口で相談することになります。無担保・無保証人の融資もありますが、審査を通過しやすくするなら担保・保証人はあった方が良いでしょう。

なぜなら、万が一返済が滞ってしまった場合、金融機関側としては物的担保の売却や連帯保証人への請求で金銭を回収できるからです。

融資のハードルが高い一般社団法人が融資を受けるには、金融機関のリスクを減らす働きかけをすることが重要です。

一般社団法人のメリット・デメリット

ここからは、一般社団法人のメリット・デメリットについて解説します。

  • 一般社団法人のメリット
  • 一般社団法人のデメリット

これから一般社団法人を立ち上げて資金調達をしようとしている人は、事前にメリットとデメリットを理解した上で設立準備にとりかかりましょう

一般社団法人のメリット

一般社団法人のメリットは、主に次の通りです。

  • 社会的信用度が高い
  • 事業に制限がない
  • 設立手続きが比較的簡単
  • 設立後も管轄の行政庁の監督を受けない

一般社団法人は法に定められた法人運営により組織の基礎がしっかりしているので、社会的信用度が高い特徴があります。特に、国や地方自治体と契約を結ぶ際には、株式会社や合同会社のような営利団体に比べて有利です。

また、事業に制限がないため、柔軟に事業を展開したい団体に向いていると言えます。設立手続きも法務局への登記だけで完了し、設立後もNPO法人と違って行政の監督を受けないため、報告書の作成のような作業が不要です。

一般社団法人のデメリット

一般社団法人は以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。

  • 剰余金の分配・配当ができない
  • 社員総会の開催義務がある
  • 会計処理が複雑

一般社団法人である大きなデメリットとしては、剰余金の分配・配当ができないことです。剰余金は次期以降の活動資金に充てられることになります。

また、一般社団法人では最低でも年1回以上の社員総会を開催しなければなりません。社員総会では運営方針や役員の再任など、一般社団法人に関するあらゆる決議をおこないます。

さらに、一般社団法人の会計処理は事業収入の会計処理を収益目的と公益目的に分けて扱うため、株式会社や合同会社に比べて複雑です。

まとめ

一般社団法人は非営利組織であるため、金融機関から融資を受けるのが難しく、資金調達に苦労する可能性があります。

ただし、クラウドファンディングや日本政策金融公庫の融資など、社会貢献度が高いからこそできる資金調達方法もあるので、本記事を参考に根気強く取り組んで事業継続に必要な資金を確保しましょう。

これから一般社団法人を立ち上げようと考えている方は、メリットとデメリットを理解した上で事業目的や状況に合った法人の設立を目指してください。

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